マイクロ法人として資産管理会社を設立すべき人は?注意点や設立の手順も解説

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公開日:2024年7月

更新日:2024年7月10日

そもそも資産管理会社とは?

資産管理会社とは、個人の所有する資産を効果的に管理・運用するために設立される法人です。資産管理会社は、オーナーの資産を管理・運用することを目的としています。経営者1人だけで経営している場合は「マイクロ法人」、経営者の家族を含める場合は、「プライベートカンパニー」とも呼ばれます。一般的な企業とは異なり、資産管理会社は不動産の賃貸収入や保有株式の配当収入を主な収入源とし、他の事業活動は行いません。

近年、会社設立のハードルが下がったことで、資産管理会社にとどまらず、小規模ビジネスの事業主体としてマイクロ法人を設立する人が増えています。

ここがポイント!

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本業の傍ら副業として賃貸経営や株式投資、資産運用を行うサラリーマンも増加しており、資産管理会社は一部の資産家や投資家だけのものではなくなってきています。

資産管理会社についてのおすすめ記事:資産管理会社を設立する目的とは?メリット・デメリットをご紹介

資産管理会社を設立すべき人とは?

資産管理会社としてマイクロ法人やプライベートカンパニーの設立をすべき人は、以下のような人たちです。

資産管理会社を設立すべき人①:個人投資家

投資によって一定の収益を得ている個人投資家は、資産管理会社としてマイクロ法人を設立することで税制上の恩恵を受けられる可能性があります。個人の所得に対する税金は累進課税で、所得が増えるほど税負担が大きくなります。所得税は5%から45%で、住民税を加えると最大で55%もの税金が課されます。

一方、法人税の税率は課税所得800万円までが15%、800万円を超える部分には23.2%が適用され、法人住民税を含めても30%前後の税率で済みます。そのため、マイクロ法人化することで大幅な節税が期待できます。また、個人では経費にできない支出も資産管理会社を通じて経費に計上することができます。例えば、生命保険の保険料はマイクロ法人であれば経費として計上できますが、個人では上限が12万円です。

さらに、資産管理会社としてマイクロ法人を設立することで、役員の自宅をマイクロ法人所有にして減価償却が認められたり、ローンの支払利息を経費として計上できます。賃貸の場合、社宅としてマイクロ法人が借り入れを行えば、家賃の一部を経費にすることも可能です。

SoVa税理士ガイド編集部

また、資産管理会社としてマイクロ法人を設立することで、オーナーは役員報酬を受け取る給与所得者となり、国民年金よりも手厚い厚生年金に加入することができます

おすすめ参考記事:プライベートカンパニーの作り方と押さえるべきメリット・デメリット

資産管理会社を設立すべき人②:資産運用や副業を行うサラリーマン

資産運用や副業で一定の収益を得ているサラリーマンも、資産管理会社としてマイクロ法人を設立するメリットがあります。個人では経費に計上できなかった支出が、マイクロ法人化することで経費として計上できる範囲が広がり、利益を残しやすくなります。また、勤務実態に応じてプライベートカンパニー化し、家族に給与を支払うことで、全体の税負担を減らすことができ、手元に残るお金が増えます。

資産管理会社を設立すべき人③:相続税の発生が見込まれる資産家

多額の資産を持つ資産家は、相続税の負担が大きくなる可能性があります。個人が資産を相続すると、所得税や住民税、相続税など多くの税金が発生します。例えば、1億円の相続に対する相続税率は30%と非常に高いです。

一方で、資産管理会社を設立し、家族に役員報酬として少しずつ資産を移転することで、所得税や住民税、相続税の節税が可能です。個人の生前贈与は年間110万円までが非課税ですが、それを超えると贈与税が課せられます。資産管理会社を通じて役員報酬を支払うことで、贈与税よりも低い税額で資産を移転できます。

さらに、資産管理会社が不動産を保有していれば、不動産そのものは相続の対象から外れます。相続の対象は資産管理会社の株式となり、株式を分割することで相続がスムーズに行えます。不動産の相続はトラブルの原因になることが多いですが、資産管理会社を利用することで未然に防ぐことができます。

資産管理会社を設立すべき人④:オーナー社長

自社株の相続が課題となるオーナー社長も、資産管理会社のメリットを享受できます。資産管理会社の株式を普通株式と無議決権株式に分け、後継者には普通株式を、他の相続人には無議決権株式を相続させることで、経営方針に関するトラブルを避けることができます。無議決権株式は議決権がないため、経営に影響を与えずに財産としての価値を保つことができます。

資産管理会社を設立すべき人に関するおすすめ記事:個人投資家が資産管理会社を設立するメリットとは?

