合同会社は融資の審査が通りづらい?融資を利用する際のポイントを解説!
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公開日:2025年10月
更新日:2025年10月8日
合同会社は設立費用が安く、手続きも簡単なことから、近年は個人事業主やフリーランスを中心に人気が高まっています。しかし一方で、「合同会社は融資の審査に通りづらい」「資金調達が難しい」といった声もよく聞かれます。確かに、合同会社は株式会社に比べて知名度や信用力が低く、金融機関の融資審査で不利になるケースも少なくありません。
とはいえ、合同会社でも利用できる融資制度は数多く存在します。日本政策金融公庫や自治体の制度融資、信用保証協会の保証付き融資などを上手に活用すれば、創業時でも十分に資金を確保することが可能です。
この記事では、合同会社が融資を受ける際に押さえておきたいポイントや、審査の流れ・必要書類などをわかりやすく解説します。合同会社の設立を検討している方や、これから融資を申し込む方はぜひ参考にしてください。
目次
合同会社は融資を利用しづらい?

合同会社は株式を発行できないため、資金調達の選択肢が限られています。特に、合同会社の資金調達では銀行融資に頼るケースが多く、融資のハードルが高いことが課題です。合同会社はスピード感のある起業が可能というメリットがありますが、設立直後は実績や財務基盤が乏しいケースが一般的です。そのため、銀行の融資審査では実績や資金力を重視され、合同会社が融資を受けにくい傾向にあります。つまり、合同会社と銀行融資の相性はあまり良いとは言えません。
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さらに、銀行側の体制にも課題があります。合同会社は株式会社に比べて新しい会社形態であるため、銀行の融資担当者の中には合同会社に対する理解が十分でない場合もあります。また、一定の資金力や実績を持つ起業家は株式会社を選ぶことが多く、小規模な合同会社が中心となっている現状も、銀行が積極的に融資体制を整えない一因です。銀行にとっては、より大口の融資案件や、数の多い株式会社への対応を優先する方が効率的だからです。
そのため、合同会社として融資を受ける場合は、少額融資にとどまる可能性が高いことを覚悟しておく必要があります。資本金が少なく、自己資金による調達力が弱いという印象を持たれやすいためです。
合同会社で融資を検討する際はここがポイント!

合同会社で融資を通すためには、代表者保証や事業計画の精度など、多方面から信頼性を高める工夫が欠かせません。経営者自身が保証人となるケースも多いため、合同会社の経営者は融資に伴うリスクを十分に理解しておくことが大切です。
合同会社でも利用しやすい融資はある?

合同会社は株式会社に比べて信用力が低く、株式発行による資金調達ができないため、融資を受けにくいといわれています。たしかに、銀行の融資では企業の実績や信用度が重視されるため、設立間もない合同会社は不利になりやすいのが現実です。
しかし、合同会社でも利用しやすい公的融資制度は複数存在します。ここでは、信用力が十分でない小規模な合同会社でも比較的利用しやすい3つの融資制度を紹介します。
合同会社でも利用しやすい融資①:自治体の制度融資
自治体の制度融資は、都道府県や市区町村と、地元の金融機関・信用保証協会が連携して提供する公的な融資制度です。創業間もない合同会社や小規模な合同会社でも利用しやすく、事業を軌道に乗せるための心強い資金源となります。
制度融資では、各機関が次のように役割を分担します。
- 地方自治体:信用保証料の一部補助や貸付金の預託などで融資を後押し
- 金融機関:信用保証協会の保証を受けて実際の融資を実行
- 信用保証協会:返済不能時に代わりに弁済し、金融機関のリスクを軽減
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例えば東京都では、創業融資・経営安定融資など、合同会社でも申し込みやすい制度融資が複数用意されています。低金利・長期返済・据置期間の設定など、合同会社にとって有利な条件が整っている点も特徴です。
ただし、3者が関与するため手続きに時間がかかる点には注意が必要です。制度融資を利用する際は、早めの準備を心がけましょう。
合同会社でも利用しやすい融資②:日本政策金融公庫の融資
日本政策金融公庫(JFC)は、政府が100%出資する公的金融機関で、合同会社でも利用しやすい融資制度を多く提供しています。とくに「新創業融資制度(創業融資)」は、無担保・無保証人で融資を受けられる可能性があり、設立初期の合同会社に人気があります。
創業融資の金利は年2.2〜3.1%程度と低く、条件によってはさらに優遇される場合もあります。合同会社だからといって不利に扱われることはなく、事業計画や将来性がしっかりしていれば融資を受けやすいのが特徴です。
合同会社が融資を利用する際に気をつけておきたい注意点

