税理士・社労士の違いとそれぞれに依頼するメリット・デメリットを紹介!

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公開日:2024年4月

更新日:2024年5月16日

税理士と社会保険労務士(社労士)は、企業経営において不可欠な専門家と言っても過言ではありません。しかし、その業務の違いを正確に理解していますか? 税理士と社労士にはそれぞれ、他の専門家が行ってはいけない「独占業務」も存在します。

今回は、税理士と社労士の違いについて「異なる業務内容」「税理士・社労士にそれぞれ依頼できる範囲」を中心にについて説明します。

違いの前に|税理士の独占業務とは?

まずは税理士・社労士の違いを紹介するまえに、税理士の独占業務について紹介します。
税理士の独占業務とは、税理士の資格を持つ人しかできない業務のことです。税理士の独占業務は、税理士法第二条第一項から第三項で規定されています。

具体的な独占業務は、以下の3つです。
・税務の代理
・税務書類の作成
・税務相談

各独占業務の内容を詳しく解説します。

参考:e-Gov「税理士法第二条」

税理士の独占業務①:税務代理

税務とは、税金の申告や納付を税務署に行うことや、税務署からの調査や処分に対して主張や陳述を行うことを指します。

通常、この税務手続きは納税者本人が行うものですが、税理士による代理や代行が認められています。ただし、この代理・代行業務は税理士の独占業務とされており、納税者以外が行うことはできません。

近年、税金の申告はパソコンを利用して電子申告することも可能ですが、これも納税者本人が行う必要があります。

  • SoVa税理士お探しガイド編集部

    知人や友人の代わりに電子申告を行う場合、税務の代理になるため、税理士法違反となります。

おすすめ記事:税理士と社会保険労務士(社労士)、業務内容の違いはある?頼めることを確認してみよう!

税理士の独占業務②:税務書類の作成

税務書類の作成業務では、税理士は納税者のために、所得税や法人税、消費税の申告書、年末調整や法定調書などを作成します。これらの書類は、納税者の税務申告が正確かつ適法であることを確保するための基盤となります。税理士は自身の専門知識を駆使して、これらの書類を正確に作成し、納税者が適切な税金を支払えるようサポートします。この業務は、単なる書類作成以上に、税理士が自らの判断力と専門知識を活かして行う専門的な業務です。

税理士の独占業務③:税務相談

税務相談業務では、税理士は納税者からの税法に関する質問や相談に応じ、節税対策の提案や税務計画の立案など、納税者の税金負担を軽減するためのアドバイスを提供します。この業務は、税理士が具体的な質問に基づいて租税法の規定や計算方法について専門的な見解を述べ、指示や意見を示すことを含みます。

税理士と社労士の違いに関するポイント!

税理士_依頼_おすすめのポイント

税理士が提供する税務相談サービスは、納税者が税法を適切に理解し、適切な税務申告を行うために必要不可欠です。

おすすめ記事:税理士と社労士の違いって?

違いの前に|社労士の独占業務とは?

税理士と社労士の業務の違いについて紹介するまえに、社労士の業務についてご紹介します。社労士はいわば「人事や労務管理の専門家」として知られています。
税理士と同様に、社会保険労務士(社労士)も社会保険労務士法(社労士法)で以下のような独占業務が認められています。

・労働社会保険諸法令に基づく申請書類の作成や手続き代行
・労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成

それぞれの業務について、詳しく内容を見ていきましょう。

社労士の独占業務①:労働社会保険諸法令に基づく申請書類作成、手続代行

労働及び社会保険に関する法令に基づき、行政機関への申請書、届出書、審査請求書、再審査請求書などの作成と提出手続きを代行するのが社会保険労務士(社労士)の役割です。

具体的には、労働保険(労災保険、雇用保険)の申告や、社会保険(健康保険、厚生年金、介護保険)の算定基礎届や月額変更届、助成金の申請などが挙げられます。

会社経営において人を雇用する際には、雇用保険や社会保険の手続きが不可欠です。しかし、これらの手続きには専門的な知識が必要であり、また人手不足の場合は難しい場合もあります。そういった労働社会保険関連の手続きは、社会保険労務士(社労士)が行っています。

社労士の独占業務②:労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成

社会保険労務士(社労士)の業務内容は、労働者名簿や賃金台帳、就業規則の作成や変更などを含みます。

新しい会社では、これらの帳簿類を作成することは一筋縄ではいかない場合があります。また、法律の改正により、これらの文書も適宜改訂する必要がありますが、法的な知識が十分でないと作業が進みません。そこで、社会保険労務士(社労士)に依頼することで、帳簿書類の作成を委託できます。

さらに、人事労務に関する相談や指導、アドバイスも行います。雇用や人材育成、人事、賃金、労働時間などの人事・労務管理に関するコンサルティング業務にも携わっています。

税理士と社労士の違いに関する注意点

税理士
        _依頼_おすすめの注意点

ただし、社会保険労務士(社労士)の独占業務は無償であっても、税理士や弁護士などと兼任する場合には業務範囲の問題が生じる可能性があります。

おすすめ記事:税理士と社会保険労務士(社労士)の業務の違い|どちらに依頼すべき?

税理士と社労士の違い①:給与計算は税理士と社労士どちらに依頼する?

