資本金はいつから使っていい? 資本金の使い道や使う際の注意点について解説!

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公開日:2025年12月

更新日:2025年12月1日

会社を設立すると、「資本金はいつから使っていいのか」「どこまで使っていいのか」が気になる人は多いでしょう。実は、資本金は会社設立後であれば事業のために自由に使っていい資金であり、運転資金や設備投資など幅広い用途に活用できます。ただし、資本金は会社の信用力を支える重要なお金であるため、単に使っていいだけでなく、どのように使っていいのかを理解しておくことが大切です。

この記事では、資本金の基本、振込方法、資本金をいつから使っていいか、そして資本金の使い道や注意点までをわかりやすく整理します。

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資本金とは

資本金とは、会社の運営を始めるための元手となるお金であり、会社が事業にどのように資金を使っていいかという基盤にもなる重要な項目です。株式会社の場合、出資者から集めた資金や、経営者自身が用意した自己資金がそのまま資本金として扱われ、会社が設立後にどの範囲まで資金を使っていいかを示す指標にもなります。

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資本金はいつから使っていいのかについて、以下の記事も是非参考にしてください。
会社設立時の資本金を使ってしまった!リスクはある?

会社法第32条では、株式会社を設立する際に「成立後の株式会社の資本金および資本準備金の額に関する事項」を定めることが義務付けられており、必ず資本金を設定しなければならないと明記されています。これは、会社が事業のためにどれだけの資金を確保し、それをどのように使っていいのかを明確にするためです。

かつては、株式会社の設立には1,000万円以上、有限会社には300万円以上の資本金が必要とされていました。

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しかし、2006年5月施行の新会社法により、株式会社でも合同会社でも、会社形態に関係なく1円以上の資本金で設立できるようになり、少額の資金でも事業のために自由に資金を使っていい環境が整備されています。

資本金の振込方法

会社設立では、資本金の払込という手続きが欠かせません。法人登記の申請では、資本金が正しく払い込まれ、その資本金を会社として使っていい状態にあることを確認する必要があり、資本金の振込確認書類を用意しなければなりません。そのため、資本金を使っていい形にするためにも、資本金払込は正しい手順に沿って適切に行うことが重要です。

ここからは、資本金を払い込み、会社として資本金を使っていい状態にする方法を、以下の5ステップに分けて解説します。

ステップ1:発起人名義の口座を準備する

資本金は、会社が自由に使っていい事業用の元手となるため、まずは発起人名義の口座を準備します。会社設立前は法人名義の口座がないため、個人名義の口座から資本金を用意し、後に会社として資本金を使っていい状態へ移行させます。

発起人名義の口座は、既存の口座でも新規でも構いません。発起人が複数いる場合は、代表者(発起人総代)を決め、その代表者名義の口座で資本金を受け取れるようにしましょう。

ステップ2:用意した口座に資本金を振り込む

口座の準備ができたら、そこへ資本金を振り込みます。この振り込みにより、資本金が誰から払われたものかが明確になり、資本金として使っていい資金であることの証拠が残るため重要です。預金の預入では誰が入金したかが残りにくいため、資本金の払込には不向きです。

振り込みであれば、通帳に振込人の氏名と金額が記載され、資本金として会社が使っていい資金であることの証明として活用できます。

SoVa税理士お探しガイド編集部

資本金はいつから使っていいかについて、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご参照ください。

おすすめ記事:自社にあった資本金の決め方は?一時的にあればいい考えのリスクと使うとどうなるかについて解説

発起人が複数いる場合は、それぞれが発起人総代の口座へ資本金を振り込みます。総代は振込金額の確認や通帳管理を行い、資本金が使っていい状態で揃っているかを確認する役割を持ちます。

