一人で株式会社は設立できる?メリット・デメリットや手順についても解説!

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公開日:2025年1月

更新日:2025年1月18日

2006年の5月以降、一人でも株式会社を設立できるようになりました。本記事では、一人で株式会社を設立する際のメリット・デメリットや、具体的な設立手順について解説しています。株式会社を一人で設立しようか迷っている方は、ぜひ本記事で紹介する株式会社を設立する際の判断基準を参考にしてみてください。

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一人会社を作るメリットは?個人事業主との違いや一人会社の作り方を解説!

一人会社を経営することには、個人事業主では得られない多くのメリットがあります。本稿では、一人会社と個人事業主との違いを明確にしながら、一人社長として会社を運営する際の具体的なメリットやデメリットについて詳しく解説します。

目次

  1. 一人でも株式会社を設立するメリット
    1. 一人でも株式会社を設立するメリット①:法人なので社会的信用を得やすい
    2. 一人でも株式会社を設立するメリット②:資金調達の幅が広がる
    3. 一人でも株式会社を設立するメリット③:節税の幅が広がる
    4. 一人でも株式会社を設立するメリット④:有限責任でリスクを軽減
    5. 一人でも株式会社を設立するメリット⑤:事業の相続や譲渡が容易
    6. 一人でも株式会社を設立するメリット⑥:法人でなければできない事業に対応
  2. 一人で株式会社を設立するデメリット
    1. 一人で株式会社を設立するデメリット①:設立や運営にコストがかかる
    2. 一人で株式会社を設立するデメリット②:社会保険料の負担がある
    3. 一人で株式会社を設立するデメリット③:法人を解散する際の手間とコスト
  3. 一人で株式会社を設立する際に必要なもの
    1. 一人で株式会社を設立する際に必要なもの①:個人の銀行口座
    2. 一人で株式会社を設立する際に必要なもの②:会社の印鑑(代表者印)
    3. 一人で株式会社を設立する際に必要なもの③:個人の実印と印鑑証明書
    4. 一人で株式会社を設立する際に必要なもの④:株式会社設立に必要な費用
  4. 一人で株式会社を設立する際の手順
    1. 一人で株式会社を設立する際の手順①:会社を作るのに必要な基礎情報を決める 
    2. 一人で株式会社を設立する際の手順②:法人用に必要な実印を作成する 
    3. 一人で株式会社を設立する際の手順③:定款を作成する 
    4. 一人で株式会社を設立する際の手順④:公証役場で作成した定款の認証を受ける 
    5. 一人で株式会社を設立する際の手順⑤:資本金を決定し払い込みを行う 
    6. 一人で株式会社を設立する際の手順⑥:会社を作る際の必要書類を用意して法務局で登記申請を行う 
  5. 一人で株式会社を設立するかどうかの判断基準
    1. 株式会社設立の判断基準①:資金の調達規模で決める
    2. 株式会社設立の判断基準②:やりたい事業内容で決める
    3. 株式会社設立の判断基準③:顧客との取引条件で決める
    4. 株式会社設立の判断基準④:所得額で決める
  6. まとめ

一人でも株式会社を設立するメリット

一人で株式会社を設立することには、多くのメリットがあります。株式会社としての形態は、一人でも社会的信用を獲得しやすく、資金調達の選択肢も広がる点で非常に有利です。以下に、一人で株式会社を設立する際の主なメリットを6つご紹介します。

一人でも株式会社を設立するメリット①:法人なので社会的信用を得やすい

一人で株式会社を設立する場合でも、法人としての信用度は個人事業主と比較して圧倒的に高いです。株式会社は設立や運営に厳格な手続きが求められるため、新規取引先や金融機関などからの信頼を得やすくなります。特に、信用を重視する事業を行う場合は、合同会社よりも株式会社を選択する方が望ましいでしょう

一人でも株式会社を設立するメリット②:資金調達の幅が広がる

一人で株式会社を設立することで、資金調達の手段が大幅に増えます。金融機関からの融資が受けやすくなるだけでなく、外部からの出資や社債の発行も可能になります。

一人で株式会社を設立するときのポイント!

