会社設立の手続きは司法書士に依頼できる?委託できることと費用相場を解説!
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公開日:2025年8月
更新日:2025年8月26日
会社設立を検討していると、「司法書士に依頼した方が良いのか?」「自分で会社設立の登記はできるのか?」と迷う方も多いでしょう。会社設立の際には、法務局で行う法人登記が必要となり、この登記申請は司法書士の独占業務です。会社設立に関する複雑な手続きをすべて自分で進めるのは大変ですが、司法書士に会社設立の登記を依頼すれば、定款作成や登記申請の代行などをスムーズに任せることができます。
本記事では、会社設立と司法書士の関係について、司法書士に依頼できる内容、会社設立を委託する際の流れや費用相場、そして注意点までわかりやすく解説します。これから会社設立を予定している方は、司法書士へ依頼するメリットや注意すべきポイントを把握しておきましょう。
司法書士とは?

司法書士とは、法律に関する実務家であり、特に「登記のプロ」として会社設立の場面でも大きな役割を果たす専門家です。会社設立に必要な登記申請や定款認証は、司法書士が得意とする分野であり、会社設立を検討する経営者にとって心強い存在となります。

SoVa税理士ガイド編集部
司法書士が会社設立やその他の依頼を受けて行える業務は、司法書士法第3条および司法書士法施行規則第31条に規定されており、その内容は次のように整理できます。
- 登記や供託手続きに関する代行や相談(会社設立登記も含む)
- 法務局長に対する登記や供託の審査請求手続きの代行や相談
- 法務局に提出する会社設立関連書類や登記書類の作成代行や相談
- 裁判所や検察庁に提出する書類の作成代行や相談
- 成年後見人、不在者財産管理人、破産管財人としての業務
- 簡易裁判所での訴額140万円以下の訴訟・調停・裁判外和解などの代行や相談(法務大臣の認定を受けた司法書士に限る)
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このように、会社設立の登記や手続きは司法書士の独占業務とされており、弁護士を除けば他の専門家やコンサルタントが対応することはできません。会社設立をスムーズに進めたい場合には、司法書士に依頼することで安心して手続きを任せられるのです。
会社設立を司法書士に依頼すべきケース

司法書士は商業登記をはじめとした法人登記のプロであり、会社設立の際には大変心強い存在です。会社設立を司法書士に依頼することで、複雑な手続きを確実に進めることができます。
以下のようなケースでは、会社設立や登記業務を司法書士に依頼することを検討すべきでしょう。
<法人登記・会社設立を司法書士に依頼すべきケース>
- 法人登記や会社設立の手順がわからない
- 会社設立後の登記申請に時間を割けない
- 信頼できる専門家と長期的につながりたい
法人登記や会社設立登記には、書類作成や法務局への提出など煩雑な作業が多く、慣れていない人にとっては大きな負担です。
会社設立を司法書士に依頼するにはここがポイント!

さらに、会社法では、会社設立後や役員変更など登記事項が発生した場合には、原則2週間以内に登記することが求められています(会社法第915条第1項)。
司法書士に依頼すれば、これらの期限を守りながら正確に会社設立や登記を進められます。
士業ごとの業務範囲の違い
司法書士に依頼できる会社設立や法人登記の業務を理解しておくことは、今後の経営に役立ちます。以下は、司法書士を含む主要な士業の業務範囲の比較です。
業務内容 | 司法書士 | 弁護士 | 行政書士 | 税理士 | 社会保険労務士 |
---|---|---|---|---|---|
登記申請書の作成 | ◎ | ◯ | |||
会社設立登記・商業登記の代理申請 | ◎ | ◯ | |||
定款認証の代理申請 | ◯ | ◯ | ◯ | ||
議事録作成 | ◯ | ◯ | ◯ | ||
許認可申請 | ◯ | ◎ | △ | ||
法人税申告 | ◯ | ◎ | |||
税務相談 | ◎ | ||||
社会保険関連届出 | ◎ | ||||
労務関係届出 | ◎ | ||||
雇用保険関係届出 | ◎ |
このように、会社設立や法人登記に関しては司法書士が中心的な役割を担っており、会社経営者にとって欠かせない専門家であることがわかります。
会社設立を司法書士に依頼する際の流れ

