無借金経営のデメリットとは?無借金経営のメリット・実質無借金経営についても解説!
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公開日:2025年1月
更新日:2025年1月10日
無借金経営は、一見すると理想的な経営スタイルに思えますが、実は大きなデメリットを抱えています。そのため、場合によっては企業の存続を脅かす要因となることもあります。
日本では、「借金をしない経営=堅実で安全」と捉える経営者が多く、無借金経営を目指す企業も少なくありません。しかし、金融機関との信頼関係を構築しにくい点や、銀行融資が必要な際に資金調達が難しくなるといったデメリットが存在します。
今回この記事では、無借金経営のデメリットだけでなく、無借金経営のメリットや、現実的で望ましいとされる「実質無借金経営」のデメリット・メリットについても詳しく解説していきます。
無借金経営とは
「無借金経営」とは、会社が金融機関や他の貸し手からお金を借り入れることなく、負債を抱えない状態で経営を行うことを指します。この「無借金経営」の経営スタイルでは、事業資金の調達を借金以外の方法で賄い、返済に追われるリスクを回避することができます。
たとえば、投資家やベンチャーキャピタルから出資を受けて資金を調達する場合、返済の義務がないため「無借金経営」と見なされることがあります。ただし、この場合でも、契約条件によっては無借金経営と完全に言い切れないケースもあります。
無借金経営のデメリット!出資で気をつけておきたい注意点
出資者と結ぶ契約の内容次第では、厳密に無借金経営と言い切れないケースもあります。例えば、株価の上昇や一定の業績達成などが条件として設定されている場合、返済こそ不要でも会社経営に影響を及ぼす可能性があり、純粋な「無借金経営」とは言えない側面はデメリットになります。
無借金経営のデメリットに関連するおすすめ記事:無借金経営の危険な5つのデメリット【目指すべきは実質無借金経営】
実際に無借金経営を行う企業の割合はそれほど高くありません。東京商工リサーチが実施した「2023年全国 無借金企業調査」によれば、全国で無借金経営を行う企業は6万6,370社で、無借金率は21.6%に過ぎません。このデータからも、多くの企業が銀行融資やその他の借入れによって事業資金を調達している現状がわかります。
無借金経営は返済負担を軽減できる反面、デメリットも存在します。例えば、金融機関との取引実績がないことで、いざという時に資金調達が難しくなるリスクデメリットがあります。また、無借金経営を目指すあまりに必要な投資を控え、成長の機会を逃すというデメリットの可能性も考えられます。
無借金経営は、経営の安定性を求める上で魅力的な手法ですが、その一方で潜在的なデメリットを理解し、適切な判断を行うことが重要です。特に、成長のために一時的な借入れが必要な場合には、無借金経営に固執しすぎることがマイナスに働くこともあります。
次項では、無借金経営のデメリットについて詳しく解説していきたいと思います。
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無借金経営のデメリット
無借金経営は、借入れによる返済負担がないため、会社経営において理想的な形と考えられることがあります。しかし、無借金経営にはメリットだけでなく、いくつかのデメリットも存在します。特に、経営の柔軟性や成長の妨げとなるデメリット要素があるため、企業はそのリスクを理解した上で判断する必要があります。ここでは、無借金経営の5つの主要なデメリットを解説します。
無借金経営の5つの主要なデメリット
デメリット1.融資を受けにくい
デメリット2.事業規模を拡大しにくい
デメリット3.雇用を創出しにくい
デメリット4.ビジネスチャンスを失いやすい
デメリット5.資金ショートのリスクがある
無借金経営のデメリット1.
融資を受けにくい
無借金経営のデメリット1つ目は、融資を受けにくいデメリットです。無借金経営を続けると、銀行など金融機関から融資を受けにくいというデメリットが発生します。これは、借金をしていないにもかかわらず、銀行が新規取引に対して慎重になることが原因です。
金融機関は、過去の取引実績や信用を重視します。無借金経営の企業は借入れの履歴がないため、信用力の低い新規顧客として扱われる場合が多いです。
無借金経営のデメリット!自己資本で気をつけておきたい注意点
無借金経営であっても、自己資本が少ない企業は財務基盤が弱いとみなされることがあり、融資審査で不利になるデメリットがあります。
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無借金経営のデメリット2.
