社会保険料の会社負担割合は?社会保険の計算方法や会社負担の注意点を徹底解説!
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公開日:2024年9月
更新日:2024年11月6日
従業員を雇用する企業や事業主にとって、「社会保険料の会社負担」は、経費管理の中でも特に重要な項目です。社会保険は健康保険や厚生年金保険、雇用保険など、さまざまな保険が組み合わさった制度で、これらの社会保険料は企業と従業員の間で会社負担と従業員負担に分けて支払われます。しかし、社会保険料の会社負担割合や計算方法を正確に理解していないと、思わぬコスト増加や経費計上のミスにつながることがあるため、注意が必要です。
本記事では、社会保険料の会社負担割合について、基本的な計算方法から具体的な注意点まで、詳しく解説します。特に、初めて社会保険に加入する企業や、これから新たに従業員を雇用することを検討している事業主の方にとって、社会保険の会社負担をしっかり把握しておくことは、健全な経営を行うために非常に重要です。社会保険料の会社負担割合を正しく理解し、適切な財務管理を行うためのヒントをこの記事で知ることができるでしょう。
さらに、社会保険の種類ごとの会社負担割合や、負担を軽減する方法など、社会保険と会社負担に関するポイントも詳しく解説していきます。社会保険の会社負担を最適に管理し、企業の経費を効率的に運用するための情報を得たい方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
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目次
社会保険料の会社負担割合は?
社会保険料の会社負担割合は以下の通りです。
社会保険の種類 | 会社 | 従業員 |
健康保険 | 会社負担:50% | 従業員負担:50% |
厚生年金保険 | 会社負担:50% | 従業員負担:50% |
介護保険 | 会社負担:50% | 従業員負担:50% |
雇用保険 | 会社負担:業種により異なる | 従業員負担:業種により異なる |
労災保険 | 会社負担:100% | 従業員負担:0% |
健康保険、厚生年金保険、介護保険については、会社負担は50%となっており、雇用保険の会社負担は業種によって異なるため注意が必要です。また、労災保険については会社負担が100%になっています。
企業は社会保険料を、従業員の負担分を給与から差し引き、会社負担分と合わせて納付します。健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料の支払い期限は、原則として翌月末までとなっています。
雇用保険料に関しては、納付が年1回まとめて行われますが、従業員分の社会保険料は毎月給与から分割して天引きされ、会社負担分と合わせて支払います。
この社会保険料の金額は、標準報酬月額や標準賞与額をもとに決定されます。
社会保険料の会社負担割合に関するおすすめ記事:社会保険料の会社負担割合の額は? 計算方法や金額を解説
社会保険料を決める標準報酬月額・標準賞与額とは?
標準報酬月額および標準賞与額は、健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料などの各種社会保険料を算出する際の基準となる、報酬の区分を示したものです。この基準は日本年金機構によって定められており、各都道府県ごとに異なる場合があります。確認する際は、全国健康保険協会が公表している「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」を参照するとよいでしょう。
標準報酬月額
標準報酬月額とは、社会保険料の計算を行うために、従業員の給与や賞与を一定の範囲で区分したものです。現在、1等級(88,000円)から32等級(650,000円)までの区分があります。従業員が社会保険に加入する際、その時点の給与を基に標準報酬月額が設定されます。
給与は変動する可能性があるため、毎年4月から6月の給与を基に、9月に標準報酬月額が再評価されます。
社会保険の会社負担額に関する注意点
ただし、2等級以上の給与変動があった場合は、随時改定が必要です。
標準賞与額
標準賞与額は、賞与金額から1,000円未満を切り捨てた額で決定され、上限は150万円です。賞与とは、給与とは別に、年に3回以下の頻度で支給されるボーナスや手当などを指します。支給頻度が年4回以上になる場合、その支給額は賞与ではなく給与とみなされ、標準報酬月額に基づいて社会保険料が計算されるため、注意が必要です。
