電子定款とは?作り方やメリット・デメリットについても解説!
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公開日:2025年9月
更新日:2025年9月16日
会社設立に欠かせない定款は、近年では紙ではなく電子で作成・申請する「電子定款」が広く利用されています。電子定款を活用することで、印紙代の削減や手続きの効率化が可能となり、従来の紙の定款に比べて大きなメリットがあります。一方で、電子定款には専用ソフトや電子署名が必要になるなど、特有のデメリットも存在します。
この記事では、電子定款の基本的な仕組みから、電子定款のメリット・デメリット、さらに電子定款の作成方法や認証手続きまでをわかりやすく解説します。
目次
電子定款とは

定款とは、会社の目的や業務執行の方法、組織の仕組みなどを定めた基本規則を記載した重要な文書です。定款には、記載の有無によって法的効力が大きく異なる事項が含まれるため、会社設立の手続きにおいては必ず作成・認証が必要となります。

SoVa税理士ガイド編集部
かつては書面による定款のみが認められていましたが、現在ではPDF形式による電子定款も利用できるようになりました。
電子定款を活用する大きなメリットは、紙の定款では必要だった印紙税が不要になる点です。紙の定款を作成した場合、印紙代として4万円が課税されますが、電子定款を利用すればその費用を節約できます。電子で作成・認証された定款は、法的効力において紙の定款と同等であり、会社設立にかかるコスト削減や効率化を実現する手段として広く普及しています。
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電子定款のメリット

電子定款は、従来の紙の定款とは異なり、すべての手続きをオンラインで完結できる点に特徴があります。会社設立において必ず必要となる定款の作成や認証において、電子化された定款を利用することで大幅なコスト削減や手間の軽減が可能です。

SoVa税理士ガイド編集部
電子定款の作り方やメリット・デメリットについてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。
おすすめ記事:電子定款の作り方・認証の流れを徹底解説
ここでは、電子定款の代表的なメリットを解説します。
電子定款のメリット①:印紙代が不要になる
紙の定款は印紙税法の対象となり、役所への申請時に印紙代4万円が必要です。しかし、電子定款では印紙税が課されないため、この4万円の印紙代を削減できます。定款を電子で作成・認証することで、会社設立にかかるコストを効率的に抑えることができるのです。
電子定款に関する気をつけておきたい注意点

なお、定款が紙か電子かに関わらず、公証人手数料として3万円~5万円は発生する点には注意が必要です。
電子定款のメリット②:定款作成の手間が少ない
紙の定款では、発起人全員の署名や役場への直接提出が必要ですが、電子定款では代表者の電子署名のみで申請できます。さらに、定款の提出も専用フォームを通じて電子的に行えるため、基本的なやり取りはメールや電話で完結します。電子定款を活用することで、定款作成にかかる時間や手間を大幅に削減でき、スムーズな会社設立手続きが可能になります。
電子定款のデメリット

会社設立においては、紙の定款だけでなく電子定款を利用することも一般的になっています。電子定款は印紙代の節約や手続きの効率化といったメリットがある一方で、注意すべきデメリットも存在します。ここでは、電子定款の代表的なデメリットを解説します。
電子定款のデメリット①:申請後に無料で修正できない
紙の定款であれば、定款の記載内容に誤りがあった際に訂正印を押して修正することが可能です。しかし、電子定款では一度申請してしまうと、その後に定款の修正や変更を無料で行うことはできません。電子定款を訂正する場合には再度申請手続きを行う必要があり、公証人手数料として3万円~5万円を再び支払うことになります。
電子定款の作り方に関するおすすめ記事
そのため、電子定款を作成した際には、役場に電子定款データを事前にメールやFAXで送付して内容を確認してもらうことが推奨されます。
電子定款のデメリット②:電子署名ソフトや機材が必要になる
電子定款自体はWordなどで作成したものをPDF化すればよいのですが、電子定款として申請するためにはPDFファイルに電子署名を付与しなければなりません。この電子署名には、ICカードリーダライタやAdobe Acrobatなどの専用機材や電子署名対応ソフトが必要です。

SoVa税理士ガイド編集部
これらを持っていない場合には新たに購入する必要があり、電子定款を利用するための初期費用が発生する点がデメリットといえます。
電子定款の作成方法