事業規模を拡大しにくい
無借金経営のデメリット2つ目は、事業規模を拡大しにくいデメリットです。無借金経営では、事業拡大に必要な資金を迅速に調達することが難しくなる点は大きなデメリットと言えます。例えば、新規事業の立ち上げや設備投資を行う場合、多額の資金が必要です。手元資金だけで賄おうとすると、十分な規模での投資ができず、競合に遅れを取るリスクがあります。
また、現代の市場では、変化に迅速に対応することが求められます。資金調達能力が限定される無借金経営は、このような柔軟性に欠けるため、競争力を維持することが難しくなるデメリットを十分に理解することが必要です。
無借金経営のデメリット3.
雇用を創出しにくい
無借金経営のデメリット3つ目は、雇用を創出しにくいデメリットです。無借金経営を続けると、人材採用にも影響が出ることがある点はデメリットといえます。特に、事業拡大や新規プロジェクトを進める際には、追加の人材を雇用するための資金が必要です。借入れを利用しない場合、手元の現金が乏しい状況では人件費を確保できず、結果として雇用を創出できない事態に陥るデメリットが発生する可能性があります。
SoVa税理士お探しガイド編集部
無借金経営の3つ目のデメリットである「雇用を創出しにくいデメリット」においては、雇用が進まないと、事業の成長が停滞するだけでなく、競争力の低下を招く要因にもなる点に注意が必要です。
無借金経営のデメリット4.
ビジネスチャンスを失いやすい
無借金経営のデメリット4つ目は、ビジネスチャンスを失いやすいデメリットです。無借金経営のもう一つの大きなデメリットは、突発的なビジネスチャンスに対応しにくいことです。例えば、大量の受注や仕入れが必要な場合、手元資金だけでは対応が難しいことがあります。
借入れを行わない方針を貫くと、こうした機会を逃してしまう可能性が高まるのは大きなデメリットにつながります。結果として、事業成長の機会を失い、長期的な利益を損なうリスクが高まります。
無借金経営のデメリット5.
資金ショートのリスクがある
無借金経営のデメリット5つ目は、資金ショートのリスクがあるデメリットです。無借金経営の最も深刻なデメリットは、資金ショートのリスクです。借入れを避けるあまり、手元資金が不足し、運転資金や仕入れ資金が確保できない状況に陥ることがあります。
無借金経営のデメリット!資金ショートで気をつけておきたい注意点
借入れを避けるあまり、手元資金が不足し、運転資金や仕入れ資金が確保できない状況に陥る状態が続くと、最終的には黒字倒産の危険性がある点には注意が必要です。
無借金経営のデメリットに関連するおすすめ記事:無借金経営はデメリットが大きい!理想は「実質無借金経営」
経営において最も重要なのは、キャッシュフローを健全に保つことです。無借金経営にこだわりすぎると、これを実現することが難しくなるデメリット面を十分に理解することが重要です。
以上、無借金経営のデメリットについての解説でした。無借金経営には、返済負担がないという大きなメリットがありますが、融資を受けにくい、事業拡大が困難、雇用やビジネスチャンスを逃しやすいといったデメリットも見逃せません。特に、資金ショートのリスクは企業の存続を揺るがす要因となり得ます。
無借金経営を選択する際は、そのデメリットを十分に理解し、金融機関との関係構築や資金調達の選択肢を広げる工夫が求められます。無借金経営が最適かどうかは、企業の規模や業態、成長戦略によって異なるため、柔軟な判断が必要です。
次項では、無借金経営のメリットについても詳しく解説していきたいと思います。無借金経営はデメリットだけではなくメリットも存在しています。
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無借金経営のメリット
無借金経営は借入を行わないため、企業にとって返済の負担を回避できるなどの利点があります。一方で、融資を受けにくい、事業規模を拡大しづらいなどのデメリットもありますが、経営方針によっては大きな強みを発揮することも可能です。この記事では、無借金経営の5つのメリットについて詳しく解説します。
無借金経営のメリット1.
資金管理が楽である
無借金経営のメリット1つ目は、資金管理が楽であることです。無借金経営の最大のメリットの一つは、資金管理が容易になることです。
借入を行っている場合、返済スケジュールや利息の支払いを細かく管理しないといけないデメリットがありますが、無借金経営ではその必要がありません。返済義務がないため、資金繰りに関するプレッシャーを軽減し、経営資源をより効率的に活用できます。
特に、中小企業やスタートアップにとって、経営資源を事業の拡大や改善に集中できる環境を整えることは大きなメリットです。
無借金経営のメリット2.
