借入金の返済時の仕訳方法は？借入時や利息支払い時の仕訳・勘定科目についても解説！

事業を運営する上で、借入金を活用した資金調達は一般的な手法の一つです。しかし、借入金には返済義務が伴うため、日々の資金繰りや財務管理に大きな影響を与えます。特に会計処理においては、借入金の入金や返済に対する適切な仕訳が求められ、勘定科目の使い分けにも注意が必要です。

本記事では、そもそも借入金とは何かを整理したうえで、借入金返済時の仕訳方法や代表的な勘定科目、具体的な仕訳例までをわかりやすく解説します。また、借入金が資金繰りに与える影響や、返済余力を測るための指標についても紹介します。正確な仕訳処理と適切な借入金管理のために、ぜひ参考にしてください。

そもそも借入金とは

立て替え精算とは、会社が本来負担すべき経費を従業員が一時的に立て替えで支払い、後日、会社側がその立て替え分を精算して従業員に返金する一連の手続きのことです。

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立て替え精算の対象となるケースには、以下のような具体例があります。

• 業務で必要な文房具を購入した際の立て替え
  
• 出張時の交通費を一時的に立て替えて支払った場合
  
• 取引先との会食費を従業員が立て替えたケース
  

SoVa税理士お探しガイド編集部

ただし、立て替え精算が認められるのは、会社がその支出を「業務上必要な立て替え」と判断した場合に限られます。

業務上必要かどうかの基準は会社ごとに異なり、場合によっては立て替えた費用が精算の対象外とされることもあるため、立て替えを行う前に事前確認をしておくことが重要です。

借入金返済の仕訳と勘定科目

借入金に関する取引は、資金調達から返済までの流れの中でさまざまな仕訳が必要となります。ここでは、借入金の入金から利息支払い、元本返済、そして決算時の振替に至るまで、具体的な仕訳例を詳しく見ていきましょう。

借入金が入金されたときの仕訳

（例）銀行から6,000万円の借入金を受け、普通預金に入金された。内訳として、1,200万円が短期借入金、4,800万円が長期借入金に該当する。

このように、借入金の入金時には、返済期間に応じて短期借入金と長期借入金に区分して仕訳します。

借入金に対して利息を支払ったときの仕訳

（例）借入後3か月間は利息のみを支払う契約であり、利息1万円を普通預金から支払った。

借入金の仕訳に関するここがポイント！

利息の支払いは「支払利息」として仕訳し、営業外費用として分類されます。借入金そのものの返済とは区別して処理する必要があります。

借入金を返済したときの仕訳

（例）借入金元本100万円と利息1万円、合計101万円を普通預金から返済した。

元本返済部分は「借入金」、利息は「支払利息」として仕訳し、総額は普通預金から返済されます。

決算時に借入金を振替える仕訳（長期→短期）

（例）決算にあたり、来年度中に返済予定の借入金1,200万円を、長期借入金から短期借入金に振替えた。

この振替仕訳は、返済時期に基づき借入金の区分を適正に表示するために行われます。

SoVa税理士ガイド編集部

借入金の仕訳方法や返済についてさらに方はこちらの記事もご参照ください。

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借入金の取引はすべてが「返済義務」を伴うため、資金の動きに合わせた正確な仕訳が求められます。特に返済期日や利息の支払い、決算時の借入金区分の見直しは、財務の健全性に直結する重要な処理です。

