法人登記を自宅の住所とするメリット・デメリットは?自宅以外の選択肢も解説!
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公開日:2025年6月
更新日:2025年6月26日
法人設立を検討する際に「自宅の住所で法人登記はできるのか?」という疑問を持つ方は多いでしょう。実際、自宅の住所で法人登記することは法律上問題なく可能であり、特に創業初期や一人社長の法人では一般的な手段です。自宅で登記することで、コストを抑えつつスムーズに法人をスタートできるという大きなメリットがあります。
一方で、自宅の住所を法人登記に使う場合には、賃貸契約やプライバシー、信頼性といった点で注意が必要です。この記事では、自宅で法人登記するメリット・デメリットや、賃貸人への無断登記によるリスク、自宅以外の法人登記先として検討できる選択肢まで詳しく解説します。
自宅の住所で法人登記はできる?

結論から言えば、法人登記において法人の住所を自宅に設定することは可能です。実際、多くの一人社長や小規模法人が、自宅を法人の登記住所として利用しています。この場合、法人の本店所在地=自宅住所という形になり、自宅兼法人事務所として運用されることになります。
自宅を法人登記した場合に気をつけておきたい注意点

ただし、自宅が賃貸物件である場合には特に注意が必要です。多くの賃貸住宅では、契約上「住居専用」と定められており、法人の登記や事務所利用を禁止しているケースがあります。
法人登記を自宅で行う前に、必ず物件の所有者(大家)や不動産管理会社に、法人登記が可能かどうかを確認することが重要です。
また、自宅が分譲マンションである場合も同様に注意が必要です。マンションの管理規約に「事務所利用不可」や「法人登記禁止」といった条項が盛り込まれている場合、法人の本店所在地として自宅住所を使用することはできません。たとえ物理的に法人登記ができたとしても、規約違反と判断され、後々のトラブルに発展する可能性があります。
自宅の住所で法人登記するメリット・デメリットに関するおすすめ記事
このように、法人登記を自宅で行う場合は「自宅だから自由に使えるだろう」と安易に判断せず、契約や規約をしっかり確認したうえで進めることが大切です。万が一、契約違反が発覚すれば、法人としての信頼性にも悪影響が及ぶだけでなく、自宅からの退去を求められるといった深刻な事態に発展するおそれもあります。最初の段階で丁寧に確認を取り、安心して法人運営を始められる体制を整えましょう。
自宅の住所で法人登記するメリット

自宅の住所で法人登記をするメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。以下で詳しく解説していきます。
メリット①:自宅を事務所にすれば家賃や光熱費を法人の経費にできる
自宅を法人の事務所として使用することで、家賃や光熱費の一部を法人の経費として計上することが可能になります。特に、一人社長や小規模法人にとっては、自宅兼事務所の活用は大きな節約効果をもたらします。
例えば、自宅の一部スペースを法人の事務所として利用している場合、その割合に応じて家賃や電気代、水道代などを経費にすることができます。法人の事務所として使用していることが明確であれば、税務上も認められるケースが多く、節税にもつながります。

SoVa税理士お探しガイド編集部
自宅の住所で法人登記するメリット・デメリットについてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。
もちろん、法人として適切な経費計上を行うためには、領収書や契約書、自宅と事務所スペースの使用割合を示す資料などをしっかり保管しておく必要があります。
メリット②:自宅が事務所なら通勤時間ゼロで効率的に働ける
自宅を事務所として活用する大きなメリットのひとつが、通勤の必要がなくなることです。法人の事務所が自宅であれば、出勤時間をゼロにでき、通勤ラッシュや交通費とも無縁になります。
時間のロスがないことで、朝から効率的に法人業務をスタートでき、1日の生産性が大きく向上します。とくに、時間を有効に使いたい一人社長やフリーランスの法人代表者にとって、自宅兼事務所の働き方は理想的といえるでしょう。
また、自宅で法人業務を行うことで、家族との時間やプライベートの充実もしやすく、仕事と生活のバランスをとりやすくなるのも大きなメリットです。
メリット③:自宅を事務所にすればオフィス賃貸コストを削減できる
自宅をそのまま法人の事務所にすれば、新たにオフィスを賃貸する必要がなくなります。

