税務署の立ち入り調査はどこまで調べる?調査内容や立ち入り調査の対象になりやすい特徴を解説!
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公開日:2025年7月
更新日:2025年7月1日
税務署による立ち入り調査は、法人や個人事業主、さらにはフリーランスの方にとっても無関係ではありません。税務署は確定申告の内容を正確に把握し、公正な課税を実現するために、必要に応じて立ち入りで帳簿や取引内容を詳細に調査します。特に売上規模が大きい場合や、申告内容に不審な点がある場合などは、税務署による立ち入り調査の対象になりやすいといえます。
この記事では、税務署の立ち入り調査とは何か、調査の種類や立ち入りで確認される範囲、さらに法人・個人別で調査対象になりやすい特徴まで詳しく解説します。税務署の立ち入り調査に備え、日頃から正しい帳簿管理と適切な申告を心がけましょう。
税務署の立ち入り調査とは

税務調査とは、確定申告の内容に対して、税務署が適正かつ正確であるかを確認するために行う立ち入り調査です。企業や個人事業主が税務署に提出した申告書や決算書の内容について、税務署が収入や経費の計上方法、税金の計算方法を詳しく調査します。
税務署による税務調査は、公正な税負担を確保し、適正に課税するための重要な立ち入り調査プロセスです。通常、税務署は税務調査を実施する前に納税者へ通知しますが、場合によっては税務署が予告なしで立ち入り調査を行うこともあります。
税務署の立ち入り調査の内容に関するおすすめ記事
税務署の立ち入り調査では、調査の範囲が広く、帳簿や領収書、納品書などの証ひょう類の確認に加え、取引先や関係者への聞き取り調査も行われます。特に税務署が特定の疑惑を持った場合や、大規模な不正が疑われる場合には、税務署による詳細な立ち入り調査が実施されることも少なくありません。
もし税務署の調査で確定申告に誤りや不正が発覚した場合は、修正申告や追加納税が必要となり、延滞税や加算税を課される可能性があります。

SoVa税理士ガイド編集部
こうしたリスクを避けるためにも、企業や個人事業主は税務署の税務調査に備え、日頃から正確な帳簿管理と適切な申告を徹底することが重要です。
税務署の立ち入り調査の種類

税務署が行う調査には、大きく分けて「任意調査」と「強制調査(犯則調査)」の2種類があります。それぞれの調査がどのように税務署によって実施されるのかを確認しておきましょう。

SoVa税理士ガイド編集部
税務署の立ち入り調査の内容についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。
任意調査
任意調査は、税務署職員が納税者の協力のもとで行う立ち入り調査です。税務署が行う税務調査の大半は、この任意調査に該当します。通常は税務署から電話や通知書で事前に連絡があり、日程を調整したうえで2日程度かけて帳簿や証ひょう類が税務署職員によって調査されます。
税理士の立ち入り調査に関する気をつけておきたい注意点

「任意」という名称ではありますが、税務署による調査を拒否することはできません。納税者には受忍義務があり、税務署の立ち入り調査に協力しなかったり、正当な理由なく帳簿の提示を拒んだ場合には罰則が科される可能性があります。
また、税務署は必要に応じて無予告で立ち入り調査を行う場合もあります。これは、帳簿書類の隠蔽や改ざんなど不正行為の恐れがあると税務署が判断したときや、適正な調査の遂行が難しいと考えられるときに行われます(国税通則法74条の10)。もし税務署から無予告調査を受けた場合には、立ち入り調査の理由を税務署職員に確認し、後日通知の上で再調査を依頼することも可能です。
強制調査(犯則立ち入り調査)
強制調査(犯則調査)は、税務署ではなく国税局査察部が行う立ち入り調査です。裁判所の令状を取得したうえで、税務署や国税局が強制的に立ち入り調査を実施します。この強制調査は、巨額の脱税など犯罪行為が疑われる場合に行われ、事前連絡はなく、調査対象者は税務署の立ち入り調査を拒否することはできません。
このように、税務署による調査には納税者の協力を前提とする任意の立ち入り調査と、令状に基づいて強制的に行われる立ち入り調査の両方があり、適切に対応することが重要です。
税務署の立ち入り調査の内容に関するおすすめ記事:税務調査はどこまで調べる?指摘事項と対策を個人・法人別に解説!
税務署の立ち入り調査が入る確率

税務署による立ち入り調査は、申告内容の正確性を確認し、公正な課税を実現するために重要な役割を果たしています。国税庁や各税務署では毎年、法人税・消費税・相続税などに関する立ち入り調査を実施し、その調査結果を公表しています。
この章では、税務署の立ち入り調査が実際にどの程度の確率で行われているのか、税目ごとに最新のデータをもとに詳しく解説します。
税務署による法人への立ち入り調査の確率:1.5~2.5%
国税庁では毎年、法人税・消費税・相続税に関する税務署の立ち入り調査結果をまとめて公表しています。税務署の立ち入り調査が入る確率とは、法人税などの申告件数に対して、国税庁や管轄税務署が実際に立ち入り調査を行った件数の割合を示しています。税務署による立ち入り調査の中でも、法人に対する調査の確率はおおむね1.5~2.5%程度です。
例えば、国税庁が発表した「令和4事務年度 法人税等の申告(課税)事績の概要」によると、令和4年度の法人税申告件数は合計で312万8,000件であり、税務署による立ち入り調査の件数は6万2,000件(1.98%)とされています。
令和3年度は1.34%、令和2年度では2.4%程度と発表されており、税務署の立ち入り調査の確率は年によって多少の変動があります。
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税務署による個人事業主への立ち入り調査の確率:1.5~2.5%
国税庁が公開している「令和4年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について」によれば、令和4年度の個人事業主による消費税申告件数は105万5,000件で、そのうち税務署が立ち入り調査を実施したのは2万5,513件であり、実地調査率は2.42%となっています。
また、令和3年度には113万5,600件のうち、税務署の立ち入り調査は1万6,908件で1.49%でした。このことから、個人事業主に対する税務署の立ち入り調査が入る確率は1.5~2.5%程度で推移していると言えるでしょう。
税務署の立ち入り調査の内容に関するおすすめ記事:税務調査が入る確率は?個人事業主(一人親方)も対象?入りやすい特徴や対策
税務署による相続税の立ち入り調査の確率:4.5~5.5%

