法人設立における発起人の役割とは?責任や決め方を解説!
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公開日:2025年9月
更新日:2025年9月18日
法人設立の際に欠かせない存在が「発起人」です。発起人は法人を設立するために中心となって動く人であり、資本金の出資や定款の作成、法人設立登記の準備など、法人が誕生するまでの重要な役割を担います。さらに、発起人は法人設立に関わる責任も負うため、その役割や責任範囲を正しく理解しておくことが大切です。
本記事では、法人設立における発起人の役割や責任、発起人になるための要件や選び方について詳しく解説します。
目次
法人設立における発起人とは

発起人とは、株式会社という法人を設立するために企画を立て、出資や法人設立の手続きを行う人を指します。1人で法人を設立する場合、自分自身が発起人となります。発起人は法人が設立されるまでの間に、資本金の出資や定款の作成、取締役の選任などを担い、法人設立後は株主として法人の意思決定に関わります。
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発起人と取締役の役割の違いは、法人経営を行うかどうかにあります。株式会社という法人においては、出資と経営の役割は分離しており、取締役は法人の経営者、発起人(株主)は法人の所有者という立場です。
1人で法人を設立する場合、発起人が同時に取締役を兼ねるため、法人の所有者でありながら経営者という二重の役割を担います。しかし、他の人物を取締役に選任した場合、法人の経営権は取締役に移ることになります。

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経営権が自分以外の人に移ると、法人における意思決定に大きな影響を及ぼすため、発起人が取締役を選任する際は慎重に判断する必要があります。
法人設立における発起人の役割

発起人は、株式会社という法人を設立するうえで欠かせない存在です。法人を立ち上げる際には、発起人が中心となって法人の基本事項を決定し、出資や定款の作成、法人登記の準備まで多岐にわたる役割を担います。ここからは、発起人の具体的な役割と法人設立における注意点について詳しく見ていきましょう。
発起人の役割①:法人の概要を決定する
発起人は、法人設立に必要な商号、本店所在地、事業内容といった法人の基本的な概要を決定します。これらは定款を作成するうえで不可欠であり、法人の方向性を定める重要な役割を発起人が担います。
発起人の役割②:開業準備や営業活動を進める
法人を設立した直後からスムーズに事業を開始するためには、オフィスの賃貸借契約、商品の仕入れ、取引先との関係構築といった開業準備が必要です。こうした法人活動の基盤づくりも、発起人の大切な役割です。
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発起人の役割③:資本金の出資を行う
発起人は法人に対して資本金を出資する義務があります。出資は通常金銭で行われますが、現物出資を行う場合には検査役の調査が必要となるケースもあります。発起人が行う出資内容は定款に明記され、法人設立手続きの大前提となります。
発起人の役割④:定款を作成する
定款には、法人の目的、商号、本店所在地、出資額、発起人の氏名・住所などが記載されます。発起人が作成した定款は、公証人による認証を受ける必要があり、法人設立の正当性を担保する重要な書類です。
発起人の役割⑤:法人設立手続きを遂行する
発起人は、設立時取締役の選任や法人登記の申請を行います。登記申請では、定款、資本金の払込証明書、役員の就任承諾書などを揃えて、法人の本店所在地を管轄する法務局に提出します。法人登記が完了することで、はじめて法人が正式に誕生します。
発起人の役割⑥:設立時発行株式を引き受ける
発起人は必ず1株以上を引き受け、法人設立後は株主として法人の所有者になります。
法人設立における発起人の役割はここがポイント!

どの程度の株式を引き受けるかは発起人の人数や法人設立の方法によって変わるため、事前の検討が必要です。
発起人が負う責任範囲

発起人は法人設立の中心的な役割を担っていることから、基本的には法人設立に至るまでの行為に関して責任が規定されており、その責任範囲は「会社法」によって明確に定められています。

