会社の定款は変更できる?手続き方法や注意点を解説!

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公開日:2025年9月

更新日:2025年9月16日

会社を経営していると、事業内容の拡大や所在地の移転、役員体制の変更などに伴い、定款を変更する必要が出てくることがあります。定款は会社の基本ルールを定めた最も重要な書類であり、会社の運営に大きな影響を与えるため、定款変更は慎重に進めなければなりません。

この記事では、会社の定款変更にかかる費用や具体的な手続き方法、注意すべきポイントについて解説します。

会社の定款とは

定款とは、会社の組織や活動の基本ルールを定めた重要な書類であり、「会社の法律」ともいえる存在です。定款には、会社の目的(事業内容)や商号(会社名)など、会社法で定められた事項が記載されます。

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会社法に基づき、株式会社や合名会社、合資会社、合同会社を設立する際には必ず定款を作成しなければなりません。特に株式会社の設立では、発起人全員の署名または記名押印が求められ、作成した定款は公証役場で認証を受ける必要があります。

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認証を受けた定款(原始定款)は2部作成され、公証役場と会社でそれぞれ保管されます。

さらに、会社の経営方針や事業内容に変更が生じた場合には、定款の内容を変更する手続きを行わなければなりません。株式会社では株主総会での定款変更の決議を経て、正式に定款を変更することが可能です。このように、会社の定款は設立時だけでなく、その後の会社運営や変更の場面でも重要な役割を果たします。

会社の定款変更に必要な費用

定款の変更には、会社で株主総会を開催するなどの事務的な手間や費用が発生します。ただし、会社の定款を変更すること自体には、登記以外の大きな費用はかかりません。

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しかし、定款変更に伴い会社で変更登記申請を行う場合には、変更内容に応じて所定の登録免許税が発生します。

主な会社の定款変更と、それにかかる登録免許税の金額は以下のとおりです。

定款変更にかかる登録免許税の金額

変更項目 登録免許税の金額
商号(会社名)の変更 1件につき3万円
事業目的の変更 1件につき3万円
本店所在地の変更 管轄法務局の区域内なら1か所につき3万円(区域外に移転する場合は新旧それぞれ必要で計6万円)
役員の変更 1件につき1万円(資本金1億円超の会社は1件3万円)
増資 増加した資本金額の0.7%、または3万円のいずれか多い金額

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また、会社が定款変更に伴う変更登記の手続きを司法書士に依頼する場合には、登録免許税とは別に司法書士報酬などの追加費用がかかる点も考慮する必要があります。

会社の定款変更手続きが必要な場合は?

会社が定款を変更する場合、定款の記載事項に応じて正式な手続きを踏む必要があります。経営者や社員が独断で定款を変更することは認められていません。

定款の記載事項には、以下の3種類があります。

  • 絶対的記載事項:必ず定款に記載しなければならない事項であり、変更時には必ず定款変更の手続きが必要。
  • 相対的記載事項:法的に記載義務はないが、記載しなければ効力が認められないため、記載した場合は変更時に定款変更が必要。
  • 任意的記載事項:会社が任意で定款に盛り込む事項であり、記載した場合は変更時に定款変更の手続きが必要。

会社の定款変更に関する気をつけておきたい注意点

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特に絶対的記載事項としては、目的、商号(会社名)、本店所在地、資本金の最低額、発起人の氏名・住所などがあり、会社の根幹にかかわるため、必ず定款変更の対象となります。

会社の定款変更に伴って登記事項に変更が生じる場合は、変更登記も必要です。会社法第915条により、定款変更があったときは2週間以内に法務局へ変更登記を申請しなければなりません。

定款変更に伴い登記変更が必要となるケースの例は以下のとおりです。

  • 会社名(商号)の変更
  • 事業目的の変更
  • 本店所在地の変更
  • 発行可能株式総数の変更
  • 株式発行に関する定めの新設
  • 取締役会や監査役の設置・廃止
  • 資本金額の変更

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会社の定款を変更する方法についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。

おすすめ記事:定款変更とは?変更手続きや登記申請が必要なケースを解説

会社の定款変更では、何が登記変更の対象となるか判断が難しいことも多いため、専門家に相談しながら進めることが安心です。

会社の定款変更手続き

会社の定款は簡単に変更できるものではなく、会社法で定められた正しい手続きを踏む必要があります。ここでは、会社の定款変更に必要な流れをステップごとに解説します。

会社の定款変更手続きSTEP①:株主総会で定款変更を決議する

会社が定款変更を行う場合、株主総会での特別決議が必須です。定款は会社の根幹に関わるため、議決権を行使できる株主の過半数が出席し、そのうち3分の2以上の賛成を得なければ定款変更は成立しません。株主総会が定例で開かれない時期であれば、臨時株主総会を開催する必要があります。合同会社の場合は株主総会がないため、定款変更は全社員の同意を得ることが原則です。

