役員報酬の適正額はいくら?税理士に相談するメリットについても解説
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公開日:2024年5月
更新日:2024年8月7日
役員報酬の適正額を決定することは、企業経営において重要な課題です。この記事では、役員報酬の基本的な定義から、その適正額の決定方法、税理士に相談するメリットまでをわかりやすく解説します。適切な役員報酬の設定によって、企業の健全な経営を支えるためのポイントを紹介します。
おすすめ参考記事:【経営者必見!】役員報酬の決め方とは?手続きや注意点について徹底解説!
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目次
役員報酬の適正額の前に|役員報酬とは?
「役員報酬」は、法律で厳密にルールが定められています。ここでは、役員の定義や給与との違いをわかりやすく解説します。
役員とは?
「役員」とは、会社経営の責任を持つ立場にある人で、いわゆる経営者や上位管理職を指します。
会社法において、役員は「取締役」「会計参与」「監査役」を指します。一方、法人税法上の役員にはこれらに加え「執行役」「理事」「監事」「清算人」も含まれ、その範囲が広くなります。
役員報酬と給与の違い
給与とは、会社に雇用されている従業員が「労働の対価として」得る報酬のことです。
従業員は会社と雇用契約を結びますが、役員は会社と委任契約を結びます。この場合の委任契約とは、会社からの指示を受けずに経営に関する裁量を持たせる契約のことです。
また、一般的に「管理職」と呼ばれる人々は、役員であるかどうかに関係なく、通常の雇用契約を結んで給与を受け取る立場にあります。
役員報酬の適正額に関するおすすめ記事
役員報酬と給与との違いは、以下の記事でも解説しているので、より詳しく知りたいと考えている方は、ぜひ以下の記事も参考にしてみてください。役員報酬と給与との違いを理解することで、より役員報酬への理解が深まるでしょう。
合わせて読みたい「役員報酬と給与の違い」に関するおすすめ記事
役員報酬と従業員への給与の違いとは?役員報酬の変更手続きもあわせて解説
役員報酬を決める時の流れ
役員報酬の決定には法律による制約があり、以下の方法で決定されます。
定款や株主総会の決議
役員報酬は、会社法により、定款または株主総会の決議を経て決定されることが定められています。
定款で定める場合は、役員報酬の金額が変動するたびに定款を変更する必要があります。そのためには株主総会の特別決議が必要です。一般的には、株主総会の決議によって役員報酬が決定されます。
決定後に必要な手続き
定期同額給与については、税務署への届出は必要ありません。ただし、社会保険に加入する際には、健康保険組合や年金事務所への届出が必要です。
役員報酬を決めるタイミング
役員報酬を決定する際には、金額や支給時期だけでなく、次の点にも注意が必要です。
期首から3ヶ月以内に決める
会社設立初年度の場合、役員報酬は会社設立日から「3か月以内」に決定しなければなりません。また、2年目以降に役員報酬の金額を変更する際には、期首から3か月以内に変更する必要があります。
基本的に1年間は変更できない
通常、役員報酬の金額を変更すると損金算入できない金額が発生するため、実質1年間は役員報酬が固定されることになります。
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SoVa税理士お探しガイド編集部
そのため、基本的には期の途中で変更できないという認識を持つことが重要です。
おすすめ記事:【もう迷わない!】役員報酬の適正額はいくら?決めるときの注意点とは?
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役員報酬を損金算入するには?