中小企業、特に従業員数が少ない場合、給与計算の代行を税理士に依頼することが効果的です。多くの小規模企業では、顧問税理士との契約が一般的であり、給与計算を含む複数の業務を一括して低価格で委託できることが特徴です。顧問税理士は企業の過去の状況や経営の背景を深く理解しているため、新たに給与計算業務を始める際もスムーズに進行する可能性が高いです。

給与計算業務には、従業員の基本給、時間外手当、社会保険料の計算、源泉所得税の控除など、細かなデータ処理が含まれます。税理士はこれらの複雑な計算を適切に実施し、法令に則った形で給与明細を作成することができます。また、年末調整や労働保険の申告など、関連する年次報告業務も一手に引き受けることができます。

一方で、中小企業が社会保険労務士(社労士)に給与計算を依頼する場合、企業の特定の状況やニーズを一から説明する必要があるため、準備と導入に時間がかかる場合があります。社労士は労働法や社会保険の専門家であり、給与計算に関する最新の規制や変更を把握していますが、企業の全体的な財務状況や税務戦略についての深い理解が税理士ほどではないかもしれません。

そのため、税理士に給与計算の担当を依頼する場合は、追加費用やサービスの範囲を明確にすることが重要です。顧問税理士が給与計算を含む全業務をカバーできるか、あるいは特定のサービスに特化しているかを事前に確認し、最適なサービス提供を受けるための適切な調整が求められます。このように、顧問税理士との連携によって給与計算の業務効率化を図ることは、中小企業にとって大きなメリットをもたらします。

合わせて読みたい「中小企業の税理士の選び方」に関するおすすめ記事

中小企業の税理士の選び方と税理士に依頼できることについて解説

中小企業が税理士を選ぶ際は、その企業の成長段階や業種、具体的なニーズに適した専門家を選定することが重要です。本記事では、中小企業が税理士を選ぶ際のポイントと、業務範囲、さらには中小企業における税理士の選び方のポイントと選び方の注意点を詳しく解説します。

税理士に給与計算を依頼するメリット

給与計算を税理士に依頼することには、以下のメリットが挙げられます。

年末調整業務も依頼できる
社労士との違いの一つとして、税理士は年末調整業務も代行可能なため、給与計算業務の依頼に加え、複雑な計算が必要な年末調整業務まで依頼できます。年末調整業務は年末の繁忙期と重なるため、年末調整業務を税理士に依頼することで、作業負担を大幅に削減できます。

税務に関する相談・アドバイスが受けられる
労務の専門家である社労士とは違い、税理士は税務のプロフェッショナルであるため、給与計算業務の依頼と合わせ、会計業務も依頼することで、節税対策など税金に関するアドバイスを受けられます。

税務関係書類の作成依頼ができる
税務関係の書類は複雑で難しいものが多く、経理担当者でさえも、頭を抱えながら作成しなければならない場合があります。労務の専門家である社労士とは違い、税金の専門家である税理士に依頼することで、作業効率を向上させ、無駄な費用を削減できます。

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社労士に給与計算を依頼するメリット

給与計算を社会保険労務士(社労士)に依頼することには、税理士とは違った以下のメリットが挙げられます。

主に労務の業務効率化を図れる
税金のプロである税理士とは違い、社会保険労務士(社労士)に給与計算業務や労務手続きを依頼することで、その分、人的リソースを確保できます。人手不足や繁忙期において、給与計算や労務手続きに費やす時間や労力を削減できます。これにより、本来の業務に集中し、業務効率を向上させることができます。

企業に合わせた提案・書類作成ができる
社会保険労務士(社労士)は、企業のニーズや規模に合わせて提案や書類作成を行うことができます。労務関係書類や行政手続きに必要な書類の作成は複雑で、企業ごとに異なる要件があります。税金のプロである税理士とは違い、社会保険労務士(社労士)の専門知識を活用することで、適切な提案や書類作成が行われ、時間と労力を節約できます。

補助金・助成金の相談
補助金や助成金の申請には、様々な条件や手続きがあります。社会保険労務士(社労士)は、企業に適した補助金や助成金制度を把握し、申請に必要な書類の作成や手続きのサポートを行います。また、就業規則の整備や労働条件の整備が必要な場合もありますが、社会保険労務士(社労士)による助言やサポートを受けることで、効果的に補助金や助成金を活用することができます。

  • SoVa税理士お探しガイド編集部

    税理士と社労士の違いを適切に捉えた上で業務を依頼するようにしましょう

おすすめ記事:給与計算は誰に頼む?税理士、社労士の違いとは

税理士と社労士の違い②:年末調整は税理士と社労士どちらに依頼する?

結論から言うと、社労士による年末調整の届出代行は税理士法違反であるため、税理士に依頼する必要があります。

年末調整業務に関する事務は、税理士法第2条第1項に規定する業務に該当し、社会保険労務士(社労士)が当該業務を行うことは税理士法第52条(税理士業務の制限)に違反するという結論が、2016年6月に導き出されました。

この議論の結果、年末調整が税理士業務であると明言され、社労士による代行は税理士法違反として取り扱われることになりました。

合わせて読みたい「税理士に年末調整を依頼する時の費用」に関するおすすめ記事

年末調整は税理士に依頼する?依頼するメリットや費用について解説!

この記事では税理士へ年末調整を依頼するときの費用の相場や、税理士に年末調整を依頼するメリットについて紹介しています。
  • SoVa税理士お探しガイド編集部

    社労士と税理士との違いとして、税務書類の作成を行えるという点は非常に大きな違いです。

おすすめ記事:社労士の年末調整は税理士法違反!社労士と税理士の業務範囲を考察

まとめ

ここまで税理士と社労士の違いや、税理士・社労士それぞれの独占業務の違い、税理士・社労士にそれぞれ依頼できる業務の違いについて解説してきました。給与計算や年末調整など、会社を経営していく上で生じるバックオフィス手続きはどのような専門家に依頼すべきか迷うかもしれません。
税理士・社労士の違いとそれぞれに依頼するメリットの違いを踏まえ、最適な専門家に依頼しましょう。

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