パソコン代は経費にできる?仕訳時の勘定科目や経費にするためのポイントを解説!

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公開日:2025年6月

更新日:2025年6月3日

事業において欠かせない設備のひとつであるパソコン。業務用として購入したパソコン代は、適切な条件と処理を行えば経費として計上することが可能です。しかし、パソコンの金額や購入方法によって、使用すべき勘定科目や仕訳のルールが異なるため、正しく理解しておくことが重要です。

この記事では、パソコン代を経費にできるかどうかの判断基準や、金額別に異なる科目の使い分け、仕訳処理の注意点などを詳しく解説します。経費処理に悩んでいる個人事業主や経理担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

パソコン代は経費にできる?

事業用にパソコンを購入した際の仕訳では、どのように経費処理を行うかによって使用する勘定科目が異なります。まず確認すべきは、パソコンの取得価額(購入金額)です。この金額によって、当期の経費として処理できるか、それとも資産計上して減価償却を行うかが決まります。

例えば、取得価額が10万円未満のパソコンであれば、「消耗品費」という経費科目で処理可能です。一方、10万円以上の場合は、「備品」または「工具器具備品」といった固定資産の科目で計上し、耐用年数に応じて減価償却しながら経費にしていきます。

SoVa税理士ガイド編集部

また、パソコンの購入形態にも注意が必要です。

現金で一括購入する場合と、クレジットカードでの分割払い、さらにはリース契約を通じてパソコンを導入する場合とでは、使用する勘定科目や経費の処理方法が異なります。たとえば、分割支払いであれば「未払金」や「未払費用」といった科目が関係し、リースであれば「リース料」などの経費科目で対応します。

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このように、パソコンの取得方法や金額に応じて、正しい科目を選び、適切に経費計上を行うことが、正確な会計処理と税務対応につながります。

パソコンが10万円未満の場合の勘定科目

事業で使用される資産の中には、時間の経過や使用に伴って価値が減少するものがあり、これを減価償却資産と呼びます。パソコンはまさにその代表例であり、使用することで徐々に価値が減るため、会計上は減価償却資産として扱われます。

パソコンは、売却によってお金に換えられる「換金性」もあり、収益を生み出す手段としても用いられるため、資産として認識されます。ただし、一定の条件を満たすパソコンは、資産計上せず、購入した年度に必要経費として全額を計上することが可能です。

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【パソコンが経費計上できる主な条件(いずれかに該当)】

  • 使用可能期間が1年未満である場合
  • 取得価額が10万円未満である場合

使用可能期間については、法定耐用年数ではなく、実際の利用状況などに基づいて判断されます。ただし、通常パソコンは1年以上使用することが前提のため、経費処理では購入金額(取得価額)が重視されます。取得価額が10万円未満のパソコンであれば、当期の経費として全額計上することが可能です。

パソコンを経費として処理する仕訳例:8万円のパソコンを現金で購入した場合

借方(経費科目) 金額 貸方(科目) 金額
消耗品費 80,000円 現金 80,000円

パソコンを経費にする際の勘定科目はここがポイント!

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このように、10万円未満のパソコンは、「消耗品費」などの経費科目で処理することが一般的です。また、場合によっては「事務用品費」などの他の経費科目を選択することも可能です。

パソコンの購入にあたっては、その使用期間や金額、使用目的を踏まえ、適切な勘定科目と経費処理を行うことが重要です。事業に必要な支出であることが明確であれば、税務上の経費として問題なく認められます。

パソコンが10万円以上20万円未満の場合の勘定科目

取得価額が10万円以上20万円未満のパソコンを購入した場合には、「一括償却資産」という勘定科目を使って経費処理を行うことが可能です。この処理方法は、資産の管理を簡略化しつつ、3年間で均等に経費計上できる点が特徴です。

