役員賞与に所得税はかかる?役員賞与を支給する際の注意点や、損金算入し節税する方法も紹介!

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公開日:2025年2月

更新日:2025年2月21日

企業経営において、会社の役員賞与をどのように支給するかは非常に重要なポイントです。特に役員賞与を検討するときには、税務上の制限や手続きが厳格に定められているため、事前に十分な知識を身につける必要があります。役員賞与には所得税がかかるため、役員個人の税負担だけでなく、会社側が役員賞与をどのように損金(経費)算入できるのかによって、最終的な税負担が大きく左右されるでしょう。

一般従業員の賞与であれば、給与と同様にほぼ無条件で損金に算入できます。

役員賞与の所得税に関連して気をつけておきたい注意点

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しかし、取締役や執行役などの役員に対する役員賞与は、利益操作のリスクを防ぐため、法人税法上でさまざまな制限が設けられています。

そのため、何も考えずに役員賞与を支給すると、想定外に法人税が増えるだけでなく、役員個人にも多額の所得税が課されるケースがあるのです。

そこで本記事では、役員賞与が所得税法や法人税法上などの税務上でどのように扱われるのか、そして役員賞与を支給する際の会社側と個人側、それぞれに生じる所得税負担や手続き上の注意点を総合的に解説します。具体的には、役員賞与を損金に計上する方法として知られる「定期同額給与」「事前確定届出給与」「業績連動給与」といった支給形態の特徴を整理し、どのように所得税の負担を考慮すべきかについても触れていきます。

「役員賞与と所得税」編集部

役員賞与と所得税の関係を正しく理解し、最適な報酬設計を行うための参考にしてください。

役員賞与とは

最初に押さえておきたいのは、「役員賞与」の定義と一般従業員の賞与との違いです。一般従業員への給与や賞与は、人件費として損金に算入されるのが基本です。しかし、役員に支払う報酬は「役員報酬」や「役員賞与」と呼ばれ、法人税法上、利益操作を防ぐ目的で非常に厳しい制限が設けられています。

例えば、一般社員における「夏と冬のボーナス」のような臨時手当が、役員に対しても同じ形で支給できるとは限りません。税務署が定める要件をクリアしなければ、法人の経費として計上(損金算入)できないだけでなく、支払われた役員賞与は全額が役員個人の所得税課税対象となり、会社の税負担・個人の税負担がともに増加してしまうリスクがあります。

役員賞与をうまく活用して節税効果を高めたいと考えるなら、まずは税法で定める支給ルールを把握することが欠かせません。
したがって、法人税などの会社からの観点と、所得税などの個人の観点から役員賞与を支給するのかわ判断することが重要です。

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役員賞与とは?役員報酬との違いや損金算入方法などを解説

役員報酬と役員賞与の違いとは?

「役員報酬」とは、会社の取締役・監査役・執行役などに対して支払われる毎月定額の給料のようなものです。一方、「役員賞与」は、いわゆるボーナス的な意味合いで支給される臨時的報酬を指します。両者の扱いは、下記のように異なります。

【役員報酬】

  • 毎月同額で支給するのが原則
  • 原則として、期首に決定した額を一定期間変更せずに支給
  • 一定の要件を満たせば損金算入が可能

【役員賞与】

  • 退職金ではない一時的な支給
  • 一般社員のボーナスと同じ感覚で支払っても、税務上は損金不算入になりやすい
  • 「事前確定届出給与」などの手続きを取ることで、法人税法上の損金扱いが認められる場合もある

つまり「役員報酬」と「役員賞与」は、似ているようで税務上の取り扱いはまったく異なるため、会社が支給方法を誤ると、法人税や所得税の負担が大幅に増えかねません。とくに、役員賞与の額を安易に引き上げてしまうと、全額が経費として認められないうえに、個人には多額の所得税が課されてしまいます。

「役員賞与と所得税」編集部

役員賞与を設定する際には法人税と所得税の双方の観点から導入を検討するようにしましょう!

役員賞与と所得税に関するポイント!

