会社設立時に社会保険への加入は必須?具体的な手続き方法について詳しく解説!
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公開日:2025年9月
更新日:2025年9月2日
会社設立を行うと、必ず直面するのが社会保険の加入手続きです。社会保険は従業員の生活を守るだけでなく、会社にとっても人材確保や経営安定のために重要な役割を果たします。しかし、「会社設立後すぐにどの社会保険へ加入する必要があるのか」「手続きはどこで行うのか」など、具体的な流れが分からず不安に感じる方も少なくありません。
この記事では、会社設立時に必須となる社会保険の種類と、加入手続きの方法を詳しく解説します。
目次
会社設立をしたら社会保険への加入手続きは必須?

会社設立を行うと、社会保険への加入手続きが必要になります。社会保険とは、病気やケガ、失業、障害などに備えて従業員や役員の生活を保障する制度であり、会社設立後に必ず意識しておくべき重要な手続きです。社会保険には以下の5種類があります。
- 健康保険
- 厚生年金保険
- 介護保険(40歳以上が対象)
- 雇用保険
- 労災保険
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特に、会社設立の際に必ず加入しなければならないのが「健康保険」と「厚生年金保険」です。健康保険法第3条および厚生年金保険法第6条に基づき、会社設立後は加入の手続きを行うことが義務付けられています。
また、雇用保険と労災保険(労働保険)については、会社設立直後に従業員を雇用しているかどうかで加入義務が変わります。今後アルバイトや正社員を採用する予定がある場合は、早めに雇用保険と労災保険の加入手続きを進める必要があります。
さらに、会社設立をして一人社長として経営を始める場合でも注意が必要です。従業員がいない場合でも、役員報酬を設定しているなら、健康保険や厚生年金保険といった社会保険への加入は必須です。
会社設立時における社会保険の手続きに関する気をつけておきたい注意点

雇用保険と労災保険は労働者向けの制度のため加入不要ですが、会社設立後に自分自身も社会保険に加入しなければならない点を忘れてはいけません。
健康保険・厚生年金への加入手続き

会社設立を行った際には、社会保険への加入手続きが必須です。特に健康保険と厚生年金保険は、会社設立直後から確実に進める必要があります。ここでは、会社設立時に必要となる社会保険の手続きと流れを解説します。
制度の概要
会社設立をすると必ず関係してくるのが健康保険と厚生年金保険です。
- 健康保険:病気やケガ、出産・死亡時の費用を保障する医療保険で、会社設立時に加入が義務づけられます。全国健康保険協会(協会けんぽ)や組合健保が保険者となり、保険料は加入者と事業主が折半します。
- 厚生年金保険:会社設立時に加入する公的年金制度で、健康保険と同じく事業主と本人が保険料を折半して負担します。
必要書類と提出先
会社設立後に社会保険へ加入するには、以下の書類が必要です。
- 「健康保険・厚生年金保険 新規適用届」
- 登記簿謄本(会社設立から90日以内に交付されたもの)
- 法人番号指定通知書(事前取得がおすすめ)

SoVa税理士ガイド編集部
会社設立時に必要な社会保険の手続きについて、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご参照ください。
これらを会社本店所在地を管轄する年金事務所へ提出します。任意適用事業所の場合は「任意適用申請書」も必要で、年金事務所長の許可を受けなければなりません。
さらに、会社設立時に従業員を雇用している場合は「被保険者資格取得届」を提出し、従業員を健康保険・厚生年金保険に加入させます。家族を被扶養者にする場合は「被扶養者(異動)届」も提出する必要があります。
提出方法は、電子申請・電子媒体(CD/DVD)・郵送・窓口持参から選択可能です。
提出期限
会社設立後の社会保険手続きには期限があります。
- 「新規適用届」:会社設立の日から 5日以内
- 「被保険者資格取得届」:従業員の雇用開始日から 5日以内
なお、「被保険者資格取得届」は従業員本人が記入する必要があるため、雇用開始前に渡しておくとスムーズです。

SoVa税理士ガイド編集部
また、提出時には基礎年金番号かマイナンバーの記入も必須です。
雇用保険への加入手続き

会社設立を行った場合、従業員を雇用すると社会保険の一つである雇用保険への加入手続きが必要です。「1人起業」で従業員を雇わないケースでは加入義務はありませんが、1人でも雇用すれば必ず雇用保険の手続きを進めなければなりません。
制度の概要
雇用保険は、会社設立後に従業員を雇用した際に加入する社会保険の一つです。失業時の生活や雇用の安定、再就職の促進を目的としており、失業給付のほか、技能習得手当、疾病手当、就業促進手当、教育訓練給付金、育児休業給付金など多様な給付が用意されています。
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労災保険が全額事業主負担であるのに対し、雇用保険料は事業主と労働者が分担して負担します。なお、雇用保険の対象となる労働者は「週20時間以上の勤務で、31日以上の雇用見込みがある人」と定義されています。
必要書類と提出先
会社設立後に雇用保険の加入手続きを行う際には、まず労災保険の加入手続きを完了しておく必要があります。雇用保険の申請には労働基準監督署で交付された「労働保険 保険関係成立届」の控えが必要だからです。
雇用保険の加入手続きは、会社本店所在地を管轄するハローワークにて行います。提出が必要な書類は以下の通りです。
- 「雇用保険適用事業所設置届」
- 「雇用保険被保険者資格取得届」(加入対象者ごとに提出)
- 「労働保険 保険関係成立届」の控え
- 「会社登記簿謄本」(発行3カ月以内)
- 「法人税確定申告書別表一」
- 「労働者名簿」
- 「出勤簿またはタイムカード」
- 「労働者賃金台帳」
- 「雇用契約書または雇入通知書(パート含む)」
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これらを揃えて、ハローワークでの社会保険手続きを完了させます。
提出期限
雇用保険の加入手続きは、従業員を雇用した日の属する月の翌月10日までに行う必要があります。手続きが完了すると「雇用保険被保険者証」と「雇用保険資格取得等確認通知書(被保険者通知用)」が交付され、従業員の社会保険手続きが正式に完了します。

