領収書なしでも経費精算はできる?対処方法も解説!
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公開日:2025年5月
更新日:2025年5月5日
経費精算を行ううえで「領収書の提出」は基本ルールとされていますが、実務ではうっかり紛失してしまったり、もともと領収書が発行されないケースも少なくありません。では、領収書なしでも経費精算はできるのでしょうか?
結論から言うと、一部のケースでは領収書がなくても経費精算は可能です。ただし、正しい対処をしないと税務上のリスクが生じたり、経費として認められないこともあります。
本記事では、領収書なしでも経費精算ができるケースや、領収書を紛失した場合の対応方法、出金伝票の書き方、注意点などをわかりやすく解説します。
目次
領収書なしでも経費精算はできる?

経費精算において、領収書の有無は非常に重要なポイントです。なぜなら、領収書は経費として計上する支出が実際に発生したことを証明する書類であり、経費精算の根拠として税務上も必須の書類とされているからです。
領収書なしで経費精算を行う場合に気をつけておきたい注意点

領収書なしで経費精算を行うと、不正の温床になりやすく、税務調査でも指摘を受ける可能性が高くなります。
経費精算で領収書が必要とされる理由は、大きく以下の2つに分けられます。
経費精算で領収書が必要な理由①:経費精算時の不正防止
領収書がなければ、実際の取引内容や金額を第三者が確認できず、経費精算における不正リスクが高まります。たとえば、領収書なしの経費申請では、実際の支出額よりも高額な申請や、業務と無関係な支出を経費として精算することが可能になってしまいます。
領収書があれば、支出が実際にあったことを証明できるため、不正な経費精算や重複請求、過剰請求といった問題を未然に防ぐことができます。そのため、多くの企業では経費精算時に領収書の提出を義務づけています。
経費精算で領収書が必要な理由②:税務調査における証憑書類としての機能
経費精算で提出された領収書は、税務申告の際に必要な「証憑書類」としての役割も果たします。法人税や所得税、さらには消費税の申告において、経費として認められるには、領収書をはじめとする証憑書類の保存が法律で義務づけられています。
領収書なしの場合の経費精算に関するおすすめ記事
領収書なしで経費精算を行うと、税務署からその支出の正当性を否認され、仕入税額控除が適用されなかったり、経費としての計上が認められなかったりするおそれがあります。特に、領収書なしで行った経費計上が繰り返された場合、不正経理や脱税と判断されるリスクすらあるのです。
領収書なしで経費精算はできる?代替方法は?
基本的には経費精算には領収書が必要ですが、やむを得ない事情で領収書なしとなるケースもあります。その場合は、出金伝票や支出証明書などの代替書類を活用し、できる限り詳細に支出の内容を記録しておくことが求められます。ただし、領収書なしの精算は税務上のリスクが伴うため、できる限り領収書を取得・保管することが望ましいといえるでしょう。
領収書なしでも経費精算可能なケース

経費精算においては、通常、領収書の提出が必須とされています。しかし、すべての経費で領収書が発行されるとは限らず、状況によっては領収書なしでも経費精算が可能なケースも存在します。ここでは、例外的に領収書なしで経費精算が認められる代表的なケースと、その対応方法について解説します。
領収書なしの場合の経費精算に関するおすすめ記事:交通費精算は領収書なしでもよい?不要の理由と経理処理の方法とは
ケース①:交通費の経費精算は領収書なしでも可能な場合がある
交通費は、経費精算時に領収書の提出が不要とされる代表的な支出です。多くの企業では、交通費に関しては社内規定で「領収書なしでも精算可能」と明記されている場合があり、実際の経費精算では「交通費精算書」を用いて処理します。
交通費精算書に記載すべき項目:
- 利用日(移動日)
- 訪問先や移動の目的
- 利用した交通機関の種類(電車・バスなど)
- 乗車区間と運賃(経路)

