役員報酬の相場は?相場感や役員報酬を決める際のポイントも解説!

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公開日:2024年11月

更新日:2024年11月20日

会社設立時に決定すべき事項の一つとして、役員報酬の設定があります。経営者は自ら役員報酬の金額を決めることになりますが、自由に決められるわけではありません。役員報酬を決める際には、設定方法のルールや注意点を理解し、さらに同じ業種や規模の企業における役員報酬の相場を把握することが重要です。

SoVa税理士お探しガイド編集部

ここでは、資本金や従業員数ごとの役員報酬の相場や、役員報酬を決定する際のポイントについて解説します。

役員報酬の相場に関するおすすめ記事:役員報酬の相場はいくら?平均額や適性額を決めるポイントを解説

そもそも役員とは

役員とは、企業の業務執行や監督を担当する幹部を指します。会社法で定義される役員には、取締役、会計参与、監査役が含まれます。なお、「役員等」と表記される場合には、これに加え、執行役と会計監査人も含まれることがあります。

取締役
取締役は会社の運営が適切に行われるよう、意思決定と監督を担います。株主総会の決議により選任され、取締役の中から会社の業務に関する最終的な決定権を持つ代表取締役が選ばれます。取締役には他に、日常業務の管理や執行を担う常務取締役と、会社全体の管理・監督を行い代表取締役を補佐する専務取締役などがいます。

執行役
執行役は、取締役会の決定に従い、企業の業務執行を担当します。複数の執行役がいる場合には、代表執行役員が取締役会によって選ばれます。執行役は会社法上の「役員」には含まれませんが、「役員等」とされます。ただし、会社法施行規則においては「役員」に含まれます。

監査役
監査役は、取締役や会計参与の職務執行を監査する役割を担い、業務の監督と会計の監査を行う権限を持っています。これにより、企業経営の健全性やコーポレートガバナンス、コンプライアンスの確保に重要な役割を果たします。

会計参与
会計参与は、税理士または公認会計士が取締役と共同で計算書類の作成を行い、さらにその書類を会社とは独立して保管し、株主の求めに応じて開示します。

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役員報酬の相場

まず、役員報酬の相場について見ていきましょう。ここでは、資本金別の相場と従業員数別の相場の2つの視点から役員報酬の相場をご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

役員報酬の額を高く設定しすぎると、税務署から損金として認められないリスクがあります。そのため、税務署に否認されないためにも、事前に相場を知っておくことが重要です。

資本金別の役員報酬相場

役員報酬の相場は、一般的に会社の規模によって異なり、資本金が大きくなるにつれて役員報酬の相場も高くなる傾向があります。これは、資本金の多さが会社規模や利益の大きさと相関しており、利益が多ければ役員報酬の相場も高く設定できる傾向があるからです。

資本金別の平均役員報酬の相場は以下の通りです。

資本金 男女合計の役員報酬相場 男性の役員報酬相場 女性の役員報酬相場
2,000万円未満 614万円 691万円 421万円
2,000万円以上 922万円 1,030万円 582万円
5,000万円以上 826万円 939万円 463万円
1億円以上 1,043万円 1,092万円 544万円
10億円以上 1,603万円 1,686万円 734万円

参考:国税庁『民間給与実態統計調査結果』(令和3年)

なお、中小企業の創業期には、このような統計の相場通りに役員報酬を設定することが難しい場合も多く、業種によっても役員報酬の相場は大きく異なります。

役員報酬の相場に関するポイント!

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役員報酬は相場だけで決めるのではなく、自社の利益や税金負担を踏まえて設定することが重要です。

例えば、社長1人の会社で利益が1,000万円の場合、全額を役員報酬にすると、法人税はかかりませんが、社長個人には1,000万円分の所得税が課されます。また、役員報酬を高く設定しすぎると会社に十分な資金が残らず、資金繰りが苦しくなる恐れもあります。

そのため、役員報酬を決める際には相場だけでなく次の点に注意しましょう。

  • 会社の利益見込み
  • 経営者の生活費として必要な金額
  • 法人と個人の税負担のバランス

従業員数の役員報酬相場

従業員数が増え企業規模が大きくなるほど、役員報酬の相場も上がる傾向があります。さらに、役職が上がるにつれて報酬額の相場も増え、例えば会長は常務の2倍以上の報酬を受け取るケースもあります。

従業員数別の平均役員報酬相場は以下の通りです。

役職 全規模 3,000人以上の
役員報酬相場
1,000人以上
3,000人未満の
役員報酬相場
500人以上
1,000人未満の
役員報酬相場
会長 6,355万円 1億160万円 5,585万円 5,130万円
副会長 5,246万円 6,473万円 4,548万円 4,798万円
社長 4,622万円 7,373万円 4,554万円 3,963万円
副社長 3,924万円 5,450万円 3,460万円 2,856万円
専務 3,190万円 4,502万円 3,067万円 2,462万円
常務 2,461万円 3,396万円 2,382万円 2,127万円

参考:人事院『民間企業における役員報酬(給与)調査』

このデータにより、企業規模が大きくなるほど役職ごとの平均役員報酬相場も高くなる傾向が見て取れます。

SoVa税理士ガイド編集部

役員報酬の決定は、同規模の会社の相場を参考にした上で、自社の経営状態や税金負担とのバランスを考慮して、慎重に行うことが肝要です。

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役員報酬額を決める際のポイント

役員報酬の相場が分かったところで、ここでは、役員報酬の決定方法について説明します。役員報酬を決める際には、単に役員報酬の相場を参考にするだけでなく、自社の年間業績や社会保険料とのバランスを踏まえて計画的に決定することが大切です。

役員報酬を決めるポイント①:実際の職務内容や会社の利益予測を考慮して報酬額を決める

役員報酬の金額は、役員の職務内容や会社の利益見通しなどを考慮して設定することが重要です。年間売上や、売上から仕入れ費用を差し引いた粗利益、固定費(家賃や従業員給与など)を予測した上で金額を決める必要があります。

適切な人件費率を見極め、役員報酬を設定した後の収支シミュレーションを確認しておかないと、翌年の成長投資に必要なキャッシュが不足してしまう可能性があります。そのため、役員報酬はキャッシュフローや資金繰りに応じて設定し、会社の財務状況を圧迫しないよう注意が必要です。

役員報酬の相場に関するポイント!