資産管理会社としてマイクロ法人を設立するときの注意点⑪

資産管理会社としてマイクロ法人を設立するときの注意点を理解しておくことは、マイクロ法人設立での失敗を避けるために重要です。

マイクロ法人設立の注意点①:設立・運営にはコストがかかる

設立コスト

資産管理会社としてマイクロ法人を設立するには、通常の法人と同様に設立費用がかかります。登録免許税や定款の印紙代、株式会社であれば定款認証手数料などが必要です。マイクロ法人の設立コストを抑える方法として、株式会社よりも設立が簡単な合同会社の選択があります。

マイクロ法人設立にかかる主な費用

費用項目株式会社合同会社
登録免許税(資本金の0.7%)最低15万円最低6万円
定款認証手数料5万円なし
定款謄本代約2,000円なし
印紙代(電子定款は不要)4万円4万円
合計額約24万円~約9万円~

マイクロ法人の設立に必要な書類の準備を専門家に依頼する場合には、追加で6~10万円程度の報酬が必要です。

維持コスト

資産管理会社としてマイクロ法人を経営するには、法人税・地方法人税・法人住民税、さらに一定の事業規模を持つ法人には事業税もかかります。また、マイクロ法人化することで会計処理が個人よりも複雑になるため、税理士や公認会計士に依頼する場合、毎年数十万円の費用が発生することがあります。

資産移転コスト

不動産の管理を目的に、資産管理会社としてマイクロ法人を設立する場合、個人名義の資産をマイクロ法人に移す際には以下の費用がかかります。

  • 登録免許税
  • 不動産取得税
  • 消費税
  • 譲渡所得税
  • 印紙税

これらの税金は、マイクロ法人が負担するものと、個人が負担するものがあり、それぞれに納税義務があります。

マイクロ法人設立の注意点②:会社保有の資産は自由に使えない

資産管理会社に資産を移すと、その資産は法人の所有物となり、オーナー個人が自由に使用することはできません。一度マイクロ法人に移した資産を個人に戻す方法として役員報酬や配当がありますが、それには所得税が課されます。役員報酬を増額する際には、期首から3カ月を超えて増額すると損金算入が認められないため、税負担が増えることに注意が必要です。

マイクロ法人設立の注意点③:事業承継税制の対象外

資産管理会社は通常の営業活動を行わないため、事業承継税制の特例措置が適用されないことがあります。事業承継税制が適用されると、後継者が取得した自社株式にかかる贈与税・相続税の納税猶予の優遇措置を受けることができます。しかし、以下の条件に該当する場合は適用外となります。

・有価証券や自ら使用していない不動産、現金・預金などの特定資産が総資産の70%以上を占める会社(資産保有型会社)

・特定資産からの運用収入が総収入金額の75%以上となる会社(資産運用型会社)

親族以外で常時雇用している従業員が5名以上である場合など、一定の条件を満たすことで事業承継税制の対象となる可能性があります。資産管理会社の設立や事業承継税制の利用を考える際には、専門家に相談することが重要です。

資産管理会社としてマイクロ法人を設立するときの注意点に関するおすすめ記事:資産管理会社とは?設立する目的や注意点、立ち上げの流れ

資産管理会社に向いている会社形態は?

資産管理会社を設立する際には、株式会社・合同会社・合資会社・合名会社の4つの形態から選ぶことができます。このうち、資産管理会社としてマイクロ法人を設立するのに適した選択肢は「株式会社」と「合同会社」の2つです。

有限責任の株式会社と合同会社を選べば、合資会社や合名会社のように出資額以上の責任を負うことはないからです。

SoVa税理士ガイド編集部

さらに、「設立・維持コストが低いこと」「自由度が高いこと」を考慮すると、資産管理会社としてマイクロ法人を設立するには合同会社がよりメリットを享受できる選択となります。

株式会社と合同会社の違いに関するおすすめ記事:株式会社と合同会社の違いは?特徴とメリット・デメリットを解説

資産管理会社の特性上、多くの従業員を雇用したり、会社の規模を拡大する必要はあまりありません。そのため、株主総会の開催や毎年の決算公告などの手間がかかる株式会社よりも、運営コストを最小限に抑えられる合同会社が一般的に適していると言えます。

資産管理会社に向いている会社形態に関するおすすめ記事:資産管理会社とは?設立するメリットや適した会社形態を解説

資産管理会社としてマイクロ法人を設立する流れは?

