【税理士に相談すべき?】会社設立時に必要となる資本金について解説

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公開日:2024年4月

更新日:2024年5月31日

この記事では、会社設立時に必要な資本金についての解説と、その重要性について紹介します。資本金は、会社の信用や運転資金、さらには法的な要件にも関わるため、適切な金額の設定が非常に重要です。特に、資本金の額は税務や融資の条件、取引先との信頼関係構築に大きな影響を及ぼします。

  • SoVa税理士お探しガイド編集部

    税理士との相談を通じて、会社設立時の適切な資本金額を決定するメリットと方法について詳しくご説明します。

おすすめ参考記事:会社設立時の資本金の決め方

そもそも資本金とは?

会社法改正により、資本金1円でも会社設立が可能になりました。ただし、1円の資本金で会社設立を行うことは現実的ではありません。取引先が登記簿で資本金を確認し、創業融資の限度額も資本金に基づいて決まります。
そのため、会社の必要資金に見合った額を資本金として会社設立することが重要です。

  • SoVa税理士お探しガイド編集部

    資本金は株主が事業を円滑に進めるために会社へ出資した金額を指します。運転資金や新規事業立ち上げ時の資金調達などに利用され、株主や投資家から調達した資金も含まれます。

おすすめ記事:資本金とは?会社設立時の平均額や使い道について解説

資本金1円でも会社設立できる

日本における会社設立時の資本金は、最低でも1円から設定可能です。しかし、会社設立時の資本金の額は企業の信用に直結するため、適切な額を設定することが極めて重要です。

特に、会社設立時において金融機関からの融資を必要とする場合には、資本金の額が審査における重要な要素となります。一般的に、資本金が多いほど融資の見込みが高まるとされています。

また、会社設立時の資本金の最低額は、事業の規模や業種によって異なります。一部の業種では、法律で資本金の最低額が定められている場合もありますので、それを考慮する必要があります。

おすすめ記事:資本金とは?会社立ち上げ時の目安の金額や中小企業の平均額を解説

会社設立時の資本金の目安は1000万円と1億円がライン

資本金1,000万円以下のメリット

まず、1,000万円という資本金のラインは、主に法人住民税の均等割と消費税の納税義務に影響を及ぼします。資本金が1,000万円以下か1,000万円を超えるかで、会社設立後の税金負担が変わってきます。
そのため、資本金の額を決定する際には、税金のことも考慮に入れることが重要です。特に、1,000万円を超える場合は、法人住民税の均等割や消費税の納税義務が増える可能性があるため、慎重に判断する必要があります。ただし、均等割と消費税の判定ラインには微妙な違いがあるので、注意が必要です。

メリット1:法人住民税の金額が安い

個人事業主とは異なり、会社設立すると、赤字であっても納税が必要な法人住民税の均等割があります。この税金は、市区町村によって資本金や従業員数などに応じて異なりますが、最低でも年間7万円が毎年課税されます。

法人住民税の均等割は、設立時の資本金や従業員数に基づいて税額が変わります。

事業年度終了時の資本金等の額が1,000万円以下であれば、最低額の7万円で納税することになります。

会社設立時の資本金に関するおすすめ記事

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会社設立時の資本金と法人住民税については詳しく知りたい方は税理士に相談することをおすすめします。

おすすめ記事:法人税の資本金には超えられない壁がある?

メリット2:消費税が免税となる

消費税の納税義務は、通常、基準期間の売上高(消費税の課税対象となる売上高)が1,000万円を超えた場合に生じます。会社設立がされたばかりで基準期間が設定されていない場合、原則として会社設立後の最初の2期間は消費税を納税する必要はありません。

消費税の納税義務は、通常、設立後の2期前(つまり第1期)の課税売上高が1,000万円を超えた時点で発生します。ただし、設立時の資本金が1,000万円以上の場合、会社は設立時から消費税の納税義務者となります。

したがって、消費税の免税メリットを活用するためには、設立時の資本金を1,000万円未満に抑えることが望ましいです。

消費税については免税か課税かで納税額のインパクトが非常に大きいものとなりますので、注意しておきましょう。

  • SoVa税理士お探しガイド編集部

    少しでも不安があれば迷わず税理士に依頼することをおすすめします。

おすすめ記事:【税理士監修】会社設立時の資本金とは?その意義や設定方法と法的な注意点を解説

資本金1億円以下のメリット

資本金の額を考慮する際のもうひとつの目安は1億円です。1億円以下の資本金を有する会社は、税務上では「中小企業」とみなされ、多くの優遇措置を受けることができます。

ただし、親会社の資本金が5億円以上であり、その親会社が株式を100%保有する完全子会社を設立した場合には、その子会社は実質的に中小企業とは見なされず、これらの優遇措置の適用が制限される可能性があるため、この点には留意する必要があります。

