会社の設立費用は経費にできるのか?会社設立をした際の仕訳も解説

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公開日:2024年8月

更新日:2024年10月15日

会社を設立する際に発生する「設立費用」は、会社運営のスタート時に欠かせない出費です。しかし、「会社の設立費用を経費として計上できるのか?」といった疑問を抱く方は多いでしょう。実際、会社の設立費用は、会社の経費として適切に計上することで、節税効果を得られることができるのです。

本記事では、会社設立時に発生する設立費用をどのように会社の経費として計上するのか、またその具体的な方法や仕訳について詳しく解説します。会社設立時の設立費用を経費として処理することは、会社の会計処理の一環として非常に重要です。会社設立時に発生する登記手数料や定款認証費用など、さまざまな設立費用をどのように会社の経費として処理すれば良いかを理解することで、会社の資金管理をより効率的に行えるようになります。

さらに、会社の設立費用を経費として計上する際の注意点や、経費として認められる範囲についても解説するため、会社設立を考えている方や設立後の経費処理に悩んでいる方にとって必見の内容となっています。これから会社を設立しようと考えている方は、会社の設立費用を経費として正しく計上し、会社の経営をスムーズに進めるための方法を身につけましょう。設立費用を経費として適切に処理することは、会社運営の初期段階における経費管理の基礎です。会社設立時の経費処理を正しく行い、会社のスタートダッシュを切るためのポイントを押さえておくことが、長期的な経営の安定に繋がります。

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経費とは

経費とは、個人事業主や法人が事業運営のために支出するお金のことです。具体的には、オフィスの備品購入代、出張の宿泊費や交通費、インターネット回線の利用料などが含まれます。

会社設立費用を経費にする際に気をつけておきたい注意点

税理士
        _依頼_おすすめの注意点

経費を不正に計上すると、ペナルティを受けることがありますので、正しい経費管理が重要です。

経費にできないもの

会社の経費として計上できない費用がいくつかあります。会社の事業に直接関連しない費用や個人的な支出は、経費として認められません。以下に、会社の経費に計上できない費用の例を挙げます。

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会社の経費にできなもの① 社会保険料

個人に対する社会保険料(健康保険や年金)は、会社の経費として計上できません。これは、会社の事業の収益に直接関係しないためです。

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会社の経費にできなもの② 家族への給与

個人事業主が家族に支払う給与は、通常経費として計上できません。ただし、青色申告をしている場合には「専従者給与」として会社の経費に計上することが可能です。

会社の経費にできなもの③ 私的な費用

個人的な買物や私的に使用した費用は会社の経費として認められません。例えば、スーツやネクタイなど、仕事で使うことがあっても、私的な用途にも使えるため会社の経費にはなりません。ただし、業務専用のユニフォームなどは例外です。

会社設立費用解説部

会社の経費として計上するためには、事業の収益を得るために必要な支出であることが条件です。

経費にするメリット

会社の経費に計上することによって結果的に会社が支払う税金を抑えることができる点がメリットです。

税金は、会社の事業の利益に対して課されます。つまり、収入から会社の経費を引いた「所得」に対して課税されるため、会社の経費が正確でないと税金額が誤って計算され、高くなる可能性があります。例えば、飲食店の利用代を会社の経費として計上することができますが、これにより事業所得が減少し、会社が支払う税金を抑えることができます。

会社の設立費用の相場は?

株式会社の設立には、合同会社よりも多くの設立費用がかかります。特に、定款の認証手数料や登録免許税が高く設定されており、合計設立費用は約22万円からとなります。一方、合同会社では約10万円からの設立費用で設立が可能です。どちらの形態を選ぶかは、事業の規模や予算に応じて検討することをお勧めします。

会社設立にかかる設立費用は、株式会社と合同会社で異なります。以下は、それぞれの会社設立に必要な設立費用の詳細と合計額の比較です。

株式会社の設立費用

・定款用収入印紙代: 4万円

※ 電子定款の場合、収入印紙代は不要


・定款の謄本手数料: 約2,000円

計算方法: 1ページあたり250円

・定款の認証手数料

会社の資本金が100万円未満: 3万円

会社の資本金が100万円以上300万円未満: 4万円

会社の資本金300万円以上: 5万円

・登録免許税

最低額: 15万円または 資本金額の0.7%(どちらか高い方)

合計設立費用: 約22万円〜(資本金や認証手数料によって変動)

会社設立費用解説部

会社設立の初期費用がかかる株式会社ですが、社会的信用もある会社形態でもあります。より多くの資金調達を行い、会社の認知度などを向上させたいと考えている人は株式会社の設立を検討してみてはいかがでしょうか?