法人税法上、役員報酬には細かいルールが定められています。ここでは、役員報酬を損金算入する際に注意すべき点について詳しく解説します。
損金算入とは
会社で何か支出をした場合、通常、会計上は「経費」として処理されますが、一部の支出については、法人税を計算する際に経費として認められないことがあります。
会計上の経費と、法人税での経費には、少し意味合いの違いがあるのです。
このように、法人税において経費として計上できるものを「損金算入」と呼び、逆に経費として認められないものを「損金不算入」といいます。
おすすめ参考記事:定期同額給与とは?改定方法や損金算入できる役員報酬の条件も解説
役員報酬を経費にいする方法については、以下の記事でも詳しく解説しています。役員報酬を決めるにあたって、経費として扱う(損金算入)ことは会社経営の中で非常に重要です。これから役員報酬を決めようと思っている方は、以下の記事もあわせて参考にしてください。
合わせて読みたい「役員報酬を経費にする方法」に関するおすすめ記事
役員報酬を経費にする方法とは?経費にするための要件について解説
損金算入できる役員報酬は「3つ」
定期同額給与
定期同額給与とは、一か月以下の一定サイクルで支払われ、同一事業年度内で金額が変動しない給与のことです。簡潔に言えば、従業員の給与と同じ性質を持ちますが、昇給や見直しの概念はなく、基本的に1年間は同じ金額でなければなりません。
事前確定届出給与
事前確定届出給与とは、いわゆる「賞与」に該当するものですが、役員に支給して損金算入するためには、事前に税務署に届け出をする必要があります。事業者の納税地を管轄する税務署に対し、支給時期および支給金額を「事前に」所定のフォーマットで提出する必要があります。
業績連動給与
業績連動給与とは、会社の業績に連動させた役員報酬のことです。「会社の利益」や「上場企業の株価」など、誰が見ても分かる指標に給与を連動させたもので、定期同額給与や事前確定届出給与と異なり、金額は固定されていません。また、業績連動給与を損金算入するためには、業績指標や計算根拠の開示が必須要件となっているため、この制度の適用は上場企業に限られます。業績が上がれば報酬額も増えることから、役員へのインセンティブとして採用している会社もあります。
役員報酬の適正額に関するおすすめ記事
損金算入に関しての注意点
事前確定届出給与には細かいルールがあるため、注意が必要です。
以下に該当する場合、原則として損金算入できません。
・届け出た金額より多く、または少なく支給した場合
・支給額全額が届け出た支給日と異なる場合
なお、複数の役員がいる場合、「届け出と内容が異なる役員に対する支給額のみ」が損金不算入となります。
役員報酬の適正額に関する注意点
事前確定届出給与は、役員一人ひとりに対して支給時期や支給金額を細かく記載するため、その内容どおりに支払われている場合のみ損金算入される点に注意が必要です。
おすすめ記事:役員報酬とは?決め方、かかる税金と節税、相場を解説
役員報酬の適正額の前に|役員報酬を決める時の注意点
ここからは、役員報酬を決定する際に注意すべき点をご紹介します。
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SoVa税理士お探しガイド編集部
役員報酬の適正額と併せて知ることで、役員報酬を正しく運用しましょう。
自社の経営状況を考慮して設定する
前述したように、役員報酬を損金算入するためには、株主総会での決議などを行った上で、事前に決められた金額を定められた時期に支払う必要があります。そのため、事業年度中に業績が悪化した場合でも、事前に定めた金額を支払う必要があり、役員報酬が会社の利益を圧迫する可能性があります。
このような事態を避けるためにも、自社の収益予測に基づき、役員報酬が会社の利益を圧迫しないように、自社の利益と役員報酬のバランスを慎重に考える必要があります。
おすすめ記事:【経営者必見】役員報酬の相場はいくら?資本金別・従業員数別・業種別に徹底解説!