司法書士に会社設立を依頼すると、登記完了までの流れが明確になります。ここでは、司法書士に会社設立を任せた場合の具体的な手順を解説します。
司法書士に会社設立を依頼した際の流れ①:会社設立の相談と会社概要の決定
司法書士に会社設立を依頼すると、まずは会社設立に関する相談から始まります。依頼主は司法書士に対して、どのような会社を設立するのかを伝え、あわせて会社設立に必要な費用の見積もりを確認します。
会社設立では定款に記載する事項や登記事項となる会社概要を整理する必要があるため、会社名(商号)、本店所在地、事業目的などを司法書士へ伝えることが重要です。株式会社を設立する場合には、発行可能株式総数も事前に決定する必要があります。
司法書士に会社設立を依頼した際の流れ②:定款の作成を依頼する
会社設立に不可欠な定款は、合同会社であれば社員、株式会社であれば発起人が自ら作成するのが原則ですが、司法書士に作成を依頼することも可能です。

SoVa税理士ガイド編集部
司法書士は会社設立登記に精通しているため、法的に不備のない定款を準備してもらえる点が大きなメリットです。
合同会社では公証人による定款認証が不要ですが、その分形式の不備や無効リスクが生じやすくなります。しかし、司法書士に会社設立の定款作成を任せれば、法的リスクを避けられます。さらに電子定款の作成にも対応してもらえるため、印紙税4万円が不要となり、会社設立のコスト削減にもつながります。
司法書士に会社設立を依頼した際の流れ③:資本金の振り込みと払込証明書の準備
会社設立では資本金の払い込みが必須です。出資の履行自体は設立者本人が行いますが、司法書士から正しい方法について助言を受けることができます。たとえば「代表者個人の口座に入金ではなく振り込みを行い、出資者名義が通帳に記録されるようにする」ことは、会社設立登記で必要となる重要なポイントです。
会社設立の手続きを司法書士に依頼する方法に関するおすすめ記事
また、設立登記で提出が求められる払込証明書の作成についても、司法書士が会社設立の手続きをサポートしてくれるため安心です。
司法書士に会社設立を依頼した際の流れ④:設立登記の申請と完了後の証明書取得
会社設立の最終段階は、設立登記の申請です。定款の準備と資本金の払い込みが完了したら、法務局へ登記申請を行い、法人格を取得します。この会社設立登記の申請は司法書士に代理で任せることができ、申請書類の作成や必要書類の収集なども含めて対応してもらえます。
さらに登記が完了すると、資本金や役員の情報を証明する「登記事項証明書(履歴事項全部証明書)」を取得することになります。この証明書の取得についても、司法書士が会社設立業務の一環として代行してくれるため安心です。
司法書士に会社設立手続きを依頼する際の費用相場

会社設立を司法書士に依頼する場合、会社設立に必要な業務内容や依頼範囲に応じて報酬が発生します。司法書士事務所や司法書士法人によって料金体系は異なるため、会社設立をスムーズに進めるためにも事前に確認しておくことが重要です。一般的に、会社設立の基本的な依頼内容であれば、司法書士への報酬はおおむね「5万円~10万円」が相場といえます。
司法書士に会社設立を依頼する際にはここがポイント!

ただし、司法書士報酬とは別に、会社設立の際には登録免許税などの実費も発生するため注意が必要です。
合同会社を司法書士に依頼して会社設立する場合
合同会社の会社設立を司法書士に依頼する場合、費用の目安は「5万円~9万円」とされています。会社設立にかかる司法書士費用は依頼先によって異なりますが、重要なのは費用に含まれる業務内容をしっかり確認することです。
一般的には会社設立登記の申請代行費用が含まれており、場合によっては定款の作成費用も含まれます。依頼前には必ず確認しておきましょう。

合わせて読みたい「法人番号と会社法人等番号の違い」に関するおすすめ記事

法人番号と会社法人等番号の違いとは?調べ方や使い道も紹介!
さらに、次のような業務が基本料金に含まれているか、オプション扱いになるのかもチェックしておくべきです。
- 会社設立に関する司法書士への相談
- 商号の調査
- 定款の認証
- 印鑑カードの交付申請
- 登記事項証明書の取得
- 印鑑証明書の取得

