年末調整は税理士に依頼する?メリットと税理士の選び方について解説!
この記事では、年末調整を税理士に依頼するべきかどうか、そのメリットと適切な税理士の選び方について詳しく解説します。年末調整は従業員の所得税の過不足を調整する重要な手続きですが、その複雑さから多くの企業が専門家に依頼することを選びます。しかし、実際に税理士に依頼する前に、どのようなポイントを考慮すべきか、また、税理士に依頼することの具体的なメリットとは何かを把握しておくことが非常に重要です。
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SoVa税理士お探しガイド編集部
この記事を通じて、年末調整を円滑に進めるための知識を深め、適切な税理士選びのための指針を提供します。
おすすめ参考記事:【税理士監修】年末調整と確定申告の違いとは?両方が必要なケースや適用される所得控除を解説!
目次
税理士に依頼するまえに|年末調整の概要
年末調整を税理士に依頼すべきかどうかを判断する前に、年末調整に関する用語の説明など、概要の解説をします。
年末調整は複雑な手続きではありますが、税理士に年末調整を依頼する場合であっても、年末調整の概要は理解しておくことをおすすめします。
年末調整とは
会社が従業員を雇用して給与を支払う場合、年末調整を行うことが義務付けられています。年末調整は、従業員の所得税の過不足を調整する手続きです。多くの給与所得者は、個人事業主のように確定申告をせず、会社が給与から源泉徴収して納税する仕組みです。
給与から源泉徴収した所得税の額は、1年間に納めるべき税額とは必ずしも一致しません。これは、源泉徴収の額が年間を通して給与に変動がないことや各種保険料の控除などを考慮せずに計算されているためです。
この過不足を調整するために、年末調整が必要となります。年末調整では、源泉徴収した所得税の合計額と本来の納税額を正確に算出し、差額を調整します。
おすすめ記事:年末調整とは
年末調整に関するおすすめ記事
国税庁のサイトでも年末調整についての説明は記載してありますので、もっと詳しく知りたい方は「国税庁:給与所得者(従業員)の方へ(令和5年分)」を見ていただくこともおすすめします
年末調整にかかわる用語の説明
年末調整に関する用語について整理しましょう。以下の説明は、年末調整の理解を助けるために必要な情報を簡潔にまとめたものです。
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SoVa税理士お探しガイド編集部
詳細な定義については、国税庁のホームページなどでご確認ください。
給与
給与とは、労働の対価として支払われる金銭やその他の福利厚生のことを指します。基本給に加えて、残業代や諸手当、ボーナスなども含まれます。
給与所得者
給与所得者とは、給与を受け取る個人のことを指します。一般的にはサラリーマンなどがこれに該当します。
源泉所得税
源泉所得税とは、給与から天引きされる所得税のことです。通常、源泉所得税は給与の額や扶養家族の人数などから算出されますが、実際の所得税額とは異なる場合があります。
おすすめ記事:年末調整代行とは?業務内容やおすすめの税理士事務所・業者を紹介
源泉徴収義務者
給与を支払う会社や事業主は、給与から源泉所得税を天引きして納付する義務があります。このような給与支払者を源泉徴収義務者と呼びます。
所得税
所得税は、個人の所得に対して課税される税金のことです。給与所得者の場合、給与から差し引かれた所得税が源泉所得税です。
住民税
住民税は、都道府県や市区町村が課税する税金で、所得税と同様に個人の所得に対して課税されます。給与所得者は、給与から天引きされる場合と市区町村に直接納付する場合があります。
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SoVa税理士お探しガイド編集部
これらの用語について、税理士に年末調整を依頼する場合にであっても年末調整の理解を深めておくことをおすすめします。
おすすめ記事:年末調整を税理士に代行してもらうメリットや費用相場を解説
年末調整の対象者と手続きの流れ
ここでは年末調整の対象者と年末調整の手続きの流れを紹介します。
税理士に年末調整を依頼する場合であっても、「一度手続きを年末調整を丸投げして終わり」ということではなく、11月から1月にかけて何度か税理士とやり取りをすることになります。
このため、年末調整の手続きを税理士に依頼する場合であっても、年末調整の手続きの流れを把握しておくことをおすすめします。
年末調整の対象となる方
年末調整の対象となる方は、通常、12月時点で会社が雇用している従業員やパートタイム、アルバイトなどです。しかし、以下の条件に該当する方は年末調整の対象とはなりません。この場合、確定申告を行う必要があります。
・1年間の給与総額が2,000万円を超える方
・災害減免法の規定により、その年の給与に対する所得税及び復興特別所得税の源泉徴収について徴収猶予や還付を受けた方
なお、年末調整を行うことは会社の義務ですが、医療費控除や寄付金控除、ローン控除を受けるなど、確定申告を予定している場合は、年末調整で控除可能な資料の提出を省略することができます。また、生命保険料などの控除証明書を会社に提出するのが間に合わず、自ら確定申告を行うこともあります。
