電子帳簿保存法はどう対応すればいい?保存要件や改正内容について解説!
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公開日:2025年5月
更新日:2025年8月5日
近年のペーパーレス化やDX(デジタルトランスフォーメーション)の流れを受けて、企業や個人事業主に求められる帳簿の管理方法も大きく変化しています。中でも注目されているのが「電子帳簿保存法」です。この法律は、会計帳簿や取引書類を電子データで保存する際のルールを定めたもので、特に2022年・2024年の法改正により、帳簿の付け方や保存形式に関する要件がより厳格になりました。
これから帳簿の電子保存に対応しようと考えている方にとっては、「どの書類が対象なのか」「帳簿の付け方はどう変わるのか」「保存にあたってどのような要件を満たす必要があるのか」など、押さえておくべきポイントが多数あります。
この記事では、電子帳簿保存法の基本から、対象書類・対象外書類、保存の要件や違反した場合の罰則まで、実務に役立つ内容を分かりやすく解説します。電子帳簿の付け方を見直したい方や、電子保存への対応を検討中の方は、ぜひ最後までご覧ください。

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目次
電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法は、決算関係書類や各種帳簿などの税務関連書類を、電子データとして保存することを認めた法律です。本来、帳簿や証憑書類は紙での保存が原則ですが、この法律により電子での保存が特例として可能になりました。
特に2022年1月の改正により、電子取引で受け取った請求書や領収書などの電子データを、紙に印刷して保存する方法は認められなくなりました。ただし、電子帳簿保存法への対応義務には準備期間が設けられており、2023年12月末までは実質的な猶予期間となっていました。
電子帳簿保存法における3つの保存方法
電子帳簿保存法では、帳簿や取引データを電子で保存する方法として以下の3種類が定められています。いずれも電子帳簿として認められるには、定められた要件を満たす必要があります。
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1. 電子帳簿等保存
パソコンで作成した帳簿データを、そのまま電子的に保存する方法です。保存形式は、ハードディスク・DVD・USBなどの物理メディアだけでなく、クラウドサーバーも含まれます。この電子帳簿の保存には、データ作成から保存まで一貫して電磁的記録として管理する必要があります。

SoVa税理士お探しガイド編集部
クラウドサービスを活用すれば、帳簿の電子保存に加えて、関係者とのデータ共有も効率的に行え、業務全体の効率化にもつながります。
2. スキャナ保存
紙で受け取った領収書や請求書などを、スキャンまたはスマートフォンで撮影し、電子データに変換して保存する方法です。この場合も、電子帳簿保存法に準拠するためには一定の条件をクリアする必要があります。
主な要件としては、訂正や削除の履歴が残るシステムでの保存、またはタイムスタンプの付与が求められます。さらに、スキャンしてから保存するまでの期間も、最長で約70日以内に行う必要があります。

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3. 電子取引データ保存
インターネットバンキングの明細や、PDFで受け取った請求書など、最初から電子でやりとりされた取引データを保存する方法です。改ざん防止機能を備えたクラウドサービスを利用していれば、タイムスタンプなしでも保存が認められます。
電子帳簿保存法に関するここがポイント!

2023年10月にスタートしたインボイス制度でも、電子データとして発行・保存する適格請求書(電子インボイス)が認められており、これも電子帳簿保存法に則った形での保存が必要です。

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電子帳簿保存法の対象書類

電子帳簿保存法では、電子データでやりとりされた取引情報を保存する義務が課されています。対象となるのは、帳簿や会計書類に関連するすべての電子取引データです。
電子取引では「受領」も「送付」も帳簿として保存が必要
電子帳簿保存法のここがポイント!

電子取引に該当する書類は、受け取った場合だけでなく、自社から取引先に送信した場合も、帳簿と同様に保存する義務があります。
たとえば、電子メールで送信・受領した請求書や領収書、PDF形式でやりとりされた注文書や見積書などが該当します。
電子帳簿として適切に保存するためには、保存要件を満たしたクラウドシステムやソフトを活用し、データ改ざん防止措置を講じる必要があります。

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電子取引の対象となる具体的な手段
電子取引の対象となるのは、紙ではなく電子データでやりとりされた取引情報です。以下のような方法で交付・受領された書類が電子帳簿保存法の対象に含まれます。
- メールで送受信された書類(PDF請求書など)
- Webサイトからダウンロードされた見積書や契約書
- FAX(電子FAX含む)で受け取った電子的な明細
- 電子契約サービスで締結された契約書類
- EDI(電子データ交換)によりやりとりされた取引情報

