合同会社の設立はひとりでできる?設立するメリットや手順を解説!
個人事業主から法人化(法人成り)を検討する場合、ひとりで会社を設立する際には、合同会社か株式会社のいずれかの会社形態を選ぶことが一般的です。特に合同会社は、株式会社に比べて設立費用が低く抑えられるため、ひとりで会社を設立する際の最有力な選択肢となることが多いです。
では、合同会社は本当にひとりで設立できるのでしょうか。また、ひとりで合同会社を設立する場合には、どのようなメリットが得られるのでしょうか。
この記事では、ひとりで合同会社を設立するメリットや注意点、設立時に意識すべきポイントを詳しく解説していきます。ひとりで合同会社を設立し、成功を目指す際の参考にしてください。
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合同会社はひとりで設立できる?
合同会社は、ひとりで設立することが可能です。ひとりで設立が可能な会社形態には「株式会社」「合同会社」「合名会社」の3つがありますが、中でも合同会社は設立費用が比較的安く、定款認証が不要なため、簡単に設立できる点で人気があります。そのため、ひとりで合同会社を設立しようとする場合には最適な選択肢となることが多いです。
さらに、合同会社をひとりで設立することで、法人としての節税効果を享受できる可能性があります。個人事業主の事業所得が一定額を超える場合には、合同会社を設立することで税金の負担を軽減できるケースも多いです。ひとりで合同会社を設立した際には、自分自身が代表社員となり、合同会社の事業運営を行うことになります。
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ひとりで合同会社を設立するメリット
ひとりで合同会社を設立するメリットは多岐にわたります。合同会社を設立する際には、個人事業主との違いを理解しておくことが重要です。以下では、ひとりで合同会社を設立する主なメリットを詳しく解説します。
ひとりで合同会社を設立するメリット①:社会的信用を得られるため融資が受けやすい
合同会社を設立すると、登記を通じて商号や本店所在地、資本金などの情報が公開されます。このような公的な情報公開によって社会的信用が高まり、金融機関からの融資が受けやすくなります。
また、合同会社として法人化することで、大企業や公的機関との取引機会が増えることも期待できます。個人事業主のままでは難しい契約や取引も、合同会社を設立することで実現できる場合があります。
ひとりで合同会社を設立するメリット②:有限責任になるため倒産時のリスクが低下する
合同会社を設立すると、出資者(ひとりの場合は設立者本人)の責任は有限責任となります。つまり、会社が倒産しても、出資額を超える債務を負うことはありません。一方、個人事業主の場合は無限責任を負うため、すべての債務を自己資産で補填する必要があります。
ここがポイント!
この違いは、ひとりで会社を設立する場合に大きな安心材料となります。
ひとりで合同会社を設立するメリット③:経費の幅が広がり節税効果が高まる
合同会社を設立すると、代表社員としての役員報酬を経費(損金)として計上できます。これにより、課税所得を減らすことが可能になります。また、法人税率は所得税率と比較して一定額以上の所得に対して有利になる場合があります。特に、年間所得が900万円を超える場合は、合同会社の法人税率の方が低くなるため、節税効果が大きいといえます。
ひとりで合同会社を設立するメリット④:社会保険の加入が可能になる
ひとりで合同会社を設立すると、社会保険への加入が義務付けられます。これにより、国民健康保険や国民年金よりも充実した制度を利用できるようになります。健康保険では扶養制度や傷病手当が利用でき、厚生年金では将来受け取る年金額が増える可能性があります。こうした制度面のメリットも、合同会社を設立する大きな理由の一つです。
SoVa税理士お探しガイド編集部
ひとりで合同会社を設立することで、これらのメリットを活用しながら、安定した事業運営を目指しましょう。
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ひとりで合同会社を設立するときの手順
