法人化を検討すべき売上の目安は?売上以外の判断目安についても解説!
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公開日:2025年5月
更新日:2025年5月13日
個人事業主として事業を続けてきた方にとって、法人化を検討すべきタイミングは気になるポイントではないでしょうか。特に、「どのくらいの売上があれば法人化すべきか?」という疑問は多くの方が抱えるものです。
一般的に、売上1,000万円や利益800万円といった数値が法人化の目安とされることが多いですが、売上以外にも判断すべき要素は少なくありません。たとえば、社会的信用の必要性、取引先からの要請、事業承継の準備など、さまざまな状況によって法人化のベストタイミングは異なります。
本記事では、法人化を検討すべき売上の目安に加え、売上以外の法人化の判断基準、そしてインボイス制度がもたらす法人化への影響などをわかりやすく解説します。「売上がまだ少ないから…」と迷っている方にも役立つ情報をお届けしますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
法人化を検討する売上の目安は?

個人事業主として活動している方にとって、売上(課税売上高)が年間1,000万円を超えたタイミングは、法人化を検討する重要な目安となります。これは、消費税の納税義務が関係しているためです。
個人事業主の年間売上が1,000万円を超えると、翌々年から消費税の課税事業者となり、消費税の納税が必要になります。一方で、法人化を行うと消費税の課税義務がリセットされるため、新たに設立した法人では法人化後の翌々年まで消費税の納税が免除される可能性があります。これにより、一時的ではありますが消費税の節税効果を得ることができます。
法人化を検討すべき売上の目安はここがポイント!

ただし、法人化後の売上が1,000万円未満にとどまる場合は、そもそも消費税の課税対象とならないため、法人化による消費税節税のメリットが出ないケースもあります。売上見込みを含めた綿密な試算が必要です。
また、2023年10月に導入されたインボイス制度の影響により、消費税の取り扱いが複雑化している点も見逃せません。特に、インボイス対応のために課税事業者となる必要がある取引先が増えると、法人化による信頼性や取引継続性の向上も視野に入れる必要があります。
法人化を検討すべき売上の目安に関するおすすめ記事:個人事業主の法人化目安は課税所得900万円以上!所得以外の目安も解説
利益800万円超も法人化の目安になる理由
法人化の目安は売上だけではありません。利益(事業所得)が800万円を超えた場合も、法人化を考えるべき一つの重要な基準です。これは、税率の違いによって、個人事業主よりも法人の方が税負担が軽減される可能性が高くなるためです。
個人事業主の場合、すべての利益は個人の所得として扱われ、所得税(最大45%)と住民税(約10%)が課税されます。つまり、最大で55%もの税率が適用される可能性があります。一方、法人の利益には法人税(最大23.20%)が適用されるため、利益額が一定以上になれば法人化した方が節税につながるケースが多くなります。
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そのため、利益800万円は法人化の代表的な目安とされており、もし現在の利益が700万円台に達しているなら、法人化の検討とあわせて税額シミュレーションを実施することが推奨されます。
ただし、法人化すれば必ず税金が安くなるとは限りません。役員報酬や所得控除、その他の収入の有無などにより、実際に手元に残る金額は変動します。法人化前後の収支をしっかりとシミュレーションした上で判断することが大切です。
売上以外に法人化の目安はある?