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ステップ3:通帳をコピーする

資本金が正しく払い込まれ、会社が資本金を使っていい状態になったら、通帳の以下の箇所をコピーします(一般的にA4サイズに印刷)。

  • 表紙(銀行名、預金種別、口座番号、口座名義人)
  • 表紙裏(支店名、支店番号、銀行印)
  • 資本金の振り込み内容が記載されている明細ページ

インターネットバンキングの場合は、同様の情報が分かる画面をプリントアウトします。印刷した後は、資本金の払込が確認しやすいよう該当箇所にマーカーを引きましょう。

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ステップ4:払込証明書を作成する

会社登記申請では、資本金が払込まれ、会社が資本金を使っていい状態であることを示す「払込証明書」が必要です。書式は自由ですが、以下の項目を記載します。

  • 払込された資本金の総額
  • 払込があった株数
  • 1株あたりの払込金額
  • 日付(複数回振込があれば最も遅い日)
  • 本店所在地
  • 会社名
  • 設立時代表取締役氏名

資本金はいつから使っていいかに関するおすすめ記事:起業前に知っておくべき「資本金」の仕組みを5分で解説

「払込された資本金の総額」と「払込があった株数」は定款記載の数値を用います。1株あたりの金額は、総額を株数で割った金額を記載しましょう。

最後に、会社代表印を2箇所に押印し、会社として資本金を正式に使っていい状態を証明する書類が完成します。

ステップ5:書類を保管する

以下の書類をまとめて保管します。

  • 払込証明書
  • 通帳の表紙のコピー
  • 通帳の表紙裏のコピー
  • 資本金振込明細のページのコピー

資本金を振り込む際はここがポイント!

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これらを順に重ね、左側2箇所をホッチキスで留め、各ページの境界に会社代表印で割印を行います。完成した資料は、会社が資本金を使っていい状態で設立されたことを証明する大切な書類となるため、紛失しないよう厳重に保管しましょう。

資本金はいつから使っていい?

会社設立後は、資本金を事業のために使っていいと法律で認められており、資本金を使っていいこと自体は全く問題ではありません。しかし、資本金の使い方を誤ると、思わぬ違法行為に該当してしまう可能性があります。そのため、資本金を使っていい場面と、使ってはいけない(=違法扱いとなる)ケースをしっかり押さえておくことが重要です。

ここから、資本金を使っていいケースと、使い方によって違法となるケースを具体的に解説します。

会社設立時の見せ金は違法

見せ金とは、本来は資本金として使っていい状態にあるお金ではない借入金を、一時的にかき集めて資本金として見せかける行為です。会社設立後すぐに返済することを前提に、見かけだけ資本金があるように見せる行為で、実質的には会社に資本金が使っていい状態で存在しないまま設立することになります。

SoVa税理士ガイド編集部

資本金はいつから使っていいかについてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご参照ください。

おすすめ記事:資本金とは?会社設立時の平均額や使い道について解説

この見せ金は以下の通り、法律で明確に違法とされています。

  • 会社法:別途払込金額の全額を払わされる可能性
  • 刑法:5年以下の懲役または500万円以下の罰金

資本金に関する気をつけておきたい注意点

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見せ金によって決算書上は資本金として計上される一方、返済すると「出資者への貸付金」として処理されます。これは本来の資本金として使っていいお金ではないため、重大なリスクが伴います。

借入金は資本金ではなく負債

借入金を資本金として使っていいと誤解して計上すると、違法行為とみなされペナルティを受ける可能性があります。資本金は返済不要で使っていい資金ですが、借入金は返済義務のある負債であり、性質が異なるためです。

借入先に関係なく、以下のような資金はすべて資本金ではなく負債として扱わなければなりません。

  • 家族からの借入
  • 親戚からの借入
  • 友人からの借入
  • 金融機関からの借入

また、役員からの借入金(役員借入金)も同様に負債に分類されます。役員借入金には以下のようなメリットがあります。

  • 利息を任意で設定できる
  • 返済時期を自由に決められる

社長から受けた資金でも、資本金として使っていい資金かどうか(=出資か借入か)によって扱いが分かれ、出資に該当しない場合は役員借入金に分類されます。

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資本金の使い道

会社設立時に設定した資本金はいつでも引き出して使っていいのですが、実際に資本金をどう使っていいのか分からないという人も多いでしょう。

結論からいうと、難しく考える必要はなく、「会社設立時に必要な費用」と「3〜6ヶ月分の運転資金」に資本金を使っていいという考え方が最も適切です。これは、会社が安定してスタートを切るために、資本金をどのように使っていいかという基準として非常に分かりやすい指標になります。

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資本金はいつから使っていいのかについて、以下の記事も是非参考にしてください。
資本金は会社設立後に使ってもいいの?

