役員賞与を活用した節税方法とは?具体的な手続き方法や注意点についても解説!

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公開日:2024年12月

更新日:2024年12月14日

役員賞与は、原則として税務上経費としては認められませんが、特定の条件を満たせば経費として計上できる場合があります。役員賞与を経費として計上できれば、利益を圧縮し、節税対策として活用することが可能です。適切に役員賞与を設定し、経費として認められる方法を知ることは、会社にとって重要な節税手段となります。

SoVa税理士お探しガイド編集部

本記事では、役員賞与の適切な決め方や、税務上経費として計上する方法、さらには節税につながる注意点について詳しく解説します。役員賞与を効果的に活用し、会社の利益を守るための知識をお伝えします。

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目次

  1. 役員賞与と役員報酬の違い
    1. 役員の範囲
    2. 役員賞与が経費として認められないケース
  2. 役員賞与を経費にして法人税を節税する方法
    1. 役員賞与を活用した節税方法①:税務署に「事前確定届出給与に関する届出」を提出する
    2. 役員賞与を活用した節税方法②:定期同額給与とする
    3. 役員賞与を活用した節税方法③:事前確定届出給与として計上する
    4. 役員賞与を活用した節税方法④:利益連動給与を活用する
    5. 役員賞与を活用した節税方法⑤:使用人兼務役員として経費計上する
  3. 役員賞与を増やすために必要な手続き
    1. 役員賞与を増やすための手続き①:株主総会で決議する
    2. 役員賞与を増やすための手続き②:事前確定届出給与に関する届出を行う
  4. 役員賞与を増額した場合の節税シュミレーション
    1. ケース①:毎月の役員報酬が均等で役員賞与が0円の場合
    2. ケース②:毎月の役員報酬を少なく設定し役員賞与を増やす場合
    3. シミュレーションによる節税効果
  5. 役員賞与を活用した節税方法のデメリット
    1. 役員賞与を活用した節税のデメリット①:不当に役員賞与を高額にすると損金算入ができない
    2. 役員賞与を活用した節税のデメリット②:退職金の損金算入額が減少するリスク
    3. 役員賞与を活用した節税のデメリット③:税金負担が増加する可能性
  6. まとめ

役員賞与と役員報酬の違い

役員賞与も役員報酬も、役員に支給される点では同じですが、支給のタイミングに違いがあります。役員報酬は毎月定額で支給されるのに対し、役員賞与は臨時で支払われます

ここがポイント!

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適切に役員賞与を設定することで、会社は節税対策として活用することができます。

役員の範囲

そもそも「役員」とはどこまでを指すのか、これは会社法に定められています。
会社法第329条によると、株式会社における役員は「取締役」「会計参与」「監査役」とされています。さらに「執行役」や「会計監査人」は役員には含まれませんが、会社法では「役員等」と表記され、役員と同様に扱われることがあります。

役員賞与が経費として認められないケース

通常、役員賞与は経費として認められません。理由としては、会社の業績に応じて賞与を支給することで利益を圧縮し、意図的に節税を図るといった利益操作が可能になるためです。決算期に合わせて役員賞与を支給することで、税負担を軽減する動きが出ないよう、原則として経費計上が禁止されています。

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役員賞与を経費にして法人税を節税する方法

役員賞与を経費として認めてもらい、効果的に節税するためには、適正な手続きと条件が必要です。ここでは、役員賞与を経費計上し、節税対策として活用する方法について解説します。

役員賞与を活用した節税方法①:税務署に「事前確定届出給与に関する届出」を提出する

役員賞与を経費にするには、「事前確定届出給与に関する届出」を税務署に提出する必要があります。届出の提出期限は、株主総会で役員賞与の支給決定後、1カ月以内です。

例えば、3月決算の会社が6月末までに定時株主総会を開催した場合、7月末日までに税務署へ役員賞与に関する届出を提出すれば、経費計上が認められます。正確な手続きを行うことで、節税対策になります。

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役員賞与を活用した節税方法②:定期同額給与とする

毎月一定額を支給する「定期同額給与」を採用することで、役員賞与の一部を12カ月で均等に分けて経費計上できます。ただし、支給額を変更して決算期の利益を圧縮するような節税対策は認められません。固定額で支給し続けることが条件です。

役員賞与を活用した節税方法③:事前確定届出給与として計上する

役員賞与の支給額と支給日を事前に確定し、税務署に届出を提出することで経費計上できます。この方法により、役員賞与を経費として扱い、適正に節税することが可能です。

気をつけておきたい注意点

税理士
        _依頼_おすすめの注意点

ただし、支給額や支給日が1円、1日でもずれると経費計上が認められなくなるため注意が必要です。

役員賞与を活用した節税方法④:利益連動給与を活用する

利益に応じて支給される「利益連動給与」も、一定条件を満たせば役員賞与として経費計上できます。利益が出た場合のみ役員賞与が支給されるため、無駄な支出を抑え、効率的な節税が可能です。ただし、利益の判断には有価証券報告書などでの数値が用いられるため、利用には制限があります。