法人化の目安は、単に節税メリットや売上規模だけにとどまりません。今後のビジネス展開や成長戦略によっては、たとえ現時点の売上や利益が少なくても、法人化を検討すべきケースがあります。
たとえば、新規事業の立ち上げや法人向け案件の獲得、外部からの出資による事業拡大を考えている場合は、将来のステップアップを見据えた法人化が有効な選択肢となります。
売上以外の目安①:法人案件を受注したいなら法人化を視野に
法人化の目安として見逃せないのが、法人向けの案件を受注したいときです。取引先の中には、「取引先は法人のみ」と定めている企業も多く、個人事業主では受注できない案件が存在します。これは、法人のほうが社会的信用や責任の重さがあると認識されているためです。
今後、法人案件を売上の柱として構築したい場合は、売上額に関係なく早期の法人化を検討すべきタイミングです。実際に法人化することで、継続的な取引につながったり、事業領域を広げたりと、売上拡大に直結するチャンスも広がります。
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とはいえ、法人化には設立費用や運営コスト、決算手続きなどの手間も伴います。売上規模や業務内容と照らし合わせて法人化のタイミングを見極めることが重要です。
売上以外の目安②:出資を受けて事業拡大したいときも法人化の目安
もうひとつの重要な法人化の目安は、出資による資金調達を考えている場合です。個人事業では、融資以外に大きな資金を集める方法が限られていますが、法人化すれば第三者からの出資を受けることが可能になります。
出資を受けることで、事業の売上拡大に向けたマーケティング投資や人材採用などが可能となり、ビジネスのスケールアップが現実的になります。また、出資には返済義務がないため、万が一の場合でも個人が借金を抱えるリスクは抑えられます。

SoVa税理士お探しガイド編集部
ただし、出資には経営権の一部譲渡という側面もあるため、慎重な検討が求められます。法人化を通じて出資を受ける場合には、明確なビジネスモデルと売上計画を盛り込んだ事業計画書の作成が不可欠です。
法人化した場合と個人事業主の場合の違い

個人事業主から法人化を検討する際の重要なポイントは、そもそも個人事業と法人の違いを理解しておくことです。特に「税金」「収入の構造」「売上の管理方法」などの違いは、法人化の目安を判断するうえで欠かせません。
法人化による税金の違い①:税制面
個人事業主と法人では適用される税制度が異なり、税率構造にも大きな違いがあります。法人化を考える際には、こうした税制面の違いを理解しておくことが大切です。
個人事業主は、所得税・住民税・個人事業税などを納める必要があり、所得が増えるほど税率も上がる「累進課税」が適用されます。たとえば、課税所得が195万円未満であれば5%ですが、4,000万円を超えると税率は最大45%に達します。

SoVa税理士お探しガイド編集部
法人化を検討すべき売上の目安についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。
一方、法人化した場合には、法人税・法人住民税・法人事業税・地方法人税などが課税されますが、法人税率は段階的に抑えられています。たとえば資本金1億円以下の中小企業であれば、課税所得800万円以下の部分は15%、800万円を超えた部分には23.2%が適用されます。
このように、一定以上の売上や利益がある場合、法人化による節税メリットが大きくなるため、利益800万円超や売上1,000万円超は法人化の明確な目安といえるでしょう。
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法人化後の収入の違い②:手取り額
売上から経費を引いた利益が、そのまま収入となるのが個人事業主です。つまり、「売上 - 経費 - 税金 = 手元に残るお金」というシンプルな仕組みです。
一方、法人化後の法人経営者の収入は「役員報酬」という形になります。法人の利益そのものは会社の資産であり、経営者個人の収入ではありません。
役員報酬として適切に設定することで、法人税の課税対象となる所得を調整できるため、法人化による節税対策が可能になります。
法人化を検討する目安に関する注意点

ただし、役員報酬が増えすぎると個人の所得税が高くなるため、バランスの取れた設計が必要です。
インボイス制度導入による法人化目安への影響

インボイス制度の開始により、売上にかかわらず消費税が課税されるケースが増加しています。適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)として登録すると、売上1,000万円未満の個人事業主であっても消費税の納税義務が発生する可能性があるためです。

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これにより、「売上が1,000万円未満だから個人事業主のままでいい」という判断が通用しづらくなりました。結果として、インボイス制度をきっかけに法人化を検討する事業者が増えており、今や売上以外の要素も法人化の目安として重要視される時代になっています。

SoVa税理士ガイド編集部
たとえば、以下のようなケースでは売上規模を問わず、法人化を早期に検討すべきです。
- 取引先からインボイス発行を求められている
- 今後の売上拡大が見込まれる
- 社会的信用を高めたい
- 継続的な取引契約を獲得したい
売上だけを法人化の目安にして失敗しないためのポイント