税理士_依頼_おすすめのポイント

役員賞与を支給した際の仕訳例などはこちらのサイトが参考になるでしょう。
役員賞与-勘定科目集

一方で、合法的に役員賞与を損金算入できる制度も存在します。後述する「定期同額給与」「事前確定届出給与」「業績連動給与」は、その代表的な例です。これらを正しく活用すれば、役員賞与の支給によって法人の節税を図りつつ、役員個人が負担する所得税とのバランスも考慮できるでしょう。

経費(損金算入)として認められる支給方法

法人税法では、通常の役員賞与は利益操作を誘発する恐れがあるとみなし、損金算入を認めないのが原則です。しかし、次の3つの支給形態に限り、一定の要件を満たすことで、法人の経費(損金)に計上することが可能とされています。

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役員賞与と所得税に関連して、事前確定届出給与については以下の記事がおすすめです。
事前確定届出給与とは?役員賞与を損金算入して節税できる?期限や記載方法は?

  • 定期同額給与
  • 事前確定届出給与
  • 業績連動給与

これらの方法をうまく取り入れることができれば、会社が支払う役員賞与の一部または全部を損金として扱い、結果的に法人税を抑える効果が期待できます。また、役員個人が負担する所得税についても、あらかじめシミュレーションしておくことで、最適なバランスで報酬を設計することが可能になるでしょう。

経費(損金)として認められる支給方法①:定期同額給与

「定期同額給与」は、毎月支給する役員報酬がまったく同額である場合に、法人の損金として認められる方式です。一般的には「月額○○円」という形で、期首から期末まで同じ金額を支給し続ける必要があります。役員賞与という名目ではなくても、いわば“毎月賞与が上乗せされているような報酬形態”を設定していても、支給額が同額であれば定期同額給与に該当する可能性があるのです。

役員賞与と所得税に関連して気をつけておきたい注意点

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定期同額給与には「1カ月以下の期間で支給されるものでなければならない」という決まりがあるため、役員賞与のように年数回の支給に適用することはできません。

役員賞与と所得税に関連するおすすめ記事:「「役員賞与」にかかる税金はいくら?損金に算入するための条件も解説

【要件】

  • 毎月の支給額が同一
  • 期首の段階で報酬額が確定しており、期の途中で変更しない

「役員賞与と所得税」編集部

役員賞与を損金算入するためには「事前確定届出給与」か「業績連動給与」を検討する会社がほとんどです。

ただし、期中に突然増額・減額を行うと「定期同額給与」の要件を満たさなくなり、増減部分が損金不算入になるリスクがあります。法人税法上、期首から3か月以内の改定など特定の場合を除き、勝手に金額を変えることは認められません。

定期同額給与と役員賞与の関係

そもそも「定期同額給与」は、名称としては「給与」ですが、実質的に「役員賞与」のような意味合いを含んでいるケースもあります。たとえば、賞与的な要素を月割りして報酬に組み込むことで、年2回や年1回などのスポット的な支給を避け、月次支給にすれば損金算入がしやすいという考え方です。もちろん、そのように報酬設計を組み替える際には、事前に社内規程や株主総会の決議などを十分確認する必要があります。

合わせて読みたい「役員報酬 株主総会議事録」に関するおすすめ記事

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役員報酬の金額を変更する際の株主総会議事録の書き方について解説しています。また、記載例についても述べています。

経費(損金)として認められる支給方法②:事前確定届出給与

「事前確定届出給与」は、役員賞与を損金算入する最も代表的な手段のひとつです。一般的には「役員へのボーナス」を想定し、あらかじめ支給日時・支給額を細かく決めておき、それを所轄税務署に届け出ることで、役員賞与の支給を合法的に損金処理できる仕組みになっています。

届出期限

  • 事業年度開始の日から3か月以内
  • 株主総会(または取締役会)で報酬額を決定した日から1か月以内

上記のどちらか、あるいは法人の形態によって異なる場合があるため、実際には専門家に確認が必要です。

役員賞与と所得税に関連するおすすめ記事

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役員賞与や所得税に関連して以下のサイトも参考になるでしょう。
役員報酬に届出は必要?事前確定届出給与なら損金算入できる!