SoVa税理士ガイド編集部
法人設立時には、事務所を借りるための初期費用(敷金・礼金・保証金など)や毎月の賃料が大きな負担になりますが、自宅を事務所にすることでこれらを大幅に削減できます。
また、法人でオフィスを契約すると、契約更新や解約時の手続きなども発生しますが、自宅事務所であればそうした手間も避けられます。自宅で法人業務を行うことで、自分のペースで落ち着いて仕事ができるという点でもメリットがあります。
コストを抑えながら法人活動を進めたい場合、自宅兼事務所の選択は非常に現実的かつ柔軟性の高い働き方といえるでしょう。
自宅の住所で法人登記するデメリット

自宅の住所で法人登記するメリットもある一方で、当然デメリットも存在します。法人登記に使う住所を選ぶ際には、双方を理解した上で慎重に検討する必要があります。
デメリット①:自宅兼事務所では仕事とプライベートの切り替えが難しい
自宅を法人の事務所として使用する場合、最大の課題は仕事とプライベートの境界が曖昧になることです。自宅という生活空間で法人業務を行うことで、仕事の時間と私生活が混在し、オン・オフの切り替えがうまくいかなくなるリスクがあります。
自宅の住所で法人登記するメリット・デメリットに関するおすすめ記事
特に、自宅で家族と同居している場合には、仕事中に話しかけられたり、家事を頼まれたりするなど、集中が途切れやすくなる場面もあります。法人の業務に支障が出る可能性もあるため、あらかじめ仕事用の事務所スペースを自宅内に確保し、業務時間やルールを明確にすることが重要です。
デメリット②:自宅が法人事務所だと顧客を招くのが難しい
自宅を法人の事務所として利用している場合、顧客や取引先を自宅に招くことに抵抗を感じる方も多いです。法人の事務所である一方で、プライベート空間でもあるため、生活感が出てしまったり、家族の生活音が気になったりすることもあります。
こうした問題を避けるためには、法人としての対応を整える工夫が必要です。たとえば、顧客との打ち合わせはオンラインミーティングで対応したり、必要に応じてカフェやレンタルオフィスなど別の場所で面談を行うことで、自宅の事務所化によるデメリットを軽減できます。
デメリット③:自宅住所を法人の事務所とするとプライバシーとセキュリティに注意が必要
法人の登記上、自宅を事務所(本店所在地)とする場合、その自宅住所は登記簿謄本などで一般公開されることになります。
自宅の住所で法人登記する際に気をつけておきたい注意点

法人代表者の自宅住所が第三者に知られてしまう可能性があり、プライバシーやセキュリティ面でのリスクが発生します。
また、自宅の住所を法人のホームページに記載する必要がある場面もあるため、情報漏洩のリスクも無視できません。さらに、自宅の事務所に法人の重要書類や顧客情報を保管している場合、盗難や紛失、情報漏洩といったリスクも高まるため、セキュリティ対策は万全にしておく必要があります。
デメリット④:自宅の物件が法人事務所として使用できないケースもある
自宅を法人の事務所として利用するには、物件自体の契約内容や管理規約をよく確認する必要があります。特に賃貸住宅や分譲マンションでは、「事務所利用不可」と明記されていることが多く、法人登記に使えないケースもあります。
そのため、自宅を法人の事務所とする予定がある場合は、契約前に「事務所利用が可能かどうか」を不動産会社や大家、管理組合に確認することが必須です。万が一、許可なく法人の事務所として使用してしまうと、契約違反とされる可能性もあるため、事前の確認と合意をしっかりとっておきましょう。
自宅の住所で法人登記するメリット・デメリットに関するおすすめ記事:自宅住所で法人登記する5つのデメリット 自宅以外の選択肢も紹介!
自宅の住所を賃貸人に無断で法人登記した場合のリスク

自宅を法人の事務所として使う場合、登記や運営にあたってはさまざまな制約があります。特に自宅が賃貸や分譲マンションの場合は注意が必要です。以下で、よくある注意点を確認しておきましょう。
リスク①:自宅が賃貸・分譲マンションの場合
自宅が賃貸物件や分譲マンションであっても、法人の事務所として登記することは可能です。ただし、登記の前に必ず自宅の管理規約や賃貸契約書を確認する必要があります。
「住居専用」「事務所利用禁止」「法人登記不可」などの規定がある場合は、自宅を事務所として使うこと自体が契約違反となります。違反した場合、最悪は退去を求められる可能性もありますので、事前の確認は必須です。
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リスク②:許認可・用途地域の制限
自宅を法人の事務所として使用する場合でも、業種によっては別途許認可や施設要件が求められることがあります。たとえば、一定の広さの事務所スペースや、商号の掲示が必要な場合もあり、自宅だけでは条件を満たせないこともあります。
また、自宅所在地の「用途地域」が住居専用に限定されている場合、一部の業種では営業活動そのものができないこともあるため、法人の登記や事業開始前に市区町村の窓口で用途地域の確認をしておくと安心です。
リスク③:住宅ローン減税が使えなくなる可能性
自宅を法人の事務所として転用した場合、住宅ローン減税の対象外となる可能性があります。

