出張費はどこまでが経費になる?経費処理の仕訳や相場感を解説!
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公開日:2025年6月
更新日:2025年6月17日
ビジネスシーンにおいて欠かせない出張ですが、それに伴って発生する出張費の取り扱いについて悩む方も多いのではないでしょうか。出張にかかる経費には、交通費・宿泊費・出張手当などさまざまな項目がありますが、「どこまでが経費として認められるのか」「どう精算すればよいのか」については、企業ごとの規程や税務上のルールによって異なります。
本記事では、出張費として経費処理が可能な範囲や、役職別・国内外別の出張費の相場、実際の経費精算の流れ、さらには出張費が課税対象になるケースや注意点についてもわかりやすく解説します。正しく理解することで、出張経費の精算ミスや税務リスクを防ぎましょう。
出張費として認められる経費はどこまで?

結論から言うと、出張に関わる経費をどこまで認めるかについて、厳密に定めた法律は存在しません。そのため、出張経費の取り扱いは各会社の出張旅費規定や経費精算ルールに従う必要があります。
ただし、一般的な出張において発生しやすい経費にはある程度の傾向があります。以下では、出張経費の代表的な種類ごとに、注意点とともに解説していきます。
航空券や交通費は出張経費になる?
出張に伴う移動にかかる交通費は、原則として全て経費として認められます。具体的には、新幹線や飛行機、バス、レンタカー、タクシーなどが対象です。通常利用しない交通手段であっても、出張という目的のために合理的であれば問題なく経費として計上できます。
ただし、出張においても合理性が問われます。たとえば、飛行機を使った方が効率的なのにあえて新幹線を利用したり、短距離でタクシーを頻繁に使用した場合など、非合理的な手段と判断されると、経費として認められない可能性もあります。出張前に、必ず会社の旅費・経費精算のルールを確認しましょう。
出張経費の処理に関するおすすめ記事:出張費とは?相場や旅費交通費との違いを詳しく解説
出張中の食事代は経費になる?
出張中の食事代については、原則として経費に含まれません。なぜなら、食事は出張に限らず日常生活でかかる費用であり、業務とは直接関係しないとみなされるためです。したがって、出張中であっても通常の食事代は自己負担となるのが一般的です。
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一方で、出張先での会食や打ち合わせを兼ねた飲食に関しては、経費として認められるケースがあります。例えば、取引先との出張会食で発生した飲食代は、接待交際費として出張経費に計上できることが多いです。また、1人あたり5,000円以下で業務関連の打ち合わせを含む飲食は、会議費として処理できる場合もあります。出張中の食事が経費になるかどうかは、「業務関連性」が判断基準になります。
宿泊費はどこまで出張経費として認められる?
泊まりがけの出張で発生する宿泊費も、出張経費として当然認められます。ただし、経費として処理する際には、「宿泊費の上限」と「食事の有無」に注意が必要です。
多くの会社では、出張における宿泊費の上限額が定められており、それを超えた分は経費として認められず自己負担となります。また、役職や出張距離により上限額が異なるケースもあるため、事前に出張旅費規定を確認することが重要です。
さらに、宿泊プランに朝食などの食事が含まれている場合、会社によっては食事代部分を経費として認めない場合もあります。
出張費の経費精算におけるここがポイント!

出張先での宿泊費精算をスムーズに行うためにも、宿泊先の選定時には食事代の扱いも考慮し、必要に応じて領収書を分けてもらうようにしましょう。
出張手当(日当)は経費になるの?
出張手当(いわゆる日当)は、出張に出る社員の負担や拘束時間に配慮して支給される金銭であり、一定の条件を満たせば出張経費として認められます。
多くの会社では、出張中の業務はみなし勤務とされ、残業代が発生しません。しかし、長距離移動や遅い時間までの会食など、出張には見えにくい負担も伴います。こうした負担への対価として支給されるのが出張手当です。
出張手当を経費として認めてもらうには、「出張旅費規定」が整備されており、支給額が業界水準と比較して妥当である必要があります。規定が不十分で、手当額が過度に高額だと経費ではなく給与として扱われ、課税対象になるおそれがあります。
経費として正しく処理されることで、
- 会社側は消費税・法人税の節税が可能
- 社員側は所得税・住民税の非課税メリット
といった双方の利点が得られます。出張旅費規定を整備し、適切な日当額を設定することが、経費管理の観点でも非常に重要です。
出張費の相場

出張時に発生する主な経費には、宿泊費や出張日当(出張手当)などがあります。これらの出張経費は、企業によって精算方法や金額設定に差があり、国内出張と海外出張でも大きく異なります。以下では、宿泊費と出張日当の出張経費の相場を、それぞれ国内と海外に分けて確認していきましょう。