実際にひとりで合同会社を設立する場合、以下の手順に沿って手続きを進めていきます。合同会社を設立するプロセスは比較的簡単と言われていますが、それでも一定の準備と時間が必要です。
専門家に依頼するかどうかによっても異なりますが、ひとりで合同会社を設立する場合でも、通常2週間から1ヶ月程度の期間がかかります。スムーズに進めるためにも、事前に手続きの流れや必要な書類をしっかり把握しておくことが重要です。
SoVa税理士お探しガイド編集部
以下に、ひとりで合同会社を設立する際の具体的なステップを解説します。
ひとりで合同会社を設立するときの手順①:会社の基本情報を決定する(定款作成の準備)
合同会社を設立するためには、定款を作成する必要があります。定款は、会社の基本的な運営方針を記した重要な書類であり、合同会社設立の第一歩です。
定款には、以下のような情報を記載します。
- 絶対的記載事項(必ず記載する情報)
例:会社名(商号)、本店所在地、代表社員の名前、出資金額など - 相対的記載事項(記載することで効力が発生する情報)
例:持分譲渡の制限、業務執行の方法など - 任意的記載事項(自由に決められる情報)
例:事業年度、社員の報酬規定など
ひとりで合同会社を設立するときの手順②:法人用印鑑を作成する
合同会社設立に必要な手続きの一環として、法人用印鑑(実印)を作成します。この印鑑は、登記申請書類やその後の法人契約書類において必要となります。
ひとりで合同会社を設立するときの手順③:定款を作成する
合同会社を設立する際、定款は単なる形式的な書類ではなく、会社運営の基本となる規則を定めるものです。ひとりで設立する場合も、事業活動に支障が出ないように内容を慎重に検討して作成しましょう。
ひとりで合同会社を設立するときの手順④:出資金を払込する
合同会社設立では、事前に決めた出資金を実際に払い込みます。これは、設立登記申請時に必要な証明書類(払込証明書)を作成するための重要なプロセスです。
ひとりで合同会社を設立するときの手順⑤:登記申請書類を作成する
合同会社の設立登記を行うために、以下の書類を準備します:
- 合同会社設立登記申請書
- 定款
- 出資金払込証明書
- 代表社員の就任承諾書
- 印鑑届出書
ひとりで合同会社を設立するときの手順⑥:法務局へ登記申請する
準備した書類を本店所在地を管轄する法務局に提出し、登記申請を行います。この手続きが完了すれば、合同会社が正式に設立されます。オンライン申請も可能です。
ひとりで合同会社を設立するときの手順⑦:税務署や自治体への届出、銀行口座開設を行う
合同会社設立後、以下の手続きを進めます:
- 税務署への法人設立届出書の提出
- 地方自治体への届出
- 年金事務所への届出
- 法人用銀行口座の開設
ひとりで合同会社を設立する際には、これらの手続きを順番に進めることでスムーズに会社を運営する基盤を築けます。合同会社設立の手順を把握し、必要な準備を整えて挑みましょう。
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ひとりで合同会社を設立する際の費用
ひとりで合同会社を設立する場合にかかる費用は、一般的に10万円程度です。合同会社の設立に必要な費用は、株式会社に比べて比較的少なく、個人での会社設立に適しているといえます。
合同会社の設立では、公証役場での定款認証が不要なため、法定費用は法務局での手続きにかかる定款の収入印紙代と登録免許税が主なものとなります。これに加え、印鑑作成費用や証明書類取得費用などの変動費用が発生します。
以下は、ひとりで合同会社を設立する際に発生する主な費用の内訳です。
ひとりで合同会社を設立するのにかかる費用
法定費用(必ずかかる)
項目 | 金額 |
---|---|
定款の収入印紙代 | 40,000円(電子定款を使用する場合は不要) |
登録免許税 | 60,000円 または 資本金の0.7%(高い方) |
変動費用
項目 | 金額 |
---|---|
印鑑作成費用(銀行印・社判など) | 10,000~15,000円 |
印鑑証明書の取得費用 | 390~450円 |
登記簿謄本の取得費用 | 480~600円 |
ひとりで合同会社を設立する時のポイント
- 定款の電子化で費用を抑える