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また、一部の補助金や助成金は法人でなければ申請できないため、株式会社設立が有利です。

一人でも株式会社を設立するメリット③:節税の幅が広がる

株式会社を設立することで、節税の幅も広がります。以下の点が特に重要です。

  • 損失繰越の期間が長い:個人事業主は最大3年ですが、法人の場合は最大10年に延びます。
  • 法人税のメリット:所得税は累進課税で所得額が高いほど税率が上がりますが、法人税は一定の税率が適用されるため、利益が大きくなると税負担が軽減されます。
  • 法人なら経費計上できる項目が多い:給与や社宅の家賃、法人名義の生命保険料など、個人事業では経費にできないものが法人では損金計上できます。

一人でも株式会社を設立するメリット④:有限責任でリスクを軽減

株式会社を設立すると、責任の範囲は出資額の範囲内となるため、一人でもリスクを限定できます。個人事業主が負う無限責任と比較すると、株式会社の有限責任は安心感があります。

一人でも株式会社を設立するメリット⑤:事業の相続や譲渡が容易

一人で設立した株式会社であっても、株式を相続や譲渡することで事業をスムーズに引き継ぐことが可能です。特に株式会社は株式の分割や譲渡が簡単なため、事業承継の手続きが効率的に進められます。

一人でも株式会社を設立するメリット⑥:法人でなければできない事業に対応

建設業や飲食業、人材紹介業など、許認可が必要な事業を行う場合、株式会社設立が最適です。許認可事業では資本金要件が設定されていることが多く、法人であることが前提となる場合があります。一人で事業を始める場合でも、将来を見据えて株式会社を設立しておくことで、再度許認可を取得する手間を省けます。

一人で株式会社を設立することは、費用や手続きの負担はあるものの、信用力、資金調達力、節税効果など、多くの利点を享受できる選択肢といえるでしょう。

一人で株式会社を設立するデメリット

一人で株式会社を設立する際には、メリットだけでなくデメリットも存在します。一人株式会社のデメリットについて以下に3つ挙げて説明します。

一人で株式会社を設立するデメリット①:設立や運営にコストがかかる

一人で株式会社を設立する場合、個人事業主には発生しない特有のコストがあります。具体例は以下の通りです。

  • 会社設立登記にかかる費用
    株式会社の設立には、登録免許税や定款認証手数料などの費用がかかります。これらのコストは、一人で設立する場合でも回避できません。
  • 経理作業の複雑化
    株式会社は経理面のルールが厳格で、個人事業主よりも手続きが高度で複雑です。一人で対応する場合、特に負担が大きくなる可能性があります。
  • 決算申告と公示広告
    株式会社では決算の公示広告が義務付けられており、これもコストに含まれます。一人株式会社でも例外ではなく、定期的な公示広告にかかる手間や費用はデメリットとなります。
  • 役員重任や株主総会
    一人で設立した株式会社でも、形式的な役員重任や株主総会の開催が必要です。これらに伴うコストや手間も考慮が必要です。

一人で株式会社を設立するデメリット②:社会保険料の負担がある

一人の株式会社であっても、法人には社会保険の加入義務があります。たとえ従業員を雇っていなくても、一人社長として社会保険に加入しなければなりません。

  • 社会保険料は会社と被保険者(社長)が折半する形となり、個人事業主が負担する国民健康保険よりもコストが高くなる場合があります。
  • また、社会保険の加入や脱退手続きといった事務作業も、一人株式会社ならではの負担です。
    ただし、社会保険は保障内容が手厚く、場合によっては被保険者の支払う保険料が少なくなるケースもあるため、デメリットばかりではありません。

一人で株式会社を設立するデメリット③:法人を解散する際の手間とコスト

一人で株式会社を設立した場合でも、事業を終了する際には解散や清算手続きが必要です。

  • 株式会社の廃業には、解散登記や公告などが求められ、個人事業主の廃業手続きよりも手間やコストがかかります。
  • 一人株式会社の場合でも、債権債務の整理や取引先への対応を含め、手続きの煩雑さがデメリットとなります。