SoVa税理士ガイド編集部

パソコン代を経費にする際の勘定科目についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。

おすすめ記事:【事例で解説】パソコンの勘定科目とは?ケース別に購入時の仕訳例まとめ

たとえば、15万円のパソコンを現金で購入した場合、以下のように勘定科目を用いた仕訳が行われます。

【パソコン購入時の仕訳】

借方(資産科目) 金額 貸方(科目) 金額
一括償却資産(パソコン) 150,000円 現金 150,000円

この段階では、「一括償却資産」という資産科目で処理しますが、固定資産台帳での詳細な管理は不要です。

【決算時の仕訳(3年均等償却の初年度)】

借方(経費科目) 金額 貸方(科目) 金額
減価償却費(パソコン) 50,000円 一括償却資産(パソコン) 50,000円

このように、「一括償却資産」は耐用年数にかかわらず、購入年度にかかわらず、3年間で均等に減価償却を行い、各年度の経費として処理していきます。

SoVa税理士ガイド編集部

さらに、期中にパソコンを購入した場合でも、月割計算は不要で、1年目から1/3ずつ経費計上できます。

パソコンの取得価額が10万円以上20万円未満であれば、「一括償却資産」という科目を用いた柔軟な経費処理が可能であり、帳簿管理の簡素化にもつながります。適切な科目を選び、正確に仕訳することで、税務上も安心して対応できます。

パソコンが30万円未満の場合の勘定科目

取得価額が30万円未満のパソコンは、経費として処理する際に、原則的な方法に加えて、中小企業者や個人事業主であれば「少額減価償却資産の特例」を利用して処理できる場合があります。パソコンの購入に伴う仕訳や科目選定のポイントを理解して、正確に経費計上を行いましょう。

原則的な処理によるパソコンの経費処理

取得価額が30万円以上のパソコンや、特例の適用対象外の事業者が30万円未満のパソコンを購入した場合には、原則的な処理方法に従い、固定資産として資産計上し、耐用年数にわたって減価償却により経費化していきます。

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(仕訳例)27万円のパソコン1台を現金で購入した場合

借方(資産科目) 金額 貸方(科目) 金額
備品(工具器具備品) 270,000円 現金 270,000円

このように、パソコンを固定資産として「備品」または「工具器具備品」という勘定科目で処理し、その後の減価償却費として段階的に経費へ振り分けます。

少額減価償却資産の特例を利用した経費処理

中小企業や青色申告をしている個人事業主で、一定の要件を満たす場合、取得価額30万円未満のパソコンについては、「少額減価償却資産の特例」により購入年度に全額を経費として処理することが可能です。

この特例の対象となるのは、以下のような事業者です。

  • 法人:資本金1億円以下かつ従業員500人以下の中小企業
  • 個人事業主:青色申告をしており、常時使用する従業員が1,000人以下

この特例では、一会計年度で合計300万円までの資産に対して即時償却が認められます。

パソコン代を経費にする際の勘定科目に関するおすすめ記事:パソコンの経費計上|仕訳での勘定科目、10万円以上のものの処理方法を解説

(仕訳例)27万円のパソコン1台を現金で購入し、特例により全額即時償却する場合

● パソコンの購入を資産として計上

借方(資産科目) 金額 貸方(科目) 金額
備品(工具器具備品) 270,000円 現金 270,000円

● 即時償却により全額を経費化

借方(経費科目) 金額 貸方(科目) 金額
減価償却費(経費) 270,000円 備品(工具器具備品) 270,000円

SoVa税理士お探しガイド編集部

このように、パソコンの購入にあたっては、金額や事業者の属性によって、適用できる処理方法や使用する勘定科目が異なります。

適切な経費処理と科目選定を行うことで、会計処理と税務処理の正確性を保つことができます。

パソコン代を経費にするためのポイント

新品のパソコンを購入する以外にも、仕事で使用するパソコンを入手する方法はいくつかあります。事業で使うパソコンを経費計上する際には、適切な勘定科目の選定とともに、次の4つのポイントを押さえておくことが重要です。

ポイント①:複数台のパソコン購入時の経費計上と科目の考え方

複数台のパソコンを一括で購入する場合でも、合計金額ではなく、1台ごとの取得価額に基づいて経費計上方法と使用する勘定科目を判断します。具体的には、1台あたり10万円未満のパソコンは「消耗品費」として経費科目で処理し、10万円以上のパソコンは「備品」などの資産科目で計上して減価償却を行います。

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【仕訳例】5万円と28万円のパソコンを同日に購入した場合

借方(経費科目/資産科目) 金額 貸方(科目) 金額
消耗品費(経費) 50,000円 現金 50,000円
備品(パソコン) 280,000円 現金 280,000円

このように、パソコンの価格に応じて経費か資産かを判断し、適切な勘定科目を用いた仕訳が必要です。

【仕訳例】9万円のパソコンを5台購入した場合(合計45万円)