年末調整の対象者に関する参考サイト
No.2665 年末調整の対象となる人|国税庁
年の途中で従業員の入社や退社があった場合について詳しく記載されていますのでぜひあわせて後確認ください。
年末調整の手続きとスケジュール
多くの会社では、年末調整の業務を税理士に依頼しています。ここからは、年末調整を税理士に依頼する流れを見ていきましょう。
11月上旬:必要書類を税理士に提出
従業員全員の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」や「給与所得者の保険料控除申告書」など、必要書類を11月上旬に税理士に提出します。税理士からは事前に、会社が準備すべき書類の案内が通常提供されます。
11月下旬~12月:税理士による年末調整業務
税理士は11月下旬から12月にかけて、年末調整業務を行います。提出された書類をもとに、給与と賞与の総額、各種控除額、所得税額などを算出します。なお、年末調整還付金(または不足額)の反映は、12月分の給与支払い時に行うか、1月分の給与支払い時に行うかは、事前に確認しておく必要があります。
12月~1月:税金の納付及び還付
12月から1月にかけて、税理士は各種法定調書を作成して税務署に提出します。これをもとに、会社は確定した税額に応じて税金の納付または還付を行います。年末調整の業務はこれで終了します。なお、年末調整還付金(または不足額)の反映タイミングは、会社によって異なります。例えば、11月末締めで12月10日に給与払いをする会社の場合、12月10日に年末調整還付金(または不足額)を反映することもあります。
年末調整の流れに関するおすすめ記事
年末調整の手続きやスケジュールに関しては以下の記事もおすすめです。
おすすめ記事:【年末調整マニュアル】総務担当者が押さえておくべき年末調整のしかた
年末調整は税理士に依頼せず自分でできる?
年末調整を税理士に依頼せず、自分で行うことができるでしょうか?条件によっては可能です。
従業員の数が少なく、経営者に時間的な余裕がある場合、年末調整を自社で行うこともあります。最近では便利なクラウドサービスもあり、比較的安価で給与計算から年末調整まで行うことができます。例えば、マネーフォワード給与、年末調整などのサービスがあります。従業員の人数によって異なりますが、数千円/月のコストで、給与計算・年末調整まで一括してカバーできます。
顧問税理士がおらず、確定申告も自身で行っている個人事業主で、従業員が数名しかいない場合は、このようなサービスを利用することで、年末調整のためだけに税理士に報酬を支払う必要がありません。
ただし、給与の支給や年末調整の手続きは期限を守る必要があり、経営者が毎月・毎年この期限に追われるのは望ましくありません。
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SoVa税理士お探しガイド編集部
経理の担当者に任せることもできますが、年末調整は税理士に任せて経営者が事業に集中する方が効率的である場合が多いでしょう。
おすすめ記事:年末調整を税理士に依頼するメリットや依頼方法を解説 – ジンジャー(jinjer)| クラウド型人事労務システム
税理士に年末調整を依頼する場合
ここで税理士に年末調整の手続きを依頼する場合の流れと、税理士に年末調整を依頼する際にかかる費用について紹介していきます。
年末調整を税理士に依頼する流れ
年末調整を税理士に依頼する流れは、非常に簡単です。
おすすめは2から3社の税理士事務所と面談をし、料金やコミュニケーションスキルなどを比較検討した上で、自社にあった税理士を見つける方法です。
自分から問い合わせする場合
「お金のことは、登録している信頼性の高い正式な税理士に依頼したい」という方におすすめです。日本税理士連合会のホームページで、税理士として登録している正式な税理士・税理士法人の情報が確認できます。
日本税理士連合会から検索する場合は、次のような流れで簡単に見つけられます。
①:「税理士を探したい方」の欄の「税理士を探す」ボタンをクリック
②:「条件を指定して検索したい場合」をクリック
③:住所を入力し、取扱業務の年末調整にチェックを入れます。
④:検索ボタンをクリックして、該当する税理士の一覧を表示させます。
その後、電話番号やメールアドレスから依頼できるか確認し、面談を行います。面談後、問題がなければ契約が成立します。税理士と直接連絡を取れるため、やり取りが素早いのが大きなポイントです。
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SoVa税理士お探しガイド編集部
また、Web上での検索や知り合いからの紹介でも探すことができます。
税理士紹介サービスを利用する場合
急に面識のない相手に連絡することを躊躇する場合は、税理士エージェントを使う方法があります。
担当者や紹介された税理士が自社に合うかの問題があるため、複数のサイトを利用して相性のよい担当者を見つけるのがおすすめです。
①:一般的に税理士エージェントを利用する流れは以下の通りです。
②:ホームページに移動する
③:フリーダイヤルに連絡する又はメールで問い合わせをする
