決算賞与とは?ボーナスとの違いや支給する際の注意点について解説!
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公開日:2025年1月
更新日:2025年2月4日
業績がよかった時の社員への還元方法として、通常のボーナスに加えて決算賞与の支給を検討する企業も多いでしょう。決算賞与と通常のボーナスの違いを理解し、それぞれのメリット・デメリットを把握することが重要です。決算賞与の支給には、利益額や設備投資の計画を考慮し、慎重な判断が求められます。
決算賞与は業績に応じた臨時の支給であり、通常のボーナスとは違い、必ずしも毎年支給されるものではありません。

SoVa税理士お探しガイド編集部
今回の記事では、決算賞与のメリット・デメリット、通常のボーナスとの違い、支給する際の注意点について詳しく解説します。

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決算賞与とは

そもそも賞与とは?
賞与とは、企業が支給額や支給時期を自由に決められる臨時のボーナスのことで、一般的に「通常賞与(ボーナス)」と「決算賞与」の2種類に分けられます。労働基準法関係通達(1947年9月13日発基第17号)では、賞与は「定期または臨時に、労働者の勤務成績に応じて支給され、その支給額が事前に確定していないもの」と定義されています。そのため、賞与である決算賞与や通常のボーナスは企業の裁量で柔軟に支給され、正社員だけでなくパートやアルバイトにも支給が可能です。
決算賞与とは?
決算賞与は、決算時点の業績に基づいて支給額を決定し、臨時で支給されるボーナスです。一般的なボーナスとは違い、支給の有無や金額は企業の業績や経営判断によって決められます。
ここがポイント!

業績が好調な場合には利益を従業員に還元するために支給されることが多いですが、業績が低調な場合には支給しないことも可能です。
また、夏・冬のボーナスを支給せず、決算賞与のみを支給する企業もあります。さらに、就業規則に記載がある場合には、決算賞与を特定の従業員に限定して支給することもでき、勤務成績が優れた従業員に重点的に支給したり、事業場ごとに支給額を調整したりすることも可能です。
決算賞与の支給時期
通常のボーナスの支給が夏・冬である点と違い、決算賞与の支給時期は「事業年度終了の日の翌日から1か月以内」が一般的です。これは決算処理を終え、利益を確定させた後に、決算賞与の支給の有無や支給額を決めるためです。また、この期間内に支給することで当期の損金として計上でき、法人税の節税効果を得ることができます。
たとえば、3月決算の企業の場合、事業年度は3月31日で終了するため、決算賞与の支給時期は3月下旬から4月中旬になります。多くの企業は決算期を3月や12月に設定しているため、決算賞与の支給時期も3月~4月や年末になるケースが多いですが、決算期は企業が自由に設定できるため、必ずしもこの時期に支給しなければならないわけではありません。
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決算賞与とボーナスの違い

決算賞与とボーナスの違いには、主に支給時期と支給額の2つの違いがあります。
まず、決算賞与とボーナスにおける支給時期の違いとして、決算賞与は企業の業績に応じて決算後に支給されるのに対し、ボーナスは「夏季賞与」「冬季賞与」として毎年決まった時期に支給されるのが一般的だという違いがあります。
次に、決算賞与とボーナスの支給額の違いについて、決算賞与はその年の業績や利益状況によって支給額に違いが生じ、場合によっては支給されないこともあります。
気をつけておきたい注意点

一方、ボーナスは企業が定めた算定方法に基づいて支給額が決まるため、業績の影響を受けにくい傾向があるという違いがあります。
このような違いがある一方で、決算賞与とボーナスの共通点として、どちらも企業側に支給義務はなく、業績や企業方針によって支給の有無が決定される点が挙げられます。そのため、決算賞与やボーナスの支給を検討する際は、企業の利益状況や資金繰りを考慮し、ボーナスとの違いを理解した上で適切な決め方をすることが重要です。
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決算賞与やボーナスをもらえる会社ともらえない会社の違い