税理士_依頼_おすすめのポイント

来期の収支予測や自社に見合った人件費率を確認し、税理士に相談して収支シミュレーションを行ってから決定するのがよいでしょう。

役員報酬の相場に関するおすすめ参考記事:役員報酬とは?給与との違いや相場・決め方などを解説

役員報酬が未払いのままだと、税務署から指摘を受けるリスクがあります。また、役員報酬が低すぎる場合、役員の生活が困難になるほか、金融機関からの融資審査に影響が出る可能性もあります。

さらに、役員として実態のない家族を報酬対象にすると、損金として認められない可能性があるため、役員の実際の業務内容が明確に示せるようにしておきましょう。

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役員報酬を決めるポイント②:同業他社の相場と比較して適切な水準を設定する

役員報酬を決定する際には、同規模や同業他社の相場と比較して、適切な報酬水準であるか確認することも重要です。

役員報酬が同業他社の相場に比べて不相応に高い場合、税務署から損金計上を否認される可能性があります。また、報酬額が相場よりも低すぎる場合、役員の士気低下や税務署から節税対策と見なされることもあり得ます。そのため、競合企業の役員報酬相場とのバランスを考慮することが大切です。

役員報酬の相場は一般に分かりにくいことが多いため、まずは顧問税理士に相談すると良いでしょう。同業のクライアントを多く持つ税理士であれば、相場の目安を教えてもらえる可能性が高く、参考になります。

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役員報酬を決めるポイント③:税金や社会保険料のバランスも考慮して設定する

役員報酬を設定する際には、税金や社会保険料とのバランスにも注意を払うことが大切です。法人税や法人住民税、法人事業税などは会社の利益に応じて決まるため、役員報酬を増やすと会社の税負担は軽くなりますが、役員個人の所得税や社会保険料は増加します

役員報酬が高額になると、会社が負担する社会保険料も増えるため、会社の利益だけでなく、法人と役員個人の納税額や社会保険料のバランスも考慮することが重要です。

法人税や所得税のバランスを踏まえた役員報酬シミュレーションについても、税理士に依頼すると具体的な数値を出してもらえるでしょう。

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損金算入が可能な3つの役員報酬

役員報酬の勘定科目は、販売費および一般管理費に含まれ、実際に報酬が支給された時点で計上されます。

法人税法では、損金に計上できる役員報酬の種類が定められており、所定の手続きを経て決定されたもののみが損金として認められます。役員賞与や基準に合致しない役員報酬については、損金に計上できなくなるため注意が必要です。

税務上、損金に算入できる役員報酬には以下の3種類があります。

  • 定期同額給与
  • 事前確定届出給与
  • 業績連動型給与

以下にそれぞれの内容について詳しく説明します。

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1. 定期同額給与

定期同額給与とは、年度中に毎月同じ金額で支給される報酬を指します。この支払いには特別な税務署への届出は必要なく、毎月一定額を支給することで損金計上が認められます。

ただし、注意点として、会社設立時には設立から3ヵ月以内にこの報酬額を決定しておかなければ、損金に計上できないことがあります。また、会社の業績悪化による特別な事情がない限り、株主や取引先への影響を考慮し、年度途中での変更はできません。

2. 事前確定届出給与

役員賞与(ボーナス)は原則として損金に含まれませんが、事前に税務署へ届出を行えば、役員の賞与を支払い損金計上することが可能です。このように事前に届け出た賞与は「事前確定届出給与」と呼ばれます。

事前確定届出給与を損金計上するには、以下を事前の届出通りに支給する必要があります。

  • 支給対象者
  • 支給金額
  • 支給日

届出の提出期限は、株主総会などで決議された日から1ヵ月以内、または事業年度開始日から4ヵ月以内の早い方と定められています。

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3. 業績連動型給与

業績連動型給与(平成29年度の税制改正以前は「利益連動給与」と呼ばれていた)は、企業の業績や役員の評価に応じて報酬額を決定する制度です。

業績連動型給与は、有価証券報告書に記載されている営業利益などの指標をもとに算出されますが、同族会社には認められていません。この制度を利用できるのは、非同族会社や、同族会社であっても完全子会社である場合に限られています。

SoVa税理士お探しガイド編集部

日本の中小企業のうち約9割が同族会社であるため、この業績連動型給与を利用できるのは一部の中小企業に限られます。

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まとめ

役員報酬の金額は、法人や役員個人の納税額に大きな影響を及ぼします。報酬額を無理に高く設定すると、会社の資金繰りが厳しくなる恐れがあり、さらに納税額や社会保険料にも影響を与えるため、金額の相場にとらわれず、自社の状況に応じて適切に設定することが重要です。

一方で、役員報酬が同業他社の相場に比べて不相応に高い場合、税務署から否認される可能性もあります。また、報酬額が相場よりも低すぎる場合、役員の士気が低下したり、税務署から節税対策と見なされることもあり得ます。そのため、競合企業の役員報酬相場とのバランスを考慮することが大切です。

また、相場感についてはネット上に載っていない情報も多いので、同業界を担当している税理士に相談するのも安心です。

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