SoVa税理士ガイド編集部
個人の相続税については、税務署による立ち入り調査が入る確率が最も高くなっています。
国税庁の「令和4年分相続税の申告事績の概要」によると、令和4年度に相続税の申告をした被相続人は15万858人で、そのうち税務署が立ち入り調査を行った件数は8,196件、実地調査率は5.43%でした。
令和3年度では被相続人13万4,275人のうち、税務署の立ち入り調査は6,317件で割合は4.70%です。これらのデータから、相続税の場合は税務署の立ち入り調査が入る確率は4.5~5.5%程度と他の税目と比べて高い水準にあります。
税務署の立ち入り調査の対象になりやすい法人の特徴

大まかな傾向として、次の特徴を持つ法人は税務署による立ち入り調査の対象になりやすいです。税務署がどのような観点で立ち入り調査を選定しているのか、その理由を簡単に説明します。
立ち入り調査の対象になりやすい法人の特徴①:事業規模が大きい
売上や利益が大きく、納税額も高額な法人は、申告内容に誤りがあれば税額に大きな影響を及ぼすため、税務署が優先的に立ち入り調査を行いやすいです。
立ち入り調査の対象になりやすい法人の特徴②:過去に誤りや不正があった
過去の税務署の立ち入り調査で申告漏れや不正が指摘された法人は、税務署からマークされやすく、再発防止のためにも継続して立ち入り調査の対象になることがあります。
立ち入り調査の対象になりやすい法人の特徴③:売上や利益の変動が大きい
売上や利益が急激に変動している法人は、適正な申告がされているかを税務署が確認するため、立ち入り調査の対象になりやすいです。

SoVa税理士ガイド編集部
特に赤字決算などは注意されるので、気を付けましょう。
立ち入り調査の対象になりやすい法人の特徴④:消費税還付を受けている
消費税の還付を受けている法人は、税務署が還付の正当性を確認するために立ち入り調査を実施するケースが多いです。
立ち入り調査の対象になりやすい法人の特徴⑤:開業から3年以上経過している
法人や個人事業主は、開業から3年以上経つと税務署による立ち入り調査を受けやすくなります。これは税務署の調査対象が通常、過去3年分の帳簿だからです。
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税務署の立ち入り調査の対象になりやすい個人の特徴

個人事業主やフリーランスを含む個人に対しても、税務署は立ち入り調査を行います。特に以下のような特徴を持つ場合、税務署による立ち入り調査の対象になりやすいといえます。ここでは、それぞれの特徴と税務署が立ち入り調査を行う理由を解説します。

SoVa税理士ガイド編集部
税務署の立ち入り調査の内容についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。
おすすめ記事:国税庁の〔相続税〕税務調査先の選び方。嘘は課税の元。
立ち入り調査の対象になりやすい個人の特徴①:税務申告をしていない
税務署は、申告をしていない個人についても立ち入り調査を行うことがあります。「申告しなければ税務署に見つからない」と思いがちですが、取引先に税務署の立ち入り調査が入った場合、取引記録を通じて申告漏れが税務署に把握され、立ち入り調査の対象となる可能性があります。
立ち入り調査の対象になりやすい個人の特徴②:申告内容に不審な点がある
税務署は、申告内容に不審な点があれば立ち入り調査を行います。例えば「売上に対して経費の割合が業種平均と比べて極端に高い」や「確定申告書と取引先の支払調書の金額が一致しない」などは、税務署が事情を確認するために立ち入り調査を行いやすいケースです。帳簿付けが不十分な場合も、税務署による立ち入り調査の対象となる可能性が高まります。
立ち入り調査の対象になりやすい個人の特徴③:新しい分野の事業をしている
インターネット通販、広告、仮想通貨など新しい分野の事業を行っている場合、税務署は情報収集も兼ねて立ち入り調査を実施することがあります。
税務署の立ち入り調査に関するここがポイント!

新しい取引形態では誤った申告が生じやすいため、税務署は立ち入り調査を通じて実態を把握します。
立ち入り調査の対象になりやすい個人の特徴④:売上額が1,000万円をわずかに下回る
個人事業主の場合、売上額が1,000万円を超えると消費税の課税事業者になります。売上額がそのラインを僅かに下回っていると、税務署は過少申告によって消費税の負担を逃れていないか確認するために立ち入り調査を行うことがあります。このように税務署は、少額の差でも疑義があれば立ち入り調査を実施します。
まとめ

税務署の立ち入り調査は、申告内容の正確性を確保し、適切な税負担を求めるために非常に重要な役割を果たしています。

SoVa税理士ガイド編集部
立ち入り調査の対象は、法人だけでなく個人事業主やフリーランスにも及び、事業規模や申告内容によっては税務署の調査が入りやすくなるケースもあります。
大切なのは、税務署の立ち入り調査に備えて日頃から帳簿や証憑類を正しく管理し、誤りのない申告を続けることです。万が一、税務署の立ち入り調査を受けても、慌てずに正しい資料を提出できるよう準備しておくことで、不安なく対応できるでしょう。
税務署の立ち入り調査の内容に関するおすすめ記事:税務調査とは?調査の流れや時期、必要書類について解説
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