役員賞与を活用した節税方法⑤:使用人兼務役員として経費計上する

役員が「使用人兼務役員」であれば、役員賞与ではなく従業員としての賞与を経費計上し、節税する方法があります。例えば、取締役営業部長や取締役総務部長といった肩書の場合、従業員部分の賞与は経費として認められます。

ただし、代表取締役や副社長、監査役など特定の役職者は「使用人兼務役員」になれないため、この節税方法は適用できません。

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役員賞与を増やすために必要な手続き

役員賞与を節税対策として損金に算入するためには、いくつか重要な手続きが必要です。具体的には、役員賞与に関して「株主総会での決議」と「事前確定届出給与に関する届出」の2つが求められます

SoVa税理士お探しガイド編集部

以下で、それぞれの手続きについて詳しく解説します。

役員賞与を増やすための手続き①:株主総会で決議する

最初に、株主総会を開催し、役員賞与を支給することについて決議します。議事録に役員賞与の支給額や支給日をしっかりと記載し、保管することが重要です。この手続きを踏むことで、後の節税対策がスムーズに進みます。

役員賞与を増やすための手続き②:事前確定届出給与に関する届出を行う

次に、「事前確定届出給与に関する届出」を税務署に提出します。この手続きは、役員賞与が利益調整や脱税目的で使われることを防ぐためのものです。役員賞与を経費として計上し、節税効果を得るには、この届出が必須です。

事前確定届出給与について、以下のポイントに注意しましょう。

1. 届出の提出期限

役員賞与に関する事前確定届出給与の提出期限は、次のいずれか早いほうです。

  • (a) 株主総会で役員賞与の決議をした日から1カ月以内
  • (b) 会計期間開始日から4カ月以内

例えば、3月決算の会社が5月25日に定時株主総会を開催し、役員賞与を決議した場合、(a)の期限は6月25日、(b)の期限は7月31日です。この場合、早いほうの6月25日までに届出を提出する必要があります。期限を守らなければ、節税効果を得ることができません。

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2. 支払いの時期と金額は届出通りに

役員賞与の支給時期と支給額は、税務署に届け出た内容と一致させることが重要です。万が一、届け出た金額や日付と異なる場合、役員賞与の全額が損金不算入となり、節税効果が失われます。

例えば、届出で「100万円」と決めたのに150万円を支給すると、その150万円全額が経費として認められません。逆に70万円を支給しても、70万円全額が損金不算入になります。適切な節税のためには、正確な支給が不可欠です。

3. 支払いを取り消す場合は変更届出が必要

業績悪化などで事前に決めた役員賞与を支給しない場合は、「事前確定届出給与に関する変更届出」を提出しなければなりません。その際、株主総会で役員賞与の不支給について正式に決議することも求められます。変更手続きを怠ると、節税対策が無効になるので注意しましょう。

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役員賞与を増額した場合の節税シュミレーション

役員賞与と役員報酬の割合を調整することで、どれほど節税効果が得られるのか、社会保険料をシミュレーションしてみましょう。会社が役員に支払う年間総額が同じでも、役員賞与と役員報酬の配分によって、社会保険料や厚生年金保険料の負担額には大きな差が生まれます。具体的な数字を用いて、節税効果を比較していきます。

ケース①:毎月の役員報酬が均等で役員賞与が0円の場合

まず、毎月の役員報酬を100万円、役員賞与は年間0円と設定します。この場合、社会保険料は以下のとおりです。

  • 健康保険料:97,804円
  • 厚生年金保険料:118,950円
  • 合計(月額):216,754円

年間総額:216,754円 × 12カ月 = 2,601,048円

ケース②:毎月の役員報酬を少なく設定し役員賞与を増やす場合

次に、毎月の役員報酬を10万円に抑え、役員賞与を1,080万円と設定します。この場合、社会保険料は以下のとおりです。

  • 健康保険料(月額):9,780円
  • 厚生年金保険料(月額):17,934円
  • 合計(月額):27,714円

また、役員賞与にかかる社会保険料は、以下の計算になります。

  • 健康保険料:573万円 × 9.98% = 571,854円
  • 厚生年金保険料:150万円 × 18.30% = 274,500円
  • 合計(年額):846,354円

