扶養控除とは?年収の壁や種類についても解説!

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公開日:2024年10月

更新日:2024年11月21日

扶養控除とは、所得税法において16歳以上の扶養親族がいる場合に、一定の所得控除を受けられる制度です。

扶養控除のポイントは、扶養親族が配偶者を除く親族である点です。配偶者の場合は、扶養控除ではなく「配偶者控除」や「配偶者特別控除」が適用されます。

扶養親族の条件の一つとして、扶養される人の合計所得が48万円以下であることが必要です(給与所得者の場合、年収103万円以下が基準となります)。

SoVa税理士お探しガイド編集部

この記事では、扶養控除の詳細や、扶養控除に関する「年収の壁」や控除額について、分かりやすく解説していきます。

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扶養控除とは

扶養控除とは、課税対象となる所得から一定額を差し引くことができる所得控除の一つで、扶養親族がいる場合に適用される制度です。

扶養控除の目的は、親族を扶養する負担を軽減するためのものです。 親族を養うことで生活費の負担が増えることがあり、扶養控除はその経済的負担を減らすために設けられています。

ここがポイント!

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扶養控除を利用すると、課税される所得が減少するため、結果として納税額が軽減され、納税者の負担が軽くなります。

ただし、扶養控除の対象となる親族にはいくつかの条件があり、すべての要件を満たす必要があります。扶養控除を受けるための5つの条件は次のとおりです。

扶養控除を受けるための条件

  • 控除を受ける年の12月31日時点で16歳以上であること
  • 配偶者を除く親族(6親等内の血族および3親等内の姻族)であること
  • 納税者と生計を共にしていること
  • 年間合計所得が48万円以下であること(給与収入の場合、年収103万円以下)
  • 青色申告者の事業専従者として給与を受けていない、または白色申告者の事業専従者でないこと

これらの条件をすべて満たした親族は「控除対象扶養親族」となります。

また、従来は国外居住の親族も16歳以上で所得が48万円以下であれば扶養控除の対象でしたが、2023年1月からは以下の条件を満たす場合に限り、扶養控除の適用が認められるようになりました。

  • 16歳以上30歳未満
  • 70歳以上
  • 30歳以上70歳未満で、以下のいずれかに該当すること
    • 留学中で国内に住所や居所がない
    • 障害者である
    • 生活費や教育費として年間38万円以上の支援を受けている

年齢の基準はすべて、その年の12月31日時点の年齢となります。

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所得税の扶養控除の対象になるための条件

「控除対象扶養親族」とは、16歳以上の扶養親族を指し、年末時点で16歳以上の親族が他の要件をすべて満たせば、この控除を受けられることになります。。

一般的に「家族」といえば、同居している配偶者や子供、両親、祖父母などを思い浮かべます。しかし、単身赴任や就学のために家族と離れて住んでいる場合でも、その家族は依然として「家族」として扱われます。

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SoVa税理士ガイド編集部

所得税法での「扶養親族」も、この「家族」に似た定義を持っていますが、親族関係に加え「生計」が共通しているかが重要です。具体的には、以下のような要件が必要です。

所得税の控除対象扶養親族になるための条件①:16歳以上であること

平成22年に導入された「子ども手当」(平成25年4月から「児童手当」に変更)により、16歳未満の扶養親族(年少扶養親族)は扶養控除の対象外となっています。

所得税の控除対象扶養親族になるための条件②:6親等内の血族および3親等内の姻族であること

「血族」とは納税者本人の親族を指し、「姻族」はその配偶者の親族を意味します。理解が難しい場合は、家系図を描くと6親等や3親等の範囲がわかりやすくなります。例えば、両親や子供は1親等、兄弟姉妹や祖父母、孫は2親等です。親族範囲は広く、配偶者側の親族も3親等内であれば対象になります。

所得税の控除対象扶養親族になるための条件③:同一生計であること

「同一生計」とは、必ずしも同居している必要はなく、仕送りなどで経済的に支援している場合も該当します。たとえば、以下のような場合が該当します。

  • 単身赴任している家族に仕送りをしている
  • 入院中の親族に療養費を支払っている
  • 離婚後、子供の養育費を支払っている

所得税の控除対象扶養親族になるための条件④:合計所得金額が48万円以下であること

扶養親族の要件として、無収入である必要はありません。所得があっても、48万円以下であれば扶養控除が適用されます。ここでいう「所得」とは、収入額ではなく、収入から必要経費を差し引いた金額です。

パート・アルバイトの場合

「給与所得」の場合、年収103万円以下であれば、給与所得控除55万円を差し引くと所得金額が48万円以下になるため、扶養親族として認められます。

年金受給者の場合

年金は「雑所得」に分類され、65歳以上では公的年金控除110万円、65歳未満では60万円が適用されます。たとえば、65歳以上で年金130万円を受給している場合、所得金額は20万円となり、扶養控除が適用されます。しかし、65歳未満で同じ130万円を受給している場合、所得は70万円となり扶養対象から外れます。

所得税の控除対象扶養親族になるための条件⑤:青色申告者の事業専従者給与を受け取っていない、または白色申告者の事業専従者でないこと

扶養親族が青色申告者の事業専従者給与を受けている場合や、白色申告者の事業専従者である場合、控除対象にはなりません。親族が個人事業を手伝っているケースなどでは、これに該当するかどうか確認が必要です。