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合同会社の設立費用

・定款用収入印紙代: 4万円

※電子定款の場合、収入印紙代は不要

・定款の謄本手数料: 0円

・定款の認証手数料: 0円

・登録免許税

最低額: 6万円または会社の資本金額の0.7%(どちらか高い方)

合計設立費用: 約10万円〜(資本金や認証手数料によって変動)

会社設立費用を経費にするときのおすすめ記事

会社設立には、予想以上の設立費用がかかることがあります。しかし、最近では新たに会社を設立する方を支援するための補助金や助成金が用意されており、これらを活用することで会社設立コストである設立費用を抑えることが可能です。

会社設立時に利用できる補助金や助成金を提供している主な団体は以下の通りです。

・経済産業省

・厚生労働省

・地方自治体

・民間団体

会社設立費用を経費にする際の関連ポイント!

税理士_依頼_おすすめのポイント

これらの補助金や助成金は会社に返済義務がないため、会社の設立資金の大きな助けとなります。各団体が発表している要綱をよく確認し、会社の条件に合ったものに申し込むことを検討してみても良いかもしれません。


会社設立費用を経費にできるのかに関連するおすすめ記事

創立費と開業費

会社を設立する際には、いくつかの設立費用が発生します。これらの設立費用は「創立費」と「開業費」に分けられます。それぞれの設立費用の内容と管理方法について解説します。

会社の設立費用は経費にできるのかに関するおすすめ参考記事:
創立費・開業費とは?それぞれの違いと仕訳方法について解説

創立費とは?

「創立費」とは、会社設立前に発生する設立費用を指します。具体的には以下のような支出が含まれます。

・定款作成代行手数料

・定款認証手数料

・印鑑証明書の発行手数料

・認定手数料

・設立登記時の印紙代

・設立前の事務所賃借費用

・設立前の社員の給料

・銀行口座開設手数料

・事務用消耗品費(名刺、印鑑、封筒など)

・その他(打合せ会議費、交通費など)

気をつけておきたい注意点

税理士
        _依頼_おすすめの注意点

これらの会社の設立費用に関しては、領収書を必ず会社で保管しておきましょう。これにより、税務調査などで設立費用の証明が必要な際に対応しやすくなります。

開業費とは?

「開業費」とは、会社設立後、営業開始までに特別に支出した設立費用を指します。主な例は以下の通りです。

・会社のホームページ作成費用や看板などの広告費

・事務所の敷金礼金

・事務用の椅子や机などの購入費用

・エアコン、加湿器などの備品類

ただし、事務所の家賃、水道光熱費、社員の給料など、会社の開業準備とは直接関係ない毎月発生する固定費用は設立費用の「開業費」とはなりません。

参考

税理士_依頼_おすすめの記事

10万円以上の備品は固定資産に分類されるため、開業費として計上できません。さらに、仕入代金は「売上原価」として扱われるため、開業費には含まれません。敷金や礼金も基本的には開業費として認められないことに注意が必要です。

開業費として認められる設立費用は、会社の開業に関連する出費であれば、何年前のものであっても構いません。法律による制限は特にありません。重要なのは、その出費が実際に会社の開業のために使用されたかどうかです。

ただし、数年前の出費を会社の開業費として扱うことは現実的ではないことが多いです。数年以上前の出費を開業費として計上する場合は、会社の開業に使用したという確かな証拠をきちんと残しておくことが重要です。