マイクロ法人として資産管理会社を設立することが決まったら、以下の手続きを進めましょう。手続きが煩雑で時間がかかると感じる場合は、司法書士などの専門家に依頼することで負担を最小限にすることもできます。

【マイクロ法人設立】STEP①:会社設立における重要事項を決定する

マイクロ法人設立にあたって、以下の事項を決める必要があります。

社名
「株式会社」「合同会社」の表記が必要です。具体的なルールについては、関連するガイドを参照してください。一般的には、自分の好きな言葉やイニシャル、名前に由来することが多いです。

本店所在地
多くの方が自宅を本店所在地にしています。信用金庫や信用組合、地方銀行などは、融資基準として本店所在地が営業エリア内にあるかどうかを考慮する場合があります。

出資者
自分一人で出資する場合もあれば、家族や親族から出資を募ることもできます。家族に報酬を支払う場合、その家族が必ずしも出資者である必要はありません。

資本金の額
1円から設立可能です。外部との取引が少ない資産管理会社の場合、資本金の額はあまり重要ではないため、少額で設立することも問題ありません。

決算月
決算月に特定の決まりはありませんが、1月~3月は個人の確定申告や多くの企業の決算と重なるため、会計士や税理士が繁忙期となり、対応が難しくなることがあります。特に理由がない限り、この時期は避ける方が無難です。

【マイクロ法人設立】STEP②:会社設立に必要な準備物を揃える

資産管理会社としてマイクロ法人やプライベートカンパニーを設立するには、以下の準備が必要です。

印鑑の作成
法人設立には代表者印、社印、銀行印の3種類の印鑑が必要です。オンラインで3点セットを作成・購入することで、費用と時間を節約できます。形状や触り心地を確かめたい場合は、実店舗での作成も良いでしょう。価格は素材や形状により異なりますが、各印鑑2万円程度が相場です。

定款の作成
定款は会社の基本的なルールを定めるものです。ネットでひな形をダウンロードするか、司法書士に数万円で依頼することもできます。不動産を扱う場合は事業内容に不動産経営を含め、「前各号に付帯する一切の事業」という文言を追加することで業務の幅を広げられます。

登記書類の準備
資産管理会社の設立登記のために法務局に提出する書類です。司法書士に依頼するのが一般的です。

開業届の提出
税務署に提出します。青色申告承認申請書も合わせて提出することで「欠損金の繰越控除」が受けられます。初年度は経費がかさみ赤字になることが多いため、利用すると良いでしょう。

就任承諾書の作成
役員になる家族や親族から就任承諾書を集めます。「〇〇(資産管理会社)の設立時取締役に選任されたので、その就任を承諾します」という文言と日付、住所、名前を記載します。

資本金と会社設立費用の準備
資本金は法人の銀行口座に振り込み、その通帳のコピーを法務局に提出します。設立費用も予め準備しておきましょう。

【マイクロ法人設立】STEP③:役所に届け出る

法務局に登記書類を提出し、税務署に開業届と青色申告承認申請書を提出することで、資産管理会社をスムーズに設立することができます。

資産管理会社としてマイクロ法人を設立する流れに関するおすすめ記事:資産管理会社を設立した方が良い3パターンの方と節税のメカニズム

まとめ

この記事では、資産管理会社について解説しました。以前は資産家が節税や相続、事業継承を目的に設立するケースが多かった資産管理会社ですが、最近では個人投資家や副業を持つサラリーマンなどの増加により、一般の注目を集めるようになっています。

資産管理会社としてマイクロ法人・プライベートカンパニー化することで、税制上のさまざまなメリットを享受できるだけでなく、資産の相続や継承においても資産管理会社は大きなメリットを持ちます。ただし、マイクロ法人設立や運営にかかるコストや事務負担の増加といったデメリットも考慮する必要があります。

この記事で紹介したメリット・デメリットを踏まえ、状況に合わせて資産管理会社の設立を検討してみてください。

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