還付金とは?還付が発生しうる税金の種類と還付条件についても解説!
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公開日:2025年6月
更新日:2025年6月13日
税金の手続きにおいて耳にする「還付金」。これは、納税者が納めすぎた税金について、後から返金されるお金のことを指します。還付金の対象となる税金は、所得税や消費税、法人税、相続税などさまざまで、申告の内容や税金の支払い状況によって還付の有無が決まります。
たとえば、確定申告によって所得税の過払いが判明した場合、所定の手続きを行うことで税金の一部が還付されることがあります。しかし一方で、すべての人が還付金を受け取れるわけではなく、条件を満たさない場合には還付の対象外となることもあります。
この記事では、そもそも還付金とは何か、どのような税金に還付が発生し得るのか、還付を受けられる人と受けられない人の違い、そして還付金を受け取る時期まで、わかりやすく解説します。
還付金とは

還付金とは、納税者が納めすぎた税金について、国や地方公共団体から払い戻されるお金のことです。所得税においては、源泉徴収された税金や予定納税で前もって支払った税金が、実際の年間所得に基づいて計算された所得税より多かった場合、確定申告を通じて税金の還付を受けることができます。
還付金が発生しうる税金の種類とその条件に関するおすすめ記事
この税金の還付を受けるために行う手続きが還付申告です。還付申告は、税金を納めているすべての納税者に可能であり、会社員や年金受給者を含め、個人事業主やフリーランスに限らず誰でも申告することができます。

SoVa税理士お探しガイド編集部
税金の過払いが発生した場合は、忘れずに還付申告を行うことで、正しく税金の還付を受け取りましょう。
還付金が発生しうる税金の種類

還付の対象となる税金には、次のような国税が含まれます。これらの税金に関して、払いすぎた金額が発生した場合、還付申請を行うことで税金の一部または全額が還付されます。
- 所得税
- 消費税
- 法人税
- 相続税
- 印紙税
それぞれの税金について、還付の条件や申請方法を詳しく解説します。

SoVa税理士お探しガイド編集部
還付金が発生しうる税金の種類とその条件についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。
所得税の還付
所得税とは、個人や法人の所得に課される税金で、給与、事業、不動産所得などに応じて課税されます。累進課税制度により、所得が高いほど税率も高くなる仕組みです。
給与や報酬の支払者が、あらかじめ税金を源泉徴収し、納税者本人に代わって国に納めるのが源泉所得税です。1年間の所得から計算される本来の所得税額が、すでに支払った源泉所得税よりも少ない場合には、税金を納めすぎていることになり、還付金として返金されます。このような還付を受けるには、確定申告を通じた還付申告が必要です。
消費税の還付
消費税は、商品やサービスの購入時にかかる税金で、消費者が負担し、事業者が国へ納めます。消費税の還付は、以下のような計算に基づいて判断されます。
消費税の納付税額=売上にかかる消費税額-仕入等にかかる消費税額
この差引でマイナスになる、つまり事業者が支払った消費税が預かった消費税より多い場合、その差額分の税金が還付されます。ただし、還付金の対象となるためには、一定の条件を満たす必要があります。
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還付申請を行う際には、法人は以下の書類を、事業年度終了の翌日から2ヵ月以内に税務署へ提出します。
- 消費税及び地方消費税の確定申告書
- 付表2(課税売上割合・控除対象仕入税額等の計算表)
- 消費税の還付申告に関する明細書
個人事業主の場合も同様ですが、書類の提出期限は翌年3月31日までとなります。
法人税の還付
法人税は、法人の所得に対して課される税金です。課税所得(利益から経費を差し引いた金額)に基づき計算され、規模や所得により税率が異なります。
法人税の納付税額=課税所得 × 税率 − 税額控除額
法人税における税金の還付は、「欠損金の繰戻し還付制度」によって行われます。青色申告書を提出した事業年度で欠損金(赤字)が発生した場合、その欠損金を前期の黒字に繰り戻すことで、前期に支払った法人税が還付される仕組みです。
税金の還付に関するここがポイント!

この法人税の還付請求は、中小企業等に限られ、確定申告時に「欠損金の繰戻しによる還付請求書」を提出する必要があります。
相続税の還付
相続税は、亡くなった方の財産(現金、不動産、株式など)を相続や遺贈により取得した際に課される税金です。基礎控除額を超える遺産について、相続人が税金を支払います。
相続財産の評価額に誤りがあった場合や、控除が適用されなかった場合など、本来より多くの相続税を納めていたときには、税金の還付を受けることが可能です。
相続税の還付を受けるためには、「更正の請求」による手続きが必要です。原則として、相続税の法定申告期限から5年以内に還付請求を行わなければなりません。
印紙税の還付
印紙税は、契約書や領収書、約束手形など、特定の取引文書に課される税金で、所定の金額の収入印紙を貼付することで納付します。
誤って不要な文書に印紙を貼った場合や、必要以上の金額の収入印紙を貼ってしまった場合は、印紙税の過誤納金として税金の還付を受けられることがあります。
印紙税の還付を受けるには、「印紙税過誤納確認申請(兼充当請求)書」を作成し、納税地の所轄税務署に提出します。文書の種類や内容によって、提出先の税務署が異なることがあるため、事前の確認が重要です。
税金の還付金を受け取れる人

