合同会社と個人事業主の違いとは?それぞれのメリットや選び方のポイントを解説!
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公開日:2024年11月
更新日:2024年11月27日
事業を始める際、合同会社として起業するか、個人事業主として活動を始めるか、どちらを選ぶべきか迷う方は多いかと思います。また、法人形態の中でも合同会社や株式会社など違いのある選択肢があり、それぞれの違いを理解することが重要です。
税金面の違い、責任の範囲の違い、設立手続きの簡便さの違いなど、合同会社と個人事業主には明確な違いが存在します。合同会社としての起業を検討している方、あるいは個人事業主としての活動を視野に入れている方にとって、両者の違いを知ることは有益です。
SoVa税理士お探しガイド編集部
本記事では、合同会社と個人事業主の違いやメリット・デメリット、選び方のポイントについて解説します。
合同会社とは
合同会社は、アメリカのLLC(Limited Liability Company)をモデルに、2006年5月の新会社法施行によって設けられた会社形態です。この「日本版LLC」とも呼ばれる合同会社は、株式会社や個人事業主と比較して独自の特徴を持っています。
合同会社は、合名会社や合資会社と同じ持分会社に分類されます。持分会社は、個人事業主のように所有と経営が分離していない点が特徴です。一方、株式会社は所有と経営が分離しており、株式を発行して資金調達を行う仕組みを持ちます。このように、合同会社と個人事業主、さらに株式会社には大きな違いが存在します。
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個人事業主とは
個人事業主とは、合同会社や株式会社といった法人を設立せず、個人で事業を営む形態を指します。合同会社を設立する場合には登記手続きが必要ですが、個人事業主になるには管轄の税務署に開業届を提出するだけで済みます。この手軽さが、合同会社や他の法人形態との大きな違いです。
合同会社では法人税が課されますが、個人事業主は法人税の対象外です。その代わり、個人事業主は所得税、消費税、個人事業税などを納める必要があります。このように、税金面でも合同会社と個人事業主には明確な違いがあります。副業としてアフィリエイトやハンドメイド販売を行う場合も、開業届を出していれば個人事業主とみなされます。
SoVa税理士お探しガイド編集部
次は個人事業主と自営業・フリーランスとの違いを理解していきましょう。
個人事業主と自営業・フリーランスとの違い
個人事業主に似た概念として「自営業」や「フリーランス」がありますが、これらは合同会社や他の法人形態とも違います。
「フリーランス」とは、特定の企業に雇用されずに働く形態を指す言葉です。フリーランスという概念には、個人事業主や合同会社の役員として活動している人も含まれる場合があります。一方、「自営業」は独立して事業を営む形態を広く指し、法人を設立している場合も含まれます。つまり、自営業には合同会社や株式会社も含まれる一方、個人事業主は法人化していない個人のみを指すため、これらの違いが存在します。
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合同会社と個人事業主の違いは?
個人事業主と合同会社には、起業時の費用、税金、経費・経理事務、社会保険、責任の範囲、社会的信用度など、さまざまな違いがあります。それぞれの違いを詳しく見ていきましょう。
合同会社と個人事業主の違い①:起業にかかる費用の違い
個人事業主は税務署に開業届を提出するだけで事業を始められるため、費用はほとんどかかりません。一方、合同会社を設立するには、登録免許税6万円と収入印紙代4万円が必要です。また、安定的な経営のために一定の資本金も用意しておく必要があります。
合同会社は法人として登記されるため、実印や銀行印の作成が求められ、印鑑作成費用も発生します。さらに、金融機関からの融資や従業員からの出資を利用するケースも多く、資本金がその会社の信用度に影響を与える点も個人事業主との大きな違いです。
合同会社と個人事業主の違い②:税金の違い
個人事業主にかかる税金は、所得税・個人住民税・消費税・個人事業税です。所得税は累進課税で、所得が高くなるほど税率も上がります。そのため、所得が増えると税負担も重くなりますが、赤字の場合には所得税や住民税の負担がなくなる点が特徴です。
合同会社にかかる税金は、法人税・法人住民税・消費税・法人事業税です。法人税は一定の税率で課税されるため、所得が高くなると税負担が相対的に軽くなります。
合同会社と個人事業主に関する注意点
ただし、合同会社は赤字経営であっても法人住民税の均等割を支払う必要があります。この点も個人事業主との重要な違いです。
合同会社と個人事業主の違い③:経費の範囲と経理事務の違い
合同会社は、経費として認められる範囲が広い点が特徴です。たとえば、役員報酬、家族への給与、退職金なども経費として計上可能です。これに対し、個人事業主の経費は限定的で、認められる控除項目が少ないため、節税の幅が狭くなります。