会社設立を進めるうえで欠かせない定款は、現在では電子定款として作成・申請することが可能です。電子定款を利用することで印紙税の節約や効率的な手続きが可能になりますが、実際の電子定款作成にはいくつかのステップがあります。
電子定款の作り方やメリット・デメリットに関するおすすめ記事:電子定款とは?自分で作成して署名・認証を受ける方法を解説
ここでは、電子証明書付きのマイナンバーカードやICカードリーダなど必要な準備が整っている前提で、電子定款を自分で作成する流れを解説します。
電子定款の作成方法①:定款を作成する
最初に、会社設立に必要な定款を作成します。定款には会社の目的や組織に関する基本的な事項を記載しなければならず、記載内容は会社の性質によって異なります。

SoVa税理士お探しガイド編集部
電子定款であっても、定款の内容に誤りがあると再申請が必要となるため、公証役場で事前に定款内容の確認を依頼しておくと安心です。
依頼方法は、電話やFAXで定款チェックをお願いするのが一般的です。
電子定款の作成方法②:定款をPDFファイルに変換する
作成した定款は、Wordなどのソフトを用いてPDFファイルに変換します。電子定款として認証を受けるためには、PDF形式であることが必須条件です。この変換作業を経て初めて、定款に電子署名を行う準備が整います。
電子定款の作成方法③:ICカードリーダライタで電子証明書を読み込む
PDF化した定款に電子署名を付与するには、電子証明書を利用する必要があります。電子証明書はマイナンバーカードのICチップに格納されているため、ICカードリーダライタを使用して電子証明書を読み込む作業が不可欠です。この工程により、定款を電子定款として申請できる状態に整えます。
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電子定款の作成方法④:定款に電子署名を付ける
最後に、法務省が提供する登記・供託オンライン申請システム上で配布されている署名プラグインソフトを利用し、PDF化した定款に電子署名を付与します。ICカードリーダライタで読み込んだ電子証明書を用いて署名を付けることで、正式な電子定款が完成します。こうして作成された電子定款は、公証役場で認証を受けることで会社設立手続きに利用できるようになります。
電子定款の認証方法

ここまでに解説した手続きを経て電子定款を作成しても、公証役場で定款認証を受けなければ効力は発生しません。そのため、電子定款を作成した後は、速やかに電子定款の認証手続きを行うことが重要です。
電子定款に関するここがポイント!

定款の認証が必要となるのは株式会社のみであり、持分会社(合同会社・合資会社・合名会社)では定款認証は不要です。
電子定款の認証を受けるには、まず「登記・供託オンライン申請システム」への登録が必要です。申請者情報を入力した後、ダウンロード画面に進み、申請用総合ソフトをダウンロード・インストールします。そのソフトを利用して電子定款データを作成・送信し、本店所在地を管轄する公証役場へ電子的に提出します。電子定款を送信した後は、公証役場に電話連絡を入れて送信済みであることを伝えておくと、電子定款の認証手続きがスムーズに進み、認証完了後に公証役場から連絡を受けられるというメリットがあります。
認証が完了したら、公証役場に出向いて定款を正式に受け取ります。公証役場に行く際には、電話やホームページの予約フォームから事前予約を行う必要があります。詳細は本店所在地を管轄する公証役場のHPで確認するとよいでしょう。

SoVa税理士お探しガイド編集部
電子定款の作り方やメリット・デメリットについてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。
おすすめ記事:電子定款とは?メリット・デメリット、作成・認証方法を解説
公証役場での電子定款認証の際に必要な持参物は以下のとおりです。
- 記録媒体(USBメモリなど)
- 電子定款(プリントアウト×2通)
- 発起人(出資者)全員の印鑑証明書
- 電子署名を行った発起人以外の委任状(発起人が複数いる場合)
- 認証手数料(100万円未満:3万円、100万円以上300万円未満:4万円、その他:5万円)
- 定款の謄本代(2,000円程度)
- 実質的支配者となるべき者の本人確認書類
- 発起人全員の印鑑
このように、電子定款の作成と電子定款の認証には多くのステップがあり、必要書類も複数存在します。会社設立をスムーズに進めるためには、事前に定款関連の準備を整え、電子定款認証に必要な条件を確認しておくことが不可欠です。
まとめ

電子定款は、会社設立における必須書類である定款を電子的に作成・認証する方法であり、印紙税を節約できるほか、作成や申請の効率化といったメリットを持ちます。ただし、電子定款には専用機材や電子署名が必要になるなど、紙の定款にはない注意点もあります。
電子定款を活用する際は、事前に必要な準備を整え、メリットとデメリットを理解したうえで正しく手続きを進めることが重要です。定款の電子化をうまく取り入れることで、会社設立をよりスムーズかつ効率的に進めることができるでしょう。
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