税金を滞納したらどうなる?リスクと対処法も解説!
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公開日:2025年6月
更新日:2025年6月13日
税金の滞納は、多くの人が軽く考えがちですが、実は非常に重大なリスクを伴います。税金は法律で定められた義務であり、納期限を過ぎてしまうと「滞納」となり、延滞税の加算や最悪の場合には財産の差し押さえにまで発展する可能性があります。
「うっかり納付を忘れていた」「資金が足りず納税できなかった」など、理由はさまざまですが、税金の滞納を放置することで、信用の低下や事業の停止など深刻な影響が及ぶこともあります。
本記事では、税金を滞納した場合にどうなるのか、差し押さえまでの具体的な流れや、滞納によるリスク、滞納してしまったときの対処法や未然に防ぐための対策方法について詳しく解説します。税金の滞納に不安がある方は、ぜひ最後までご覧ください。
税金を滞納したらどうなる?

納税は、「勤労の義務」「教育の義務」と並ぶ日本国民の三大義務の一つであり、憲法第30条において税金を納める義務が明記されています。法人であれば、法人税・法人住民税・消費税などを納税する義務があり、個人事業主も所得税・住民税に加えて、事業規模によっては消費税の税金納付義務が生じます。
しかし、これらの税金を納期限までに納めない場合、その状態は税金の滞納とみなされ、「滞納者」として扱われることになります。

SoVa税理士ガイド編集部
税金を滞納すると、延滞税や加算税といったペナルティが発生するだけでなく、滞納が長期化すれば財産の差し押さえや公売といった強制執行を受ける可能性があります。
税金の滞納処分では、国税・地方税いずれも租税債権に自力執行権があるため、裁判所を通さずに直接、財産を差し押さえることができます。税金の滞納は、通常の借金よりも差し押さえの手続きが迅速かつ強力に行われるため、税金滞納のリスクを甘く見てはいけません。
税金を滞納した場合に関するおすすめ記事
税金を滞納しないためには、計画的な資金管理と、納期限を正確に把握することが重要です。滞納が発生した場合でも、早期に税務署や自治体に相談し、分納や猶予の制度を活用することで、強制的な徴収を回避できる場合もあります。
税金滞納から差し押さえまでの流れ

税金を滞納した場合に行われる差し押さえは、税金滞納に対する法的な回収手続きであり、法律に基づいた正当な行政処分です。税金の滞納処分には、裁判所の許可や判決は必要なく、税務署や地方自治体が直接執行できます。
また、税金の滞納者に対しては、事前の同意や承諾がなくても差し押さえを実施できるとされており、税金を滞納している事実だけで強制的な徴収措置が可能です。

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ただし、税金を滞納したからといって、すぐに差し押さえが実行されるわけではありません。通常は一定の手続きや催告を経た上で、税金滞納から差し押さえまでの段階的な流れが進行します。
ここでは、税金を滞納した際に起こる流れや対応ステップについて、わかりやすく解説します。
STEP1:税金を滞納する
税金の滞納とは、税金を納期限までに納付しなかった状態を指します。たとえ1日でも遅れれば税金の滞納となり、税務署や自治体から「滞納者」として扱われます。税金の滞納は、法的に認められた手続きにより財産の差し押さえや強制的な回収へと進む可能性があります。
STEP2:税金滞納後に送付される「督促状」
税金を滞納すると、最初の対応として督促状が送付されます。これは納税の催促を行う正式な書面で、原則として納期限から20日以内に送付されます。税金の滞納者がこの段階で納付すれば、差し押さえは回避できます。
法律上は、督促状が発送された日から10日を過ぎれば、税金の滞納分に対して財産の差押えが可能となります。
STEP3:電話・文書・訪問による再督促
税金を滞納したまま納付が確認できない場合、管轄の税務署や自治体の職員が電話・書面・訪問などによる再度の督促を行います。ここでも滞納分の税金を支払えば差し押さえを回避できますが、無視を続けると次の段階に進みます。
STEP4:滞納者の財産や身辺調査
税金の滞納が続くと、財産の差し押さえに備えて滞納者の財産状況や生活状況の調査が行われます。これは国税徴収法に基づいた正当な手続きであり、個人情報保護法に違反することはありません。
税金を滞納した際の注意点