借入金の仕訳例

借入金には「短期借入金」と「長期借入金」の2種類があり、返済期限によって勘定科目が異なります。

• 短期借入金：返済期限が1年以内
  
• 長期借入金：返済期限が1年を超える
  

仕訳を行う際は、返済予定日を確認し、適切な借入金科目を使用しましょう。

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借入金とはどんな勘定科目？種類や仕訳まで解説

【仕訳例1】借入金の入金があったとき

銀行などから借入金を受け取り、普通預金に入金された場合の仕訳です。

借入金の仕訳では、入金時に「普通預金」を借方、「借入金」を貸方に計上します。

【仕訳例2】借入金の元本と利息をまとめて返済したとき

借入金の返済時に、元本50万円と利息5万円を合わせて普通預金から支払った場合の仕訳です。

借入金の返済は、元本と利息を分けて仕訳し、返済額の総額は普通預金から控除されます。

【仕訳例3】借入金の利息部分のみを返済したとき

利息5万円のみを返済する場合の仕訳です。

利息のみの返済では、借入金の元本に変更はなく、利息分だけ「支払利息」として処理されます。

【仕訳例4】長期借入金を短期借入金に振り替えるとき

決算時、翌年度に返済予定の長期借入金を短期借入金へ振り替える場合の仕訳です。

借入金の返済が翌年度に予定されている場合は、長期借入金から短期借入金へ正しく仕訳を振り替える必要があります。これにより、財務諸表上での借入金の期間区分が明確になります。

借入金の仕訳は、入金や返済といった実際の資金の動きだけでなく、決算に伴う期間区分の見直しも必要です。借入金の仕訳処理を適切に行うことで、企業の財務状況が正確に反映され、信用力の維持や融資審査への備えにもつながります。

SoVa税理士ガイド編集部

借入金の返済計画と仕訳処理は常にセットで考えることが重要です。

借入金返済が資金繰りに影響を与えるケース

借入金は資金調達や税金対策にも活用できる一方で、借入金の返済が資金繰りを圧迫し、経営を悪化させるケースもあります。借入金は単なる資金ではなく、将来的に返済義務のある負債です。仕訳処理においても「借入金」「支払利息」「普通預金」などの勘定科目を正確に使用する必要があります。適切な返済計画と、資金繰りを見据えた借入金の管理が重要です。

ここからは、借入金の返済が資金繰りを悪化させる代表的なケースについて、仕訳の観点も交えて解説します。

ケース①：借入金額が大きすぎる

借入金の金額が過大で、月々の返済額が利益を上回るような場合、収支のバランスが崩れます。返済に必要な資金を確保できず、資金ショートに陥る可能性があります。借入時の仕訳としては、借方に「普通預金」、貸方に「短期借入金」や「長期借入金」を記載しますが、仕訳処理以上に返済能力とのバランスが重要です。

経営が悪化すると、借入金の返済はもちろん、従業員への給与や仕入先への支払いも困難になります。借入金は、運転資金や売上規模を踏まえ、無理のない金額で申請・返済スケジュールを立てましょう。

ケース②：返済期間が短すぎる

借入金の返済に関する気をつけておきたい注意点

借入金の返済期間が短すぎると、毎月の元本返済額が高額になり、資金繰りに悪影響を及ぼします。とくに創業間もない企業では、売上が立たない期間があるため、短期返済は大きなリスクです。

仕訳の上では、返済時に「借入金／普通預金」「支払利息／普通預金」と処理しますが、実務上は返済負担の軽減が必要です。据置期間（元本返済を猶予し、利息のみを返済する期間）を設けられる創業融資制度を活用することで、資金繰りを安定させることができます。

ケース③：金利が高い

借入金の金利が高いと、それだけ支払利息が増え、経常利益の圧迫要因になります。仕訳上では、利息支払いを「支払利息／普通預金」と処理しますが、利息負担は会社の収益力に直結する重要な項目です。

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日本政策金融公庫などの公的機関は金利が低いため、借入先の選定によっては支払利息を抑えられます。借入金の条件だけでなく、返済額・金利・仕訳処理の影響まで含めて総合的に判断しましょう。

ケース④：売掛金が回収できていない

売掛金の回収遅延は、資金繰り悪化の原因となり、借入金の返済に必要な資金が不足します。売掛金が未回収のままだと、仕訳上は「売掛金／売上」で処理されていても、実際の資金が入ってこないため、借入金返済の資金源に困ることになります。