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社会保険料の計算方法
社会保険には、次の5つの種類があります。
- 健康保険
- 厚生年金保険
- 介護保険
- 雇用保険
- 労災保険
それぞれの社会保険料の計算方法について解説します。
社会保険料の計算方法①:健康保険
健康保険料の計算は次の通りです。
給与の場合 | 健康保険料 = 標準報酬月額 × 健康保険料率 | 会社負担:50% |
賞与の場合 | 健康保険料 = 標準賞与額 × 健康保険料率 | 会社負担:50% |
健康保険料率は、保険の種類や事業所の所在地によって異なります。健康保険には以下の2つの種類があります。
種類 | 従業員数など | 保険料率 |
健康保険組合 | ・常時700人以上の従業員がいる・同種・同業の事業所が集まり、3,000人以上の従業員がいる | 組合によって異なる |
全国健康保険協会(協会けんぽ) | ・人数にかかわらず、法人は加入義務がある・適用業種の個人事業主は、常時5人以上の従業員がいる場合に加入義務がある・上記以外でも条件を満たせば任意適用事業所として加入できる | 事業所がある都道府県によって異なる |
健康保険組合は主に大企業や同業の中小企業のグループで設立されますが、全国健康保険協会(協会けんぽ)は主に中小企業が対象です。協会けんぽの保険料率は協会の公式ウェブサイトで確認できます。
合わせて読みたい「社会保険手続きの期限を超えた場合の対応」に関するおすすめ記事
会社設立から社会保険手続きが5日過ぎたときの対処法とは?会社設立後の社会保険手続きの期限も紹介
社会保険料の計算方法②:厚生年金保険
厚生年金保険料の計算は次の通りです。
給与の場合 | 厚生年金保険料 = 標準報酬月額 × 厚生年金保険料率 | 会社負担:50% |
賞与の場合 | 厚生年金保険料 = 標準賞与額 × 厚生年金保険料率 | 会社負担:50% |
厚生年金保険料率は、2024年5月現在18.3%です。詳細な額は、全国健康保険協会のウェブサイトで確認できます。
社会保険料の計算方法③:介護保険
介護保険料の計算は以下の通りです。
給与の場合 | 介護保険料 = 標準報酬月額 × 介護保険料率 | 会社負担:50% |
賞与の場合 | 介護保険料 = 標準賞与額 × 介護保険料率 | 会社負担:50% |
介護保険料率は加入する健康保険の種類や都道府県により異なります。協会けんぽの保険料率は協会の公式ウェブサイトで確認してください。
社会保険料の計算方法④:雇用保険
雇用保険料の計算方法は以下の通りです。
給与の場合 | 雇用保険料 = 給与額 × 雇用保険料率 | 会社負担:業種により異なる |
賞与の場合 | 雇用保険料 = 賞与額 × 雇用保険料率 | 会社負担:業種により異なる |
2024年度の雇用保険料率は以下の通りです。
業種 | 労働者負担 | 会社負担 | 雇用保険料率 |
一般の事業 | 6/1,000 | 9.5/1,000 | 15.5/1,000 |
農林水産・清酒製造業 | 7/1,000 | 10.5/1,000 | 17.5/1,000 |
建設業 | 7/1,000 | 11.5/1,000 | 18.5/1,000 |
毎年保険料率は更新されるため、厚生労働省のウェブサイトを定期的に確認しましょう。
社会保険料の計算方法⑤:労災保険
労災保険料の計算方法は以下の通りです。
給与の場合 | 労災保険料 = 給与額 × 労災保険料率 | 会社負担:100% |
賞与の場合 | 労災保険料 = 賞与額 × 労災保険料率 | 会社負担:100% |
労災保険については100%会社負担になるのが特徴です。労災保険料率は業種により異なります。詳細は厚生労働省の公式サイトで確認しましょう。
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社会保険料を計算する際の注意点
社会保険料の計算時に注意すべき点は以下の通りです。
- 社会保険料が免除される期間がある
- 介護保険の年齢に関する注意点
- ボーナス(賞与)の取り扱いについて
- 端数処理の方法について
それぞれのポイントについて詳しく説明します。
社会保険料が免除される期間が存在する
社会保険料を算出する際には、特定の期間中に社会保険料が免除される場合があることに留意しましょう。
たとえば、産前産後休業や育児休業中の従業員は、支援措置として健康保険料と厚生年金保険料が免除されます。この期間中は、従業員負担と企業負担の双方が義務ではなくなります。