④:専任のコーディネーターと相談・打合せ
⑤:税理士と面談
⑥:(問題なければ)契約成立
税理士紹介サービスを利用する際の注意点
おすすめ記事:税理士紹介会社とは?経営者が使うメリット・デメリット、税理士紹介会社の選び方を解説
おすすめ記事:年末調整は税理士に依頼すべき?メリットも含めて解説します
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SoVa税理士お探しガイド編集部
あくまで上記は参考例です。これらの方法以外にも年末調整に強い税理士の選び方はあります。
年末調整を税理士に依頼するときの費用相場
年末調整を税理士に依頼した場合の費用は、事業的規模や従業員の人数などによって変わります。顧問契約を結ばずに年末調整だけを税理士に依頼した場合、従業員20名の会社で9万~10万円が相場です。なお、顧問税理士に年末調整を依頼した場合は、その半額程度が目安となります。
おすすめ記事:【2024】年末調整を税理士に依頼する費用とメリットは?業務範囲や類似サービスとの違いも解説
税理士に年末調整を依頼するときにかかる費用を抑える方法
税理士に年末調整を依頼する費用を少しでも抑えたい場合は、税理士の業務を減らして負担を軽減してみましょう。
以下のように一部の業務を自社で行ったり、税理士がスムーズに業務を進められるように工夫したりすると効果的です。
・給与計算は自社の担当者が行う
・年末調整の資料回収は自社で行う
・税理士には年末調整のレビューのみ依頼する
・時間の余裕をもって依頼をする
・自社と同じ給与計算・年末調整ソフトを使っている税理士に依頼する
また、税理士法人は比較的大規模な法人を得意とするため、顧問料が割高なケースが多いです。
年末調整に強い税理士の選び方に関するポイント!
それに比べて、個人の税理士事務所は個人事業主や中小企業などを得意としているため、顧問料が割安なケースがあります。ぜひ、自社の条件に適した税理士を探して、費用対効果が高くなるようにしましょう。
おすすめ記事:年末調整は税理士に依頼するべき? | 料金の相場はどのくらいか
年末調整を税理士に依頼するメリット
年末調整を税理士に依頼するメリットは主に3つあります。それぞれを検討してみましょう。
会社の経理・税務を整備できる
– 専門知識を持つ税理士に依頼することで、間違いのない処理を行うことができます。税務調査の際も安心です。
– 税務調査によって追加で科される可能性のある税金を防ぐことができます。罰則や延滞税、不納付加算税などのリスクが軽減されます。
人件費を節約できる
– 税理士に依頼した場合の費用は、経理の人経費よりも安価です。経理担当者の給与や新規採用にかかる費用よりも割安です。
– 年末は経理や総務の業務が多忙なため、残業時間や精度の低下が懸念されます。税理士に依頼することで、人件費の増加を予測しやすくなります。
節税対策につながることがある
– 税理士は税金のプロであり、所得税の計算を正確に行うことができます。また、節税につながるアドバイスをしてくれる可能性があります。
– 共働き世帯や社宅手当、社用車などの経費規程を整備することで、節税効果を得ることができます。
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SoVa税理士お探しガイド編集部
これらのメリットを考慮して、会社のニーズや予算に合った税理士に依頼することが重要です。
おすすめ記事:年末調整について相談できる税理士とは
税理士ではなく社労士に年末調整を依頼する?
労務関連の手続きや問題に対処する際、クラウドサービスではなく、経営者自身が対応するか、社会保険労務士に依頼することが一般的です。
労務手続きは定期的に行う必要がありますが、そのたびに手続き方法や書類の記載方法を調べる必要があり、煩雑です。そのため、専門家に依頼することで安心感を得ることができます。
給与計算を自社のソフトで行う場合でも、社会保険労務士との契約が望ましいです。顧問税理士がいれば、社会保険労務士を紹介してくれることもありますので、まずは顧問税理士に相談するのが良いでしょう。
年末調整を税理士に依頼するときの注意点
ただし、社会保険労務士は年末調整の業務を行うことはできません。年末調整は税金の計算業務であり、この業務を行うことができるのは税理士だけです。したがって、年末調整に関しては税理士に依頼する必要があります。
おすすめ記事:社労士の年末調整は税理士法違反!社労士と税理士の業務範囲を考察
まとめ:年末調整は税理士に依頼するのがいちばん
現在でも年末調整を税理士に依頼することが安心です。給与所得者の所得税の計算方法は毎年変更されており、ここ数年の所得税法の改正は年末調整の計算を複雑にしています。税法の改正は簡略化を目的としているのではなく、経済政策や福祉政策に沿って行われるものです。
経営者自身や家族の所得税の計算であれば、自己責任で行うことも可能ですが、従業員の税金計算においては間違いが許されません。最新の税法に基づいた正確な税金の計算を行うためにも、年末調整は専門の税理士に依頼することが重要です。
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