例えば、3ヶ月分の家賃が120万円のオフィスを借り、備品購入に60万円、売上が入金されるまでの運転資金として100万円必要だと仮定すると、

「280万円+会社設立時に必要な費用」=資本金として使っていい妥当な金額と判断できます。

会社設立に必要な費用はおよそ25万〜30万円ですから、310万円程度を資本金として用意し、その資本金を会社の運営に使っていいという形が理想でしょう。

SoVa税理士ガイド編集部

ただし、こうして用意した資本金はあくまで会社のために使っていい資金であり、社長個人のプライベートな支出に使うと「社長への貸付金」と扱われます。これは資本金を自由に使っていい本来の趣旨とは異なるため、注意が必要です。

資本金は使っていい!使う際のメリット・デメリットとは?

資本金を使っていいことは、企業の資金繰りに一定の柔軟性をもたらします。しかし一方で、資本金を使っていいからといって無制限に使用すると、財務の健全性に影響する可能性があります。資本金は会社の信用度や安定性を象徴する金額であり、資本金を使っていい状況でも使い方には慎重さが必要です。

特に会社設立時には、当面の運転資金として設定した資本金を使っていい範囲が重要になります。あまりに多額の資本金を早期に使ってしまうと、企業の安定性にリスクが生じる可能性があります。

資本金を使っていいことで得られるメリット

資本金を使っていい最大のメリットは、緊急時でも迅速に資金対応ができる点です。新規事業の立ち上げや、予期しない支出が発生した場合、資本金を使っていいことでスピーディーに対処できます。

また、資本金を運転資金として使っていい仕組みを活用することで、外部からの借入れに頼らずに済み、利息の負担軽減にもつながります。会社運営に必要な支出であれば基本的に資本金を使っていいため、会社設立直後には「自由に使っていいお金」としても大きな役割を果たします。

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資本金とは?その役割と金額を決める際の基準について解説

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会社設立後に顧問税理士に記帳代行業務のみを依頼する場合、1万円~3万円程度が相場です。給与計算の代行も依頼すると4万~5万円程度になることも少なくありません。

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資本金を使っていいことのデメリット

一方で、資本金を使っていいからといって安易に使用することにはリスクもあります。資本金が減ると、会社財務の安定性を損なう可能性があり、信用力の低下につながる場合があります。

特に、取引先や金融機関は、会社設立直後の企業の経営判断材料が少ないため、資本金の額や資本金をどの程度使っていい状態で維持しているかを重視します。金融機関は融資判断の際に返済能力を確認するため、事業実績が短い企業の場合は、資本金がどれだけ残っていて使っていい資金がどの程度かを重要視する傾向があります。

資本金に関する気をつけておきたい注意点

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        _依頼_おすすめの注意点

また、将来の資金調達の場面でも、資本金の減少はマイナス影響となり得ます。資本金を使っていい仕組みは便利ですが、使いすぎると企業価値や信用度に影響するため、計画的な管理が求められます。

資本金は使っていい!使う際に注意すべき点とは?

