開業費とは?開業後に支払ったものは費用にできるのか解説!
カテゴリー:
公開日:2024年8月
更新日:2024年8月20日
目次
開業費とは
開業費とは、会社開業後に支払った営業開始の時までの特別な支出(費用)のことを指します。
会社開業後に支払う開業費の具体例として、会社のホームページ作成費用や看板などの広告費、事務所の敷金礼金、事務所の椅子・机などの消耗品、エアコンや加湿器などの備品類は、営業開始の時までの特別に支出に該当します。
SoVa「開業費」解説部
一方、事務所の家賃や水道光熱費、社員の給料などの毎月一定額かかる費用は、開業準備のために特別に支出した費用とは認められないため、開業費には含まれないので注意しましょう。
会社開業後に支払う営業開始までの開業費に関するおすすめ記事
会社開業後に支払う営業開始までの開業費に関する以下の記事が参考になります。
「創立費・開業費とは?それぞれの違いと仕訳方法について解説」
※創立費も含め開業費の範囲は会計基準で明確には定められていません。
個人と法人の相違
会社開業後に支払う営業開始までの開業費は、法人か個人かによって計上できる範囲が異なります。
法人の場合、開業費は「法人設立後、営業開始までに特別に支出する費用」を指します。つまり、会社を開業してから営業を始めるまでにかかった費用が開業後に支払った開業費として認められます。
一方、個人事業の場合、法人の場合とは異なり、開業費は「特別に支出する費用」に限定されず、会社開業後に支払った日常的な出費も含めることができます。また、会社開業後に支払った営業開始までの費用で、前年以前に発生したものも開業費として処理できます。
SoVa「開業費」解説部
つまり、個人事業では広い範囲で開業費が認められると覚えておきましょう。
会社開業後に支払う営業開始までの費用「開業費」のおすすめ記事
開業費に関するおすすめ記事は以下が参考できます。
「こんなものも「開業費」に計上できます」
開業費と創立費の違い
会社開業後に支払う費用はたくさんありますが、それらは法人の経費として計上されます。また、費用の発生時期によって勘定科目が異なります。設立準備開始から会社設立までにかかる費用は「創立費」、会社開業後に支払った営業開始までの費用は「開業費」として扱われます。以下では、創立費と開業費の違いについて詳しく解説します。
項目 | 創立費 | 開業費 |
対象期間 | 設立準備開始から会社設立まで | 会社設立から営業開始まで |
主な項目 | 定款作成費、発起人報酬、設立登記費用、賃貸料、登録免許税など | 研修費、接待交際費、広告宣伝費、市場調査費、印鑑や名刺の作成費など |
経理処理 | 法人の設立前に発生した費用を「創立費」として経理処理 | 法人設立後、営業開始前に発生した費用を「開業費」として経理処理 |
その他 | 資本金は含まれない | 毎月の経常費用(家賃、水道光熱費、給与)は含まれない |
【創立費とは?】
創立費は、会社開業後に支払う開業費とは異なり、会社開業前の準備活動にかかる費用です。例えば、定款作成に必要な収入印紙代や登記にかかる司法書士の報酬、創立事務所の賃貸料などが該当します。カフェでのミーティング代や交通費も創立費に含まれるので、設立前に発生した費用の領収書はすべて保存しておきましょう。
[創立費に含まれる具体例]
・定款作成の収入印紙代
・発起人報酬
・設立登記費用
・創立事務所の賃貸料
・登録免許税
・金融機関の手数料
【開業費とは?】
前述した通り開業費は、開業後に支払った営業開始の時までの特別な支出(費用)のことを指します。例えば、研修費や広告宣伝費、市場調査費などが該当します。
会社開業後に支払う営業開始までの費用「開業費」に関連する注意点
毎月一定額発生する経常的な費用(家賃や水道光熱費、給与など)は、会社開業後に支払った開業費には含まれません。
[開業後に支払った開業費に含まれる具体例]
・営業開始に関わる研修費
・接待交際費
・広告宣伝費
・市場調査費
・印鑑や名刺の作成費
会社開業後に支払う営業開始までの費用「開業費」のおすすめ記事
会社設立からの時系列に沿った仕訳を理解するには以下のサイトが参考になります。
「会社設立時の費用は経費になる?会社設立の流れに沿った仕訳方法も解説」
創立費と開業費の経理処理
会社開業前に支払う創立費と、会社開業後に支払う開業費は「繰延資産」として扱われ、初年度に一括で経費計上する必要はありません。繰延資産は、利益が多く出た年度に経費処理できるため、節税対策として非常に有効です。繰延資産の償却期間は、会計上は5年間で定額法により償却されますが、税務上は任意のタイミングで償却可能です。
開業費も該当する繰延資産とは?