売掛金の管理体制を整備し、日々の入金確認を徹底することで、借入金返済への影響を最小限に抑えることが可能です。

ケース⑤：過剰に在庫を抱えている

過剰な在庫を保有していると、資金が在庫に固定され、借入金の返済原資となる現金が不足します。仕訳上は「商品／仕入」などで処理されますが、キャッシュフロー上では実際にお金が出て行っているため、返済に充てる資金が圧迫されます。

在庫処分セールなどで資金化を進め、借入金返済に回せるような資金繰り改善策を講じる必要があります。

借入金の返済は、単に仕訳処理を正確に行うだけではなく、企業のキャッシュフローや経営全体に影響を及ぼします。借入金の管理では、「返済額の設定」「金利負担の軽減」「返済タイミングの調整」などを踏まえ、経営戦略と連動した計画が求められます。正確な仕訳と実態に即した資金管理をセットで行うことが、持続可能な事業運営への鍵となります。

借入金の返済余力を判断する指標

ここでは、借入金に対する返済能力を判断するために活用される2つの経営指標をご紹介します。これらの指標は、金融機関からの融資を受ける際に、借入金の適正水準や返済余力を評価する上で非常に重要です。また、借入金の仕訳処理や財務分析の基礎としても役立ちます。

指標①：借入金依存度で返済リスクを確認

借入金依存度とは、総資産に対して借入金がどれだけ占めているかを示す財務指標です。借入金依存度を把握することで、自社がどれほど借入に依存しているのか、またその借入金を安定的に返済できるかどうかを判断する目安になります。

借入金依存度の計算式：
借入金依存度 ＝（短期借入金 ＋ 長期借入金 ＋ 受取手形割引高）÷ 総資産 × 100

借入金の返済に関するここがポイント！

借入金依存度の数値が低いほど、借入金による資金調達に偏っておらず、安定した財務体質と見なされます。一方で、依存度が高すぎる場合は、返済負担の増加や借入金の過剰計上による財務リスクが懸念され、将来的な仕訳処理の頻度や返済スケジュールの管理も煩雑になる可能性があります。

指標②：借入金月商倍率で返済余力を把握

借入金月商倍率は、毎月の売上に対してどれだけの借入金があるかを測定する指標です。この倍率が高いと、借入金の返済に売上を多く充てなければならず、キャッシュフローの圧迫要因になります。

借入金月商倍率の計算式：
借入金月商倍率 ＝（短期借入金 ＋ 長期借入金 ＋ 受取手形割引高）÷（年間売上高 ÷ 12）

この指標も、借入金の適切な管理と返済計画の構築に直結する要素です。一般的には、借入金月商倍率が3倍以内であれば、返済能力に大きな問題はないとされます。ただし、業種やビジネスモデルによって適正水準は異なり、実際の借入金返済状況や仕訳処理の頻度も加味して総合的に判断することが求められます。

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これらの指標を定期的に確認し、借入金の返済スケジュールや仕訳の整合性を見直すことで、より健全な資金管理と財務戦略が実現できます。借入金の「数字」と「実態」の両面から自社の状態を可視化することが、安定した経営の第一歩です。

まとめ

借入金は、事業成長のための有効な資金調達手段である一方、返済の負担や仕訳の複雑さを伴います。

SoVa税理士ガイド編集部

借入金の返済時には、元本と利息を分けて適切に仕訳し、短期借入金・長期借入金といった勘定科目の使い分けも重要です。

また、借入金返済が資金繰りを圧迫しないよう、常に返済余力やキャッシュフローを確認しながら対応する必要があります。

借入金の仕訳処理を正しく行うことで、財務状況の可視化と健全な経営判断につながります。日々の会計処理と経営判断の両面から、借入金の管理を徹底し、持続可能な資金運用を実現しましょう。

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