決算賞与を経費にするには?損金算入の条件や支給するメリットを解説!

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公開日:2025年8月

更新日:2025年8月21日

決算賞与は、企業が業績好調の際に従業員へ還元する特別な賞与です。単なる臨時的な報酬ではなく、損金算入の条件を満たすことで法人税の負担を軽減できる重要な節税手段でもあります。通常賞与との違いや、損金算入のために必要な条件を正しく理解しておくことは、経営判断や税務戦略に直結します。

この記事では、決算賞与を経費として損金算入するための条件や仕訳方法、さらに支給におけるメリット・デメリットや注意点まで詳しく解説します。

決算賞与とは

決算賞与とは、会社の業績に応じて事業年度末に支給される特別な賞与(ボーナス)のことです。通常の賞与(夏や冬のボーナス)が定期的に支給されるのに対し、決算賞与はその年度の業績が好調で利益が出た場合に臨時的に支払われる点が大きな特徴です。

支給の目的は、従業員の努力によって得られた利益を還元し、モチベーションや組織への帰属意識を高めることにあります。正社員に限らず、パートやアルバイトなど幅広い従業員を対象とする企業も多く、経営判断によって柔軟に設計できるのも決算賞与の特徴です。

また、決算賞与の金額や支給有無は会社ごとの業績や経営方針に基づいて決められます。

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そのため、支給されるかどうか、またどの程度の金額になるかは年度ごとに変動することが一般的です。

決算賞与と通常賞与の違い

一般的には賞与(ボーナス)は夏と冬の2回に分けて支給されることが多く、これを通常賞与と呼びます。一方で、決算期に支払われるものは決算賞与と呼ばれ、損金算入の条件を満たすかどうかが大きなポイントになります。ここでは、決算賞与と通常賞与の違いを整理しておきましょう。

決算賞与 通常賞与
支給義務 なし(経営判断による臨時的支給)ただし損金算入の条件を満たす必要あり なしただし、通例として夏・冬に支給することが多い
支給時期 決算後(決算日から1か月以内の支給が損金算入の条件) 夏・冬が多い
支給対象 正社員(パートやアルバイトを含む場合もある)支給対象を明確にすることが損金算入の条件 正社員(パートやアルバイトを含む場合もある)
支給額 業績による(利益や経営判断に基づく)損金算入の条件として金額確定と通知が必要 業績連動、もしくは貢献度などによる

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決算賞与を損金算入にするための条件についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もご参照ください。

おすすめ記事:役員の決算賞与は損金算入できる?支給するメリット・デメリットや注意点も解説!

通常賞与は夏と冬に定期的に支給される報酬の一環として位置付けられますが、決算賞与は会社の業績が良かった場合に臨時で支給される報酬です。

決算賞与を損金算入するにはここがポイント!

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また、決算賞与を当期の損金算入とするには「支給額を事前に確定・通知する」「決算日から1か月以内に支給する」など、いくつかの条件を満たす必要があります。

決算賞与を損金算入するための条件

決算賞与を経費として損金算入するには、税務上で定められた明確な条件を満たす必要があります。条件を守らなければ損金算入が認められず、せっかくの節税効果を得られません。ここでは、決算賞与を損金算入するための4つの条件を整理して解説します。

決算賞与を損金算入するための条件①:従業員に支給すること

決算賞与は、従業員に支給する場合にのみ損金算入が認められます。役員に対して支給した決算賞与は「役員賞与」として扱われ、法人税法上は損金不算入となり経費として認められません。そのため、決算賞与を損金算入する条件の第一歩は「従業員に対して支給すること」です。
また、従業員に支給する場合でも、対象者や金額の決定は業績や貢献度に応じた合理的な基準である必要があります。この条件を満たすことで、決算賞与は経費として損金算入が可能になります。

決算賞与を損金算入にするための条件に関するおすすめ記事:決算賞与は税務調査で指摘されやすい?損金計上の要件とは

決算賞与を損金算入するための条件②:支給の有無を事前に書面で通知すること

決算賞与は通常の賞与と異なり、支給が不定期であるため「支給の有無や金額を決算期末までに従業員へ通知すること」が条件となります。書面やメールなどで通知を行うことで、決算賞与が事後的な臨時報酬ではなく、決算期中に確定した債務であることを証明できます。

決算賞与を経費にする際に気をつけておきたい注意点

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        _依頼_おすすめの注意点

通知を怠ると、決算賞与が決算日までに確定していなかったと判断され、損金算入が認められない可能性があります。雇用契約書や就業規則に「決算賞与を業績に応じて支給する」といった条項を盛り込み、条件を明文化しておくことも有効です。

決算賞与を損金算入するための条件③:事業年度終了後1か月以内に支給すること

決算賞与は、決算日から1か月以内に支給しなければ損金算入はできません。事業年度終了後1か月を超えて支給すると、翌事業年度の経費と扱われ、当期の損金算入は不可能となります。