繰延資産とは、支出した費用のうち、その効果が1年以上続くものを指します。これらは資産として計上され、徐々に費用として処理されます。例えば、会社開業後に支払う営業開始までの費用の開業費や、開発費などが繰延資産に該当します。
会社開業後に支払う営業開始までの費用「開業費」に関連するポイント!
繰延資産は支出時に一括で費用計上せず、資産として一時的に計上します。そして、適切な期間にわたって少しずつ償却することで、費用として処理します。この点で、繰延資産は減価償却資産に似ていますが、繰延資産は減価償却の対象ではありません。
減価償却資産は、事業で使用する固定資産を耐用年数に応じて取得価額を分割して経費計上する方法です。使用や時間の経過で価値が減少する資産が対象となります。繰延資産も将来的に費用化する点で似ていますが、具体的な処理方法や対象となる資産が異なります。
繰延資産の償却期間は種類により異なりますが、多くは3年または5年です。この期間にわたり、資産として計上された費用を少しずつ経費に振り替えます。
繰延資産の償却
繰延資産とは、すでに支払った費用のうち、その効果が翌年以降も続くものを指します。創立費や開業費を繰延資産として計上し、利益が出た年度に少しずつ償却することで、財務状況に負担をかけずに節税を図ることができます。
SoVa「開業費」解説部
繰延資産の会計処理については、「繰延資産とは?具体例と償却方法、仕訳のやり方について解説」の記事がおすすめです。
繰延資産の償却には「均等償却」と「任意償却(一時償却)」の2つの方法があります。それぞれの特徴を以下に説明します。
・均等償却
均等償却は、繰延資産の金額を定められた期間にわたり、均等に分けて償却する方法です。具体的には、償却期間内で毎期同額を費用として計上します。
・任意償却(一時償却)
任意償却は、繰延資産の償却期間内であれば、いつでも自由に償却できる方法です。例えば、繰延資産の額の範囲内であれば、特定の年に全額を償却してもよいし、全く償却しない選択も可能です。創立費や開業費といった繰延資産は、この任意償却を選択することができます。未償却残高は、必要に応じていつでも費用として計上できます。
会社開業後に支払う営業開始までの費用に関するポイント!
開業後に支払った開業費を含む繰延資産の償却方法には、毎期均等に償却する「均等償却」と、自由に償却額を決められる「任意償却」があります。これらの方法を使い分けることで、企業は財務状況や節税対策に応じて柔軟に費用計上を行うことができます。
会社開業後に支払った開業費で節税できる?
開業費とは、事業を始めるために発生した費用のことです。会社開業後に支払った費用は基本的にすべて開業費に含まれ、開業後に支払った経費として計上できます。これをうまく活用することで、節税効果が期待できます。
会社開業後に支払った開業費で節税するポイント① 開業前の費用も含まれる点
開業費には、開業前に発生した費用も含まれます。開業前の期間は帳簿がないこともありますが、その費用を含めることが可能です。一般的には、さかのぼって半年から数カ月前の費用が対象とされています。
開業準備が数年前から進められている場合、過去の費用が不審に思われることもあります。長期間にわたる準備があった場合には、レシートや領収書をしっかりと保管しておくことが重要です。また、購入の理由や目的、用途などもメモしておくと、証拠として役立ちます。これらの書類を一つのファイルにまとめておくことで、紛失のリスクも減らせます。
会社開業後に支払った開業費で節税するポイント② 領収書を保管
開業後に支払った費用の開業費を計上する際には、領収書やレシートをしっかり保管することが非常に重要です。これらの書類は、税務署からの指摘があった場合に「開業費としての妥当性」を証明するための証拠となります。そのため、詳細が記載された領収書やレシートは必ず保管しておきましょう。
また、保管する際には「開業前に支払ったもの」と「開業後に支払ったもの」の費用を分けて整理することが重要です。開業前の領収書やレシートは、ノートに貼り付ける、または封筒にまとめるなどして、わかりやすく区別しておくと良いでしょう。
会社開業後に支払う営業開始までの費用「開業費」に関連するおすすめ記事
会社開業後に支払う営業開始までの開業費に関する記事は、以下のものがおすすめです。