法人化は、事業を次のステージへ進めるための大きな転機です。しかし、法人化のメリットばかりに注目しすぎて、準備不足のまま進めてしまうと、後に資金繰りの悪化や手続きの煩雑さに悩むケースも少なくありません。
ここでは、売上規模や事業の将来性を踏まえた法人化の目安、注意すべきコスト、事業承継との関係など、法人化で失敗しないための重要ポイントをわかりやすく解説します。
ポイント①:法人化の目的を明確にする
まず大前提として、なぜ法人化するのかという目的を明確にすることが重要です。法人化の目安として、一般的には売上1,000万円超や利益800万円超が挙げられますが、それだけで判断するのは不十分です。
法人化には、以下のようなメリットがあります。
- 社会的信用の向上
- 取引拡大・法人案件の受注
- 節税の可能性
- 資金調達の柔軟性
- 事業承継のしやすさ
一方で、売上規模がまだ小さく、取引先も限られている段階では、法人化のメリットを活かしきれないこともあります。そのため、法人化を検討する際は、現在の売上水準と将来的な事業ビジョンの両方から総合的に判断することが求められます。
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ポイント②:法人化によって増加するコストも要チェック
法人化に伴い発生する費用も、事前にしっかり把握しておきましょう。代表的な増加費用には以下のようなものがあります。
- 法人設立費用(登録免許税や定款認証など)
- 税理士などへの顧問料
- 社会保険料(法人は原則として強制加入)
- 会計ソフトや事務管理コスト

SoVa税理士お探しガイド編集部
とくに社会保険料は、売上が上がる前から負担が発生するため、資金繰りを圧迫する可能性もあるため注意が必要です。
法人化により売上増加が見込めるとしても、その増加分と費用のバランスを取ることが重要です。法人化後の費用対効果を事前にシミュレーションし、売上目標との整合性を確認することが成功の鍵となります。
ポイント③:法人化は事業承継対策としても有効
法人化の目安は売上や節税効果だけではありません。将来的な事業承継を見据えて法人化を進める事業主も増えています。
個人事業主が亡くなると、原則としてその事業は終了します。しかし、法人であれば代表者の交代によって事業継続が可能です。たとえば、家族に事業を引き継いでもらいたい、あるいは従業員に経営を任せたいと考える場合、法人化によってスムーズな承継が実現できます。
こうした観点でも、将来の売上安定・事業存続を意識して早期に法人化を検討するのが得策です。
法人化を検討すべき売上の目安に関するおすすめ記事:個人事業主から法人化する年収の目安は?儲かり具合と将来の展望がカギ
ポイント④:法人化前に必ずシミュレーションを
法人化によって本当に売上増加や節税が見込めるのか?という点は、必ず数値で把握しておく必要があります。事前のシミュレーションでは以下を検討しましょう。
- 法人化後の売上見込み
- 税負担(法人税・所得税)の比較
- 社会保険料などの固定費
- キャッシュフローへの影響
法人化の売上目安に関するここがポイント!

最近ではインターネット上で使える法人化シミュレーションツールもありますが、売上の変動や業種特性を考慮するなら、法人化に詳しい税理士への相談が最も確実です。
まとめ

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法人化を検討する際の目安として、売上1,000万円という数値はひとつの基準にはなりますが、それだけで判断するのは危険です。売上以外にも、今後の事業計画や取引先のニーズ、税務上のメリット・デメリットなどを総合的に判断することが重要です。

SoVa税理士ガイド編集部
特に、インボイス制度の導入によって、売上規模に関係なく法人化を選択する個人事業主も増加しており、制度面からの影響も見逃せません。
「売上が増えてきたから法人化を考えたい」「将来の拡大に備えて法人化の準備をしたい」という方は、今回紹介した内容を参考に、自身の事業に合った法人化のタイミングを見極めていきましょう。
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