決算賞与を損金算入にするための条件に関するおすすめ記事

たとえば、3月31日が決算日の会社であれば、4月30日までに決算賞与を従業員へ支給する必要があります。期限を守らなかった場合、決算賞与は損金算入できないため、法人税の節税効果を享受できません。この条件は特に実務上の注意点となります。

決算賞与を損金算入するための条件④:決算期末までに損金処理を行うこと

最後の条件は「決算期末までに決算賞与を未払計上し、損金算入すること」です。決算賞与は、通知と支給が適正に行われていても、会計処理を決算期内に済ませなければ損金算入が認められません。
決算期内に未払金として計上しておけば、決算賞与は税務上も損金として扱われ、法人税の負担を軽減できます。逆に、損金算入を決算期をまたいで行った場合は、翌期の経費とみなされるため、当期の節税効果は失われてしまいます。

決算賞与を損金算入する場合の仕訳方法

ここでは、決算賞与を支払う際の仕訳処理と、損金算入の条件について解説します。決算賞与は当期の損金算入が可能ですが、実際の支払いは翌期となるケースが多いため、仕訳は2段階に分けて行う必要があります。

決算賞与を損金算入するにはここがポイント!

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特に、損金算入を認められるためには「金額の確定」「決算日から1か月以内の支給」「対象者の通知」などの条件を満たすことが重要です。

決算日時点での仕訳(未払計上)

今回のケースでは、決算賞与が1,000万円、これに伴う社会保険料が150万円と仮定します。決算賞与を損金算入するため、決算日時点では未払金として計上します。

借方 貸方
賞与 11,000,000 未払金 11,000,000

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決算賞与を損金算入にするための条件についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もご参照ください。

おすすめ記事:決算賞与とは?通常賞与との違いや支給のメリット・デメリットを解説

決算賞与は決算日時点で支払われるわけではないため、損金算入の条件を満たす形で未払金として処理するのが正しい仕訳です。

翌期に決算賞与を実際に支払った場合の仕訳

続いて、翌期に実際に決算賞与を支給した場合の仕訳です。社会保険料や所得税の控除分は預り金として処理します。

借方 貸方
未払金 11,000,000 普通預金 10,000,000
未払金 1,500,000 預り金 1,500,000

このように、決算賞与は損金算入できるかどうかがポイントとなり、そのためには条件を満たしたうえで正しく仕訳を行うことが不可欠です。

決算賞与を損金算入したい場合の注意点

決算賞与を損金算入するためには、形式的な条件を満たすだけでなく、実務上の注意点を押さえておくことが重要です。ここでは、特に見落としやすい4つの注意点を整理して解説します。

決算賞与を損金算入にしたい際の注意点①:役員への支給は対象外

決算賞与を損金算入したい場合でも、役員に対する支給分は条件を満たさず損金算入できません。役員報酬には「定期同額給与」や「事前確定届出給与」といった厳格な条件があり、臨時的な決算賞与は損金算入の対象外です。したがって、決算賞与を損金算入できるのは従業員に支給する場合のみとなります。

決算賞与を損金算入にしたい際の注意点②:決算期末から1か月以内に支給

決算賞与を損金算入する条件として、決算期末から1か月以内に支給する必要があります。たとえば12月決算であれば翌年1月31日までに決算賞与を支給しなければ損金算入は認められません。

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支給を証明するため、銀行振込記録や領収証を必ず保管しておきましょう。

決算賞与を損金算入にしたい際の注意点③:事前通知した金額どおりに支給

決算賞与を損金算入するためには、事業年度末までに従業員へ支給額を通知し、その通知した金額どおりに支給することが条件です。支給額を途中で変更すると損金算入できなくなるため、通知額を確定させてから実行することが重要です。

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決算賞与を損金算入にしたい際の注意点④:通知した全員に支給すること

決算賞与を損金算入するための条件は「通知した従業員全員に支給すること」です。通知を受けた社員が退職していた場合でも支給漏れがあると、決算賞与全体の損金算入が否認されるリスクがあります。退職者も含め、通知対象者全員に確実に支給する体制を整えることが欠かせません。

まとめ

決算賞与は、従業員のモチベーション向上と法人税の節税を同時に実現できる有効な制度です。ただし、損金算入を認められるためには「支給対象者への事前通知」「決算期末までの未払計上」「決算後1か月以内の支給」など厳格な条件を満たさなければなりません。条件を守らずに決算賞与を支給しても損金算入できず、節税効果が得られないリスクがあります。

経営者や経理担当者は、決算賞与の損金算入に必要な条件を正しく把握し、メリットとデメリットを理解したうえで適切に活用することが重要です。

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