合同会社とは?略称・略字や設立手順を解説!
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公開日:2025年8月
更新日:2025年8月16日
合同会社とは、日本の会社法に基づく法人形態の一つで、少人数でも設立しやすく、柔軟な経営が可能な点から近年注目を集めています。英語では「Limited Liability Company」と呼ばれ、その略はLLCです。日本語の略称としては「(同)」、カタカナの略字では「(ド)」があり、契約書や名刺、登記情報などで使い分けられます。ただし、略や略字の誤用は登記や契約トラブルの原因になることもあるため注意が必要です。
本記事では、合同会社とは何かを改めて整理し、合同会社の略称・略字の正しい使い方や、設立時に押さえておきたいポイントを解説します。
合同会社とは

合同会社とは、日本の会社形態の1つで、株式会社や合資会社、合名会社と同じく「持分会社」に分類されます。合同会社とは、2006年5月1日の会社法改正で新たに設立が可能になった会社形態で、アメリカのLLC(Limited Liability Company)をモデルにしています。合同会社の略は(同)や(ド)と表記されるのが一般的です。

SoVa税理士ガイド編集部
近年ではApple、Google、Amazonなど大手外資系企業の日本法人でも、この合同会社形態を採用しています。
合同会社とは・社員の位置づけ
合同会社とは、出資者がそのまま経営者になる会社形態であり、出資者全員が会社の意思決定権を持ちます。株式会社では「所有と経営の分離」が行われ、株主と取締役が分かれますが、合同会社では「出資者=経営者」という構造です。
合同会社と株式会社の違い
合同会社とは、持分会社として出資者が経営権を持ち、自ら業務を執行する点が特徴です。一方、株式会社は出資者である株主と経営を担う取締役が分離しており、この構造の違いが大きなポイントとなります。
合同会社の略は(同)や(ド)ですが、株式会社では(株)が使われます。以下の表は合同会社と株式会社の主な違いです。
項目 | 合同会社 | 株式会社 |
---|---|---|
意思決定 | 総社員の同意 | 株主総会 |
所有と経営 | 原則同一 | 原則完全分離 |
出資者責任 | 間接有限責任 | 間接有限責任 |
役員任期 | 任期なし | 最長10年 |
代表者の名称 | 代表社員 | 代表取締役 |
決算公告 | 不要 | 必要 |
定款認証 | 不要 | 必要 |
利益配分 | 定款で自由に規定 | 出資比率に応じる |
設立費用 | 約10万円〜 | 約25万円〜 |
合同会社の役職構造
合同会社とは、役職が大きく「社員」「代表社員」「業務執行社員」の3種類に分かれる会社形態です。原則として、社員(出資者)全員が代表権と業務執行権を持ちますが、定款で一部社員に限定することが可能です。
- 代表社員:会社を代表する権限を持つ社員
- 業務執行社員:経営の執行権限を持つ社員
業務執行社員が1名の場合、その人物が代表社員を兼ねます。複数いる場合は、その中から代表社員を選出します。合同会社の略(同)や(ド)は、この役職名と共に登記情報などでも使われます。
役職 | 株式会社での対応役職 | 業務執行権 | 代表権 | 登記 | 監視権限 |
---|---|---|---|---|---|
社員 | 株主 | 原則あり | 原則あり | 不要 | 可能 |
業務執行社員 | 取締役 | あり | 代表社員の場合あり | 必要 | 可能 |
代表社員 | 代表取締役 | あり | あり | 必要 | 可能 |
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LLPとの違い
合同会社とは、日本の会社法に基づく会社形態で、法人格を有している点が特徴です。英語では「Limited Liability Company」と呼ばれ、その略はLLCです。一方、LLP(Limited Liability Partnership)は、その名の略が示す通り有限責任事業組合のことで、法人格を持たない組織形態です。合同会社とは異なり、LLPは会社法ではなく民法組合の特例として位置づけられています。
LLPの略と特徴
LLPは「Limited Liability Partnership」の略で、共同事業を行うための組織形態です。合同会社とは違い法人格がないため、株式会社や合同会社といった法人格のある会社形態への組織変更はできません。また、法人格がないため、建設業など法人としての許認可が必要な事業は行えない制約があります。
合同会社とは?会社形態や略称・略字に関するおすすめ記事:合同会社の略称・略字を紹介!LLCや(同)だけじゃない?!
合同会社とは共通する点
LLPの組合員は、合同会社とは同様に出資額を限度とする有限責任を負います。また、利益配分についても合同会社とは似ており、出資比率にかかわらず自由に配分方法を決められます。この点では両者の略や呼び名は違っても、責任範囲や利益配分の自由度という共通点があります。
LLPの活用事例
合同会社とは異なり、LLPは法人格を持たないため活用範囲は限定されますが、協同事業においては幅広く利用されています。たとえば、県と電力会社が再生可能エネルギー普及のために設立したLLPや、JR東日本グループがサービスロボットの研究開発を目的として設立したLLPなどがあります。このように、LLPは複数の個人や会社が協同で事業を行う際の有力な選択肢となります。
合同会社の略称