一方で、日本政策金融公庫の融資は審査がやや厳しく、資金が振り込まれるまでに時間がかかる傾向があります。創業融資を利用できるのは、これから事業を始める合同会社や、税務申告を2期終えていない合同会社に限られる点も押さえておきましょう。
合同会社でも利用しやすい融資③:信用保証協会の保証付融資
信用保証協会の保証付融資は、信用力の低い合同会社でも金融機関から融資を受けやすくするための仕組みです。信用保証協会が保証人となり、合同会社が返済できなくなった場合は代わりに弁済してくれます。
保証付融資を利用するメリットは以下の通りです。
- 審査に通りやすく、創業直後の合同会社でも融資を受けやすい
- 長期間・高額の融資を受けられる可能性がある
- 保証付融資の実績ができると、将来的にプロパー融資も受けやすくなる
合同会社が融資の審査を通過するためのポイントに関するおすすめ記事:合同会社における資金調達方法を解説
ただし、保証料の支払いが必要な点には注意が必要です。また、信用保証協会と金融機関ではそれぞれ別の審査が行われるため、どちらか一方に通ってももう一方で否決される場合があります。審査に不安がある場合は、事前相談や事前審査を活用すると良いでしょう。
合同会社でも融資の審査を利用するポイント

合同会社は株式会社に比べて信用力が低いとされがちですが、実際の融資審査は会社形態そのものよりも「経営者の準備度・事業計画・人柄」が重視されます。
ここでは、合同会社の融資成功率を高めるために押さえておきたい3つのポイントを解説します。
合同会社でも融資を利用するポイント①:自己資金と経験をしっかり証明する
融資の審査では、まず「自己資金の額」と「経営者としての経験・準備状況」が重視されます。
合同会社が融資を利用する際はここがポイント!

合同会社のように設立費用が比較的少なく済む形態ではありますが、融資を受けるためには資金をどう積み上げ、どんな経験を積んできたかが重要な判断材料となります。
自己資金は開業資金の3分の1以上が目安とされ、通帳に毎月コツコツ積み立てた履歴があると高評価につながります。また、業界経験や関連スキルを事前に身につけておくことで、合同会社としての融資審査にも有利に働きます。
準備のポイント
- 通帳に毎月の積立履歴を残す(急な入金は避ける)
- 起業分野に関連する経験を積み、計画の実現性を示す
専門家のアドバイス
創業融資では「自己資金=本気度」と見なされます。地道な準備の履歴を残しておくことが、合同会社の融資審査を通過するうえでの信頼につながります。

