法人の登記簿謄本とは?必要なタイミングや取得方法を解説!

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公開日:2025年6月

更新日:2025年6月13日

法人の登記簿謄本(登記事項証明書)は、会社の基本情報を公的に証明する重要な書類であり、法人登記に関するさまざまな手続きや契約において頻繁に提出を求められます。たとえば、法人口座の開設や融資の申請、社会保険の手続き、取引先との信用確認など、法人運営に欠かせない場面で必要とされる書類の一つです。

本記事では、法人の登記簿謄本とは何かをはじめ、その種類や登記事項証明書との違い、取得が求められる具体的なタイミング、取得方法、そして気になる謄本取得にかかる費用まで、わかりやすく解説します。これから会社設立や事業拡大を目指す方にとっても、法人の登記簿謄本の正しい理解は不可欠です。

目次

  1. 法人の登記簿謄本とは
  2. 法人の登記簿謄本の種類
    1. 履歴事項全部証明書(法人の登記簿謄本として一般的)
    2. 現在事項全部証明書(現在の法人情報を確認する謄本)
    3. 閉鎖事項証明書(閉鎖された法人登記簿の謄本)
    4. 代表者事項証明書(法人代表者情報が記載された謄本)
  3. 法人の登記簿謄本と登記事項証明書の違い
  4. 法人の登記簿謄本が必要になるタイミング
    1. 登記簿謄本が必要になるタイミング①:金融機関で法人口座を開設するときや融資を申し込むとき
    2. 登記簿謄本が必要になるタイミング②:法人名義で保険や許認可の手続きをするとき
    3. 登記簿謄本が必要になるタイミング③:新規の取引先や競合他社の調査をするとき
    4. 登記簿謄本が必要になるタイミング④:初めて決算申告を税理士に依頼するとき
    5. 登記簿謄本が必要になるタイミング⑤:法人の登記内容を変更するとき
  5. 法人の登記簿謄本の取得方法
    1. 取得方法①:オンラインで法人の登記簿謄本を申請する
    2. 取得方法②:法務局の窓口で法人の謄本を取得する
    3. 取得方法③:郵送で法人の登記簿謄本を申請する
  6. 法人の登記簿謄本取得に必要な費用
    1. 法務局の窓口で法人の謄本を取得する場合
    2. 郵送で法人の謄本を取得する場合
    3. オンライン申請で法人の謄本を取得する場合
    4. 証明書の種類によっても法人謄本の手数料は異なる
  7. まとめ

法人の登記簿謄本とは

登記簿とは、法人や不動産などに関する情報が登記された記録全体を指す用語です。法人登記に関する情報を含むこの登記簿から、特定の内容を抜粋して記載した写しの書類を「登記簿謄本」といいます。司法書士や行政書士などの士業事務所では、法人謄本や会社謄本という名称で呼ばれることもあります。

なお、「登記簿」という呼称は、かつて登記情報が紙で管理されていた時代の名称です。現在では、法人の登記情報を含む登記簿の内容はすべてコンピュータ化されており、その情報を元に作成・発行される書類は「登記事項証明書」と呼ばれています。

SoVa税理士お探しガイド編集部

ただし、「登記簿謄本」という表現は長らく使用されていた経緯から、法人関係の書類においても今なお一般的に使われることがあります。

法人の登記簿謄本の種類

登記簿謄本(登記事項証明書)にはいくつか種類があり、法人の登記情報を確認する目的によって使い分ける必要があります。ここでは、法人の謄本に該当する証明書の種類を整理してご紹介します。

履歴事項全部証明書(法人の登記簿謄本として一般的)

履歴事項証明書とは、現在有効な登記事項だけでなく、交付請求日から3年前の1月1日以降に抹消された法人の登記情報も含め、すべての登記事項が記載された書類です。

たとえば、法人の役員変更が1年前に行われていれば、すでに退任した旧役員の情報もこの謄本には記載されます。そのため、法人の過去の登記履歴や変更の流れを確認したいときに最適です。

実務上、「会社の登記簿謄本が欲しい」と依頼された場合には、この履歴事項全部証明書(法人の全登記履歴を含む謄本)を指していることがほとんどです。

現在事項全部証明書(現在の法人情報を確認する謄本)

現在事項証明書は、法人の登記事項のうち、現在効力があるもののみに限定して記載されます。そのため、たとえ請求日前日に何かしらの登記変更があったとしても、過去の履歴情報は基本的に記載されません。

ただし、法人の商号や本店所在地については、1つ前の変更履歴が補足的に記載されることがあります。法人の現在の状態を簡潔に把握したい場合に適した謄本です。

法人の登記簿謄本に関するおすすめ記事

閉鎖事項証明書(閉鎖された法人登記簿の謄本)