調査対象には、預金・不動産・保険・株式などの金融資産だけでなく、給与や事業収入も含まれます。
STEP5:税金滞納による財産の差し押さえ
再三の督促にも応じず税金を滞納し続けた場合、税務署や自治体は滞納税金に対する差し押さえを実施します。差し押さえの対象は、以下のような財産です。
- 不動産(登記され、差押通知が送付される)
- 預金・保険(金融機関へ通知される)
- 動産(家具・家電など、事務所や自宅にある物品)
- 債権(滞納者が第三者に持つ請求権)

SoVa税理士お探しガイド編集部
税金を滞納した場合についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。
おすすめ記事:税金滞納のリスクとは?ブラックリストと関係はある?
税金を滞納した場合、これらの資産が強制的に差し押さえられる可能性があります。なお、原則として税金を完納するまで、差し押さえは解除されません。
STEP6:公売・取り立てによる換価処分
差し押さえた財産は、公売や取り立てを通じて現金化(換価)されます。不動産は入札・インターネットを通じた公売にかけられ、債権は回収されます。
STEP7:滞納税金への充当と残額の返還
公売や取り立てにより得た金額は、滞納していた税金に優先的に充当されます。滞納税額より多く回収できた場合、その差額は滞納者に返金されます。
差し押さえ対象外の財産もある
税金を滞納しても、すべての財産が差し押さえられるわけではありません。国税徴収法第75条では、生活や事業に最低限必要な財産は差し押さえの対象外とされています。差押えが禁止されている財産には、以下のようなものがあります:
- 衣服・寝具・家具・台所用品など
- 3か月分の食料や燃料
- 生業に必要な農機具や道具類
- 実印・仏壇・位牌など
- その他最低限の生活に必要な財産
税金を滞納すると、延滞税や財産調査、差し押さえ、公売といった一連の強制処分に発展する可能性があります。税金の滞納を防ぐには、納期限を守り、どうしても支払えない場合は早めに相談して分納や猶予制度を活用することが重要です。
税金滞納によるリスク

納税は義務であるため、滞納した際には会社の経営や事業に以下の影響が及ぶ可能性がリスクとしてあります。
税金滞納のリスク①:税金滞納による資金調達の制限
税金を滞納した企業は、金融機関から融資対象外と見なされる可能性が高くなります。税金滞納により信用力が落ちると、融資審査で不利になり、新規融資の拒否や追加融資の打ち切りなど、資金繰りに深刻な影響を及ぼします。
とくに中小企業にとって、資金調達手段の縮小は経営の継続そのものを脅かす重大なリスクです。
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税金滞納のリスク②:税務調査リスクの増加
税金を滞納すると、税務署から「申告内容に問題があるのでは」と疑念を持たれ、税務調査の対象となる可能性が高まります。
税金滞納者に対しては、国税徴収法に基づき、財産の状況を明確にするための調査(財産調査)が実施されます。
調査では、滞納者の財産の所在・種類・金額・利用状況・権利関係などが詳しく調べられ、悪質と判断されれば、強制捜査が行われる場合もあります。
税金滞納のリスク③:滞納による差し押さえで事業停止の可能性も
税金を滞納し続けると、最終的には現金・預金・不動産・売掛債権などの差し押さえが行われます。

SoVa税理士お探しガイド編集部
差押えにより事業資金が凍結され、工場や事務所などの資産が使えなくなると、事業の継続が困難となり、事実上の営業停止に追い込まれる可能性もあります。
さらに、売掛債権が差し押さえられると、取引先に税金滞納の事実が知られて信用を失うことにもつながり、継続的なビジネス関係に深刻なダメージを与えかねません。
税金を滞納した場合の対処法

税金は、借金やクレジットカードの支払いとは異なり、債務整理で免除されることがない特別な債務です。税金の支払いが困難になると、滞納状態に陥り、延滞税や差し押さえといった深刻なリスクが発生します。
そのため、税金の滞納が発生する前に、早めに市役所や税務署へ相談し、適切な対応を取ることが重要です。以下では、税金の支払いが難しいときの主な対処法を紹介します。
対処法①:税務署や市役所に早めに連絡し、支払いの猶予を申請
税金を滞納する前に、早い段階で市役所や税務署へ連絡を入れることが大切です。事前に相談することで、税金の支払いに関する納付猶予制度や分納制度の案内を受けることができます。
税金を滞納してからの対応では、延滞税が発生したり、財産差し押さえのリスクが一気に高まります。
税金の滞納で気をつけておきたい注意点