創立費と開業費の会計処理

会社設立時に発生する「創立費」や「開業費」といった設立費用は、「繰延資産」として扱われます。繰延資産は、設立間もない会社にとって非常に有効な勘定科目です。以下に、そのメリットと具体的な勘定科目の取り扱いについて説明します。

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繰延資産のメリット

繰延資産とは、会社で発生した経費を設立事業年度に必ずしも会社の経費(設立費用)として計上する必要がなく、任意の期間にわたって経費として処理できる資産です。これにより、以下のようなメリットがあります。

【経費の繰越】

 利益が多く出る次の事業年度まで、会社の経費として設立費用の繰り越しが可能です。

【柔軟な経費処理】

設立初年度に会社の経費として処理する必要がなく、経費処理を会社にとって有利なタイミングで行えます。

勘定科目の取り扱い

会社設立時に使われる主な勘定科目と仕訳は以下の通りになります。

資本金

(借方) 現金/(貸方)資本金

創立費

(借方) 創立費/(貸方) 現金

開業費

(借方) 開業費/(貸方) 現金

賃借料

(借方) 賃借料/(貸方) 現金

水道光熱費

(借方) 水道光熱費/(貸方) 現金

通信費

(借方)通信費/(貸方) 現金

支払顧問料

(借方) 支払顧問料/(貸方) 現金

消耗品費

借方) 消耗品費/(貸方) 現金

会社設立費用解説部

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法人設立の費用は経費になる?会計処理の方法が一目でわかる一覧つき

繰延資産の償却期間とは?

繰延資産とは、既に支払い済みまたは支払い義務が確定しており、会社が商品やサービスの提供を受けた費用で、その効果が翌年度以降も続くものを指します。これにより、会社の設立事業年度に一度に会社の経費として計上する必要はなく、将来にわたって少しずつ償却していくことができます。

繰延資産の種類と償却方法

繰延資産には「会計上の繰延資産」と「税務上の繰延資産」の2種類があります。

会計上の繰延資産

償却期間: 創立費と開業費のどちらも5年間

償却方法: 定額法(毎期同額を償却)

税務上の繰延資産

償却方法: 任意での償却が認められており、会社の好きなタイミングで任意の金額を償却可能

なぜ繰延資産が重要なのか

創立費や開業費は、一般的に高額になることが多いです。会社設立初年度に大きな利益を上げることは難しいため、創立費や開業費をその年の会社の経費として全額計上すると、大きな赤字を計上するリスクがあります。

会社設立費用解説部

繰延資産として処理することで、会社が利益を上げるタイミングを見計らい、財務状況に過度な負担をかけることなく、経費を少しずつ償却できます。これにより、会社の財務管理がよりスムーズになることが期待できます。

会社設立費用解説部

会社の設立費用は経費にできるのかに関するおすすめ参考記事
会社設立時の費用は経費になる?会社設立の流れに沿った仕訳方法も解説

繰延資産を利用することで、会社設立初年度の経費計上の負担を軽減し、財務状況を安定させることが可能です。創立費や開業費を繰延資産として扱い、計画的な償却を行うことが、会社設立の成功に繋がります。

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個人事業主時代に使っていた車などはどうなるのか?

個人事業主が法人化して会社を設立する際、車やパソコンなどの処理方法や立替え費用の経費化について疑問が生じることがよくあります。

車やパソコンの取り扱い方法

個人事業主時代に使用していた車やパソコンを、そのまま会社で利用する場合、以下の3つの方法が考えられます。

  1. 現物出資: 個人の資産を会社に出資する形です。ただし、手続きが複雑なため、あまり推奨されません。
  2. 譲渡: 資産を会社に売却する方法です。最もシンプルで、個人から会社へ資産を移転する際に一般的に用いられます。譲渡する際の価格は、減価償却後の未償却残高とし、この方法では売却益が発生しないため、所得税がかかりません。
  3. 賃借: 個人が所有する車やパソコンを会社に貸し出す方法です。会社は賃料を支払い、個人はその収入を毎年確定申告しなければなりません。手間がかかるため、簡単ではありません。