借方(経費科目) 金額 貸方(科目) 金額
消耗品費(パソコン) 450,000円 現金 450,000円

このケースでは1台ごとの価額が10万円未満のため、合計が45万円でも「消耗品費」という経費科目でまとめて処理できます。

ポイント②:パソコンをリースした場合の経費処理と科目の違い

パソコンをリース契約で導入した場合にも、リース料やリース資産としての処理により、適切な経費科目や資産科目で会計処理を行う必要があります。主なリース形態は以下の3つです。

所有権移転ファイナンス・リース取引

リース期間終了時にパソコンの所有権が借り手に移る形態で、実質的には購入と同様とみなされます。

【仕訳例】40万円のパソコンをリース契約で取得

借方(資産科目) 金額 貸方(科目) 金額
リース資産(パソコン) 400,000円 リース債務 400,000円

減価償却は「減価償却費」として毎年の経費に計上されます。リース資産は「備品」に準ずる資産科目です。

パソコン代を経費にする際の勘定科目に関するおすすめ記事:パソコンは経費計上できる?勘定科目や処理方法を紹介!【個人事業主・法人必見】

所有権移転外ファイナンス・リース取引

リース期間終了後も所有権がリース会社にある形態で、処理は上記と同様ですが、減価償却の期間がリース期間に限定されます。

【仕訳例】40万円のパソコンを4年間のリース契約で取得

借方(資産科目) 金額 貸方(科目) 金額
リース資産(パソコン) 400,000円 リース債務 400,000円

オペレーティング・リース取引

契約上、短期間の使用を目的とするリースで、パソコンの使用料は「リース料」として経費計上されます。

【仕訳例】年間リース料8万円のパソコン

借方(経費科目) 金額 貸方(科目) 金額
リース料(パソコン) 80,000円 現金 80,000円

リース形態に応じて「リース資産」または「リース料」など、適切な科目で経費処理することが求められます。

SoVa税理士ガイド編集部

パソコン代を経費にする際の勘定科目についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。

おすすめ記事:パソコンの勘定科目は購入金額で変わる!仕訳方法をわかりやすく解説

ポイント③:中古パソコンの経費計上と耐用年数

中古のパソコンであっても、10万円以下であれば新品と同様に「消耗品費」などの経費科目で一括処理することが可能です。中古品の取得はコスト削減にもつながるため、個人事業主や中小企業で広く利用されています。

また、中古パソコンの耐用年数は、次のような計算式で求められます。

(経過年数 × 20%) + 法定耐用年数の残り期間

※この合計が2年未満の場合は、2年を耐用年数として扱います。

例:新品購入から2年経過した中古パソコン

→ 耐用年数 = 0.4年 + 1.6年 = 2年(未満切り捨て)

このように、減価償却によって中古のパソコンも分割して経費計上できます。

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ポイント④:経理方式によるパソコンの経費計上と科目の違い

パソコン購入にかかる消費税を含めて経費計上するかどうかは、「税抜経理方式」か「税込経理方式」かによって異なります。

【税抜経理の場合】消費税は「仮払消費税」という別の科目で処理

借方(経費科目) 金額 貸方(科目) 金額
消耗品費(パソコン) 92,000円 現金 101,200円
仮払消費税 9,200円

【税込経理の場合】消費税を含めた総額で経費または資産として処理

借方(資産科目) 金額 貸方(科目) 金額
備品(パソコン) 101,200円 現金 101,200円

SoVa税理士ガイド編集部

このように、経理方式により同じパソコンの支出でも異なる経費科目が適用されるため、採用している経理方針を確認した上で正確な仕訳を行うことが大切です。

まとめ

パソコン代を経費にする際の勘定科目に関するおすすめ記事

パソコン代は事業用であれば、金額や使用状況に応じて適切な勘定科目を選ぶことで、経費として計上することが可能です。10万円未満であれば「消耗品費」、10万円以上であれば「備品」などの資産科目での処理が一般的となり、減価償却や特例の適用によって経費計上の方法も変わります。

SoVa税理士お探しガイド編集部

さらに、30万円未満であれば中小企業向けの特例によって一括での費用計上も可能です。

正しいパソコンの経費処理を行うためには、税務ルールや自社の経理方式を理解し、適切なタイミングと方法で仕訳することが大切です。事業に必要な支出であるパソコン代を正しく経費計上し、会計や税務処理の信頼性を高めていきましょう。

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