返済負担を負わない
無借金経営のメリット2つ目は、返済負担を負わない点です。無借金経営では、借入金の返済が不要であるため、資金繰りが楽になるだけでなく、利息の支払いも発生しません。
借金を抱える企業では、返済額が毎月の固定費として計上されるため、収益の一部が返済に充てられます。一方で、無借金経営を行う企業は、売上をそのまま事業運営や利益として活用できるため、余剰資金を蓄えることが可能です。
SoVa税理士ガイド編集部
返済負担がなければ、経済環境の変動や業績の波にも柔軟に対応しやすく、経営の安定性を高める効果が期待できます。
無借金経営のメリット3.
決算書の見栄えがよい
無借金経営のメリット3つ目は、決算書の見栄えがよいことです。無借金経営は、決算書上の負債がないため、財務状況が非常に健全に見えます。
特に、自己資本比率が高くなることは、企業の財務健全性を示す指標として金融機関や投資家に好印象を与えます。将来的に融資が必要となった場合でも、無借金経営の実績は信用度を高める要因となるでしょう。
また、企業売却やM&Aの際にも、借金がない企業の方がデメリットがなく、高い評価を受けることが一般的です。このように、無借金経営は対外的な信頼性を高める大きなメリットを持っています。
無借金経営のメリット4.
意思決定が外部の影響を受けない
無借金経営のメリット4つ目は、意思決定が外部の影響を受けないことです。無借金経営では、銀行や金融機関からの借入がないため、経営判断において外部からの干渉を受けにくい点が特徴です。
例えば、融資を受けている場合、追加融資や返済条件の変更を求める際に、金融機関の意向に左右されるデメリットが発生するケースがあります。しかし、無借金経営ではそのような外部からの干渉でデメリットとなる制約がないため、経営者が自社の方針に基づいて意思決定を行えます。
無借金経営のデメリット!無借金経営のメリットポイント!
独立性の高い経営体制は、迅速な意思決定を可能にし、特に新規事業の立ち上げや市場の変化に迅速に対応する際に有効です。
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無借金経営のメリット5.
企業売却や事業承継が円滑に進む
無借金経営のメリット5つ目は、企業売却や事業承継が円滑に進むことです。無借金経営のもう一つの大きなメリットは、企業売却や事業承継の際に手続きがスムーズに進むことです。
借金が多い企業の場合、負債分を考慮して売却額が調整されるため、売却益が減少してしまうデメリットがあります。一方、無借金経営の企業は負債がないため、高い評価を得る可能性が高まります。
さらに、事業承継の際には、借入金の保証人となる負担が後継者に発生しないため、円滑な引き継ぎが可能です。財務状況がシンプルであるほど、手続きの簡素化や後継者の心理的負担軽減にもつながります。
以上、無借金経営のメリットについての解説でした。無借金経営には、「融資を受けにくい」「事業拡大が困難」といったデメリットも存在しますが、デメリットだけではなく、資金管理の容易さや返済負担の回避、財務健全性の向上といったメリットが多くあります。
特に、中長期的な視点で見れば、外部の影響を受けない経営や企業売却の際の優位性は大きな強みとなります。
無借金経営を選択する際は、メリットとデメリットをしっかりと理解し、自社の状況に合った経営方針を策定することが重要です。
次項では、実質無借金経営の概要と、実質無借金経営のデメリットとメリットについて詳しく解説していきたいと思います。
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実質無借金経営とは
実質無借金経営とは、「見かけ上は借金があるものの、実質的には借金のない経営状態」を指します。具体的には、金融機関から借入をしていても、それ以上の資金を手元に持っている企業が該当します。借入金をいつでも返済できる余裕がありながら、あえて融資を活用して経営するのが実質無借金経営の特徴です。
実質無借金経営の定義
実質無借金経営の最大の条件は、手持ちの資金が借入金以上の金額であることです。
例えば、5,000万円の借入金があり、手持ちの資金が5,000万円の場合、借入金を全額返済すると手元の資金がゼロになります。この状況では資金不足に陥り、新たな借入が必要となる可能性があるため、実質無借金経営とはいえません。
一方で、5,000万円の借入金に対して手持ちの資金が1億円あれば、借入を完済しても手元に資金が残るため、この状態は実質無借金経営といえます。
無借金経営のデメリット!実質無借金経営の特徴!