SoVa税理士お探しガイド編集部
電子帳簿保存法の対応方法について、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご参照ください。
これらはすべて、帳簿の一部として電子的に保存することが求められます。
電子帳簿保存法の対象外書類

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手書きで作成された帳簿や国税関係書類は、電子帳簿保存法の対象外となります。これらの帳簿は電子データへの変換による保存は認められておらず、原本となる紙の状態で保存する義務があります。

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帳簿を電子で保存したい場合は、作成段階から会計ソフトやスプレッドシートなどを用いて電子的に帳簿を作成する必要があります。
電子帳簿保存法における気をつけておきたい注意点

帳簿作成のプロセスから電子化されていないものについては、原則として物理的な保存が必要となる点に注意が必要です。
電子帳簿保存法に対応した電子データの保存要件

電子帳簿保存法では、帳簿や書類を電子で保存するにあたり、保存方法ごとに異なる要件が定められています。保存対象が電子帳簿等保存、スキャナ保存、電子取引データ保存のいずれかによって、満たすべき要件が異なるため、帳簿や電子書類の管理方法を適切に把握しておく必要があります。
電子帳簿等保存の要件
電子帳簿等保存とは、会計ソフトなどで作成した帳簿や取引書類を電子データとして保存する方法です。以下のような帳簿・書類が対象となり、保存には一定のシステム要件が求められます。
電子帳簿保存の対象
- 電子で作成された国税関係帳簿(仕訳帳、総勘定元帳、売上帳、仕入帳など)
- 電子で作成された決算関係書類(損益計算書、貸借対照表など)
- 電子で作成し紙で交付した取引書類の控え(請求書、見積書、納品書、領収書など)
主な保存要件
- 電子帳簿での訂正・削除履歴の確認が可能なシステムを使用すること
- 入力が業務処理期間後になった場合の履歴記録が可能なこと
- 他の帳簿との関連性が確認できる帳簿構造
- 操作マニュアルやシステム仕様書などの備付け
- 帳簿データを明瞭に表示・出力できる装置の備付け
- 「日付・金額・取引先」による検索機能の確保
- 税務調査時にダウンロードに応じられるような対応体制
電子帳簿保存法における気をつけておきたい注意点

特に「優良な電子帳簿」として認定されると、過少申告加算税の軽減措置が受けられます。この場合、電子帳簿保存の開始にあたっては税務署への届出書提出が必要です。
スキャナ保存の要件
スキャナ保存は、紙の書類(契約書、請求書、領収書など)をスキャンやスマートフォンで電子化し、帳簿として電子保存する方式です。

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主な保存要件
- 入力期限の遵守(約70日以内)
- 200dpi相当以上の解像度とカラー画像での読み取り
- タイムスタンプの付与または訂正履歴を確認できるシステムの利用
- スキャナ保存された帳簿と他の帳簿との関連性の確保
- システム概要書や操作マニュアル等の備付け
- 見読性を確保できる装置(ディスプレイ・プリンタ)の設置
- 日付、金額、取引先などによる検索機能の確保
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これらの要件を満たすことで、紙の帳簿類を電子で保存でき、保管スペースの削減や効率化につながります。
電子取引データ保存の要件
電子取引データ保存とは、メールやクラウドサービスで受け取った電子取引に関する帳簿書類を、電子のまま保存する方法です。インボイス制度対応の電子請求書などもこの対象に含まれます。
主な保存要件
- 改ざん防止措置(タイムスタンプ、履歴が残るシステムなど)
- 「日付・金額・取引先」で検索できること
- 帳簿として保存する際に画面表示・出力が可能な装置の設置
- ファイル名や索引簿を活用した簡易な検索対応も認められる
専用システムがなくても、一定のルールに基づいたフォルダ管理やファイル命名により、電子帳簿としての保存要件を満たすことが可能です。
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電子帳簿保存法に対応しなかった場合の罰則

2024年1月から、電子取引におけるデータ保存が義務化され、対象事業者は電子帳簿保存法で定められた要件を満たして電子データを管理・保存する必要があります。帳簿や書類の電子保存要件を遵守していない場合、罰則やペナルティが科される可能性があるため注意が必要です。

