マイクロ法人の設立で社会保険料を軽減!役員報酬と社会保険の関係を解説
本記事では、マイクロ法人の設立で軽減することができる社会保険料について解説していきます。マイクロ法人を設立することでどのように社会保険料を軽減することができるのか、また役員報酬と社会保険の関係性についても詳しく解説していきます。これからマイクロ法人の設立を検討している個人事業主の方や、できるだけ支払う社会保険料や税金などを抑えたいという方は、ぜひ本記事を最後までご覧ください。
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目次
マイクロ法人とは
マイクロ法人とは、従業員を雇わず、代表者自身が1人で事業活動を行う会社を指します。一般の会社が事業拡大を目的としているのに対し、マイクロ法人は株主への利益還元を行う必要がなく、税金や社会保険料の軽減を主な目的としています。
マイクロ法人と個人事業主との違い
マイクロ法人と個人事業主の違いは法人化しているかどうかで、働き方には大きな違いはありません。しかし、フリーランスや個人事業主として事業を行うよりも、法人化した方が社会保険料や税金の節税効果があるため、マイクロ法人が注目されています。
ただし、個人事業主が事業を始める際には、税務署に開業届を提出する必要がありますが、マイクロ法人を設立する場合は、定款を作成し、法務局で法人登記を行う必要があります。
ここがポイント!
マイクロ法人として事業を始めるほうが手続きに手間がかかりますが、社会保険や税制面での優遇措置を受けられる場合が多いため、個人事業主として事業を行うか、マイクロ法人にするかは、中長期的な視点で判断することが重要です。
おすすめ参考記事:マイクロ法人とは?つくり方や個人事業主との違いを解説!
会社員はマイクロ法人を設立できる?
企業に属して働く会社員も、マイクロ法人を設立することは可能です。しかし、社会保険の関係も含め、会社によっては社員の副業を禁止する場合があり、マイクロ法人の設立が労働契約に違反する可能性があります。
また、個人事業主が主に行う事業と同じ内容をマイクロ法人で行う場合、税務署から所得を分散させて税を回避していると疑われる可能性があります。マイクロ法人で社会保険のメリットを享受するためにも、個人事業と法人の事業内容を明確に区別することが重要です。
おすすめ記事:マイクロ法人とは?作り方や個人事業主の節税・メリットを簡単に解説
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社会保険とは
社会保険は大きく分けて以下の5つに分類できます。
・公的医療保険
・公的年金保険
・雇用保険
・労災保険
・公的介護保険
中でも特に負担が大きい社会保険が、公的医療保険と公的年金保険です。マイクロ法人では、この公的医療保険と公的年金保険の2大社会保険料を節約することができます。
おすすめ記事:【マイクロ法人で社会保険料を最安に】図と表で詳しく解説
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マイクロ法人設立で社会保険料を削減できる理由
ここでは、マイクロ法人の設立によって社会保険料を削減できる理由について解説します。
マイクロ法人を設立し、社会保険に加入することで、扶養家族分の保険料支払いが不要となります。また、自身の役員報酬を低額に設定することで、社会保険料を最小限に抑えることが可能です。以下で詳しく説明していきます。
社会保険料を削減できる理由①:扶養家族分の保険料支払いが不要
マイクロ法人を設立すると、代表取締役自身も社会保険の加入対象となります。個人事業主の場合、国民健康保険と国民年金に加入しますが、マイクロ法人の場合は、健康保険と厚生年金に加入します。
個人事業主が国民健康保険と国民年金に加入する場合、被扶養者分の保険料も納付する必要があります。しかし、マイクロ法人の健康保険と厚生年金の場合、被保険者分の保険料を納付するだけで、被扶養者が何人いても追加の保険料負担はありません。
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SoVa税理士ガイド編集部
そのため、マイクロ法人による社会保険の節約効果は、扶養家族が多い人ほど大きくなります。事業形態別の社会保険の概要と社会保険の納付対象については以下の表のとおりです。
事業形態 | 社会保険 | 社会保険の納付対象 |
個人事業主 | 国民健康保険・国民年金 | 被保険者+被扶養者 |
法人 | 健康保険・厚生年金 | 被保険者のみ |
社会保険料を削減できる理由②:役員報酬を低額に設定することで社会保険料を抑える
社会保険料は、被保険者の給料に基づいて算出される標準報酬月額によって決まります。そのため、マイクロ法人では、自身の役員報酬を低額に設定することで、社会保険料を削減することが可能です。
おすすめ記事:節税だけじゃない!マイクロ法人で社会保険料を大きく下げられる理由
マイクロ法人における役員報酬と「社会保険」の関係
先述の通り、マイクロ法人の社会保険料は、役員報酬額によって決まります。つまり、役員報酬額を低く設定すると、社会保険料も安くなります。
おすすめ記事:【マイクロ法人】役員報酬はいくらがいい?