還付金の対象となるのは、源泉徴収や予定納税によって、本来納めるべき税金(所得税)よりも多くの税金を支払ってしまった納税者です。払いすぎた税金については、確定申告を通じて税金の還付を受けることができます。以下に、税金の還付対象となる主なケースと適用される所得控除をまとめます。
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税金の還付対象となる主なケース
還付金の対象となるケース | 対象となる税金控除項目 |
---|---|
年の途中で退職し、年末調整を受けていない | – |
1年間の医療費が一定額を超えた | 医療費控除 |
災害や盗難によって資産に損害を受けた | 雑損控除 |
特定の団体などへ寄附を行った | 寄附金控除 |
住宅ローンを利用してマイホームを取得(年末調整で控除されていない場合) | 住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除) |
給与所得者が職務に直接必要な支出(通勤費・研修費など)を一定額以上行った | 給与所得者の特定支出控除 |
給与所得者の多くは、勤務先による年末調整で所得税の精算が完了しているため、自ら税金の申告(確定申告)を行う必要はありません。しかし、年の途中で退職し年末調整を受けていない場合、毎月の給与から源泉徴収されていた税金が、本来納めるべき税額を上回っている可能性があります。このような場合、税金の還付を受けるためには、還付申告を行うことが重要です。

SoVa税理士お探しガイド編集部
なお、医療費控除・雑損控除・寄附金控除などの一部の所得控除は、年末調整では手続きできません。これらの税金控除を受けて還付金を得たい場合は、確定申告を通じて還付申告を行う必要があります。
さらに、特定支出控除や住宅ローン控除の初年度適用も、還付申告によって税金の還付を受ける対象となります。適切な手続きを行い、過剰に支払った税金の還付を受けましょう。
税金の還付金を受け取れない人

一方で、過剰に納めた税金(所得税)がない場合は、税金の還付を受けることはできません。つまり、還付金の対象とならないケースも存在します。以下に、税金の還付対象外となる主なケースをまとめます。
還付金の対象とならない主なケース
- 源泉分離課税の対象となる所得しかない人
- 源泉徴収や予定納税でそもそも税金(所得税)を納めていない人
- 給与所得者で、年末調整によって税金(所得税)が正しく精算されている人
たとえば、預貯金の利子や割引債の償還差益など、源泉分離課税の対象となる所得しかない場合、その税金は最初から確定しているため、申告しても税金の還付は受けられません。
また、年末調整で税金(所得税)が正確に計算・精算されており、追加の控除もなく還付の要件を満たさない人は、税金の還付を受ける余地がありません。
税金の還付はここがポイント!

同様に、源泉徴収や予定納税でまったく税金を納めていない場合にも、還付される税金が存在しないため、還付申告の対象にはなりません。
税金の還付を受けるには、あくまで「払いすぎた税金」があることが前提となるのです。

SoVa税理士ガイド編集部
還付金が発生しうる税金の種類とその条件についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。
国の税金の還付はいつ受けられる?

経営者や個人事業主の中には、「税金の還付金を事業資金の一部として活用したい」と考えている方も多いでしょう。特に所得税などの税金の還付は、事業の資金繰りにも大きく影響する重要な要素です。
税金の還付金を受け取るまでのスケジュールは、以下の流れに沿って進みます。
税金の還付金を受け取るまでの流れ
手順 | 概要 |
---|---|
【1】事業期間 | 経営者・個人事業主・給与所得者問わず、税金の対象となる事業期間は毎年1月1日〜12月31日。 |
【2】確定申告 | 翌年の2月中旬〜3月中旬に、対象の所得や支払った税金について確定申告を実施。税金の還付申請もこの期間に行う。 |
【3】税金の還付 | 通常は4月〜5月頃に、支払過多となった所得税などの税金が還付される。 |
還付金が発生しうる税金の種類とその条件に関するおすすめ記事
このように、税金の還付金は確定申告を提出した直後にすぐ還付されるわけではありません。申告書類の内容確認や税務署による審査に時間がかかるため、還付金の受け取りまでには、申告から1ヶ月〜1ヶ月半ほどかかるのが一般的です。
税金の還付はここがポイント!

ただし、「e-Tax(電子申告)」を利用して税金の確定申告および還付申請を行った場合、還付金の受け取りまでの期間は2〜3週間程度に短縮されるケースがあります。
税金の還付を早く受けたい方は、以下のポイントを意識しておくと良いでしょう。
- 税金の確定申告は持参や郵送ではなく、e-Taxで電子申告する
- 多くの納税者が申告する3月を避け、1月または2月中に還付申告を済ませる
早期に税金の還付金を受け取ることで、事業資金の確保や資金繰りの改善にもつながります。計画的な申告と還付の申請を心がけましょう。
まとめ

税金の還付金は、払いすぎた税金を取り戻せる大切な制度です。所得税や消費税をはじめ、さまざまな税金に対して還付が発生する可能性があり、適切な手続きを行えば確実に受け取ることができます。

SoVa税理士お探しガイド編集部
一方で、還付を受けるには条件を満たす必要があり、誰もが自動的に対象となるわけではありません。
自身が税金の還付対象となるかどうかをしっかり確認し、確定申告や更正の請求などの制度を活用して、正しく還付金を受け取りましょう。税金の知識を深めることで、無駄なく制度を活用することができます。
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