SoVa税理士お探しガイド編集部
住宅ローン契約では、「居住用」としての使用が前提であり、法人の本店所在地として登記することで「事業用」とみなされるケースがあるためです。
さらに、「居住用でなくなった場合は契約条件を失う」といった条項が含まれていることも多く、自宅の事務所化によって金融機関との契約違反になるおそれもあるため注意が必要です。
自宅以外の住所で法人登記したい場合

法人を設立する際、「できるだけ初期費用を抑えて登記したい」と考える方は多いでしょう。とくに、まだ売上が安定しない設立初期のフェーズでは、自宅を法人登記の住所として活用するのが一般的な方法です。しかし、「自宅ではなく別の場所を法人の登記住所にしたい」「自宅での登記は契約上できない」というケースも少なくありません。
そのような場合に検討できるのが、自宅以外の住所で法人登記を行うための、オフィスや所在地の確保方法です。ここでは、法人の登記先として活用できる代表的な選択肢を紹介します。

SoVa税理士ガイド編集部
自宅の住所で法人登記するメリット・デメリットについてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。
事務所や店舗が必要な法人向けの登記先
事務所や店舗が必要な場合の登記先としては以下が人気です。
自宅以外の法人登記の候補①:賃貸オフィス
法人登記を自宅以外で行いたい場合の代表的な方法が「賃貸オフィス」の契約です。法人として本店所在地を構えるにふさわしい環境であり、商談ブースや執務スペースを自由にレイアウトできるのが特徴です。
年間契約が主流で、契約時には数ヶ月~1年分の保証金や敷金が必要になるため初期費用は高めですが、法人の信頼性を高めたい場合や、オフィスにこだわりがある法人に適しています。もちろん、法人登記も問題なく行えます。
自宅以外の法人登記の候補②:レンタルオフィス
法人登記が可能な「レンタルオフィス」は、家具・設備が初めから整っており、すぐに業務を開始できるのが魅力です。施設利用契約で借りる形式のため、契約条件も比較的柔軟で、短期利用にも対応しています。
自宅の住所で法人登記するメリット・デメリットに関するおすすめ記事
インターネット回線や複合機、デスク・チェアなどが備わっており、初期投資が不要な点も、自宅以外で法人登記を行いたい法人にとって大きなメリットです。
自宅以外の法人登記の候補③:シェアオフィス
シェアオフィスは、自宅以外で低コストに法人登記ができる選択肢のひとつです。レンタルオフィスと異なり、個別スペースはなく、開放的な共用スペースを複数の利用者と共有します。
必要に応じて法人登記にも対応しており、初期費用を抑えながら法人の活動を始めたい一人社長やスタートアップに適しています。自宅のようなプライベート空間と異なり、外部の視線があることで仕事に集中しやすいという利点もあります。
登記住所だけを確保したい法人向けの登記先
物理的なオフィスを構えず、法人登記に必要な「住所のみ」を借りる方法として人気なのが「バーチャルオフィス」です。

SoVa税理士お探しガイド編集部
自宅を法人の登記先にしたくない場合や、事務所を持たない業態の法人にとっては、非常にコストパフォーマンスの高い選択肢です。
バーチャルオフィスでは、郵便物の受け取り・転送などのサービスも提供されており、一等地の住所を法人の登記住所にできるため、ブランディング効果や信頼性向上にも寄与します。ただし、法人銀行口座の開設時に審査が厳しくなるケースもあるため、注意が必要です。
まとめ

自宅の住所で法人登記を行うことは、初期費用を抑えながら柔軟に事業を始められる有効な手段です。特に小規模法人や一人社長にとっては、自宅で登記できることは大きな利点となるでしょう。しかし、自宅での法人登記にはデメリットも存在し、特に賃貸物件では契約違反となるリスクがあります。

SoVa税理士ガイド編集部
法人登記を進める前に、契約書や管理規約の確認は必須です。
また、プライバシー保護や対外的な信用を重視する場合は、自宅以外の住所を使った法人登記(シェアオフィスやバーチャルオフィス)も有効な選択肢となります。自社にとって最適な登記住所を選び、安心して法人運営をスタートしましょう。
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