経費を立替した場合の精算はどうすればいい?仕訳方法についてもわかりやすく解説!
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公開日:2025年5月
更新日:2025年5月23日
業務中に発生した交通費や宿泊費、接待費などの経費を、従業員が一時的に立替える場面は多くの企業で見られます。こうした立替経費は、適切な手続きを経て会社に精算されることで、正式に経費として処理されます。しかし、「経費を立替えたらどう精算すればよいのか」「立替経費の仕訳はどうするのか」など、実務上の疑問を感じる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、そもそも立替経費とは何か、経費の立替が法的に問題ないのかといった基本から、立替経費の精算期限や具体的な手順、注意点まで、経費立替にまつわる情報をわかりやすく解説します。正しく経費を立替え、スムーズに精算処理を行うための知識を身につけましょう。
目次
そもそも立替経費とは

立替経費とは、会社の経費として処理されるべき支出を、従業員などが一時的に立替で支払った場合の経費です。たとえば、取引先との接待で発生した飲食費を立替で支払ったり、取引先訪問時の交通費や出張時の宿泊費を立替で対応したケースなどが、代表的な立替経費に該当します。
経費を立替した場合の精算方法に関するおすすめ記事
これらの立替による経費は、支払った時点ではまだ会社の経費としては計上されませんが、立替精算が完了することで正式に会社の経費として処理されます。経費の立替は、日常的な業務において発生しやすく、立替経費の正確な管理と精算処理が求められます。
経費を立替する場合はここがポイント!

経費精算時には、立替内容を明確にし、領収書などの証憑を添付することが重要です。
経費の立替は違法になる?

経費立替とは、従業員が業務に必要な交通費や宿泊費、接待費などの経費を一時的に自分の資金で立替払いし、後日会社に経費精算の手続きを行うことで立替金の払い戻しを受ける仕組みです。あくまで一時的な立替とはいえ、従業員が自らの資金で会社の経費を負担することになるため、経費立替に不安を感じる人もいるかもしれません。

SoVa税理士ガイド編集部
しかし、経費立替という行為自体は違法ではなく、適切な手続きと精算が行われれば問題ありません。
ただし、頻繁に立替を求められる状況が続くと、従業員にとって経費立替は精神的にも金銭的にも負担になることがあります。実際、月に何度も経費立替が発生する場合、その都度自己資金を使わなければならないため、従業員側のキャッシュフローにも影響を及ぼします。
こうした負担を軽減する方法の一つとして、従業員のクレジットカードで経費を立替えるケースが増えています。クレジットカードを使った立替であれば、実際の引き落としが1〜2ヶ月先になるため、その間に経費精算が完了すれば、実際に現金が出ていくことなく経費立替が行えます。この方法により、従業員は立替に伴う金銭的な圧迫を回避しやすくなります。

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経費を立替した場合の精算方法についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。
また、経費立替とは異なり、会社が事前に仮払金として資金を支給する方法もあります。これは出張費などの経費を立替えずに済む手段ですが、仮払金には不正利用や着服といったリスクも伴うため、経費の使途や精算の管理を厳格に行う必要があります。
いずれの場合も、経費立替に関しては会社が明確なルールを設け、従業員の負担を軽減しつつ、適切に経費として処理される体制づくりが重要です。
立替経費の精算期限

経費立替の精算には、あらかじめ期限を設けておくことが重要です。経費立替の精算期限として意識すべき主なタイミングは以下のとおりです。
月次での経費立替精算が基本
多くの企業では、月次単位で経費立替の精算を行うのが一般的です。経費立替の精算期限としては、「毎月15日締め」「月末締め」「翌月数日以内の提出」などが設定されており、これに従って従業員が立替経費を申請します。月次で経費立替を精算することにより、会社の経費処理がスムーズになり、経理部門の作業負担を軽減できます。
会社ごとの経費精算ルールを明文化することで、立替経費の処理に関する混乱を防ぐことができるため、就業規則や経費精算マニュアルに経費立替の期限を明記しておくことが推奨されます。
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四半期・半期・年度末での経費立替精算
会社によっては、四半期(3ヶ月ごと)、半期(6ヶ月ごと)、または年度末といった決算にあわせた経費立替精算のスケジュールを採用している場合もあります。これらは経費立替の精算をまとめて処理できるメリットがある一方で、精算漏れのリスクや、精算業務が一時期に集中してしまうデメリットもあります。そのため、経費立替の精算はできるだけこまめに行うことが望ましいです。
法律上の経費立替精算期限
法律上、経費立替の精算は、決算日の翌日から2ヶ月以内に提出が必要な確定申告書に反映されるように処理される必要があります。会社の事業年度内に立替経費を精算・計上できていれば、当該年度の経費として処理可能です。
たとえば、3月決算の会社であれば、4月に発生した経費立替は翌年3月末までに精算・経費計上されていれば問題ありません。しかし、立替経費が未精算のまま年度末を迎えた場合は、未払金として計上する必要が出てきます。
経費立替の消滅時効に注意
従業員が会社に対して経費立替の精算を請求できる期間、つまり権利の消滅時効は、2020年4月施行の改正民法により見直されました。ただし、経費立替の消滅時効自体は従来通り5年とされています。つまり、立替経費が発生してから5年以内であれば、従業員は会社に対して経費精算を請求する権利があります。
経費の立替で気をつけておきたい注意点