SoVa税理士ガイド編集部
なお、会社設立後に雇用保険の加入手続きを怠ると、雇用保険法第83条に基づき「懲役6カ月以下または30万円以下の罰金」が科される可能性があります。会社設立直後から社会保険の手続きは漏れなく実施することが重要です。
労災保険への加入手続き

会社設立を行い、1人でも従業員を雇用した場合には、社会保険の一つである労災保険への加入手続きが必須です。ここでは労災保険の制度概要や必要な手続き、提出期限について解説します。
制度の概要
会社設立時に従業員を雇用すると、労災保険の強制適用事業所となります。労災保険(労働者災害補償保険)は、従業員が仕事中や通勤途中に負ったケガ・病気・障害、または死亡した場合に保険給付を行う制度です。

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健康保険など他の社会保険と異なり、労災保険は業務上や通勤途上に起きた事案のみを対象とします。補償対象となった場合は、健康保険のような治療費の自己負担が不要で、さらに休業時の手当も手厚く支給されます。なお、保険料は会社設立後の事業主が全額を負担します。
必要書類と提出先
会社設立後に労災保険へ加入するには、以下の手続きが必要です。
- 「労働保険 保険関係成立届」
- 「労働保険 概算保険料申告書」
これらを会社本店所在地を管轄する労働基準監督署へ提出します。添付書類として「会社登記簿謄本」や「従業員の賃金台帳」が必要です。

SoVa税理士ガイド編集部
概算保険料は、年度(4月1日〜3月31日)に支払う予定の賃金総額に保険料率を乗じて計算します。前払いで納付し、翌年度に精算する手続きを繰り返します。
提出期限
会社設立後、従業員を雇用した場合の提出期限は以下の通りです。
- 「労働保険 保険関係成立届」:雇用開始日の翌日から 10日以内
- 「労働保険 概算保険料申告書」:保険関係成立の日から 50日以内
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また、労災保険の加入手続きは事業主本人でも行えますが、専門家に依頼する場合は社会保険労務士に限られる点に注意しましょう。
会社設立して社会保険の加入手続きをするメリット

会社設立をすると社会保険への加入手続きは義務となり、保険料は会社にとって大きな負担に感じるかもしれません。しかし、社会保険は従業員を守るだけでなく、雇用主である会社にとっても大きなメリットをもたらします。
社会保険の加入手続きをするメリット①:雇用主としての備え
会社設立後に社会保険へ加入しておくことで、従業員が病気やケガをした際にも安心して医療機関を利用できる環境を整えられます。健康保険に加入していなければ、風邪の治療でも1万円以上かかる可能性がありますが、社会保険に加入していれば医療費の自己負担は軽減されます。
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また、業務中に事故やケガが起きた場合、会社が治療費を全額負担するのは大きなリスクです。社会保険に加入していれば労災保険による補償があり、万が一、障害や死亡に至るケースでも、会社設立した法人が倒産に追い込まれるリスクを減らすことができます。社会保険の手続きは従業員の安心を守ると同時に、雇用主を支える仕組みでもあるのです。
社会保険の加入手続きをするメリット②:人材確保の最低条件
会社設立後に人材を確保するうえで、社会保険に加入していることは最低条件といえます。
会社設立時の社会保険加入手続きに関する気をつけておきたい注意点

求職者が仕事を選ぶ際、社会保険加入の有無は重要な判断基準です。実際、社会保険に未加入の会社はハローワークでの求人掲載もできません。
さらに、会社設立をしていながら社会保険の加入手続きを怠ると、「ブラック企業」と見られるリスクが高まります。目先の人件費を削減しようと社会保険に加入しないことは、長期的には人材不足や企業イメージの悪化につながり、結果的に大きな損失となります。
まとめ

会社設立をすると、社会保険の加入手続きは避けて通れません。健康保険・厚生年金保険は役員1人の会社であっても必ず加入が必要であり、従業員を雇用すれば雇用保険や労災保険の手続きも行わなければなりません。社会保険に加入することで従業員に安心できる労働環境を提供でき、結果として企業の信頼性や人材採用力の向上につながります。
会社設立の際は、必要な社会保険の種類と加入手続きを正しく理解し、期限内に漏れなく対応することが重要です。
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