同規模・同業種の他社と比較する
同規模・同業種の他社と比較して、自社の役員報酬が高額である場合、税務署から損金算入を否認される可能性があります。国税庁が提供する資本金ごとの平均役員報酬額のデータなどを参考にして、同規模・同業種の役員報酬額とかけ離れた金額にならないようにしましょう。
税金や社会保険料を考慮する
役員報酬を増やすと、会社の利益が減少し、それに伴い法人税や会社負担の社会保険料の支払額が減ります。しかし、役員報酬が増えることで、役員個人が支払う税金や社会保険料も増加します。会社と役員個人の税金や社会保険料のバランスを考慮して、役員報酬額を設定するようにしましょう。
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役員報酬を変更する時は期首から3ヶ月以内に変更する
基本的に、役員報酬を変更できる期間は期首から3ヶ月以内です。3ヶ月を過ぎてからの役員報酬の変更も可能ですが、その場合は損金算入できず、税負担を減らすことができません。そのため、役員報酬を変更する際は、原則として期首から3ヶ月以内に変更を実施するようにしましょう。
従業員の給与とのバランスを考える
役員の働き次第ではありますが、従業員の給与が役員報酬に比べて極端に低い場合、従業員から不満が出る可能性があります。従業員のモチベーションを維持するためにも、役員の働きに見合った適正な役員報酬額を設定するようにしましょう。
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役員報酬の適正額は?
ここからは、役員報酬の適正額の考え方について解説します。役員報酬の金額や適正額については、法律で具体的なルールが定められているわけではないため、株主の承認が得られれば、設定金額や適正額に制限はありません。
しかし、事業者として利益を生み出すことが前提であるため、役員報酬はその範囲内で適正に決定する必要があります。
「資本金」から考える役員報酬の適正額
ここでは、国税庁が発表した令和3年度の「民間給与実態調査結果」に基づき、資本金ごとの役員報酬額をご紹介します。
調査結果からもわかるように、基本的には資本金に比例して役員報酬額が増加する傾向にあります。資本金が2,000万円未満の場合は平均615万円、2,000万円以上~5,000万円未満の場合は平均922万円です。一方で、例外的に5,000万円以上~1億円未満の場合は平均826万円となっており、2,000万円以上~5,000万円未満の平均額よりも低くなっています。1億円以上~10億円未満の場合は平均1,043万円、10億円以上の場合は平均1,603万円となっており、資本金に比例して報酬額が大きくなっています。
企業の状況によって異なりますが、役員報酬の適正額がわからない場合には、資本金に基づいて考えてみるのも一つの方法かもしれません。
役員報酬の適正額に関するおすすめ記事
「従業員数」から考える役員報酬の適正額
次に、人事院が発表した令和元年の「民間企業における役員報酬(給与)調査」に基づき、従業員数および役員別の役員報酬額をご紹介します。
当然のことではありますが、役職が上がるにつれて役員報酬額が増加する傾向にあります。3,000人以上の従業員を抱える企業の会長職では、1億円を超える役員報酬を受け取っている人もいるようです。役員報酬額の適正額がわからない場合には、従業員数と役職を基に決定するのも一つの方法かもしれません。
その他の基準から考える役員報酬の適正額
経営計画を考慮する
役員報酬は前述のとおり、年度途中で金額を変更した場合、その変更分は損金算入できません。
年度途中で売上が思うように伸びなかったり、逆に利益が多く出て納税額圧縮のために費用を多く計上したいと考えても、簡単に役員報酬の増減はできないのです。
そのため、役員報酬を決定する際には、少なくとも単年度の経営計画をできるだけ正確に策定し、金額を慎重に決定することが重要です。
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SoVa税理士お探しガイド編集部
役員報酬の適正額を考える上では経営計画を考慮することも非常に重要です。役員報酬の適正額の決め方に関して、税制上の観点も解説している以下の記事もおすすめです。
役員報酬の適正額に関するおすすめ記事:役員報酬とは?決め方や税制上のメリット、従業員の給与との違い
社会保険料を考慮する
役員報酬の支払いを受けている人は、社会保険の加入者となります。
つまり、役員報酬は健康保険料や厚生年金保険料の控除対象となり、会社も折半して負担します。総合的にみると、役員報酬額に対して個人が約15%、会社も約15%の社会保険料を負担するため、決して小さくない金額がかかります。