このあたりの効果はうまく使うと節税効果もあります。会社設立時の資本金については税理士に相談してみることもおすすめです。

(1)法人事業税の外形標準課税の適用除外

法人事業税において、資本金の額が1億円を基準として課税方法が大きく異なります。課税対象となる課税標準は、期末の資本金が1億円以下の法人の場合、原則として法人税と同じ所得金額となります(特定の業種を除く)。

しかし、資本金が1億円を超えると、課税標準として所得に「付加価値額」と「資本金等の額」が加えられます。このように、所得以外がベースとなる課税方法を「外形標準課税」と呼びます。

資本金が1億円以下の法人は法人事業税の外形標準課税の対象外となりますが、資本金が1億円を超える法人は外形標準課税の対象となり、課税標準に「付加価値額」と「資本金等の額」が加わるため、納税額が大きく異なることになります。

参照:東京都主税局「法人事業税に係る外形標準課税の概要」

(2)法人税の中小企業軽減税率の適用

法人税の税率は、所得税のような超過累進税率ではなく、法人の形態や規模、所得の金額などに応じて一定の比例税率が適用されます。比例税率とは、課税標準の大小に関係なく一定割合を用いる税率であり、法人の種類や資本金の額によって異なります。公益法人等の所得は非課税となります。

また、資本金または出資金の額が1億円以下の場合、会社は「中小法人」として分類されます。この場合、年間の所得金額が800万円以下の部分については、軽減税率が適用されます。

軽減税率に関する参考おすすめ記事

国税庁「法人税の税率」

軽減税率に関する記事について、詳しく知りたい場合はこちらの国税庁のサイトを見てもらうことをおすすめします

(3)30万円未満資産の一括損金算入

10万円以上の固定資産は通常、減価償却によって毎期費用化されますが、一定の例外が存在します。
顧問税理士がいる場合には税理士とも相談しながらにはなりますが、うまく活用しましょう。

①「少額減価償却資産」:
資本金または出資金が1億円以下の「中小企業者等」が30万円未満の減価償却資産を取得した場合、最大300万円まで全額を損金算入することが認められています。これが「中小企業者等の少額減価償却資産の損金算入」と呼ばれます。

②「一括償却資産」:
20万円未満の固定資産は、税務上3年間で損金とすることができる一括償却資産として扱われます。

上記のように、中小企業者等は30万円未満の固定資産について、一括償却資産や少額減価償却資産として処理することができます。

  • SoVa税理士お探しガイド編集部

    これにより、通常の償却よりも損金とすることができるタイミングが早くなり、お得となります。

おすすめ記事:少額減価償却資産とは?特例の対象範囲や注意点を解説!

(4)各種税額控除の適用

法人税では、政府が促進したい特定の政策に対して税制措置で優遇される制度が多く設けられています。

たとえば、研究開発税制では、最大で法人税額の50%を税額控除することが可能となります。また、中小企業投資促進税制では、中小企業者等が機械等を取得した場合に、法人税額の20%を限度として、取得価額の7%相当額を法人税額から控除することができます。

これらの税額控除は、租税特別措置法に基づいて期間限定で制定される場合が多いため、タイムリーな情報をキャッチすることが重要です。税額控除は複雑なものでもあるため税理士に相談してもよいでしょう。

参照:国税庁「中小企業投資促進税制(中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除)」

(5)交際費の控除限度額の適用

交際費とは、会社が取引先や事業に関係のある者等に対する接待や慰安などの行為のために支出する費用で、交際費、接待費などが含まれます(ただし、1人当たり5000円以下の一定の飲食費などは除外されます)。

資本金によって、交際費が損金となる金額が異なります。資本金が1億円超100億円以下の会社が支出する交際費については、50%を超える金額は経費と認められず、資本金等の額が100億円超の会社が支出する交際費は一切損金に算入できません。

ただし、資本金1億円以下の会社には一定金額の交際費が認められており、飲食のための支出(社内接待費を除く)の50%と定額控除限度額(年800万円)のいずれかを選択して適用します。