出典:令和6年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表
上の表の通り、マイクロ法人の社会保険では、標準報酬の等級が低いと社会保険料が安くなり、等級が上がるごとに、マイクロ法人の社会保険料も上がっていきます。マイクロ法人における役員報酬の決め方の参考にすることで、社会保険料を軽減することができます。
マイクロ法人の設立で社会保険料と所得税を軽減させる方法
マイクロ法人は、個人の年収を最大化するよりも、全体としての節税や社会保険料の節約が主な目的です。そのため、マイクロ法人の役員報酬は所得税、住民税、社会保険料の負担を抑えるために適切に設定するケースが多いです。
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マイクロ法人の設立で社会保険料を最安にする方法
マイクロ法人において、社会保険料は、役員報酬の支給額である報酬月額ごとに健康保険料や厚生年金保険料が決まり、1〜50等級に分類されています。
社会保険料は、1等級が最安で、報酬月額が63,000円未満の場合に最安の1等級に該当します。
ここがポイント!
つまり、社会保険料を節約するためには、役員報酬の月額を63,000円未満にし、年間で75万円を下回るように設定する必要があります。
おすすめ記事:マイクロ法人とは?メリット・デメリットや作り方を解説!
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マイクロ法人の設立で所得税を最安にする方法
マイクロ法人の役員報酬などの給与所得に対しては、所得税が収入金額から給与所得控除を差し引いた後に課税されます。
この給与所得控除は個人ごとに異なりますが、最小限の税負担を目指す場合、年間収入が最も少ない区分である55万円以下の控除額を下回るように、月額45,000円以下の役員報酬を設定する必要があります。
したがって、社会保険料を最小限にするには、役員報酬の月額が63,000円以下であることが重要です。さらに所得税を課されないようにするには、役員報酬の月額を45,000円以下に設定する必要があります。
個人事業主とマイクロ法人の二本立てでさらに社会保険料を節税
通常、個人事業主は国民健康保険に加入します。この保険料は所得に応じて算定されるため、事業の所得が増えると負担も増加しますが、マイクロ法人を設立すると社会保険に加入し、個人事業主が支払う必要がなくなります。
ここがポイント!
個人事業主は青色申告を通じて青色申告特別控除を利用でき、年間最大65万円の所得控除が可能です。これにより、個人事業でも社会保険料の削減や節税が大きなメリットとなります。
ただし、個人事業を行う場合、事業の実態が存在することが不可欠です。社会保険料の削減や節税の利益を得るためには、虚偽の売上計上や私的支出の経費計上、または事実と異なる家族への報酬支払いなどは違法とされていますので、法令を順守するよう留意しましょう。
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マイクロ法人設立時の注意点
ここまでマイクロ法人設立における社会保険の節税メリットについて解説してきましたが、実際にマイクロ法人を設立した起業家の中には、「予想と異なったことがあった」「もっと違うアプローチをすればよかった」と後悔する人も多いようです。
ただし、将来起こりうる課題を事前に把握しておけば、適切な対策が取ることができます。ここでは「マイクロ法人を立ち上げて起業家が後悔したこと」を紹介します。
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マイクロ法人の立ち上げ前や直後に後悔したこと
・マイクロ法人を設立する際、定款の内容を適当に決めてしまい、後で修正するために3万円もかかってしまった。
・個人の判断でマイクロ法人の届出書類を作成した結果、税金の面で損をしてしまう内容に後から気づいた。
・マイクロ法人の設立の申請作業を1人で行ったため、非常に手間がかかり本業に支障が出てしまった。
・マイクロ法人の設立費用の補填に使える助成金の存在を知らず、損をしてしまった。
1人で進めようとすると、業務が手に負えなくなったり、必要な知識が不足して失敗する可能性があり、その結果後悔することがあるようです。
マイクロ法人の立ち上げ後に後悔したこと
・マイクロ法人の決算は、経費処理や法人税の計算が非常に複雑で、予想以上に手間がかかった
・社会保険料の算出が複雑で、1人で対応するのが困難だった
・バーチャルオフィスの契約料や社会保険料、法人税などの負担が思ったよりも大きかった
個人事業主の場合、自身で確定申告を行う人も多いですが、マイクロ法人となると一人で処理するのは難しいことがあります。特に、経理や税務の面で多くの課題が予想されます。必要に応じて、事前に税理士などに相談するのもおすすめです。
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まとめ
役員の報酬を45,000円に設定することで、マイクロ法人の社会保険料が大幅に削減されます。マイクロ法人を設立する最も大きなメリットは、社会保険料や所得税の軽減にあります。
ただし、マイクロ法人の設立には費用がかかり、手続きも複雑です。マイクロ法人の社会保険料や所得税における節税のメリットだけでなく、デメリットも把握してビジネスの運営形態を検討しましょう。
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