「開業前に使ったお金も経費にできる?「開業費」を計上するときのポイント」
会社開業後に支払った開業費で節税するポイント③ 任意償却を活用
会社開業後に支払った開業費の償却には、必ずしも5年で均等に償却する必要はなく、任意償却が可能です。これにより、毎年異なる金額で償却費用を計上することができます。任意償却では、償却金額は0円から前期末までの未償却残高の範囲内で自由に設定できます。
初年度に全額償却することもできますので、初年度に大幅な黒字が出た場合には、課税所得を減らすために開業費を全額償却するのも一つの方法です。一方で、事業初期に売上が上がらず赤字が続く場合には、しばらく償却を控え、売上が安定してから償却を行うことも可能です。
さらに、任意償却の未償却残高はいつでも経費として計上できるため、均等償却の5年を過ぎた後でも、6年目や7年目に償却費として計上することができます。
会社開業後に支払う営業開始までの費用「開業費」に関するおすすめ記事
開業後に支払った開業費の償却方法については、以下の記事も参考にしてみましょう。
「開業費は費用として償却できる。正しく計上して節税につなげよう」
会社開業後に支払った開業費で節税するポイント④ 仕訳帳で管理する
開業後に支払った開業費が10万円を超える場合、開業費は資産として計上し、開業償却費は経費として仕訳帳に記入します。例えば、4月1日に開業し、開業費が20万円の場合、具体的な記入方法は以下のようになります。
【資産科目の仕訳】
・借方:開業費 200,000円
・貸方:現金 200,000円
[開業償却費の仕訳(5年均等償却)]
初年度の償却額は、次の計算式で求めます:
計算式:200,000円 ÷ 5年 × 9ヶ月 / 12ヶ月 = 30,000円
そのため、初年度の仕訳は以下のようになります。
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 | 摘要 |
開業償却費 | 30,000 | 開業費 | 30,000 | 開業準備費 |
一方、開業後に支払う開業費が10万円未満の場合は、通常の経費として処理します。例えば、交通費が2万円で現金で支払った場合、仕訳は以下の通りです。
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 | 摘要 |
旅費交通費 | 20,000 | 現金 | 20,000 | 交通費 |
会社開業後に支払う営業開始までの費用「開業費」に関するおすすめ記事
開業後に支払った開業費で節税をする際に参考になる記事で、以下のサイトがおすすめです。
「開業費の経費計上で償却すると節税になるのは事実!」
開業費で節税するポイント⑤ 減価償却資産台帳にも記入する
会社開業後に支払った開業費の合計が10万円を超える場合、減価償却資産台帳への記帳も忘れずに行いましょう。正しく開業後に支払った開業費を減価償却資産台帳に記帳できていない場合、後で残高が合わず工数がかかってしまうことに繋がりかねません。
まとめ
今回は会社開業後に支払った開業費について解説しました。開業費は繰延資産に該当し、節税効果も期待できる勘定科目です。
開業後に支払った取引によっては開業費勘定で処理できるため、開業後に支払ったどの取引が開業費に該当するのか意識すると、より節税に繋がるかもしれません。
したがって、開業後に支払った開業費の特徴について正しい理解をし、開業後の事業の運営が上手く進むようにしましょう。
税理士を探すのが大変と感じた方
Feature
会計事務所SoVaの特徴
専門家の窓口は1つに
税理士業務だけでなく
社労士業務も対応しています
会計ソフト記帳
年末調整
税務相談
給与計算
従業員入社
登記申請
節税アドバイス
補助金
アドバイス
経費削減
アドバイス
一般的な税理士
会計ソフト記帳
年末調整
税務相談
※士業の独占業務に該当するものは、SoVa提携士業と協業して対応します
税理士業務+社労士業務で、価格はそのまま
一般的な税理士と
同水準の価格で依頼できます
〜5名規模
〜10名規模
〜20名規模
〜30名規模
¥29,800/月(税抜)
※士業の独占業務に該当するものは、SoVa提携士業と協業して対応します
SoVaをもっと知りたい方