借入金を返済できる余裕がありながら資金運用を行うことが実質無借金経営の特徴です。
実質無借金経営のメリット
実質無借金経営には以下のような多くのメリットがあります。無借金経営の良さを享受しつつ、デメリットを回避できる点が特徴です。
- 倒産リスクの軽減
借金を返済しても資金が手元に残るため、資金ショートによる倒産リスクのデメリットを低く抑えられます。 - 事業成長への投資が可能
融資を活用することで、事業拡大や設備投資のための資金を確保しやすく、無借金経営では難しい成長を実現できる点は、無借金経営のデメリットを回避できる実質無借金経営のメリットです。 - 資金繰りの安定
手持ちの資金が潤沢であるため、資金繰りが安定し、緊急時の対応がしやすくなります。 - ビジネスチャンスを逃さない
資金不足による機会損失のデメリットを避けられるため、有望な投資や新規事業のチャンスに迅速に対応できます。 - 融資実績の構築
金融機関との取引実績を積むことで、将来的に大きな資金調達が必要な場合でもスムーズに融資を受けられる可能性があります。
無借金経営のデメリット!実質無借金経営の魅力ポイント!
企業にとって実質無借金経営は、無借金経営の良さを享受しつつ、無借金経営のデメリットを回避できる魅力的な選択肢といえます。
無借金経営のデメリットに関連するおすすめ記事:無借金経営のメリット・デメリットとは
実質無借金経営のデメリット
一方で、実質無借金経営には注意すべきデメリットも存在します。以下にそのデメリットの具体例を挙げます。
- 資金の確保が必要
実質無借金経営のデメリット1つ目は、資金の確保が必要なことです。実質無借金経営を維持するためには、常に借入金以上の資金を確保しておく必要があります。
このため、資金管理が難しくなる場合があり、計画的な資金運用が求められます。たとえ経営が順調であっても、資金が不足すると実質無借金経営ではなくなるため、慎重な管理が必要な点はデメリットに感じられるかもしれません。 - 廃業が難しくなる可能性
実質無借金経営のデメリット2つ目は、廃業が難しくなる可能性がある点がデメリットです。実質無借金経営では借入金を抱えているため、廃業の際には返済義務が発生します。返済が完了しない限り、事業を終えることが難しい場合があることはデメリットとして留意しておきましょう。
ただし、借入金をすべて返済すれば廃業は可能です。計画的な返済スケジュールを立てることで、このデメリットはある程度軽減できます。
SoVa税理士お探しガイド編集部
借入金をすべて返済すれば廃業は可能なため、計画的な返済スケジュールを立てることで、廃業が厳しくなるデメリットはある程度軽減できるでしょう。
実質無借金経営がおすすめの理由
無借金経営は確かに魅力的ですが、資金調達の柔軟性に欠けるというデメリットがあります。一方で、実質無借金経営はそのデメリットを回避しつつ、無借金経営のメリットを享受できる点が大きな強みです。
融資を活用しながらも経営の安定性を保つことが可能であり、事業拡大や投資を積極的に行いたい企業にとって理想的な選択肢といえます。
以上、実質無借金経営の概要と、実質無借金経営のデメリットとメリットについての解説でした。実質無借金経営は、借金の負担を軽減しつつ資金繰りを安定させることができる、非常に優れた経営スタイルです。
無借金経営のメリットを活かしながら、デメリットを克服する方法として注目されています。ただし、資金管理や廃業時の対応など、注意すべきデメリットもあるため、実質無借金経営を目指す際には慎重な計画が必要です。
企業の状況や経営目標に応じて、このスタイルが適切かどうかを判断し、柔軟に対応することが成功への鍵となるでしょう。
次項では、無借金経営のデメリット・メリットについてのよくある質問をQ&A形式で詳しく解説していきたいと思います。
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まとめ
今回は、「無借金経営」のデメリット・メリット、現実的で望ましいとされる「実質無借金経営」のデメリット・メリットについて徹底解説してきましたがいかがでしたでしょうか。
無借金経営は、企業の安定性や倒産リスクの軽減に繋がる点で多くのメリットがあります。しかし、その一方で、事業拡大の機会を逃す可能性や資金調達力の低下といったデメリットも存在します。無借金経営を目指すこと自体がすべての企業に適しているわけではありません。事業規模や成長フェーズに応じて、柔軟に判断することが重要です。
また、無借金経営のデメリットを克服する方法として、「実質無借金経営」を取り入れるのも有効な選択肢です。借入金を活用しながら、手元資金を十分に確保することで、無借金経営のメリットを享受しつつ、資金調達力の低下といったデメリットを避けることが可能です。
企業の成長には、適切なリスク管理と柔軟な資金運用が欠かせません。無借金経営や実質無借金経営のどちらを選ぶべきかは、企業の現状や目標に応じて決定する必要があります。それぞれのデメリットを十分に理解し、自社にとって最適な経営戦略を検討してみてください。
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