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扶養控除の種類と控除額

扶養控除を受ける際の控除額は、扶養親族の年齢などによって異なります。それぞれのケースを見てみましょう。

扶養控除の種類と控除額①:一般の控除対象扶養親族

一般の控除対象扶養親族の条件は以下の通りです。

控除対象扶養親族の条件

  • 合計所得金額が48万円以下であること(令和元年以前は年収38万円以下)
  • 年齢が16歳以上18歳以下、または23歳以上70歳未満であること

上記の条件を満たす扶養親族は「一般の扶養親族」とされ、控除額は38万円です。

扶養控除の種類と控除額②:特定扶養親族

12月31日時点で19歳以上23歳未満の扶養親族は「特定扶養親族」となり、特別な控除が適用されます。一般の扶養控除が38万円であるのに対し、特定扶養親族の場合は控除額が25万円上乗せされ、63万円が控除されます。

扶養控除の種類と控除額③:老人扶養親族

扶養親族が70歳以上の場合、38万円の一般控除に加え「老人扶養控除」が適用されます。老人扶養親族に該当する場合、控除額は48万円となり、同居している場合はさらに10万円加算され、58万円の控除となります。

扶養控除の種類と控除額④:同居老親等

「同居老親等」として扱われるためには、以下の2つの条件を満たす必要があります。

同居老親等の条件

  1. 納税者本人またはその配偶者の直系尊属であること
  2. 同居していること

「同居」をどのように判定するかは状況によります。以下の例で詳しく説明します。

  • 例1: 「同じマンションや別棟の住まいで、日常生活を共にしている場合」
    → このケースは同居老親等に該当し、控除額は58万円です。
  • 例2: 「長期入院中で現在は同居していないが、住民票が同じで退院後は同居を再開する予定の場合」
    → このケースも同居老親等に該当し、控除額は58万円です。
  • 例3: 「老人ホームに入居しており、住民票も施設に移している場合」
    → この場合、同居老親等には該当せず、控除額は48万円です。

扶養控除に関するおすすめ記事:扶養とは?仕組みや控除対象扶養親族の範囲、103万円や130万円の壁も解説

扶養控除を受けるためには?

扶養控除を受ける方法には、年末調整と確定申告の2つがあります。それぞれの手続きについて説明します。

年末調整で扶養控除を受ける場合

会社員の方は、年末調整を通じて扶養控除を受けることができます。手続きの際には、会社から配布される「給与所得者の扶養控除等申告書」に扶養親族の名前などを記入し、勤務先に提出する必要があります。

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確定申告で扶養控除を受ける場合

個人事業主や、年末調整が行われない方は、確定申告で扶養控除を適用します。確定申告の際には、まず第二表の「配偶者や親族に関する事項」欄に親族の氏名などを記入します。その後、控除額を計算し、第一表の「扶養控除」欄にその合計金額を記載します。

税法上における扶養・社会保険の扶養と年収の関係

税法上の扶養控除は、配偶者の年収などによって異なる取り扱いがされます。これを分かりやすく表現したものが、いわゆる「年収〇〇円の壁」です。以下に、それぞれの壁が意味することを解説します。

年収103万円の壁

年収103万円の壁は、所得税に関わる基準を指します。具体的には、以下の2点を示しています。

  • パートで働く人の年収が103万円以下の場合、本人に所得税がかからない
  • 配偶者が年収103万円以下であれば、配偶者控除を受けられる

パートやアルバイトでの収入が年収103万円以下なら所得税は課されませんが、それを超えると課税が始まります。また、配偶者が年収103万円以下の場合、配偶者控除が適用されますが、それを超えると配偶者特別控除が代わりに適用されます。

年収106万円と130万円の壁

年収106万円と130万円の壁は、社会保険に関連した基準です。

  • 年収106万円を超えると、社会保険適用拡大の対象事業所で働く場合、社会保険への加入が必要になります。
  • 年収130万円を超えると、すべての人が配偶者の扶養から外れ、個人で社会保険に加入する必要があります。

ただし、「年収106万円」はあくまで目安であり、社会保険適用拡大の対象となるのは、以下の条件をすべて満たす場合です。

  • 週の労働時間が20時間以上
  • 月収が8.8万円以上
  • 2カ月を超える雇用見込みがある
  • 学生ではない

社会保険に加入すると保険料を支払う必要がありますが、厚生年金の上乗せや傷病手当金・出産手当金の受給など、メリットも得られます。

年収150万円の壁

年収150万円の壁は、配偶者特別控除が満額適用される年収の上限です。

例えば、配偶者の年収が103万円から150万円の範囲内であれば、納税者は配偶者特別控除を最大限受けることができます。ただし、配偶者の年収が150万円を超えると、控除額は徐々に減額され、年収201.6万円を超えると控除は受けられなくなります。

扶養控除に関するおすすめ記事:扶養控除とは?扶養親族の条件や確定申告の方法、配偶者控除との違いを解説

まとめ

扶養控除とは、所得控除の一種で、条件を満たした扶養親族がいる場合に、課税所得から一定額を差し引くことができる仕組みです。控除対象となる親族には、年齢や同居の状況などの要件が定められており、それに応じて控除額も変わります。なお、配偶者が扶養に入る場合は扶養控除の対象外となり、代わりに配偶者控除や配偶者特別控除が適用されます。

近年、共働き家庭が増えたことで、年収の壁を意識する人が増加しています。また、老後の年金収入だけでは生活が厳しいと感じる人が多く、長く働き続けたいと考える人も増えてきました。このように、働き方の変化に伴い、政府も制度を改正し、税制の見直しを進めています。

特に扶養控除は、働き方により適用されるかどうかが変わる制度であるため、常に最新の情報を確認し、自分の生活にどのような影響があるかを把握しておくことが大切です。

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