たとえば、役員報酬が年額1,000万円の場合、社会保険料は個人と会社で計300万円を負担することになります。社会保険料の負担も考慮しながら役員報酬額を決定するようにしましょう。
おすすめ記事:役員報酬の相場は?企業規模別の平均額や決めるときの注意点を解説
役員報酬の適正額を設定する重要性とは
適正な役員報酬額を設定することには、重要な意味があります。
税務調査で指摘される可能性がある
「役員報酬の設定が適切でない」と税務調査で指摘される可能性があります。
他社と比較して過度に高い報酬や、業績に見合わない報酬が支払われている場合、税務署から疑問を抱かれやすいです。「法人税を抑えるために役員報酬を適正額より高めている」と疑われかねません。
また、「役員報酬が適正額ではない」と指摘された場合、追徴課税を支払わなければならないことがあります。過剰な報酬は損金として認められず、損金の変化によって法人税や法人住民税が追徴される可能性があります。
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SoVa税理士お探しガイド編集部
このようなリスクを回避するためにも、役員報酬を適正額に設定することが重要です。
個人・法人の税金や社会保険に影響する
役員報酬の額は、会社や個人の税金負担に影響を与えます。
役員報酬が高額であると、会社の法人税は下がり、個人の所得税は増えることになります。会社と個人の双方に影響があるため、役員報酬を検討する際には、税制上の優遇措置や節税対策を考慮しましょう。
また、役員報酬は社会保険料の算定にも影響を与えます。一般的に報酬が高額であるほど標準報酬月額が高くなり、社会保険料の負担も増えます。
役員報酬は短期的には手取り金額に影響し、長期的には年金の支給額などにも影響するため、バランスの取れた適正な設定が必要です。
おすすめ記事:役員報酬の決め方|利益の何パーセント等の適正額や相場の有無&シミュレーションを解説 –
税理士をお探しの方 必見!!
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役員報酬の適正額に関するよくある質問
役員報酬は売上や利益の何パーセントにすれば良い?
指標のひとつとして、売上高に対する割合で役員報酬を決めたいという方もいるでしょう。しかし、業種によっては販管費に占める人件費の割合が高い会社(労働集約型の会社)や、逆に人件費以外の割合が高い会社(資本集約型の会社)もあり、一概に売上高に対する割合で決められるものではありません。
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SoVa税理士お探しガイド編集部
そのため、売上高に対する割合で役員報酬を決定するのは難しいといえるでしょう。
おすすめ記事:役員報酬の適切な決め方とは?税務調査に備えて知りたい4つのこと
役員報酬と給与は両方もらえる?
基本的に、役員報酬と給与を同時に受け取ることはできません。
例外的に、「使用人兼務役員」という形で、役員報酬と給与を両方もらうことは可能ですが、そのためには厳しい基準があります。
使用人兼務役員と認められるためには、部長職や課長職など、雇用される者としての職責を果たしているという実態が必要です。また、報酬の水準も、同様の職務を行う他の従業員と同等でなければ、給与として認められません。
合わせて読みたい「役員報酬と給与は両方もらえる?」に関するおすすめ記事
役員報酬と給与は両方もらえる?給与との違いについても解説
役員報酬の公開義務はある?
年間合計で1億円以上の報酬を得た役員については、「氏名」と「その金額」を個別に開示することが義務付けられています。
ただし、開示義務があるのは、有価証券報告書を提出する企業に限られるため、すべての企業に開示義務があるわけではありません
役員報酬の適正額に関するおすすめ記事
まとめ
役員報酬は従業員に支払う給与とは異なり、さまざまな点に注意して金額などを決定する必要があります。また、金額を決定する際には、手続きも必要です。
会社設立から数年が経過している場合、過去の利益を踏まえて役員報酬を決定することをおすすめしますが、設立1期目などで利益を予想しながら役員報酬を設定するのが難しい場合は、税理士に一度相談してみることをおすすめします。
役員報酬を決める際に税理士に相談したいという方は、以下の記事も参考にしてみましょう。以下の記事では、本記事と同様に役員報酬の基本や決め方をはじめ、役員報酬の決め方を税理士に相談するメリットについても解説しています。これから役員報酬をはじめて決める方は、ぜひこちらの記事もあわせてお読みください。
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