SoVa税理士ガイド編集部
出張経費の処理についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。
宿泊費の出張経費相場
出張に伴う宿泊費は、出張経費の中でも大きな割合を占める項目です。宿泊費を実費として経費精算する会社もあれば、あらかじめ一律で出張経費として支給したうえで、差額精算を行う会社も存在します。
特に海外出張においては、国内出張よりも宿泊費が高額になる傾向があり、出張経費の管理がより重要になります。海外出張の宿泊費は行き先の物価や滞在都市によって相場が異なりますが、今回は「北米出張」を例に想定しています。
役職 | 宿泊費(国内出張) | 宿泊費(海外出張) |
---|---|---|
社長・役員クラス | 12,000~16,000円 | 16,000円 |
部長クラス | 10,000円 | 15,000円 |
一般社員 | 8,000~9,000円 | 14,000円 |
これらの金額は、出張経費として適切な上限を設けたうえで精算されることが多く、出張規程に基づいて処理されます。
出張日当の経費相場(出張手当)
出張日当(出張手当)は、出張にかかる雑費や労力を補填する目的で支給される経費です。企業によっては出張手当を出張経費の一部として現金で一律支給する場合もあり、その使途を細かく制限しないケースもあります。

SoVa税理士ガイド編集部
出張手当の金額は役職により異なりますが、国内出張であれば2,000〜3,000円程度が相場といわれています。また、出張経費として日当を設定していない企業も存在するため、事前の確認が必要です。
役職 | 出張日当(国内・日帰り) | 出張日当(国内・宿泊) | 出張日当(海外) |
---|---|---|---|
部長クラス | 2,500円 | 2,800円 | 5,500〜6,000円 |
一般社員 | 1,900円 | 2,200円 | 4,500〜5,000円 |
出張日当も、出張経費の一環として「出張旅費規程」に基づいて支給される必要があります。適切に規定を整備することで、経費精算のトラブル防止や税務面でのメリットにもつながります。
出張費の経費精算

出張に関する経費精算の方法は、各企業の出張旅費規程に基づいて運用されています。ここでは、出張に伴う経費の処理方法について、一般的な流れを項目ごとに解説します。
出張費の経費精算STEP①:出張申請と経費仮払いの確認
出張が決定した際は、まず出張申請書を作成し、上司に提出・承認を受ける必要があります。この出張申請が承認されない限り、出張に出られない、あるいは出張経費の精算が行えないといったケースもあるため、社内の出張規程を事前に確認しておくことが重要です。
特に、高額な出張経費が見込まれる場合は、仮払金の申請も同時に行いましょう。仮払金を受け取ることで、出張者の実費負担が軽減され、経費精算もスムーズになります。
企業側としても、出張申請を通じて経費の使用目的を明確化し、不正な出張経費請求や架空請求を防止する仕組みとして活用できます。
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出張費の経費精算STEP②:出張中の経費立替と領収書の管理
出張中は、交通費、宿泊費、タクシー代、駐車場代など、多くの出張経費が発生します。これらの経費を出張者が立て替えるケースが多いため、必ず領収書やレシートを受け取っておきましょう。
たとえ仮払金を受け取っている場合でも、実際に使用した経費の証拠として領収書は必須です。出張中に領収書を紛失すると、経費精算が認められないケースもあるため注意が必要です。
出張経費の処理に関するおすすめ記事:出張旅費や出張手当は課税対象?精算書のテンプレートも紹介
出張費の経費精算STEP③:出張後の旅費精算書と経費明細の作成
出張から戻ったら速やかに旅費精算書を作成します。この書類には、出張で発生したすべての経費を記載し、領収書・レシートを添付します。出張前に申請していない経費であっても、業務上必要だったものであれば、出張経費として精算対象になる可能性があります。
旅費精算書には、出張日程・目的・訪問先・使用交通手段・経費の詳細などを正確に記載し、仮払金を受け取っていた場合はその金額も明記します。これにより、出張経費の実績と申請内容との整合性を確認できます。
出張費の経費精算STEP④:上司による出張経費の承認と報告書
作成した旅費精算書は、上司に提出し承認を受ける必要があります。上司は、出張目的に沿って経費が適切に使用されたか、金額が妥当かを確認します。

SoVa税理士お探しガイド編集部
また、出張報告書の提出も併せて求められるケースが多く、出張の成果や内容を明示することで、経費の正当性がより明確になります。これにより、不適切な出張経費使用の抑止にもつながります。
出張費の経費精算STEP⑤:経費精算の提出と清算処理
旅費精算書に上司の承認印をもらったら、経理部門へ提出して正式な経費精算を行います。多くの企業では、出張経費の精算には提出期限が設定されているため、出張終了後は速やかに処理を行いましょう。
経費の清算方法は企業によって異なり、出張ごとに現金精算されるケースや、給与と合わせて翌月振込で精算されることもあります。
仮払金を受け取っていた場合、経費がそれを下回れば差額を返金する必要があり、過不足がある場合は旅費精算書に明記のうえ精算を完了させます。不足分があった場合は、立替経費として追加請求が可能です。
出張費は課税対象になる?