経理事務についても違いがあります。個人事業主は簡易な会計ソフトを用いて自分で経理を行える場合が多いですが、合同会社では経理業務が複雑になるため、税理士や経理担当者を雇う必要があるケースもあります。また、合同会社が一定以上の規模になると監査法人による監査が義務付けられる場合もあります。
合同会社と個人事業主の違い④:社会保険に関する違い
社会保険の加入義務についても大きな違いがあります。個人事業主は原則として社会保険の加入義務はありませんが、従業員が5人以上の製造業や運送業など特定の業種では加入が義務付けられています。一方、合同会社は業種や従業員数に関係なく、社会保険への加入が必須です。この違いにより、合同会社は労働環境の整備や従業員の福利厚生の面で有利です。
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合同会社と個人事業主の違い⑤:責任の範囲の違い
事業に失敗した場合の責任範囲も、個人事業主と合同会社では大きく異なります。個人事業主は無限責任であり、事業で発生した負債をすべて個人で負担する必要があります。
これに対し、合同会社は有限責任であり、出資額を超えた負債を負担する義務はありません。この有限責任制度により、合同会社は個人事業主よりもリスクを軽減できる仕組みとなっています。
合同会社と個人事業主の違い⑥:社会的信用度の違い
合同会社の社会的信用度は個人事業主よりも高く、特に企業間取引や金融機関からの融資において有利です。これは、合同会社が法人として登録され、その情報が公に公開されていることによるものです。
個人事業主は法人に比べて情報の透明性が低いため、信用を得るために努力が必要な場合があります。また、合同会社は社会保険制度が整っているため、従業員からも選ばれやすい雇用環境を提供できます。
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個人事業主から合同会社を設立する際のメリット
では、個人事業主から合同会社を設立するメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
合同会社を設立するメリット①:法人になることで信用力が上がる
一般的に、個人より法人の方が信用力が高いといわれています。取引面や融資面、さらに雇用面などで、個人事業に比べてビジネスに有利になります。
株式会社に比べるとまだまだ信用力は劣るといわれていますが、現在では新設法人の20%以上が合同会社であり、知名度も年々上がっています。外資系有名企業で合同会社を採用している会社も多く、株式会社と同等の信用力を得る日も近いと言われています。
合同会社を設立するメリット②:経費の幅が広がり節税の選択肢が増える
合同会社といえど、税務上の扱いは法人になるので節税の選択肢が増えます。
会社と個人で所得を分散することで税率を下げたり、社宅を利用して家賃を経費にしたりなど、個人事業主の頃にはできなかった節税の選択肢を取ることができます。ただし、節税を意識し過ぎてしまうと、税金は安くなったけど結果的に手もとに残るお金が少なくなってしまった、ということにもなりかねません。
SoVa税理士お探しガイド編集部
あくまでも、必要な範囲で経費を計上するということを意識しましょう。
合同会社を設立するメリット③:機関設計や利益配当を自由に決めることができる
合同会社の場合、「社員」の役割などの機関設計や利益の配当割合などを自由に定めることができます。これは、合同会社ならではのメリットであり、非常に柔軟な会社経営を行うことができます。
合同会社を設立するメリット④:有限責任になる
有限責任とは、会社が負債を抱えて会社が倒産した場合、債権者に対し出資した範囲で責任を負うことをいいます。合同会社や株式会社の社長はこの有限責任になります。ただし、個人的に保証人になっている場合は返済義務があります。
一方、個人事業主は無限責任なので、債権者に対して負債総額全額を支払う責任を負うことになります。初期投資が高額になる事業の場合、個人事業主のほうがリスクが大きくなるといえます。
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個人事業主のメリット
一方で、個人事業主であることのメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
個人事業主のメリット①:創業にお金がかからない
個人事業主として創業する場合、初期費用がほとんどかからないという大きなメリットがあります。これに対し、合同会社や株式会社を設立するには費用が必要です。
具体的には、合同会社では設立費用が約10万円、株式会社では約25万円ほどかかります。どちらも決して安い金額ではないため、費用をかけずに事業を始められる個人事業主という形態には大きな魅力があります。合同会社との違いとして、設立費用が不要である点は、特に創業期において大きな利点となります。
個人事業主のメリット②:事業開始の手続きが簡単
個人事業主は、事業を開始する手続きが非常に簡単です。「開業届」を税務署に提出するだけでスタートできます。一方、合同会社や株式会社を設立するには、法務局での設立登記や定款の作成、印鑑登録など複雑な手続きが必要です。
さらに、法人の場合は、事業開始後も税務署や社会保険事務所への各種届け出が求められるため、個人事業主に比べて手間がかかります。
合同会社と個人事業主の違いに関するポイント!