SoVa税理士ガイド編集部
合同会社が融資の審査を通過するためのポイントについて、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。
おすすめ記事:合同会社でも融資で資金調達は可能
合同会社でも融資を利用するポイント②:事業計画書の完成度で信頼を得る
融資審査において最も重要な書類が「事業計画書」です。特に合同会社の場合、「手軽に設立できる会社」という印象を払拭し、信頼性を高めるために、数字とストーリーの両面から説得力ある計画を作成することが欠かせません。
事業計画書作成のポイント
- 売上・経費・利益の根拠を明記(集客方法・仕入先など)
- ターゲットや競合との違いを具体的に示す
- 起業理由や将来のビジョンを明確に記載する
専門家のアドバイス
合同会社の融資では、数字だけでなく「どう顧客を獲得し、利益を上げるか」が伝わる計画書が重要です。「この人は信用できる」と思わせる構成を意識しましょう。
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合同会社でも融資を利用するポイント③:面談では誠実さと信頼を伝える
金融機関の融資面談では、書類では見えない経営者の人柄や誠実さが重視されます。どれほど事業計画が優れていても、説明が不十分だったり、姿勢が不誠実だと融資担当者の信頼を得ることはできません。
面談時に意識すべきこと
- 計画内容を自分の言葉で説明できるようにしておく
- 質問には正直・簡潔に答える
- リスクや課題にも正面から向き合う
- 専門用語を避け、わかりやすい表現で伝える
専門家のアドバイス
面談は「融資を勝ち取る場」ではなく「信頼を築く場」です。弱点を隠さず、対策を具体的に伝える姿勢こそが、合同会社としての融資可否を左右する最大のポイントです。
合同会社が融資を受ける際の流れ

合同会社の創業融資は、まずインターネットや金融機関の窓口から申込みを行うところから始まります。その後、面談に必要な書類(事業計画書・資金繰り表・身分証明書など)を準備し、融資担当者との面談に臨みます。

SoVa税理士お探しガイド編集部
面談では、合同会社としての事業内容や今後の売上計画、資金の使い道などについて質問を受けるため、事前に明確な説明ができるように準備しておくことが重要です。
面談後は、金融機関や日本政策金融公庫などで融資審査が実施されます。審査では、合同会社の事業計画の実現性や自己資金の割合、代表者の経営姿勢などが評価されます。審査結果は後日通知され、融資が承認されると指定口座に資金が振り込まれます。
合同会社の創業融資は、申込みから実際に融資が実行されるまでおよそ1カ月程度かかるのが一般的です。資金が必要な時期に間に合うよう、早めに融資の手続きを進めておくことが成功のポイントです。
合同会社が融資を受ける際の必要書類

合同会社が創業融資を申し込む場合、提出書類の内容は融資を受ける機関によって異なります。たとえば、日本政策金融公庫の創業融資を利用する場合は、次のような書類の提出が求められます。
- 創業計画書(事業計画書)
合同会社として今後どのような事業を展開していくのか、売上見込みや資金の使途などを具体的に記載します。 - 履歴事項全部証明書(登記簿謄本)
合同会社が正式に登記されていることを証明する書類で、会社の基本情報を確認するために必要です。
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このほか、設備資金の融資を希望する場合は設備に関する見積書が必要になります。さらに、担保を提供する場合には不動産の登記簿謄本、許認可が必要な業種では許認可証、生活衛生関連事業の場合は都道府県知事の推薦書など、融資内容に応じた追加書類が求められる点にも注意しましょう。

SoVa税理士ガイド編集部
また、合同会社の創業融資では、面談時に事業計画や資金計画に関する質問を受けることが多くあります。そのため、提出書類に加えて、キャッシュフローの内訳が分かる資料や、店舗予定地・設備の概要を示す書類なども事前に準備しておくと、融資担当者からの信頼を得やすくなります。
創業融資の書類は、合同会社の信用力を補う大切な要素です。内容に不備があると審査に時間がかかったり、融資が通りにくくなったりするため、専門家や金融機関の窓口で事前に確認しておくことをおすすめします。
まとめ

合同会社は、株式会社に比べて信用面で不利に見られがちですが、事業計画や自己資金の準備をしっかり行えば、融資の審査を通過することは十分に可能です。日本政策金融公庫の創業融資や自治体の制度融資など、合同会社でも利用しやすい公的な融資制度を活用することで、低金利・長期返済での資金調達が実現できます。
また、融資申請では、事業の将来性を伝える事業計画書や、資金の使途を明確にした書類の提出が欠かせません。担当者との面談に備えて丁寧な説明を準備し、信頼を得ることもポイントです。
合同会社として融資をうまく活用できれば、資金面の不安を解消し、事業の成長スピードを大きく高めることができるでしょう。
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