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以上のように、一人で株式会社を設立するには、設立・運営・解散において特有のコストや手間がかかる点を理解しておくことが重要です。

一人で株式会社を設立する際に必要なもの

個人事業主が事業の成功を収め、その成功を基に株式会社の新規設立を検討するケースは少なくありません。また、最初から株式会社で事業を始めてみたいと考える人にとっても、一人で株式会社を設立することは十分可能です。

一人株式会社を設立するために必要なものは、必要書類に加えて以下のような準備が求められます。

一人で株式会社を設立する際に必要なもの①:個人の銀行口座

一人で株式会社を設立する場合、資本金の払込を証明するための個人の銀行口座が必要です。設立登記申請時には払込を証明する書類を添付する必要があります。設立登記が完了した後、株式会社名義の口座を開設し、資本金をその口座に振り替えることができます。

一人で株式会社を設立する際に必要なもの②:会社の印鑑(代表者印)

株式会社設立の際に、法務局に登録する会社の実印が必要です。商号(会社名)が決定した時点で、代表者印の作成を進めましょう。

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一人で設立する場合でも、この印鑑は重要な役割を果たします。

一人で株式会社を設立する際に必要なもの③:個人の実印と印鑑証明書

定款認証時には発起人として、また設立登記申請時には代表取締役としての個人の実印と印鑑証明書が必要です。一人株式会社を設立する場合でも、この手続きは必須です。

一人で株式会社を設立する際に必要なもの④:株式会社設立に必要な費用

一人株式会社を設立する際には、必要書類として定款と設立登記申請書を準備する必要があります。また、収入印紙代や交付手数料などを含め、設立にかかる費用はおよそ「25万円」が必要です。一人で株式会社を設立する場合でも、これらの費用が避けられない点を理解しておきましょう。

一人株式会社は、個人事業主とは異なる多くの手続きとコストが発生しますが、適切な準備を行うことでスムーズに設立が可能です。その後の運営においても、一人株式会社としての体制を整えることで、事業を軌道に乗せることができるでしょう。

一人で株式会社を設立する際の手順

一人で株式会社を設立する手順は、以下の6つのステップで大きく分けることができます。

一人で株式会社を設立する際の手順①:会社を作るのに必要な基礎情報を決める 

一人株式会社を設立するためには、まず基礎情報を決定する必要があります。これには、会社形態、商号(会社名)、事業目的、本店所在地、資本金、会社設立日、会計年度、役員や株主の構成などが含まれます。これらの情報は、定款に記載される重要な項目であるため、慎重に決めていきましょう。

一人で株式会社を設立する際の手順②:法人用に必要な実印を作成する 

一人株式会社を設立する際、法人用の実印を作成する必要があります。この実印は、登記簿謄本や印鑑証明書など重要書類に押印するために使用されます。法人印は専門業者に依頼して作成する必要があり、一人で株式会社を設立する場合でも、設立前に準備しておくとスムーズに手続きを進められます。

一人で株式会社を設立する際の手順③:定款を作成する 

定款は、一人株式会社にとって必須の書類で、会社の目的や事業内容、役員の任期などの基礎情報を記載します。定款の作成には法的な基準があり、事業目的や商号などの「絶対的記載事項」は必ず記載しなければ無効となります。一人で株式会社を設立する場合も、この手続きは非常に重要です。

一人で株式会社を設立する際の手順④:公証役場で作成した定款の認証を受ける 

定款が作成できたら、公証役場で認証を受ける必要があります。一人株式会社でも、定款認証の手続きには必要な書類と費用がかかるので、事前に準備しておきましょう。

ここがポイント!