決算賞与やボーナスは必ず支給されるわけではなく、会社の業績や方針に大きく影響されます。ここでは、決算賞与やボーナスがもらえる会社ともらえない会社の違いについて詳しく説明します。

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決算賞与やボーナスの有無の違い①:会社によって決算賞与の支給方針が違う
決算賞与やボーナスが支給されるかどうかは、会社ごとに違います。毎年、会社の方針に違いが生じる可能性もあり、必ず支給されるとは限りません。例えば、黒字でも倒産を避けるために決算賞与を支給しない場合があります。このようなケースは、売掛金の回収遅れや在庫管理不備など、利益が出ていても急な支払いができない状況に陥る「黒字倒産」を避けるために行われます。したがって、決算賞与やボーナスをもらえるかどうかは、その年の業績や企業の財務状況に依存します。
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決算賞与やボーナスの有無の違い②:業績が悪化した場合は賞与カットされる
決算賞与やボーナスは、企業の業績が良ければ支給され、業績が悪ければ支給が見送られることがあります。決算賞与やボーナスは、企業の余剰利益から支払われるため、業績が悪化した場合、従業員に支給されないことも珍しくありません。従業員にとっては非常に残念ですが、求職者にとってはその企業の財務状態や安定性を知るための材料となります。

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決算賞与を支給するメリット

決算賞与を支給するかどうかは、企業の経営判断によります。決算賞与には通常のボーナスとは異なるメリット・デメリットがあるため、違いについて理解し、慎重に支給の可否を決めることが重要です。まずはメリットから紹介していきます。
決算賞与のメリット①:節税対策になる
決算賞与を支給することで、企業の税負担を軽減できる点が大きなメリットです。決算賞与は一定の要件を満たせば当期の損金に算入でき、利益を圧縮することで法人税の負担を減らすことが可能になります。特に業績が好調な年度は税額が大きくなるため、利益の調整手段として決算賞与を活用する経営者も多くいます。通常のボーナスとは違い、決算後の業績を見極めた上で支給額を決めることができるため、経営状況に応じた柔軟な対応が可能な点が、ボーナスとの大きな違いと言えるでしょう。
決算賞与のメリット②:社員のモチベーション向上につながる
決算賞与の支給は、社員のモチベーションを高める効果が期待できます。決算賞与は業績に応じた臨時のボーナスであり、支給されることで企業の業績が好調であることが伝わります。

SoVa税理士お探しガイド編集部
社員にとっては、自身の貢献が企業の利益につながったと実感でき、さらなる業績向上への意欲につながるでしょう。
通常のボーナスと併せて決算賞与を支給することで、企業への帰属意識の向上も期待できます。
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決算賞与を支給するデメリット

決算賞与を支給するメリットがある一方で、当然デメリットもあります。双方を理解した上で、決算賞与を支給するかどうかを慎重に検討してみることをおすすめします。
決算賞与のデメリット①:資金繰りへの影響
決算賞与を支給することで税負担の軽減はできますが、その分企業のキャッシュが減るため、資金繰りへの影響を考慮する必要があります。無計画に決算賞与を支給すると、設備投資や運転資金の確保が難しくなり、財務状況の悪化を招く可能性があります。
ここがポイント!

また、決算賞与には会社負担の社会保険料も発生するため、支給の際には総合的な資金計画を立てることが重要です。
決算賞与のデメリット②:継続的な支給が求められる可能性がある
決算賞与を一度支給すると、社員が「毎年もらえるもの」と認識し、支給がなかった際にモチベーションが低下する可能性があります。決算賞与は利益の還元であるため、企業の業績によっては支給できない年もありますが、社員が「決算賞与がない=業績が悪い」と捉え、不安を感じることも考えられます。決算賞与の支給ルールや決め方を明確にし、社員へ周知しておくことが、長期的なモチベーション管理のために重要です。