閉鎖事項証明書は、すでに閉鎖された登記簿に記載されていた法人の登記情報を証明する書類です。

たとえば、法人の本店移転により別の法務局管轄に移った場合や、法人が合併により消滅した場合などには、以前の登記簿は閉鎖されてしまい、履歴事項証明書では確認できなくなります。

そのため、閉鎖前の法人情報を確認したいときは、閉鎖登記簿の謄本を取得する必要があります。

法人の登記簿謄本に関する気をつけておきたい注意点

税理士
        _依頼_おすすめの注意点

なお、コンピューター化される以前の閉鎖された法人登記簿の謄本は、閉鎖当時の管轄法務局でしか取得できないため、注意が必要です。

代表者事項証明書(法人代表者情報が記載された謄本)

代表者事項証明書は、法人の代表者に関する情報のみを記載した登記事項証明書(法人謄本)です。

代表者の氏名・住所に加え、法人の商号、本店所在地、会社法人等番号など、代表権に関連する法人情報も記載されます。特定の申請や手続きで法人代表者に関する証明が求められる場合に、この謄本が使用されます。

法人の登記簿謄本と登記事項証明書の違い

法人登記の内容を証明するために法務局で発行される書類には、「登記簿謄本」や「登記事項証明書」があります。これらの書類は、どちらも法人の登記内容を証明するものであり、証明する情報の中身は基本的に同じです。異なるのは、紙で管理されていたか、コンピュータで管理されているかという点です。

SoVa税理士ガイド編集部

法人の登記簿謄本についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。

おすすめ記事:謄本とは?抄本や法人の登記事項証明書との違いを解説

登記簿謄本は、コンピュータ化される前の登記所で、紙の登記簿を直接複写して作成された法人の登記情報を含む書類です。一方、登記事項証明書は、コンピュータ化された登記所において、磁気ディスクに記録された法人の登記情報を出力して印刷された書類で、現在の実務ではこちらが主に使われています。

現在はほとんどの登記所で法人登記がコンピュータで管理されているため、「登記事項証明書」という名称が一般的です。

法人の登記簿謄本に関するここがポイント!

税理士_依頼_おすすめのポイント

従来の呼び方である「登記簿謄本」という言葉も根強く使われており、法人に関する証明書として今でも日常的に使われることがあります。

なお、法人登記簿の一部の項目のみを抜粋して証明する書類は、「登記簿抄本」とも呼ばれ、正式には「一部事項証明書」といいます。

法人の登記簿謄本が必要になるタイミング

法人名義での契約や登記申請などの各種手続きを進める際、「登記簿謄本(正式には登記事項証明書)」の提出を求められる場面が多くあります。以下に、法人が登記簿謄本を必要とする代表的な5つのタイミングを紹介します。

登記簿謄本が必要になるタイミング①:金融機関で法人口座を開設するときや融資を申し込むとき

銀行などの金融機関で法人口座を開設したり、法人名義で融資を申し込む場合、登記簿謄本の提出が必須となります。登記簿謄本に記載された法人情報(商号、本店所在地、代表者など)に基づき、金融機関は与信審査を行います。また、法人が補助金や助成金を申請する際にも、謄本の提出が必要とされるケースがあります。

登記簿謄本が必要になるタイミング②:法人名義で保険や許認可の手続きをするとき

法人設立後に社会保険や労働保険(健康保険、厚生年金保険、労災保険、雇用保険)への加入や、飲食業・建設業・宿泊業などの許認可申請を行う際には、法人の登記簿謄本の提出が求められます。これにより、手続きを行う機関が法人の正式な情報を確認できます。

登記簿謄本が必要になるタイミング③:新規の取引先や競合他社の調査をするとき

登記簿謄本は、法人の信用調査資料としても活用されます。新たな取引先との契約を検討している場合や、競合他社の状況を調べたいときには、登記簿謄本を取得することで、法人の資本構成や役員情報などを確認できます。また、大手企業との取引開始時には、登記簿謄本の提出を求められることも一般的です。

登記簿謄本が必要になるタイミング④:初めて決算申告を税理士に依頼するとき

法人の決算申告を初めて税理士に依頼する場合、税理士は法人の登記内容(資本金、役員、株式情報など)を把握するために、登記簿謄本の提出を依頼することがあります。正確な申告のためには、謄本によって法人の公式情報を確認することが重要です。

登記簿謄本が必要になるタイミング⑤:法人の登記内容を変更するとき

社名の変更、本店所在地の移転、役員の交代、事業目的の追加・変更などが発生した際は、法務局での法人登記の変更手続き(変更登記)が必要です。

SoVa税理士お探しガイド編集部

この変更登記を行う際には、直前の法人の登記簿謄本を事前に取得しておくとスムーズです。

申請中は新旧の登記内容を確認できないため、法人の登記変更前に謄本を取得しておくことが望ましいです。

法人の登記簿謄本の取得方法

法人の登記手続きや各種契約・申請に必要となる「登記簿謄本(法人の登記事項証明書)」は、主に「オンライン申請」「法務局窓口」「郵送申請」の3通りの方法で取得できます。