資本金は会社設立後であれば事業のために使っていい資金ですが、どのように使っていいのか、どこまで使っていいのかを正しく理解していないと、思わぬトラブルに発展することがあります。資本金は単に「自由に使っていいお金」ではなく、仕訳方法や使い道を誤ると財務悪化や融資審査の不利につながるため、資本金を使っていい範囲と、使ってはいけない場面を明確に把握することが重要です。

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会社設立費用1円!?資本金1円で会社を設立する方法を解説

会社設立費用1円で本当に起業できるのか、資本金1円での会社設立にはどのような影響があるのか、具体的な方法や注意点を詳しく解説していきます。

この章では、資本金を使う際に必ず押さえておきたい注意点を分かりやすく解説します。

資本金を使う場合の注意点①:正しく仕訳し、資本金を使っていい範囲を把握する

会社設立後は資本金を使っていいものの、資本金をどう仕訳するかを正しく理解していないと、財務処理で問題が生じます。特に資本金を減額する「減資」の場面では、資本金を使っていい処理と、そうでない処理を明確に区別する必要があります。

資本金の減資には以下の2種類があり、仕訳方法も異なります。

  • 有償減資:株主へ財産を一部返し、資本金を減額して使っていい状態に変更する
  • 無償減資:株主へ財産を渡さずに資本金を減額し、使っていい勘定へ振り替える

例として、資本金を80万円減額し、その他資本剰余金へ振り替える場合(有償減資)の仕訳は以下のとおりです。

借方 金額 貸方 金額
資本金 80万円 その他資本剰余金 80万円

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資本金はいつから使っていいのかについて、以下の記事も是非参考にしてください。
資本金を使ってしまったあなたへ!会社設立後の資本金の必要性を解説!

一方、資本金を80万円減額し、欠損補填(利益剰余金のマイナス補填)に充てる場合は無償減資となり、仕訳は以下のようになります。

借方 金額 貸方 金額
資本金 80万円 繰越利益剰余金 80万円

いずれにしても、資本金を使っていい処理なのか、資本金を減らさないほうがいい場面なのかを慎重に判断することが重要です。

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資本金を使う場合の注意点②:プライベートな用途には資本金を使ってはいけない

会社設立後、事業に必要な範囲では資本金を使っていいものの、プライベートな支出に資本金を使っていいわけではありません。役員が個人的な支出に資本金を使った場合、その金額は「役員貸付金」として扱われ、資本金として扱うべき資金とは区別されます。

この役員貸付金を長期間返済しないと、給与とみなされ、源泉所得税を納めるよう求められる可能性があります。また、決算書に役員貸付金が多い場合、金融機関の融資審査で不利となり、資本金を適切に使っていない会社と判断されることがあります。

金融機関は融資審査で「返済能力」や「資金使途」を厳しく確認します。役員貸付金は返済保証が弱く、返済されないと会社の純資産を圧迫するため、ネガティブな材料として扱われます。

SoVa税理士ガイド編集部

実際、役員貸付金が多い企業は財務管理が甘く、倒産確率が高いとされており、資本金を使っていい範囲を守らないことが大きなリスクにつながる点には注意が必要です。

まとめ

資本金は会社設立後であれば事業のために使っていい資金であり、日々の運転資金や開業準備のための初期費用、設備投資など、会社の成長や安定した経営に欠かせない幅広い支出に活用できます。つまり、会社が軌道に乗るまでの期間を支える“スタートアップ資金”として、資本金は実務的にも使っていい重要な原資となります。

一方で、資本金は単なるお金ではなく、企業の信用力や財務基盤を示す大切な指標でもあります。たとえ資本金を使っていい場面が多いとしても、無計画に資本金を減らしてしまうと、財務健全性の低下を招き、取引先からの信用や金融機関の融資審査において不利になる可能性があります。特に、設立間もない会社では実績が少ないため、資本金がどれだけ残っているかが評価されやすい点に注意が必要です。

そのため、事業に必要な範囲で資本金を使っていいかどうかを慎重に判断しながら、資本金をどのように使っていいのか、どこまで使っていいのかを常に意識して管理することが求められます。資本金の適切な運用は、長期的な企業経営の安定にもつながり、健全な財務体制を築くうえで大きな役割を果たします。

資本金はいつから使っていいかに関するおすすめ記事:資本金が実際にはないのは違法?すぐに使ってもいい?

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