必要な内容

  • 支給日(何月何日に役員賞与を支給するか)
  • 支給額(1円単位で確定させる)
  • 対象となる役員の氏名および役職

いったん届出を提出してしまうと、基本的に後から支給日や支給額を修正することは認められません。もし実際の支給額や支給日が届出と異なった場合、その役員賞与は損金として認められなくなります。さらに、役員個人には確実に所得税がかかるため、支給額を大幅に設定しすぎると、支給時の資金繰りだけでなく、個人の税負担(所得税や住民税)が増えるというリスクがあることも覚えておきましょう。

役員賞与と所得税に関連する参考記事

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役員賞与と所得税に関連して以下の記事も参考になるでしょう。
役員賞与を支給すると税金が課税される?経費として計上する方法と注意点

事前確定届出給与と具体的な役員賞与の設定例

たとえば、事業年度が4月~翌3月の場合、期首の4月から3か月以内(おおむね6月末頃)までに「6月30日に役員Aへ100万円、12月31日に役員Aへ100万円を支給する」といった内容を税務署へ届け出るとします。実務上は、株主総会や取締役会で正式に「役員報酬の一部として、上記の金額を役員賞与として支給する」と決議し、その決議に基づいて届出書を作成します。

役員賞与と所得税に関連する参考記事:「役員の賞与とは?役員報酬との違いや税金への影響を解説

もし、期末に近づくにつれて想定外の資金不足が生じても、届出内容と異なる日や金額で支給することはできません。万一変更せざるを得ない事情が発生した場合、その役員賞与の損金算入はあきらめなければならないのです。したがって、会社の資金繰りや業績予測を十分に検討したうえで、現実的な支給額・支給日を設定することが大切です。

経費(損金)として認められる支給方法③:業績連動給与

「業績連動給与」とは、大企業や上場企業などを想定した制度で、株価や業績指標に応じて変動する報酬を、一定の条件を満たす場合に損金算入として認める仕組みです。たとえば「営業利益が○%増加したらボーナスを○円支給」といった形で、明確な算定方法が公表されている必要があります。

合わせて読みたい「役員報酬の決め方に関する相談」に関するおすすめ記事

役員報酬の決め方は税理士に相談しよう!役員報酬の基礎知識から決め方のポイントも紹介

この記事では役員報酬の制度を作ろうした場合、税理士に依頼する場合の相談事項に
ついて解説しています。
役員報酬の制度を作ろうと考えている人はぜひ一度ご覧ください。

主な要件

  • 業績指標(利益や株価など)を明確に設定し、それに応じて役員賞与を計算する
  • 報酬委員会などの手続きを踏み、株主総会等で正式に承認を受ける
  • 公開企業などで一定の情報開示が可能であること

中小企業でも、厳密に業績連動給与を導入することは理論上可能ですが、書類作成や公正な算定基準の設定・開示など、手間がかかるケースが多いのも事実です。そのため、多くの中小企業では、まず「定期同額給与」や「事前確定届出給与」を用いることが一般的でしょう。

「役員賞与と所得税」編集部

業績連動給与を導入している中小企業はごく一部に留まっているのが現状です。

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税理士の費用に関する記事については税理士へ依頼する際の費用は月いくらが相場?法人の場合について解説!の記事もおすすめです。

役員賞与に所得税はかかる?

ここまでの説明で、会社側が役員賞与を損金として認められるための方法や注意点を解説しました。しかし、たとえ損金に算入できたとしても、役員個人には「所得税」や住民税が確実にかかってきます。この点を見落としてしまうと、「会社の節税はできたが、役員賞与を導入したことで役員個人の所得税や住民税が激増してしまった」という残念な結果につながりかねません。