SoVa税理士お探しガイド編集部
領収書なしの場合の経費精算についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。
おすすめ記事:経費は領収書なしで認められるか?領収書がない場合の対処法
領収書なしでも、これらの情報を正確に記録した交通費精算書を提出すれば、経費精算が認められることが一般的です。ICカードの履歴を添付すれば、さらに信頼性の高い資料となります。
ケース②:慶弔関連費の経費精算は領収書なしが基本
祝儀や香典などの慶弔関連費も、領収書が発行されない代表的な経費です。結婚式のご祝儀やお通夜の香典などは、現金で手渡しされるため、領収書を求めるのが一般的でないからです。
このようなケースでは、「出金伝票」を活用して経費精算を行うのが基本です。
出金伝票に必要な情報:
- 支払い日
- 支払先(個人名や団体名)
- 支払金額
- 支払いの目的(例:結婚式ご祝儀、香典など)
領収書なしで経費精算する際に気をつけておきたい注意点

ただし、出金伝票だけでは経費としての正当性が不十分な場合もあるため、領収書なしの支出を裏付ける補足資料の保管も推奨されます。
たとえば、以下のような資料が有効です。
- 招待状や案内状
- 香典返しの挨拶状
- 祝儀袋や香典袋のコピー など
領収書なしの経費精算を行う際には、「なぜ領収書がないのか」「支出が正当なものか」を第三者に説明できるように、必要な情報を記録・保存しておくことが求められます。
領収書なしで経費精算をする際の対処法

経費精算を行ううえで、領収書の提出は基本的なルールです。しかし、せっかく領収書をもらっていても、経費精算の申請前に紛失してしまうケースは珍しくありません。領収書なしの状態では、支出の証明ができず、経費精算が認められない可能性があるため、領収書は日頃から丁寧に管理・保管することが重要です。
ここでは、万が一領収書を紛失してしまった場合の対応方法を、経費精算ルールに基づいてわかりやすく解説します。
【対処法①】領収書の発行元に再発行を依頼する
経費精算に必要な領収書を紛失した場合、まずは領収書を発行した店舗や事業者に再発行を依頼しましょう。とくに高額な経費や重要な取引に関する領収書なしの状態は、税務上も大きなリスクになるため、早めの対応がカギです。
領収書なしで経費精算をする際はここがポイント!

ただし、発行元によっては不正防止の観点から「領収書は再発行不可」としているケースもあるため、事前に確認が必要です。領収書がどうしても再発行できない場合は、次の代替手段を検討しましょう。
【対処法②】レシート・クレジットカード明細で代用する
領収書なしで経費精算をする場合、レシートがあれば代替資料として使用できる可能性があります。レシートには「取引日」「支払先」「金額」「取引内容」など、経費精算に必要な基本情報が記載されていることが多いため、領収書の代わりに活用できます。
また、クレジットカードで決済した取引で領収書をもらい忘れた場合は、カード会社の利用明細も経費精算の証拠資料になります。ただし、カード明細には支払先の名称や取引内容が省略されていることもあるため、補足資料(請求書や納品書など)をあわせて提出するのが望ましいです。
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【対処法③】出金伝票を作成して対応する
どうしても領収書が手に入らず、レシートやクレジットカードの明細も用意できない場合、出金伝票を作成して経費精算を行うことが可能です。出金伝票とは、現金で支払った際に取引を記録するための社内文書で、領収書なしでの経費精算を補完する手段として利用されます。
出金伝票に記載すべき項目:
- 支払日(取引日)
- 支払先の名称
- 勘定科目
- 摘要(支出内容の詳細)
- 金額
領収書なしの場合の経費精算に関するおすすめ記事:領収書なしでも経費計上は可能?代替書類と具体的な対処法を解説!
ただし、出金伝票だけでは経費精算が必ず認められるとは限りません。領収書なしの状態では証明力が弱いため、あわせてメールのやり取り、見積書、日報などの関連資料を準備し、取引の正当性を証明できるようにしておきましょう。
領収書なしの場合の出金伝票の書き方