基本的に、出張にかかる費用は「実費精算」として扱われる経費が多く、通常の業務上の経費と同様に非課税となります。企業が従業員に対して支給する出張経費は、業務遂行のために必要な支出であり、税務上も必要経費として扱われるためです。
例えば、従業員が立て替えた出張旅費については、後日経費精算を行ったうえで支給される「実費精算」に該当します。こうした実費による出張経費は、企業活動に直接関連する費用であることから、課税対象とはなりません。企業にとっては売上獲得のための必要経費とみなされ、非課税で問題ないとされています。
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また、出張中に支給される出張手当(出張日当)については、交通費や宿泊費などとは異なり、実費精算ではないものの、「出張旅費規程」などのルールに基づいて金額が設定されていれば、この出張手当も非課税の経費として扱うことが可能です。
ただし、規程で定めた水準を超えた高額な出張経費や、実際には業務と無関係な出張費を経費として処理した場合、税務調査で課税対象となる可能性があります。たとえば、通常業務では必要とされないグリーン車を使用して出張した場合、その出張交通費は経費として認められず課税扱いになるケースがあります。
他にも、必要以上に高額な宿泊費や不必要な施設利用料を出張経費として計上すると、常識を逸脱していると判断され、調査の対象となりやすくなります。

SoVa税理士ガイド編集部
企業としてはあらかじめ「出張旅費規程」などの社内規定を整備し、出張時に計上できる経費の範囲や金額の上限を明確にしておくことが重要です。
出張費の経費精算における注意点

出張にかかる経費の精算を行う際には、いくつか重要な注意点があります。ここでは、出張経費の精算で特に確認しておきたい2つのポイントを解説します。
注意点①:出張経費に不正がないかのチェック
出張経費の精算を行う際には、経費処理に不正がないかをしっかりチェックすることが欠かせません。特に、出張中の移動に伴う交通費については、領収書があるからといって無条件に経費として処理してしまうケースがありますが、注意が必要です。
例えば、出張の目的地までの経路が通常よりも遠回りになっていたり、経費として妥当とは言えないほど高額な交通手段が利用されていた場合は、出張経費として認められないリスクがあります。また、目的地以外への寄り道、不要なタクシー利用なども、正当な出張経費として処理されるべきではありません。
さらに、出張中に使用した電車やバスなど領収書が出ない交通費についても、実際に使用した証拠が乏しいため、より慎重な確認が求められます。少額であっても、出張中の経費として処理して問題ないかをきちんと判断する姿勢が大切です。
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注意点②:出張経費と他の経費区分との混同に注意
出張経費として精算を行う際には、交際費・研修費・福利厚生費など、別の経費科目と混同しないよう注意が必要です。出張に関連して発生した費用であっても、用途や内容によっては出張経費ではない場合があります。
交際費との違い
たとえば、出張中に取引先と会食を行った場合、その費用は交際費(接待交際費)に該当することがあります。このような場合、その飲食代は出張経費としては処理せず、別途交際費として経費計上する必要があります。
一方、会食のために利用したタクシー代などの交通費は、出張に伴う移動経費とみなされるため、出張経費として精算可能です。このように、出張経費と交際費の区分けは目的に応じて明確に行いましょう。
また、接待旅行(ゴルフを含む)の場合、交通費・宿泊費・手土産代などすべてが交際費として扱われ、出張経費には含まれません。出張と接待が混在する場合は、事前に内容と対象経費を整理しておくことが重要です。
研修費との違い
研修のために出張し、交通費や宿泊費が発生した場合でも、それは研修費として処理されるべきであり、出張経費とは区別して管理します。たとえば、社員研修のために遠方へ出向いた際の旅費は、出張ではなく教育研修に関わる経費として精算します。
福利厚生費との違い
社員旅行などレクリエーションを目的とした移動は、福利厚生費として扱われ、出張経費には該当しません。この場合も、交通費や宿泊費が発生しますが、福利厚生目的であることから経費の分類は異なります。
ただし、福利厚生費として処理するには以下のような要件を満たす必要があります:
- 旅行期間が4泊5日以内であること(海外出張に準じる旅行も同様)
- 全従業員の50%以上が参加していること(支店・部署単位でも同様)
出張費の経費精算における気をつけておきたい注意点

上記要件を満たさない場合、旅行に参加しなかった従業員への補填金が給与扱いとなり課税対象となる可能性があります。結果的に、不適切に分類された出張経費が、税務調査で問題視されるリスクがあるため、明確な区分と事前申請が重要です。
まとめ

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出張費に関わる経費処理は、単に領収書を提出するだけでなく、企業の出張旅費規程や税務上のルールをしっかり理解することが重要です。交通費や宿泊費、出張手当などが経費として認められる条件を押さえ、適切に申請・精算を行うことで、企業側のコスト管理と従業員の負担軽減の両方にメリットがあります。

SoVa税理士お探しガイド編集部
また、過度な出張費やルールに反した支出は課税対象となる可能性もあるため、日頃から出張経費の精算ルールや範囲を見直しておくことが大切です。
この記事を参考に、正しく、そして効率的に出張費を経費処理できる体制を整えていきましょう。
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