合同会社とは、日本の会社形態の一つで、略称として「(同)」が用いられます。
合同会社の略称・略字はここがポイント!

契約書や登記簿、名刺などで省略表記する際、この日本語の略が頻繁に使用されます。
具体例は以下の通りです。
- 正式名称:ABC合同会社
- 日本語略称:ABC(同)
合同会社とは ~英語の略称~
合同会社とは、英語では「Limited Liability Company」と表記されます。英語での略は頭文字を取って「LLC」となり、海外取引や英文契約書で用いられます。具体例は以下の通りです。
- 正式名称:ABC Limited Liability Company
- 英語略称:ABC LLC
合同会社とは ~カタカナの略称~
銀行振込の口座名義などでは、合同会社とは別にカタカナ表記の略が必要になるケースがあります。この場合、合同会社の略は「(ド)」が用いられます。具体例は以下の通りです。
- 正式名称:ABC合同会社
- カタカナ略称:ABC(ド)

SoVa税理士ガイド編集部
合同会社とは?会社形態や略称・略字についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もご参照ください。
このように、合同会社とは日本語・英語・カタカナでそれぞれ異なる略が存在し、利用シーンに応じて使い分けられます。
ほかに注意が必要な会社形態の略称

合同会社とは、日本の会社形態の一つですが、他の会社形態にもそれぞれ固有の略があります。略の使い方を間違えると契約書や登記簿で誤解を招くため注意が必要です。
合資会社の略称は(資)
合同会社とは異なり、合資会社の略は(資)です。合資会社とは、無限責任社員と有限責任社員の両方で構成される会社形態で、無限責任社員は会社債権者に対して無限の連帯責任を負います。一方、有限責任社員は出資額を限度として責任を負います。合同会社とは責任の範囲や構成員の仕組みが異なります。

合わせて読みたい「合同会社の略」に関するおすすめ記事

合同会社の略称・略字を紹介!LLCや(同)だけじゃない?!
合名会社の略称は(名)
合同会社とは違い、合名会社の略は(名)です。合名会社とは、無限責任社員のみで構成され、すべての社員が会社債権者に対して無限の連帯責任を負う点が特徴です。合同会社とは異なり、責任の制限がありません。
合同会社とは?会社形態や略称・略字に関するおすすめ記事
株式会社の略称は(株)
株式会社の略は(株)で、合同会社とは略も構造も異なります。株式会社は「所有と経営の分離」が原則で、日常生活でもよく見かける略です。
有限会社の略称は(有)
有限会社の略は(有)で、合同会社とは組織形態も設立可否も異なります。有限会社とは、有限責任社員だけで構成される会社形態です。
法人の形態と各略称に関するここがポイント!

現在は新設できませんが、会社法施行前に設立された有限会社は商号を継続して使用できます。
このように、合同会社とはそれぞれの会社形態ごとに略が異なり、その違いを理解することは正確な書類作成や契約業務において重要です。
合同会社(略:LLC)を設立するには?略称・略字を意識した準備が重要!