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法人設立における発起人の役割についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もご参照ください。
具体的には、発起人が法人設立に必要な手続きを怠り、法人に損害を与えた場合には、発起人は損害賠償の責任を負います。また、法人が最終的に設立に至らなかった場合には、発起人が法人設立準備の段階で発生した費用を負担しなければなりません。
さらに、発起人は法人に対する出資義務についても厳格に責任を負います。資金不足が生じた場合や、建物などの現物出資に不足がある場合には、発起人が不足分を補填する必要があります。加えて、払込みを仮装した場合には、その全額を発起人自身が支払う責任を負います。
なお、法人設立後にすべての株主の同意が得られれば、これらの発起人の責任は免除される可能性があります。
発起人の責任範囲に関する気をつけておきたい注意点

ただし、発起人は法人設立に直接関わる存在であるため、責任を免除する際には株主全員の慎重な合意が求められます。
法人設立時に発起人になる要件

発起人になるための特別な資格要件は法律上定められていません。そのため、外国籍の方や未成年であっても発起人として法人設立に関わることが可能です。

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ただし、法人設立手続きにおいては発起人の印鑑登録証明書が必要となります。印鑑登録は15歳以上でなければできないため、未成年であっても発起人になれるのは15歳以上の場合に限られます。
さらに、15歳以上の未成年が発起人として法人を設立する際には、印鑑登録証明書に加えて、親権者の同意書や親子関係を証明する戸籍謄本を提出する必要があります。
また、発起人には人数制限がなく、1人でも複数人でも法人設立は可能です。ただし、発起人が複数人いる場合には、法人設立に関する意思決定で意見が割れることもあるため、人数やメンバー構成を慎重に検討する必要があります。
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さらに、発起人には個人だけでなく法人もなることができます。ただし、法人は定款に記載された事業目的の範囲内でのみ権利能力が認められるため、法人を発起人にする場合には、新たに設立する会社の定款に、その法人の事業目的の一部を記載し、関連性を持たせておく必要があります。法人を発起人にしたいときは、まず発起人となる法人の定款を確認し、事業目的の整合性を確保することが重要です。
法人設立における発起人の決め方

発起人の選定方法には法律上の規定はなく、法人設立に関わる人たちが自由に決めることができます。そのため、発起人の人数も制限されていません。

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ただし、複数の人が発起人となった場合は、発起人同士が法人設立に関する役割や責任を連帯して負う点に注意が必要です。
一人で法人を設立する場合
1人で法人を設立する場合は、その設立者自身が発起人となります。発起人は法人設立に必要な定款を作成し、資本金を出資し、登記の申請までをすべて担います。加えて、発起人は株主として法人の所有者となるだけでなく、法人の代表者や取締役も兼任することが一般的です。そのため、法人の設立から運営までを一人でコントロールすることが可能です。
この場合、定款の内容を自分の判断で決められるため、法人設立後の経営方針を自由に設定することができます。特に小規模ビジネスやスモールスタートを志向する起業家にとっては、一人法人はシンプルで効率的な方法と言えます。
一人法人のメリット
- 経営の意思決定をすべて自分で行える
- 定款の内容や法人運営の方針を完全にコントロールできる
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複数人で法人を設立する場合
発起人を複数人にする場合、法人設立やその後の経営において以下のようなメリット・デメリットがあります。
発起人が複数人のメリット
発起人を複数人にした場合、法人設立や経営において以下のような利点があります。
- 資本金を含め、必要な資金を集めやすい
- 法人設立後の経営資源(人脈・ノウハウ・情報など)を揃えやすい
- 設立後の事業展開に幅が出やすく、法人の成長につながる
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発起人が複数人のデメリット
一方で、複数の発起人で法人を立ち上げる場合には次のような課題もあります。
- 発起人間で意見が対立すると、法人設立手続きが滞る可能性がある
- 設立後の経営方針がまとまらず、法人運営に支障をきたすことがある
まとめ

法人設立における発起人は、法人が成立する前段階から大きな責任を持ち、法人の基本事項を決定し、資本金を出資し、設立登記を進めるなど重要な役割を果たします。発起人には人数の制限がなく、個人だけでなく法人も発起人になることが可能ですが、その場合は定款の事業目的との関連性に注意が必要です。
法人設立を円滑に進めるためには、発起人の責任範囲を理解し、適切に役割を分担することが欠かせません。これから法人設立を検討する方は、発起人の意義や責任を十分に踏まえたうえで、最適な発起人を決定していきましょう。
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