このケースでの年間の社会保険料は以下のようになります。

  • 役員報酬分:27,714円 × 12カ月 = 332,568円
  • 役員賞与分:846,354円
  • 年間合計:1,178,922円

シミュレーションによる節税効果

役員賞与を0円にして役員報酬を均等に支給した場合と、役員賞与を増やした場合を比較すると、年間の社会保険料に約140万円の節税効果があることがわかります。

このように、役員賞与と役員報酬の配分を工夫することで、社会保険料の負担を大幅に軽減し、賢く節税することが可能です。役員賞与の活用は、経費の最適化と共に、効果的な節税対策として重要なポイントになります。

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本記事では、役員賞与を役員報酬の一部として計上し、適切に節税するための方法を解説します。

役員賞与を活用した節税方法のデメリット

役員賞与を活用して節税を実現することで、社会保険料の節約が可能になりますが、いくつか注意すべきポイントがあります。特に事前確定届出給与の提出手続きが適切に行われないと、役員賞与が損金算入できず、逆に税務リスクが発生することもあります

SoVa税理士ガイド編集部

ここでは、役員賞与を増額しながら社会保険料を節約する際に気をつけるべき点について詳しく解説します。

役員賞与を活用した節税のデメリット①:不当に役員賞与を高額にすると損金算入ができない

役員賞与を増額することで社会保険料の節税が図れますが、金額が社会通念上不当に高額だと、損金算入が認められなくなるため注意が必要です。たとえ事前確定届出給与を提出していたとしても、不当に高額な役員賞与は損金として認められません。

不当かどうかは、以下の基準で判断されます。

  • 役員の職務内容
  • 企業の収益状況
  • 従業員の給与支払い状況

そのため、役員賞与の増額は、適正な金額内に抑えることが重要です。適正な範囲で役員賞与を設定することで、節税効果を最大限に得られます。

役員賞与を活用した節税のデメリット②:退職金の損金算入額が減少するリスク

役員報酬を減額し、役員賞与を増額する調整を行うことで、将来の退職金に関わる損金算入額が減少するリスクも考慮する必要があります。退職金の損金算入限度額は、以下の要素で決まります。

  • 最終報酬月額
  • 在任年数
  • 功績倍率

月額の役員報酬が低いと、退職金の経費算入額も少なくなってしまい、長期的には不利益になる可能性があります。

ここがポイント!

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特に退職が近い役員については、退職金への影響を慎重に検討し、役員賞与と役員報酬のバランスを適切に調整することで、長期的な節税対策を考えることが重要です。

役員賞与を活用した節税のデメリット③:税金負担が増加する可能性

役員賞与を増額して社会保険料を節約すると、会社の利益や役員個人の所得が増えるため、法人税や所得税の負担が増加する可能性があります。節税を行う際には、社会保険料の削減額と、増加する税金額を比較し、総合的に判断する必要があります。

ただし、一般的に社会保険料の節税額は、税金の増加分を上回るケースが多いため、役員賞与の増額による社会保険料の削減は、全体的に見て大きなメリットが期待できます。

役員賞与をうまく活用し、適切な手続きを踏むことで、社会保険料の節約と効果的な節税を実現できます。

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まとめ

役員賞与を活用した社会保険料の節税は、役員報酬と役員賞与の割合を調整することで効果的に行えます。しかし、役員報酬を減額することで生活に影響が出るリスクや、役員賞与を増額することで会社の資金繰りに負担がかかるデメリットも慎重に考慮する必要があります。

役員賞与を増額して社会保険料の節税を図るには、まず株主総会での決議が必要です。その後、事前確定届出給与を税務署に提出する適切な手続きを踏まなければなりません。特に、事前確定届出給与では、届出内容と実際の役員賞与の支給額を一致させること、適正な金額設定を行うこと、そして期限内に届出を行うことが重要です。

気をつけておきたい注意点

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不当に高額な役員賞与や届出内容と異なる支給額は、損金算入が認められないリスクがあり、節税効果を損なう可能性があります。

社会保険料を節税するためには、役員賞与の調整だけでなく、企業型確定拠出年金の導入も有効です。企業型確定拠出年金では、掛金拠出時に損金算入が可能であり、役員や従業員にとっても給与所得として扱われないため、節税効果が期待できます。さらに、企業型確定拠出年金は加入者自身の資産形成にも活用できるため、役員賞与の戦略的活用と併せて導入を検討すると、さらなる節税メリットが得られるでしょう。

このように、役員賞与の増額と企業型確定拠出年金を組み合わせた節税対策は、企業と役員、さらには従業員にとっても総合的なメリットをもたらします。本記事を参考に、自社にあった節税対策を税理士と相談してみるのもおすすめです。

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