産前産後休業の対象期間は、出産の6週間前(多胎妊娠の場合は14週間前)から産後8週間までで、そのうち実際に労働をしなかった期間が適用されます。
育児休業については、子どもが3歳になるまでが対象となります。具体的には、育児休業を開始した月から、その終了日の翌日が属する月の前月までが従業員負担と会社負担の免除期間となりま
事業主は、「健康保険・厚生年金保険産前産後休業取得者申請書」や「健康保険・厚生年金保険育児休業等取得者申出書」を提出する手続きが必要です。
介護保険は従業員の年齢に配慮する
介護保険料の計算においては、従業員の年齢に注意が必要です。
介護保険の負担は40歳以上から始まるため、40歳未満の従業員は介護保険料を支払う必要がありません。介護保険料の納付が開始されるのは、40歳の誕生日の前日が属する月からです。
40歳から64歳までの従業員は、第2号被保険者として介護保険料を支払い、従業員負担と会社負担については、双方がその費用を折半します。
65歳以上になると、第1号被保険者に切り替わり、介護保険料は従業員本人が居住する市区町村に納めることになるため、会社負担は発生しません。
ボーナス(賞与)の取り扱いについて
ボーナス(賞与)にも健康保険料や厚生年金保険料が発生します。社会保険料は「標準賞与額」(1,000円未満を切り捨てた金額)に、健康保険や厚生年金保険の保険料率を掛け合わせて計算されます。そのため、ボーナスが支給される月の社会保険料は通常よりも高くなるため、注意が必要です。
なお、賞与として扱われるものは、「年に3回以下の支給」「労働の対価として支給されるもの」に該当します。年に4回以上支給されるものは賞与とは見なされず、標準報酬月額の算定対象となります。また、結婚祝い金や慶弔見舞金のような、労働の対価ではないものは賞与に該当しないので注意が必要です。
また、雇用保険の保険料については、通常の給与と同様に、ボーナスの支給額に企業と従業員の負担率を乗じて計算します。
端数処理の方法
社会保険料の計算において1円未満の端数が出る場合、以下のルールに従います。
【給与から控除する場合】
従業員負担の保険料:50銭以下は切り捨て、50銭を超える場合は1円に切り上げ
【現金で従業員から支払う場合】
従業員負担の保険料:50銭未満は切り捨て、50銭を超える場合は1円に切り上げ
【会社負担分の保険料の端数処理】
会社負担の保険料:1円未満の端数は切り捨てますが、これは従業員ごとに行うのではなく、全従業員の合算後に端数を処理します。
日本年金機構から「納入告知額」として請求された後、その金額から従業員の保険料負担分を差し引いたものが会社負担分となります。
【雇用保険の端数処理について】
雇用保険も「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」に基づいて同様に端数処理が行われます。ただし、健康保険や厚生年金保険も同様に、労使間で慣習的な端数処理のルールがある場合は、そのルールに従うことも認められています。
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社会保険料の支払いが難しい場合
社会保険料の支払いが困難な場合は、猶予制度や分割払い制度の利用を検討してみましょう。
社会保険料の滞納が続くと、単に督促状が送付されるだけでなく、延滞金が加算され、さらに財産調査や差し押さえといった措置が取られる可能性があります。また、会社の社会的信用が低下し、融資の確保や取引先との関係にも悪影響を及ぼすリスクがあります。
SoVa税理士お探しガイド編集部
こうした事態を避けるためにも、支払いが難しいと感じた時点で、速やかに各納付機関へ相談することが大切です。何よりも、滞納を放置しないことが重要です。
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まとめ
社会保険料には5つの種類があり、健康保険、厚生年金保険、介護保険については、会社負担は50%となっています。雇用保険の会社負担は業種によって異なるため注意が必要であり、労災保険については会社負担が100%になっています。
社会保険の会社負担金額については、計算方法に加えて、免除される期間や対象年齢についても把握しておくことが求められます。支払いが困難な場合には、各納付先に早めに相談することが不可欠です。
社会保険料の計算は従業員ごとに行わなければならず、その分会社負担も大きくなりますが、これは企業運営において避けられない重要な責務です。正確かつ適切に対応し、社会保険業務を確実に遂行しましょう。
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