会社の定款変更手続きSTEP②:議事録を作成して定款変更を記録する

株主総会で定款変更を決議したら、必ず株主総会の議事録を作成し、会社法の規定に従って記録に残します。議事録には、株主総数・出席株主数・議決内容などを明確に記載します

会社の定款変更はここがポイント!

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議事録は変更登記に添付する必要があるため、定款変更後は速やかに作成し、会社で保管しておくことが重要です。

会社の定款変更手続きSTEP③:必要に応じて変更登記を申請する

定款変更の内容が登記事項に該当する場合、会社は法務局に変更登記を申請しなければなりません。申請は書面提出のほか、オンラインでも可能です。登記申請時には、株主総会議事録や株主リストなどの添付書類が必要になるケースもあります。変更登記は定款変更の決議日から2週間以内に行う必要がある点に注意しましょう。

会社の定款を変更する方法に関するおすすめ記事:定款変更の手続き?自分でできる?基礎知識と押さえたいポイント

会社の定款変更手続きSTEP④:税務署へ届出を行い定款を保管する

会社の定款変更によって事業年度・事業目的・本店所在地などが変わった場合、所轄税務署への届出が必要です。異動届出書を作成してe-Tax・窓口・郵送のいずれかで提出します。納税地が変更になる場合は、変更前の所轄税務署へも提出が必要です。作成した新しい定款は、原始定款や議事録とともに会社で大切に保管しておきましょう。

会社の定款変更に関する注意点

会社の定款変更を行う際には、法律や実務上の注意点を理解しておくことが重要です。ここでは、会社の定款変更に関する代表的な注意点を整理します。

会社の定款変更に関する注意点①:株主総会での特別決議が必要

会社の定款変更を行う場合、必ず株主総会での特別決議が必要です。特別決議は普通決議よりも厳格な要件が課されており、資本金の減少や事業譲渡の承認、会社の解散や吸収合併などと同じレベルの重要な決議です。定款変更は会社の根幹に関わるため、厳格な手続きが求められています。

会社の定款変更に関する注意点②:公証人の認証は不要

会社設立時の定款は、公証人の認証を受けなければ効力が発生しません。

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しかし、会社設立後にすでに認証済みの定款を変更する場合、公証人の認証は不要です。

また、会社が合併や分割といった組織再編を行う場合も、新たに作成される定款について認証を受ける必要はありません。

会社の定款変更に関する注意点③:登記申請には費用が発生する

会社の定款変更で登記事項に変更が生じた場合、法務局への変更登記が必要となり、登録免許税を納めなければなりません。納付は収入印紙や領収証書で行われます。

さらに、会社が定款変更と登記を司法書士に依頼する場合は、司法書士の報酬も発生します。臨時株主総会を開く場合にはその開催費用もかかるため、定款変更はまとめて行う方が費用を抑えられるでしょう。

会社の定款変更に関する注意点④:登記申請には期限がある

定款変更によって登記事項に変更が生じた場合、法務局への変更登記の申請が必要です。この登記申請には期限が設けられており、原則として「変更があった日から2週間以内」に申請を行わなければなりません。

もしこの期間を過ぎてしまうと、会社法に基づき過料(罰金)が科される可能性があります。過料は数万円から数十万円になることもあり、会社にとって不要な負担となりかねません。

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そのため、株主総会で定款変更が決議されたら、速やかに登記に必要な書類を準備し、期限内に申請を済ませることが重要です。司法書士に依頼する場合でも、申請期限を踏まえて早めに準備を進めると安心です。

まとめ

会社の定款変更は、会社の根幹に関わる重要な手続きです。株主総会での特別決議が必要となり、場合によっては法務局への変更登記と登録免許税の納付も伴います。さらに、登記申請には「変更から2週間以内」という期限があり、これを過ぎると過料が科されるリスクもあります。

つまり、定款変更を検討する際は、決議から登記申請までの流れを一貫してスムーズに進める体制を整えておくことが不可欠です。司法書士などの専門家に早めに相談することで、期限超過や書類不備といったトラブルを防ぎ、安心して手続きを完了することができます。

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