このように、事業開始の手続きの面では、個人事業主と合同会社には大きな違いがあります。
個人事業主のメリット③:税理士を雇わなくても対応可能
個人事業主は、経理や確定申告が法人に比べて簡単であるため、税理士を雇わずに自力で対応することが可能です。青色申告を利用する際も、会計ソフトを使えば十分に対応できます。
一方、合同会社や株式会社では、所得税ではなく法人税が適用されるため、税務作業がより複雑になります。その結果、多くの法人が税理士に依頼するのが一般的です。特に創業期において、税理士への顧問料や決算料が負担になることを考えると、税務処理を簡単に済ませられる個人事業主のメリットは大きいといえるでしょう。合同会社との違いとして、自力で対応可能な税務処理の簡便さが挙げられます。
個人事業主のメリット④:利益は全て自分のもの
個人事業主の場合、事業で得た利益はそのまま自分の収入となります。計算式としては、「売上-経費=利益=所得」であり、利益は自由に使うことができます。
これに対し、合同会社や株式会社では、会社の利益は会社のものとされるため、自由に使うことはできません。社長が得られるのは役員報酬や配当であり、個人と会社の財産が明確に分けられています。この点は、個人事業主と合同会社との大きな違いであり、利益の使い方に自由度を求める場合、個人事業主の形態が有利です。
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個人事業主か合同会社かを選ぶ際のポイント
個人事業主としてスタートするか、合同会社を設立するか、それぞれの選択肢にはメリットと適した状況があります。以下に、どちらを選ぶべきかのポイントを詳しく解説します。
個人事業主か合同会社の決め方①:できるだけ安く始めたいなら個人事業主
事業を始める際、コストを最小限に抑えたい場合は個人事業主としてスタートするのが適しています。
合同会社の場合、設立費用が約10万円かかるうえ、法人住民税の均等割(最低7万円程度)が毎年発生します。さらに、税理士費用や社会保険関連の費用も考慮する必要があります。一方、個人事業主であれば、開業届を提出するだけで事業を始められ、これらの費用を大幅に抑えることができます。
合同会社と個人事業主の違いのポイント!
特に、事業資金に余裕がない場合や初期投資を抑えたい場合、まずは個人事業主として事業を軌道に乗せ、後から法人化を検討するのが合理的です。この点は、合同会社と個人事業主の大きな違いといえます。
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個人事業主か合同会社の決め方②:誰かと共同で事業を行う場合は合同会社
複数人で事業を運営する場合や出資者がいる場合は、合同会社の設立がおすすめです。
合同会社には、自由な機関設計や利益配分の柔軟性といった特徴があります。たとえば、株式会社では出資額に応じて利益配分が決まるのが通常ですが、合同会社では事業への貢献度や役割に基づいて利益を分配することが可能です。
また、個人事業主として共同で事業を行う場合、収益や責任の取り扱いが不明確になるリスクがあります。
SoVa税理士お探しガイド編集部
このような状況を避け、明確なルールのもとで事業を運営したい場合、合同会社は適した選択肢です。
個人事業主か合同会社の決め方③:従業員を雇う見込みがある場合は合同会社
事業の成長とともに従業員を雇用する計画がある場合、合同会社としてスタートすることが有利です。
合同会社や他の法人形態は、信用力の面で個人事業主に勝り、社会保険に加入できることから、優秀な人材を確保しやすくなります。反対に、個人事業主の場合は、信用力や雇用環境の制約から人材採用が難しくなるケースが多いです。
成長を見据えた事業運営を計画しているなら、最初から合同会社を選択することで、スムーズに体制を拡大する準備が整います。
個人事業主か合同会社の決め方④:自由にお金を使いたい場合は個人事業主
事業収益を自由に使いたい場合は、個人事業主の形態が向いています。
個人事業主では、「売上-経費=所得」となるため、利益はそのまま個人の収入となります。これに対して、合同会社や他の法人形態では、会社の利益は会社のものとされ、個人が自由に使えるお金は役員報酬や配当という形で制約されます。
特に、収益が個人の生活費や趣味に直結するようなビジネスの場合、個人事業主の形態が適しています。これも、合同会社と個人事業主の明確な違いの一つです。
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個人事業主か合同会社の決め方⑤:売上が1,000万円を超えるタイミングで合同会社
売上が増加し、特に年間1,000万円を超える見込みがある場合、合同会社への法人成りを検討すべきです。
個人事業主には、所得税の累進課税制度が適用され、利益が増えるほど税率も上がります。また、年間売上が1,000万円を超えると消費税の納税義務が発生します。しかし、法人成りをすることで、消費税の納税がさらに2年間免除される特例を受けることができます。
さらに、法人化することで、税率を抑える節税手段が広がり、長期的なコスト負担を軽減することが可能です。特に、一定規模以上の収益を目指す場合、合同会社への切り替えは重要なステップです。
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まとめ
合同会社と個人事業主の違いは、信用力の違い、経費の扱いの違い、リスクの範囲の違いなど多岐にわたります。特に法人化することで得られる信用力や節税の幅、有限責任の仕組みは、合同会社ならではのメリットであり、個人事業主との違いといえます。
一方、個人事業主は設立コストがかからず、手続きが簡単であるため、起業のハードルが低いという特徴と違いがあります。どちらを選ぶかは、事業の規模や将来の方向性に応じて検討することが重要です。
SoVa税理士お探しガイド編集部
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