SoVa税理士ガイド編集部
電子帳簿保存法の対応方法について、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。
罰則①:追徴課税・重加算税の加重措置
電子帳簿保存法に基づく電子データの保存に不備があり、税務調査で不正(仮装・隠蔽・改ざん)が認められた場合には、通常の追徴課税に加えて重加算税が科されます。特にスキャナ保存や電子取引データ保存に関する電子帳簿で不正があった場合は、重加算税がさらに10%加重されます。

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たとえば、仮装や隠蔽による申告漏れがあった場合、通常は35%の重加算税が課されますが、電子帳簿に関する保存義務違反が絡むと、最大45%の重加算税が課される可能性があります。
電子帳簿保存法の対応方法に関するおすすめ記事:【2024年最新】電子帳簿保存法とは?改正点もわかりやすく解説
罰則②:青色申告の承認取り消しのリスク
電子帳簿保存法違反があったとしても、ただちに青色申告の承認が取り消されるとは限りません。ただし、保存義務のある電子取引データを紙のみで保存していた場合や、税務調査時に帳簿書類の提示を拒否した場合には、法人税法や所得税法に基づき、青色申告の承認が取り消されることもあります。
電子帳簿保存法のここがポイント!

なお、電子帳簿等保存やスキャナ保存については任意対応ですが、対応する場合は電子帳簿としての保存要件をきちんと満たす必要があります。
Q&A|よくある質問
Q. 電子帳簿保存法に対応するには何をすればいいですか?
電子帳簿保存法に対応するためには、まず保存対象の帳簿や書類が電子データであることを前提に、それぞれの保存方法に応じた保存要件を満たす必要があります。帳簿・決算関係書類・取引関係書類の3区分ごとに、スキャナ保存、電子取引、帳簿保存といった保存区分があり、それぞれ電子帳簿保存法で定められた要件をクリアする必要があります。たとえば、真実性の確保(訂正・削除の履歴を残すシステムの利用など)や可視性の確保(すぐに検索・出力できる体制)が求められます。
Q. 電子帳簿保存法の保存要件とは具体的にどんなものですか?
電子帳簿保存法の保存要件には主に以下のポイントがあります。
(1)真実性の確保:改ざん防止措置(タイムスタンプや事務処理規程)
(2)可視性の確保:検索機能やディスプレイ・プリンターでの出力体制
(3)整然・明瞭な形式での保存:帳簿形式が一定のルールに従っていること
といった要件を満たす必要があります。令和6年の電子帳簿保存法の改正では、これらの保存要件が一部緩和・明確化され、事務処理規程による代替措置が認められるなど、実務負担が軽減されました。
Q. 電子取引データはいつから電子帳簿保存法の対象になりますか?
2024年1月(令和6年1月)以降、電子取引データの電子保存が原則義務化されています。これにより、たとえば請求書や領収書をPDFで受け取った場合には、紙に印刷して保存するのではなく、電子帳簿保存法の保存要件を満たす方法で電子データのまま保存することが必要となります。これに対応するには、クラウド会計ソフトの導入や社内の業務フローの見直しが求められます。
Q. 電子帳簿保存法に対応するソフトの要件とは?
電子帳簿保存法に対応するには、使用しているソフトやシステムが法令に準拠した機能を持っていることが重要です。たとえば、タイムスタンプの付与機能、訂正・削除履歴の保存、検索機能、出力対応などが要件として挙げられます。freeeやマネーフォワード、弥生などの主要なクラウド会計ソフトは、すでに電子帳簿保存法対応の機能を備えており、導入によって保存要件を満たしやすくなります。
まとめ

電子帳簿保存法は、帳簿や取引書類を電子データで管理するための明確なルールを定めた法律です。対象となる帳簿や書類を正しく把握し、要件を満たした上で保存することが重要です。

SoVa税理士ガイド編集部
帳簿の付け方や保存形式が適切でない場合、重加算税の加重や青色申告の承認取消といった罰則のリスクもあるため注意が必要です。
これから電子帳簿への対応を進める方は、法令に沿った帳簿の付け方を理解し、必要な保存体制を整えておきましょう。電子帳簿保存法に適切に対応することで、業務効率化とコンプライアンスの両立が実現できます。
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