会社設立時の資本金に関する注意点

税理士
        _依頼_おすすめの注意点

超過する部分の金額は損金に算入できませんので注意が必要です。

おすすめ記事:資本金とは?その役割と金額を決める際の基準について解説

また、どの場合でも「5,000円以下の交際費」は損金に算入できますが、これを認めるためには特定の書類が必要です。この手続きを行うことで、損金不算入となる金額を減らすことができ、節税効果が期待できます。
どの金額が交際費に該当するかどうか迷ったら、税理士に相談することもおすすめです。

(6)欠損金の繰戻還付

欠損金の繰戻還付とは、確定申告書を提出する事業年度に欠損金が生じた場合、その欠損金額をその事業年度開始の1年前以内に開始した事業年度に繰り戻して、法人税の還付を請求できる制度です。

例えば、前期に1,000万円の課税所得があり法人税を150万円支払ったが、当期に1,000万円の欠損金が出た場合、前期に支払った150万円の法人税の還付を受けることができます。この制度は、資本金1億円以下の法人にのみ適用され、資本金1億円超の法人は受けることができません。

おすすめ記事:会社を設立する時の資本金の決め方

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会社設立時に税理士は必要?依頼するメリットとおすすめのタイミングとは

会社設立時に税理士に依頼することは、多くの創業者にとっておすすめな選択肢です。税理士などの専門家の支援を受けることで、税務申告や資金調達、経理管理などの面でスムーズな事業運営を実現できます。この記事では、税理士に会社設立を依頼するメリットとデメリット、会社設立を依頼するおすすめのタイミング、会社設立を依頼するときの税理士の選び方について詳しく解説しています。

【目的別】会社設立の資本金の設定に関する具体例

ネット銀行以外の銀行口座を解説する場合

会社設立時に、実店舗を持つメガバンクなどの銀行で法人口座を開設したい場合、資本金の額を100万円以上に設定することが望ましいでしょう。

資本金の額は、事業の信用度に直結する重要な要素です。特に、銀行などの金融機関は資本金の額を参考にし、取引の安定性や信頼性を判断します。

近年、資本金が著しく低い会社が実店舗を持つ銀行で口座開設を断られる事例が増えています。したがって、実店舗を持つ銀行での口座開設を希望する場合は、資本金を100万円以上に設定することが重要です。

会社設立時に融資を希望する場合

公的機関や金融機関からの創業融資を受けるには、資本金の額を100万円以上にすることが重要です。

資本金は会社の体力を示す重要な指標であり、低い資本金では返済能力も低いと判断され、希望する融資を受けられない可能性があります。

また、資本金の額は信用調査の項目にも入るため、新たな取引先を増やしたい場合は特に注意が必要です。同じ条件の取引がある場合、資本金1万円の会社と300万円の会社では信用性が異なると見なされることもあります。

したがって、会社設立直後に融資を希望する場合は、資本金の額を100万円以上に設定することをおすすめします。

おすすめ記事:会社設立時の資本金の決め方とは?

特定の許認可を必要とする会社の場合

特定の事業を行う際には、行政機関から許可を取得する必要があります。この許認可には、一定以上の資本金額が要件となる場合がありますので、事前に調査しておくことが重要です。

たとえば、人材派遣業の許可を取得する場合、最低でも2,000万円以上の資本金を用意する必要があります。これは、派遣先への安定した労働人材提供や派遣労働者への給与支払いを確保するための措置です。

会社設立後の運転資金が不安な場合

取引先からの入金が会社設立後3か月後になる場合でも、安心して事業を進めるためには、資本金を初期費用と運転資金を計算して、その3ヶ月分以上に設定することが重要です。

まず、会社設立後に必要な経費を計算し、初期費用を把握します。初期費用には、事務所の借り入れ費用やオフィス用品(パソコン、プリンター、デスク、椅子など)の購入費などが含まれます。

また、運転資金は、従業員の給与、役員の報酬、光熱費、通信費、事務所の家賃など、毎月かかる費用を指します。

取引先からの入金が3か月間ない場合でも、事業を安定して運営するためには、この期間に必要な費用をカバーできる資本金を設定することが重要です。

おすすめ記事:会社設立の資本金の決め方とは?具体的目安と決める時の5つのポイント

まとめ:会社設立時の資本金は税理士に相談すべき?

会社設立時の資本金は、税理士に相談すべき重要なポイントです。資本金の額は、税金や法的な規制、ビジネスの展開に大きな影響を与える要素です。
税理士は、会社の状況や目標に応じて最適な資本金額を提案し、税務や法的なリスクを最小限に抑える助言を行います。
また、資本金の額によっては、創業融資の取得や取引先との信頼構築にも影響があります。そのため、税理士の専門知識と経験を活用して、適切な資本金額を決定することが重要です。

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