とくに、連絡が一切取れない場合には、最短で差し押さえが執行されることもあるため、滞納前の連絡と相談が非常に重要です。
対処法②:滞納した税金を分割納付で支払う
滞納中の税金は原則として一括納付が求められますが、やむを得ない事情がある場合には分割納付が認められることもあります。この場合も、まずは税務署や自治体へ事情を説明し、相談することが前提です。
分割納付が可能になるかどうかは、税金の滞納額や滞納の経過状況、納税者の収入状況などを踏まえて個別に判断されます。滞納税金を少しずつでも支払う意思を示すことで、差し押さえや延滞税の発生を回避できる可能性があります。
対処法③:家族や親族に一時的に立て替えてもらう
どうしても税金の納付が難しい場合は、親や親族に立て替えをお願いすることも1つの有効な方法です。税金を滞納すれば、延滞税の加算や差し押さえのリスクが高まりますが、立て替えによって速やかに税金を納めることができれば、そうしたリスクを避けられます。
税金を滞納した場合に関するおすすめ記事
滞納が長引けば長引くほど、延滞税などで支払い総額は増えていきます。そのため、早い段階で家族に相談し、税金の滞納を未然に防ぐ行動を取ることが大切です。
税金滞納の対策方法

税金滞納によるリスクを防ぐには、次のような対策を心がけましょう。
対策①:納税資金を事前に準備して滞納を防ぐ
税金の滞納を防ぐには、日頃から納税資金の準備と管理を徹底することが基本です。納税は突発的な支出ではなく、あらかじめ納期限が定められています。
納期限は国税庁や自治体のホームページで確認できるため、早めにチェックしておきましょう。
税金の納付通知が届いてから慌てるのではなく、積立貯金などで計画的に資金を用意しておけば、税金を滞納するリスクを大幅に減らすことができます。

SoVa税理士ガイド編集部
税金を滞納した場合についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。
おすすめ記事: 税金を支払えず滞納するとどうなる?罰則や対処法を解説
対策②:税金の種類や納税義務を正しく理解する
税金の滞納は、納税義務の理解不足が原因で発生するケースも少なくありません。税金には所得税・住民税・消費税・固定資産税などさまざまな種類があり、それぞれに納付方法や計算ルールが異なります。
たとえば、会社員は年末調整で納税が完結するケースが多いですが、個人事業主は確定申告を通じて翌年2月〜3月に税金を納付する必要があります。こうした違いを理解せずにいると、無意識のうちに税金を滞納してしまうリスクが高まります。
税金の知識は、インターネットや書籍、税務署のパンフレットなどから学ぶことができます。正確な知識を持つことは、滞納を未然に防ぐ有効な対策です。
対策③:税金の申告・納付は早めに行う
税金を滞納する原因のひとつに、申告や納付の遅れがあります。納期限ギリギリに手続きを行うと、予期せぬ不備や混雑などで期限を過ぎてしまい、延滞税の発生や滞納扱いになることもあります。

SoVa税理士お探しガイド編集部
最近では、多くの自治体がクレジットカード払いやQRコード納付、インターネットバンキングによる税金支払いを推奨しており、これらを活用すればスムーズに納税手続きが完了します。
滞納のリスクを回避するためにも、余裕をもって税金の申告・納付を済ませておくことが大切です。
対策④:税金に関する疑問は税務署へ早めに相談
税金の申告や納付で不明点があるまま放置すると、結果的に税金の滞納につながる恐れがあります。
「申告の仕方がわからない」「控除の対象になるのか不安」など、些細なことでも税務署に相談すれば丁寧に対応してもらえます。
早めに相談すれば、納税に関する不安を解消でき、スムーズに正しい金額を納めることができるため、滞納リスクを最小限に抑えられます。
税金を滞納した場合に関するおすすめ記事:税金を滞納するとどうなる?払えないときの解決方法や対策を紹介
まとめ

税金を滞納すると、延滞税の発生や財産の差し押さえなど、深刻なペナルティが発生する恐れがあります。税金の滞納は信用低下にもつながり、事業の継続や日常生活に大きな支障をきたす可能性もあります。
万が一、税金の納付が困難になった場合でも、早めに税務署や市区町村に相談すれば、納付猶予や分割納付といった救済措置を受けられるケースがあります。

SoVa税理士お探しガイド編集部
大切なのは、税金を滞納しないための備えをし、仮に滞納してしまった場合でも速やかに対応することです。
税金の滞納リスクを正しく理解し、適切な対策を講じることで、安心して納税義務を果たせるようにしましょう。
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