電子定款を使用することで、収入印紙代(40,000円)を節約できます。ひとりで合同会社を設立する場合でも、電子定款対応のソフトや専門家のサポートを活用すれば、コスト削減が可能です。 - 印鑑作成のタイミング
合同会社設立には法人印鑑が必要です。設立後も銀行口座開設や契約書作成時に使用するため、設立前に準備を整えておきましょう。
ひとりで合同会社を設立する場合、これらの費用を事前に計算し、無駄のない準備を進めることが大切です。合同会社設立に必要な費用を理解し、スムーズに設立を進めましょう。
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ひとりで合同会社を設立する際の注意点
ひとりで合同会社を設立する際には、さまざまなメリットがある一方で、いくつか注意すべき点もあります。合同会社を設立することを検討している方は、以下のような注意点を理解しておきましょう。
ひとりで合同会社を設立する際の注意点①:会社設立にかかる費用と手間
ひとりで合同会社を設立する場合、会社設立には費用と手間がかかることを理解しておく必要があります。合同会社は株式会社に比べて設立費用が抑えられるものの、最低限必要な費用として定款の登録免許税(6万円以上)がかかります。
さらに、ひとりで合同会社設立手続きを進める際には、定款の作成や登記申請といった手続きに時間がかかる可能性があります。これらの手続きをスムーズに進めるためには、事前の準備が欠かせません。
ひとりで合同会社を設立する際の注意点②:日常的な事務手続きの負担
ひとりで合同会社を設立した場合、日常的な事務手続きの負担が個人事業主よりも増える点に注意が必要です。
合同会社として法人化すると、決算申告や法人税の申告が必要になりますが、これらの手続きは個人事業主の確定申告に比べて複雑です。
SoVa税理士お探しガイド編集部
ひとりでこれらの事務作業を行うのは難しい場合が多く、税理士に依頼する費用が発生することも考慮する必要があります。
ひとりで合同会社を設立する際の注意点③:赤字でも納税義務がある
合同会社を設立した場合、赤字でも一定の税金を納める必要がある点に注意しましょう。たとえば、法人住民税の均等割や消費税は、所得に関係なく納税義務が発生します。
個人事業主であれば赤字の場合には所得税や住民税は免除されますが、法人ではこうした免除は基本的に適用されません。ただし、消費税については設立初年度に免税事業者となれる場合もありますので、条件を確認することが大切です。
ひとりで合同会社を設立する際の注意点④:法人と個人のお金を厳密に管理する必要性
ひとりで合同会社を設立する場合、法人のお金と個人のお金を明確に区別する必要があります。
個人事業主の場合、事業所得と個人所得は区別されないため自由に使えますが、合同会社を設立すると代表者である自分自身も法人から役員報酬を受け取る形となります。
そのため、法人の銀行口座やクレジットカードは個人用と分け、会社資金の管理を適切に行う必要があります。この管理を怠ると、税務上の問題が発生する可能性があるため注意が必要です。
ひとりで合同会社を設立する場合、これらの注意点を十分に理解し、事前の準備を整えたうえで進めることが重要です。合同会社設立をスムーズに進めるための計画を立て、費用や手間の負担を軽減できる方法を検討しましょう。
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まとめ
合同会社が導入されてから、ひとりで会社を設立するケースや小規模なスタートアップが合同会社として設立される例が増加しました。合同会社を設立することの最大のメリットは、設立費用の安さと経営の自由度の高さです。特に、ひとりで経営を行いながらスピーディーに意思決定を進めたい創業期には、合同会社設立のメリットが大いに活かされるでしょう。
さらに、ひとりで合同会社を設立した場合でも、事業が順調に進み、事業拡大や資金調達を考える段階になれば、合同会社から株式会社への組織変更が可能です。これは合同会社設立を選択するひとり起業家にとって柔軟な選択肢を提供する点で魅力的です。
合同会社設立のメリットやデメリットを十分に理解し、ひとりでの設立を検討する際には、将来的な計画も視野に入れた選択を心がけましょう。
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