役員賞与にかかる所得税の計算

役員賞与は、税法上「給与所得」として扱われます。そのため、一般従業員の給与やボーナスと同様に、以下のようなステップで所得税が計算されます。

【役員賞与の所得税の計算 STEP1】
給与所得控除額を計算

年間の役員報酬・役員賞与の合計額から「給与所得控除額」を差し引き、給与所得の金額を求めます。

役員賞与と所得税に関する参考記事:「給与所得控除とは?控除の種類や所得税の計算方法をわかりやすく解説

「役員賞与と所得税」編集部

給与所得控除とは、所得税を計算する際に、所得税の課税対象となる給与所得額を確定するために、年間の給与収入から一定額を差し引く仕組みです。所得税の課税対象となる所得は、収入から必要経費を差し引いた金額ですが、給与所得者は個人事業主のように実際の経費を計上できません。そのため、所得税の計算において、給与収入に応じた一定額が「経費相当分」として控除されるのが給与所得控除です。給与所得控除は、給与所得者が負担する所得税の計算を適正化する役割を果たし、所得税負担の公平性を保つために設けられた制度です。

給与所得控除と所得控除の違いに注意!

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給与所得控除と所得控除は名前が似ているものの、所得税における役割はまったく異なります。
所得税の計算において、「所得控除」は配偶者控除や扶養控除、障害者控除、生命保険料控除など、納税者やその家族の状況に応じて所得税負担を軽減するための仕組みです。一方、「給与所得控除」は、仕事をする上で発生するスーツの購入費や交際費などの自己負担分を、実際の経費として計上できない給与所得者のために、所得税の課税対象となる所得額を計算する際に一定額を控除する制度です。つまり、所得税の課税対象を減らし、適正な負担を確保するために設けられた仕組みが給与所得控除であり、納税者の状況に応じた調整を行うのが所得控除という違いがあります。どちらも所得税の計算において重要な役割を果たし、適切な控除を適用することで、所得税の負担を軽減することが可能になります。
参考記事:「所得控除とは?基礎控除などの種類や控除額の計算方法を解説

 

 

 

 

【役員賞与の所得税の計算 STEP2】
所得税率の適用

「役員賞与と所得税」編集部

所得税の理解は難しい箇所も多数ありますが、まずは所得税の大枠を理解するようにしましょう!

役員賞与の所得税は給与所得(役員賞与を含む)の金額に応じて、5%~45%の累進税率が適用されます。さらに、計算された所得税額に対して2.1%の復興特別所得税が加算されます。

【参考】所得税における累進課税制度とは

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累進課税とは、所得や財産に対して、課税対象が増えるほど税率も段階的に引き上げられる仕組みのことです。
所得税では、この累進課税制度が適用されており、所得が増えるにつれて所得税率も上昇するため、高所得者ほど納める所得税の負担が大きくなります。累進課税制度は、所得税を通じて所得の再分配を促進し、社会的な公平性を実現することを目的としています。その結果、所得税の仕組みが所得格差を縮小し、社会全体のバランスを維持する役割を果たしています。
このように、所得税の累進課税制度は、経済的な格差を緩和し、適正な所得税負担を求めることで、社会全体の安定と公平性を確保する重要な税制の一つです。
所得税の累進課税に関するサイト:「所得税における累進課税制度とは?基礎知識や税率一覧を解説

復興特別所得税に関するおすすめ記事:「「復興特別所得税」とは?税額や計算方法を解説

【参考】復興特別所得税とは

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「復興特別所得税」は、東日本大震災の復興に必要な財源を確保するために設けられた税金(所得税)です。
平成23年(2011年)12月2日に公布された「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」に基づき、平成25年(2013年)から課税が開始されました。復興庁の発表によると、復興特別所得税の主な使途は、①被災者支援(生活再建や支援制度の整備)、②産業・生業(なりわい)の再生(地域経済や雇用の回復)、③住宅再建・復興まちづくり(住環境の整備やインフラの復旧)、④原子力災害からの復興・再生(福島を中心とした除染・復興対策)の4つに分類されています。このように、復興特別所得税は被災地の復興を支える重要な財源として活用され、復興施策の推進に大きく貢献しています。

【役員賞与の所得税の計算 STEP3】
源泉徴収と年末調整・確定申告

会社から役員賞与を支給する際に、源泉徴収税額が差し引かれるのが一般的です。年間の給与・賞与(役員賞与を含む)が2,000万円以下の役員であれば、年末調整によって最終的な所得税額を確定し、不足分は追加納付、過払分は還付されます。2,000万円を超える役員の場合は、確定申告によって所得税額を最終的に決定することになります。

役員賞与の所得税計算の具体例

例えば、役員として月額報酬60万円を受け取り、年2回の役員賞与をそれぞれ100万円ずつ支給するケース(年収合計920万円)を考えてみましょう。あくまで概算ですが、給与所得控除を差し引いたあと、課税所得に累進税率が適用されて所得税が計算されます。また、住民税も別途約10%ほどかかることを踏まえると、トータルで10数%~20%程度の税率がかかるイメージです。高所得者になればなるほど、累進課税で所得税率が高くなる点には注意しましょう。

源泉徴収と社会保険料に注意!