領収書を紛失した場合や、もともと領収書が発行されない支出に対して経費精算を行う際、出金伝票は非常に有効な代替手段となります。経費精算において領収書なしのケースでも、出金伝票を適切に作成すれば、社内精算ルールに基づいて処理できることがあります。
領収書なしの場合の経費精算に関するおすすめ記事
出金伝票は市販の伝票を利用しても問題ありませんが、特に決まった媒体やフォーマットは存在しないため、エクセルやスプレッドシートなどを使ってデータとして作成することも可能です。領収書なしの経費精算が発生しやすい部署や業務では、自社に合ったテンプレートを用意しておくと効率的です。
さらに、出金伝票の書式は自由にカスタマイズできるため、仮払精算や立替精算など、実務に即した項目を追加することで、経費精算の運用効率を高めることができます。
領収書なしの場合の経費精算に関するおすすめ記事:領収書がなくても経費にできる!確定申告のやり方について解説
【出金伝票で領収書なしの経費精算を行う際の必要項目】
出金伝票を経費精算に使用する場合は、領収書の代替として証拠力を持たせるために、以下の項目を必ず記載しましょう。
- 取引日(支払いが行われた日付)
- 支払先の名称(取引先や個人名など)
- 勘定科目(どの費目に該当するか)
- 摘要(支払内容の簡単な説明)
- 金額(実際に支払った金額)
- 起票者(伝票を作成した担当者)
これらの情報が正確に記録されていれば、領収書なしの経費精算であっても社内的に認められる可能性が高まります。

SoVa税理士ガイド編集部
ただし、出金伝票のみでの精算は証明力が弱いため、可能であれば関連書類(招待状、日報、メールなど)を添付し、支出の妥当性を補完することが推奨されます。
領収書なしで経費精算する際の注意点

経費精算において、領収書なしで対応せざるを得ない場面もありますが、領収書がない場合には慎重な対応が求められます。たとえ領収書を紛失してしまっても、出金伝票を作成することで、経費精算時の証拠書類として活用することは可能です。ただし、領収書なしで経費精算を繰り返すと、税務調査時に不正利用や水増し申請を疑われるリスクが高まり、調査官からの印象が悪化する恐れがあります。
領収書なしで経費精算する際に気をつけておきたい注意点

特に、高額な経費に対して領収書がない場合は、支出の正当性が疑問視されやすく、結果としてその経費が否認されるケースもあるため注意が必要です。
経費精算では、領収書をもとに明確な支出証明を行うことが信頼性の高い処理につながります。

SoVa税理士お探しガイド編集部
領収書なしの場合の経費精算についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。
また、領収書の紛失により出金伝票で経費精算を行った場合でも、消費税法上の仕入税額控除における証憑書類としては、出金伝票は原則認められていません。つまり、領収書なしの経費精算では仕入控除が適用されず、消費税の納税額が増える可能性があります。
そのため、経費精算を正しく行うためには、領収書を原則として保管・提出し、万が一紛失した場合には、補足資料や社内規程に基づいた手続きでカバーすることが大切です。領収書なしでの経費精算が例外であることを意識し、日ごろから領収書の管理体制を徹底しましょう。
まとめ

領収書なしの場合の経費精算に関するおすすめ記事
経費精算は原則として領収書の提出が求められますが、領収書なしでも対応可能なケースがあることを理解しておくことは、実務上とても重要です。
交通費や慶弔費など、そもそも領収書が発行されない支出に加え、やむを得ず領収書を紛失してしまった場合も、出金伝票や関連資料をしっかり整えることで経費精算が可能になります。

SoVa税理士お探しガイド編集部
ただし、領収書なしの経費精算は証明力が弱く、税務調査で否認されるリスクもあるため、可能な限り領収書を取得・保管することが最優先です。
万が一の際には、本記事で紹介した対処法を参考に、正しく経費処理を行いましょう。
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