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決算賞与と通常のボーナスには違いがあり、それぞれの特徴を理解した上で適切な決め方をすることが大切です。決算賞与の支給を検討する際は、業績や資金繰りを慎重に分析し、社員の期待値管理にも配慮することで、企業と従業員双方にとってメリットのある制度を構築しましょう。
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決算賞与を支給する際の注意点

決算賞与を支給する際は、通常のボーナスとの違いに注意が必要です。特に、損金算入を目的とする場合、決算賞与の決め方や支給のタイミングが重要になります。以下の3点に留意し、適切に対応しましょう。
注意点①:役員への決算賞与は原則損金算入できない
決算賞与は従業員だけでなく役員にも支給可能ですが、通常のボーナスとは違い、役員への決算賞与は基本的に損金として計上できません。これは、法人税法上、役員報酬を自由に損金に含めることで課税所得を調整し、税負担を意図的に操作できるのを防ぐためです。
ただし、事前確定届出給与として税務署に届け出を行えば、役員に対する決算賞与も損金に算入できる場合があります。
ここがポイント!

この手続きは決算期の前後に行う必要があるため、役員への決算賞与を損金算入したい場合は、通常のボーナスとの違いを踏まえて事前に準備を進めましょう。
注意点②:決算期末から1ヶ月以内に支給する必要がある
決算賞与を損金算入するには、決算日から1ヶ月以内に支給しなければなりません。このルールは、役員・従業員を問わず、決算賞与を受け取るすべての対象者に適用されます。もし決算日から1ヶ月を超えて支給すると、当期の費用ではなく翌期の費用として扱われるため、当期の節税効果を得ることができません。
さらに、決算賞与にかかる社会保険料の損金算入時期も違いがある点に注意が必要です。社会保険料は、計算対象月の末日に属する事業年度で計上されるため、決算日から1ヶ月以内に支給した場合でも、翌期の損金として処理される可能性があります。当期の損金として計上したい場合は、決算日前に支給することが望ましいでしょう。
注意点③:決算賞与通知書の内容通りに支給することが必要
決算賞与を損金算入するには、決算日までに支給額を通知し、通知通りの金額を支給する必要があります。
ただし、この通知は単に伝えればよいのではなく、従業員に適切に伝達されたことを証明することが重要です。メールや口頭での通知では、いつ通知されたのか、従業員が正しく受け取ったのかを証明することが困難なため、書面での決算賞与通知書の作成が推奨されます。通知書には日付を明記し、従業員からのサインや確認印をもらうことで、通知時期や通知内容が正しく伝わったことを証明できます。
こうした適切な手続きを行うことで、決算賞与を確実に損金として計上することが可能になります。
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まとめ
決算賞与と通常のボーナスには違いがあり、それぞれの特徴を理解した上で適切な決め方をすることが大切です。決算賞与は、従業員のモチベーション向上と企業の節税効果を期待できるボーナスの一種ですが、通常のボーナスとの違いとしては、支給時期の違いと支給額の違いが挙げられます。

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決算賞与の支給にあたっては、通常のボーナスとの違いを踏まえ、公平感のある分配方法を検討する必要があります。従業員の士気を高めるには、業績への貢献度を反映した決算賞与の決め方を採用することが望ましく、不公平感を生まないようなルール作りが不可欠です。
また、決算賞与には税務上の要件があり、節税のメリットを得るためには事前通知の実施や決められた支給時期を厳守する必要があります。例えば、決算日までに決算賞与の支給額を通知し、決算後1ヶ月以内に支給することが損金算入の条件となるため、支給時期や支給額面での通常ボーナスとの違いを理解した上で、適切に運用しなければなりません。決算期が近づいてから決算賞与の支給を検討すると、担当部署の負担が大きくなり、手続きの漏れや遅延が発生するリスクもあります。
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そのため、決算賞与の決め方や支給ルールは事前に整備し、企業としての方針を明確にしておくことが重要です。通常のボーナスとの違いを意識しながら、決算賞与のメリットを最大限に活かせる仕組みを構築しましょう。
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