譲渡方法を選んだ場合、会社が購入した資産が10万円を超える場合は、固定資産として減価償却の対象になります。10万円未満であれば、購入時に経費として計上可能です。

立替え費用の注意点

会社設立に向けた費用を個人で立替えることはよくありますが、これには注意が必要です。会社設立の手続きは通常2~3か月で完了しますが、立替え費用が会社設立前のかなり前に支払われたものである場合、それが「創立費」として認められない可能性があります。

会社設立費用は経費にできるのかに関連する気をつけておきたい注意点

税理士
        _依頼_おすすめの注意点

一般的に、会社設立の6か月以上前に支出された費用は創立費に含められないことが多いので、この点には十分注意してください。
会社設立前に立替えた費用はここまで経費にできる!創立費や開業費の仕訳方法も含めて解説

法人化費用を節約する3つの方法

会社設立の際にかかる費用(設立費用)を抑えるための効果的な方法を3つ紹介します。

1. 電子定款での作成

定款を電子データで作成すると、紙ベースで作成する際に必要な印紙代4万円を節約できます。ただし、電子定款を作成するためには、専用の機器やソフトが必要で、申請後のデータ修正が難しい点に注意が必要です。

電子定款には、紙の定款に比べて手間やコストを大幅に削減できるいくつかの利点があります。電子定款は、オンラインでのやり取りが可能なため、公証役場に出向く必要がありません。さらに、紙の定款のように書類を準備する手間も省けるため、より迅速に定款を作成・認証できます。

気をつけておきたい注意点

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認証済みの電子定款のデータは、公証役場で直接受け取る必要がある点に注意が必要です。

会社設立費用解説部

会社の設立費用は経費にできるのかに関するおすすめ参考記事:
電子定款の作成・認証方法を徹底解説!紙よりも手間とコストを省くには?

2. 会社名義での契約

事務所兼自宅として使用する賃貸物件を会社名義で契約すると、家賃を会社の経費として計上でき、コスト削減に繋がります。また、同じ物件に住む家族が会社に関わる場合は、その家族を役員にすることで、報酬を会社の経費として計上することができます。これにより所得税や住民税を抑えつつ、役員報酬も給与所得控除の対象となります。

3. 資本金を1,000万円以下に設定

資本金が1,000万円以下の法人は、設立から2年間の消費税が免除される他、住民税均等割も7万円に抑えられます。資本金を適切に設定することで、法人化にかかる費用を大幅に抑えることができます。

会社設立費用解説部

会社の設立費用は経費にできるのかに関するおすすめ参考記事
法人化(法人成り)にかかる費用はいくら?維持費や節約方法についても解説

会社設立にかかる費用(設立費用)を節約するには、電子定款の利用や会社名義での契約、資本金の調整などの方法があります。これらの節約術を上手に活用して、コストを削減し、会社設立をスムーズに進めましょう。

まとめ

会社を設立する際の設立費用は、経費として計上できるものの、その扱いには注意が必要です。会社の設立費用は「創立費」と「開業費」に分類され、設立費用の中でも創立費は登記関連の手数料や印紙代など、会社の設立に直接関係する費用を指します。開業費は、会社設立後に事業を開始するまでの広告費や研修費などが該当し、これらも経費として計上できます。

また、会社設立時にかかった設立費用を経費にする際は、仕訳の方法を正しく行うことが重要です。例えば、会社の設立費用を一括で経費に計上することもできますが、数年にわたって償却することも可能です。会社の設立費用をどのように経費として扱うかは、会社の経営状況や税務戦略によって異なるため、自社にとって最適な経費計上方法を選ぶことがポイントです。

本記事では、会社の設立費用を経費にする際の具体的な仕訳方法や注意点についても詳しく解説しました。会社設立後の経費計上は、設立費用を正しく管理し、会社の財務状況を安定させるためにも非常に重要です。会社の設立費用を経費として正しく計上することで、適切な経理処理を行い、会社運営の基盤をしっかりと築きましょう。設立費用や経費の扱いに不安がある場合は、専門家に相談することをおすすめします。

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