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また、定款の認証をオンラインで行う方法もあり、その際には収入印紙代がかからないため、コストを抑えることも可能です。

一人で株式会社を設立する際の手順⑤:資本金を決定し払い込みを行う 

定款の認証が完了したら、資本金を決定し、払い込みを行います。この際、資本金は一人株式会社であっても個人名義の口座に振り込むことになります。払い込み後、振込内容を証明する書類を保存し、登記申請時に必要となるため、大切に保管しておきましょう。

一人で株式会社を設立する際の手順⑥:会社を作る際の必要書類を用意して法務局で登記申請を行う 

最後に、必要書類を準備して法務局で登記申請を行います。登記申請書や定款、資本金の払込証明書など、10種類以上の書類が必要となります。一人株式会社であっても、これらの書類を正確に準備し、申請を行うことが重要です。申請後、10日ほどで登記が完了し、株式会社として法人格を得ることができます。

一人株式会社の設立手順は個人事業主とは異なり、より多くの手続きと書類が必要ですが、しっかりと準備することでスムーズに進めることができます。

SoVa税理士お探しガイド編集部

一人で株式会社を設立するかどうかの判断基準

株式会社などの法人格を取得して一人株式会社となるか、個人事業主のままでいるかを選択する際には、いくつかの要素を目安として考えましょう。以下の基本的な要素を参考にして、一人株式会社の設立を決める際の判断材料として活用してください。

株式会社設立の判断基準①:資金の調達規模で決める

資金調達の規模によって、一人株式会社か個人事業主かを選択する方法があります。大規模に資金を調達したい場合は、一人株式会社を設立するのが有利です。株式会社の法人格を持つ一人会社は、融資やクラウドファンディングなどを活用して資金調達がしやすく、より多くの資金を集めることが可能です。事前に希望する融資の条件を確認し、法人格が前提条件であれば、一人株式会社としての設立を検討することも選択肢となります。

株式会社設立の判断基準②:やりたい事業内容で決める

一人株式会社として法人を設立しなければ実現できない事業もあります。例えば、法人でなければできない規模の事業や、BtoBビジネスなどは、一人株式会社を設立するしかありません。個人事業主としては実現できない規模や内容の事業がある場合、一人株式会社を設立することが良いタイミングともいえます。

SoVa税理士お探しガイド編集部

法人になれば、事業の信頼性が向上し、より広範な事業展開が可能となります。

株式会社設立の判断基準③:顧客との取引条件で決める

取引先が法人でなければ取引しないという条件を設定している場合もあります。このような場合、見込み顧客と取引を行うためには、一人株式会社として法人化する必要があるでしょう。もし取引先が法人を求めていない場合、個人事業主のままでも問題なく取引を続けられるため、無理に一人株式会社を設立する必要はないかもしれません。

株式会社設立の判断基準④:所得額で決める

一人株式会社を設立するタイミングの一つに、所得額の増加があります。個人事業主のままでいると、所得が増えるに従って所得税が膨れ上がりますが、一定の所得を安定して得ている場合、一人株式会社にした方が節税になることがあります。年間売り上げが1,000万円を超えたり、年間の課税所得が800万円を超えると、個人事業主としてのデメリットが増えるため、このタイミングで一人株式会社を設立することを検討することが理想的です。

一人株式会社として法人化することで、資金調達や事業展開、取引先との関係性など、さまざまな点で有利に働くことが多いため、自分の事業の規模や将来の展望を考慮しながら、一人株式会社設立を決断することが重要です。

まとめ

一人で株式会社を作るには、法人化に伴って非常に多くの手続きを要し、一人株式会社の運営にはかなりの労力がかかります。しかし、それに伴って一人株式会社の運営に必要なスキルを身につけられるだけでなく、社会的信用度が高まるなど、株式会社としてのメリットも得られます。

これまで個人事業主として活動していた場合に、法人化して一人株式会社を設立することで、節税におけるメリットも感じられるでしょう。一人株式会社を設立する際は、手順や注意点をしっかりと把握して、不備なくスムーズに進めることが重要です。記事で紹介した手順を参考にし、一人株式会社としての成功を目指しましょう。

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