SoVa税理士ガイド編集部

手数料や受け取り方法に違いがあるため、自社の状況に応じた方法を選ぶことが大切です。

取得方法①:オンラインで法人の登記簿謄本を申請する

まず、インターネット環境が整っている法人にとって便利なのが、法務省の「登記・供託オンライン申請システム(登記ねっと)」を活用した方法です。

オンライン申請の受付時間は、平日8:30〜21:00(祝日・年末年始を除く)です。

申請時には、最初にシステムへの利用登録を行います。登録が完了したら、申請したい法人の登記簿謄本(登記事項証明書)を選び、必要事項を入力して請求書を作成・送信します。

手数料は、登記所や法務局窓口で受け取る場合は480円、郵送での受け取りなら500円。支払いはインターネットバンキングやATMなどで対応可能です。

最後に、選んだ受け取り方法に応じて、登記所の窓口または郵送で法人謄本を受領する流れとなります。

取得方法②:法務局の窓口で法人の謄本を取得する

急ぎで法人の謄本を取得したい場合や、担当者が近隣にいる場合は、法務局の窓口申請が適しています。窓口は平日の9:00〜17:00(年末年始を除く)に対応しています。

現地では、備え付けの交付申請書に法人名や所在地などの必要情報を記入します。次に、局内の印紙売場で600円分の収入印紙を購入し、申請書に貼付。

そのまま申請書を窓口へ提出すれば、通常15分ほどで法人の登記簿謄本をその場で受け取ることができます。

取得方法③:郵送で法人の登記簿謄本を申請する

法務局に出向く時間がない、または遠方から申請したい場合には、郵送による申請が有効です。

まず、法務局の公式Webサイトから交付申請書をダウンロードし、法人名や住所など必要事項を記入します。次に、郵便局または法務局で600円分の収入印紙を購入し、申請書に貼付。

返信用の封筒を用意し、宛名を書いた上で所定の切手を貼ります。簡易書留など追跡可能な方法を利用すると安心です。

これらの書類一式を封筒にまとめ、最寄りの法務局に郵送。数日後に、法人の登記簿謄本が郵送で手元に届く流れとなります。

法人の登記簿謄本取得に必要な費用

法人の登記簿謄本(登記事項証明書)を取得するには、必ず交付手数料が必要です。特に、法人手続きや契約時に頻繁に利用される謄本の取得では、費用や方法を事前に把握することが重要です。

法務局の窓口で法人の謄本を取得する場合

法人の登記簿謄本を法務局の窓口で取得する場合、1通あたりの手数料は600円程度です。

SoVa税理士お探しガイド編集部

支払いは収入印紙方式で行い、その場で提出・受け取りまで完了できるため、急ぎで法人謄本が必要なケースに便利です。

郵送で法人の謄本を取得する場合

郵送による法人の登記簿謄本の取得でも、基本の交付手数料は1通600円と同額です。ただし、追加で郵送料と、証明書を返送してもらうための返信用封筒(切手貼付済)が必要になります。多くの法人は、追跡可能な簡易書留を使って返信を依頼するため、数百円の追加費用がかかるのが一般的です。

オンライン申請で法人の謄本を取得する場合

オンラインで法人謄本を申請する場合、他の方法よりも手数料が若干安くなっています。申請後に登記所の窓口で法人謄本を受け取る場合、1通あたり490円、郵送で法人謄本を受け取る場合は520円です。支払い方法は電子納付やクレジットカード決済に対応しています。

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ただし、オンライン取得による法人謄本も郵送で届くため、別途郵送費がかかります。結果として、郵送申請と最終的なコストが大差ないケースもあるため、注意が必要です。

証明書の種類によっても法人謄本の手数料は異なる

法人が取得する登記簿謄本には、「履歴事項全部証明書」「現在事項全部証明書」「代表者事項証明書」など複数の種類があり、それぞれ法人に関する記載内容や用途が異なります。種類によっては交付手数料が変わることもあるため、事前に法務局やオンラインシステムで確認することが大切です。

まとめ

法人の登記簿謄本は、会社の実在性や登記内容を証明するために不可欠な書類であり、金融機関や行政機関への提出、社内手続き、取引先との契約など、幅広いシーンで利用されます。

SoVa税理士お探しガイド編集部

特に法人として信頼性を担保する上での重要な情報源となるため、取得方法や手数料、適切な取得タイミングについて正しく把握しておくことが大切です。

法人を運営していく中で、登記簿謄本の取得は一度きりではなく、継続的に発生する可能性が高い業務の一つです。今後の事業活動を円滑に進めるためにも、本記事を参考に、状況に応じた法人謄本の取得方法を選択し、効率的な対応を心がけましょう。

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