役員賞与を支給するとき、企業は支給額から源泉徴収税額と社会保険料を差し引いたうえで役員に支払います。つまり、実際に手取りとして受け取る金額は「額面の役員賞与 − (源泉徴収税額 + 社会保険料)」となります。

役員賞与と源泉所得税に関する参考サイト:「賞与に対する源泉徴収

源泉徴収税額

支給額や扶養家族数などを考慮し、所轄の「源泉徴収税額表」に基づいて計算します。

「役員賞与と所得税」編集部

源泉徴収税額表は国税庁のホームページから確認できます。

社会保険料

健康保険・厚生年金などが対象。賞与にも一定の上限や計算ルールがあるため、高額な賞与であっても保険料が無制限に増えるわけではありませんが、標準報酬月額の範囲内で負担が大きくなる場合があります。

もし、役員賞与が高額すぎると、手取り額に対する所得税負担も相当大きくなるうえ、社会保険料の支出も増える傾向があります。法人税は節税できても、個人サイドの手取りはそれほど増えない、あるいは逆に目減りする可能性もあるので、役員報酬の設計には慎重さが求められます。

「役員賞与と所得税」編集部

役員賞与と社会保険料の関係性に関しては以下の記事がおすすめです。
役員賞与を増やせば社会保険料は節約できる? 手続方法やデメリットを解説

役員賞与をうまく活用した節税のポイント

ここまで見てきたように、役員賞与を有効に利用することで、法人にかかる税負担をコントロールすることは可能です。しかし、その一方で、役員個人には所得税をはじめとした税負担が確実にかかるため、会社・個人の両面を考慮した最適なプランを設計する必要があります。以下に、その際の主要なポイントをまとめます。

【役員賞与で節税するポイント①】
事業年度ごとの利益予測を行う

会社の収益がどの程度見込めるのかを事前に試算し、それに合わせて役員賞与(事前確定届出給与など)の額を設定します。資金繰りが厳しいのに大きな役員賞与を設定すると、結局支払えなくなって損金算入ができない可能性があります。

「役員賞与と所得税」編集部

役員賞与と所得税に関連して以下のサイトも参考になるかと思うので是非ご覧ください。

【役員賞与で節税するポイント②】
税務上の手続きを厳守する

とくに事前確定届出給与は、株主総会での決議や届出書の提出期限が細かく決められています。ほんの些細な手違いで損金不算入になり、後から追徴課税が発生することもあるため、税理士など専門家への相談が欠かせません。

【役員賞与で節税するポイント③】
役員個人の所得税負担を試算する

法人税を抑えられても、役員個人が負担する所得税と住民税が増え、手取り額が思うように増えない場合があります。社会保険料の負担も含めて総合的に検討しましょう。

【役員賞与で節税するポイント④】
定期同額給与とのバランスを考える

メインの役員報酬は定期同額給与で安定的に支給し、一部を事前確定届出給与としてボーナス的に受け取るなど、役員賞与を組み込んだ柔軟な設計が可能です。ただし、年度途中での変更は原則NGなので、期首の段階でしっかりと計画を固めておく必要があります。

役員賞与と所得税に関連する参考記事:「役員賞与の節税方法とは?3つの方法と損金算入の条件を徹底解説!