SoVa税理士お探しガイド編集部
会社設立の手続きを司法書士に依頼する方法についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もご参照ください。
相談料は「5,000円~1万円/時」程度、証明書の取得費用は「1,000円/通」程度が一般的です。
また、司法書士報酬以外の実費負担にも注意が必要です。会社設立に伴う設立登記の登録免許税は「資本金×0.7%」または「6万円」のいずれか大きい金額となります。定款を紙で作成した場合は印紙税「4万円」が必要ですが、電子定款なら不要です。
会社設立の手続きを司法書士に依頼する方法に関するおすすめ記事:法人登記を司法書士に依頼すべきケースは?メリットや費用相場などを解説
株式会社を司法書士に依頼して会社設立する場合
株式会社の会社設立は合同会社より手続きが複雑になるため、司法書士報酬も高めで「6万円~10万円」が相場です。会社設立を司法書士に依頼する際は、費用に含まれる業務内容をしっかり確認しておくことが重要です。
株式会社の会社設立に必要な実費は合同会社より大きくなります。登録免許税は「資本金×0.7%」ですが、最低額が「15万円」と定められています。また、株式会社では定款の認証手続きが必要で、資本金額に応じて「3万円~5万円」の公証人手数料が発生します。
なお、株式会社でも電子定款を利用すれば印紙税「4万円」が不要となり、費用を抑えることが可能です。
会社設立を司法書士に依頼する際の注意点

会社設立を司法書士に依頼すれば登記手続きは安心ですが、司法書士がすべての会社設立業務を代行できるわけではありません。ここでは、会社設立を司法書士に依頼する際に知っておくべき注意点を整理します。
会社設立を司法書士に依頼する際の注意点①:経営相談は対象外
司法書士は法人登記や会社設立登記の専門家ですが、一連の会社設立手続きや設立後のすべての申請業務をカバーしているわけではありません。特に会社設立後に必要となる「経営相談」については、司法書士の専門外です。司法書士は登記のプロであり、会社経営全般を支援する資格ではないため、経営戦略や事業計画に関する相談を希望する場合は、税理士、公認会計士、中小企業診断士など、経営サポートに特化した専門家へ依頼する必要があります。

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また、許認可が必要な事業を始める際には、会社設立とあわせて行政書士に書類作成を依頼することも重要です。
会社設立を司法書士に依頼する際の注意点②:税務手続きは司法書士の業務範囲外
会社設立に伴い必要となる税務関連の手続きは、司法書士の業務範囲に含まれません。会社設立の際に必須となる登記や定款認証は司法書士に依頼できますが、税務署への届出や税務書類の作成、税務代理などは司法書士では対応できない点に注意が必要です。
そのため、会社設立後の税務処理については、自分で手続きを行うか、税務の専門家である税理士に依頼する必要があります。税理士は税務書類の作成や税務代理を独占業務としており、会社設立後の税務面をサポートする最適な専門家です。
会社設立を司法書士に依頼する際の注意点③:融資や補助金のサポートは別の専門家へ
司法書士は会社設立や登記業務のプロですが、融資相談や補助金申請といった資金繰りに関するサポートまでは業務範囲に含まれません。会社設立後に資金調達を検討している場合は、司法書士ではなく、税理士や中小企業診断士など融資や補助金に強い専門家へ相談する必要があります。
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特に会社設立直後は資金面の不安が大きいため、司法書士に登記を依頼しつつ、金融機関や専門サポート機関と併せて相談先を確保しておくことが重要です。
まとめ

会社設立の際には、法人登記や定款作成など専門的な知識が必要となる手続きが数多くあります。司法書士に会社設立手続きを依頼することで、登記の不備を防ぎ、スムーズに法人格を取得できるのが大きなメリットです。ただし、会社設立に必要な税務手続きや融資関連の相談などは司法書士の業務範囲外となるため、税理士や行政書士など他の専門家と併せて活用することも大切です。
司法書士に会社設立を依頼する際には、依頼できる業務内容と費用の範囲を事前に確認しておきましょう。信頼できる司法書士に会社設立をサポートしてもらうことで、安心して事業をスタートできるはずです。
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