合同会社とは、日本の会社法に基づく法人形態の一つで、英語では「Limited Liability Company」と呼ばれ、その略はLLCです。合同会社とは株式会社と比べて設立費用や手続きが簡単で、少人数でも始めやすい点が特徴ですが、設立時には略称や略字の使い方にも注意が必要です。
略(例:(同)、LLC、G.K.)や略字の誤用は、登記や契約上のトラブルにつながることがあります。ここでは、合同会社とは何かを踏まえつつ、設立の流れと略称・略字の正確な扱い方を解説します。
STEP1. 合同会社とは何かを理解し、基本情報と略称・略字を整理する
まずは、合同会社(略:LLC)の基本情報を決定します。社名(商号)には必ず「合同会社」という正式名称を含める必要があり、略称である「(同)」や「LLC」を商号にそのまま入れることはできません。
ただし、名刺や書類では略字((同)など)を使った表記が一般的で、社内ルールとして略称の運用方法をあらかじめ定めておくと混乱を防げます。所在地や資本金、事業目的、会計年度、代表社員など、合同会社とはどういう組織かを明確にしながら骨組みを作ります。
将来的に略や略字を使う場面(登記情報、請求書、Web表記など)を想定しておくことが重要です。
STEP2. 法人実印を作成する際の略称に注意する
合同会社(略:LLC)を設立する際は、法務局に提出する法人実印を作成します。このとき、社名に略称(例:(同)やLLCなど)を入れないよう注意が必要です。
合同会社の略称・略字に関する気をつけておきたい注意点

実印や角印は正式名称と一致していなければ書類不備とされる可能性があります。登記後には、略称や略字を社判や名刺、角印などで使う場面が出てくるため、正式名称と略記名称の使い分けを明確にしておきましょう。
STEP3. 合同会社とは何かを反映した定款を作成をする
合同会社(略:LLC)設立の中で最も重要なのが定款の作成です。合同会社とは、株式会社と違い、公証人の認証が不要であるため、設立コストと時間を削減できます。
ただし、定款には必ず正式な商号を明記し、略称や略字は使用できません。英語の略「LLC」や日本語の略字「(同)」は便宜的な社内表記としてのみ使い、定款では正式な「合同会社」表記を徹底します。
STEP4. 資本金払い込みと略称付き口座名義に注意する
資本金の払い込み時には、合同会社(略:LLC)の正式名称で振込明細や通帳に記載されていることが必要です。略称や略字が記載されていると不備と見なされることがあるため注意しましょう。
合同会社とは?会社形態や略称・略字に関するおすすめ記事
この時点では法人名義口座は未開設のため、出資者(社員)の個人口座を使用します。
STEP5. 登記申請書類作成と略称の正確な区別に注意する
合同会社(略:LLC)の登記申請には、定款、印鑑届書、資本金払込証明書、登記申請書などを用意します。この際、略称や略字を正式名称の代わりに使用すると、法務局で受付されない可能性があります。すべての書類で「合同会社」という正式名称を統一して記載し、略称や略字は登記完了後の実務で使用するようにしましょう。
登記完了後は、合同会社とは法人格を有する存在として認められ、略称や略字を適切に活用できます。
まとめ

合同会社とは、法人格を持つ持分会社の一種であり、設立費用や手続きが比較的シンプルで、経営の自由度が高い会社形態です。英語の略はLLC、日本語の略称は(同)、カタカナ略字は(ド)と複数の略が存在し、シーンによって使い分けることが求められます。
また、合同会社とは異なる会社形態にも略があり、混同を避けるための理解が不可欠です。設立にあたっては、略称・略字の正確な運用ルールをあらかじめ決めることで、登記や契約上のミスを防ぎ、スムーズな事業運営につながります。合同会社とは何かを正しく理解し、略や略字を適切に使いこなすことが、信頼性の高い法人活動への第一歩です。
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