【役員賞与で節税するポイント⑤】
中長期的な視点を忘れない

1期だけの節税効果を追い求めるよりも、数年にわたる会社の成長や投資計画、人件費総額のコントロールなど、長期的な視点で役員賞与の位置づけを検討すると、バランス良く会社を運営しやすくなります。

中小企業での役員賞与運用の注意点

「役員賞与と所得税」編集部

未払役員賞与源泉所得税の詳細については以下の記事がおすすめです。

役員賞与と所得税に関する参考記事:「未払役員賞与と源泉所得税

中小企業では、株主総会や取締役会の設置形態が大企業と異なることもあり、報酬決定のプロセスが簡略化されているケースも少なくありません。しかし、税務に関しては企業規模の大小を問わず、同じルールが適用されます。以下の点に留意しながら、役員賞与の運用を検討しましょう。

【中小企業における役員賞与と所得税の注意点①】
利益見込みと実際のズレ

事前確定届出給与で高額な役員賞与を設定しても、実際に利益が思うように出なかった場合、支払い自体が困難になるリスクがあります。確定した賞与額を支給できないとなれば損金算入ができないだけでなく、経営上も大きな痛手となるでしょう。

【中小企業における役員賞与と所得税の注意点②】
届出後の変更は原則不可

たとえば、業績が予想以上によかったから賞与を増やしたい、あるいは予想より悪かったから減らしたいというのは一切認められません。届出どおりの日程・金額で支給しなければ、損金算入が否認されるため注意が必要です。

【中小企業における役員賞与と所得税の注意点③】
税理士や社労士など専門家との連携

合わせて読みたい「役員報酬に関する相談」に関するおすすめ記事

役員報酬の相談は税理士に依頼すべき?その理由とポイントを解説

この記事では役員報酬にを税理士に依頼したい場合の相談事項について解説しています。
役員報酬を給付しようと考えている方はぜひ一度ご覧ください。

中小企業の場合、経理・総務担当が限られており、すべての手続きに精通しているケースは稀でしょう。
役員賞与を導入する際には、役員賞与や所得税、社会保険料、経営状況など様々な観点から検討する必要があります。

役員賞与と所得税に関連するポイント!

税理士_依頼_おすすめのポイント

役員賞与に関する所得税や社会保険料の計算は複雑なので、早めに税理士や社労士と相談しながら準備を進めるのが無難です。

社会保険料との兼ね合い

「役員賞与と所得税」編集部

社会保険料は以下のようなサイトで試算することも可能です。
厚生年金・健康保険の保険料額の自動計算ツール

役員賞与が増えると、社会保険料の負担も増える可能性があります。とくに、中小企業では社会保険料の負担が経営を圧迫するケースも多いので、事前に試算しておくことが重要です。

まとめ

「役員賞与」は、一見すると一般社員の賞与と同じように感じられますが、法人税法上、非常に厳しい制限がかけられている点が特徴です。原則として、役員賞与は会社の損金(経費)には算入されません。しかし、「定期同額給与」「事前確定届出給与」「業績連動給与」といった特例的な支給方法を正しく利用できれば、合法的に経費として扱い、法人税を軽減することが可能です。

一方で、会社が役員賞与を支給する際、役員個人には必ず「所得税」が課税される点を忘れてはいけません。高額の役員賞与を受け取ると、所得税や住民税が膨らみ、最終的な手取りが思ったほど増えない場合もあります。会社の節税メリットと役員個人の所得税負担を総合的に考慮しながら、最適な報酬体系を設計することが成功のカギとなるでしょう。

  • 法人視点:損金算入で法人税を節税するには、事前確定届出給与などの制度活用が必須。
  • 個人視点:役員賞与は給与所得として所得税・住民税がかかるため、トータルの税負担を考慮しないと手取りが予想以上に減る可能性がある。

役員賞与と所得税に関するおすすめ記事

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役員賞与と所得税に関する記事で以下のものも参考になるでしょう。
役員賞与(事前確定届出給与)を全額不支給とした場合の取り扱いはどうなる?

所得税などの税務手続きを細部に至るまで理解するのは容易ではないため、実際に役員賞与を導入するときには必ず税理士や社労士などの専門家に相談することが望ましいです。所得税などの正しい知識と入念な準備をもとに「役員賞与」を活用すれば、節税とモチベーションアップの両立も期待できるかもしれません。会社の成長戦略に合わせて、ぜひ最適な方法を検討してください。

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