ただし、実務上は早めに経費立替を精算することが望ましく、5年以内であっても長期間放置された立替経費は処理が煩雑になりやすいため、速やかな申請・精算を心がけるべきです。
立替経費の精算手順

従業員が経費を立替えている状態のままでは、その立替経費はまだ会社の経費としては計上できません。会社の経費に正しく反映させるためには、立替経費の精算手続きを経て、会社が従業員に立替分を支払う必要があります。以下では、一般的な立替経費の精算の流れを4つのステップに分けて解説します。
ステップ①:従業員が立替経費を申請する
立替経費は、仮払いとは異なり、会社が事前にその経費を把握していないケースが多くあります。そのため、従業員が経費を立替えた場合には、速やかに立替経費として申請する必要があります。
この際、経費の内容が正確に伝わるよう、領収書や明細書などの書類を添付し、経費申請書に詳細な立替内容を記載します。
経費の立替ではここがポイント!

申請書の様式が統一されていないと、経費立替の確認や精算に時間がかかり、経費管理の効率が低下するおそれがあるため、会社が定めた経費申請書を使用するのが一般的です。
ステップ②:立替経費申請を管理者が承認する
提出された立替経費申請書は、管理者(一般的には申請者の上司)によって内容の妥当性が確認され、承認されます。立替経費の内容が業務上必要な経費であるか、立替金の金額が適正かどうかがこの段階でチェックされます。
承認された立替経費申請書は、精算処理のために経理担当者へと回付されます。
ステップ③:経理担当が立替経費を仕訳・処理する
経理担当者は、承認された立替経費精算書をもとに、経費の内容に応じた仕訳を行います。立替経費は、借方に旅費交通費・接待交際費など該当する経費科目、貸方に立替金または未払金として仕訳されます。
これにより、経理上も立替経費が会社の経費として正式に認識されることになります。

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ステップ④:立替経費の支払いと経費計上の完了
最後に、会社は立替経費分の金額を従業員に支払います。支払日は通常、給与支給日や会社の経費支払規定に従って設定されます。支払時には、会計上で記録されていた立替金が消滅するよう、借方に立替金(または未払金)、貸方に預金などの口座を用いて仕訳を行います。
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このステップを経て、立替経費は正式に会社の経費として処理され、従業員への立替金の支払いも完了します。立替経費の精算は、経費管理の信頼性と経理処理の正確性を保つために欠かせない業務です。
経費を立替する際の注意点

経費の立替払いを行う際には、いくつか注意すべきポイントがあります。ここでは、立替による経費処理における課題と、それに対する適切な対応策について解説します。
注意点①:経費の立替は従業員に負担をかけることもある
経費立替は、従業員が業務上の交通費や出張費などの経費を一時的に自己資金で立替えて支払う仕組みです。経費の立替が頻繁だったり、立替金額が高額になったりすると、従業員にとって経済的な負担が大きくなる場合があります。立替えた経費が会社から返金されるまでには一定の精算手続きが必要であり、経費立替の負担が従業員の生活費に影響を与えることも考えられます。
経費を立替した場合の精算方法に関するおすすめ記事
このような経費立替による負担を軽減するには、立替経費の精算スピードを上げることが重要です。たとえば、立替経費の申請期限や承認フローを明確に定めておくことで、迅速な経費精算が可能になります。特に出張などで高額の立替経費が見込まれる場合には、あらかじめ仮払金を支給することで立替の必要を減らす方法も有効です。
注意点②:経費の立替精算にはミスが発生しやすい
経費の立替精算業務は、人為的なミスが発生しやすいプロセスのひとつです。領収書の提出漏れや紛失、宛名の誤記、金額や日付の記載ミス、精算書の記載ミス、仕訳ミスなど、立替経費の精算におけるミスは多岐にわたります。
特に2023年10月から導入されたインボイス制度(適格請求書等保存方式)により、経費として立替払いした際に提出される領収書が、制度の要件を満たしているかどうかの確認も求められるようになりました。
経費の立替対応ではここがポイント!

従業員から提出される立替経費の証憑が適格であるかを確認する作業も、経費管理上の重要なポイントです。
こうした立替経費の精算ミスを防ぐためには、どのような支出が経費として認められるのか、どの書類が必要でどんな記載が求められるかなどを明記した社内ルールを周知徹底する必要があります。また、経費精算システムを導入することで、立替経費の処理を自動化し、人的ミスの削減や手続きの効率化が期待できます。
経費精算システムの中には、会計ソフトと連携し、立替経費の情報を自動で仕訳・記帳できるものもあります。さらに、スキャンやスマホで撮影した領収書の内容を自動取り込みできる機能があれば、帳簿への転記作業も不要となり、立替経費の処理が大幅に効率化されます。
注意点③:経費の立替精算は経理部門にも大きな負担
経費立替の精算には多くの細かい作業が伴い、経理担当者の業務負担も大きくなります。立替された経費の内容を確認し、領収書と照合して金額の整合性を確認し、仕訳を行い、振込処理を実施するという一連の作業が必要です。不備があれば差し戻しや再確認も発生し、経理業務の工数がかさみます。
加えて、経費立替の申請が期日までに行われない場合には、催促や進捗管理も求められるため、立替払いの件数が多いほど経理部門の負荷は高まります。

SoVa税理士ガイド編集部
このような状況に対応するには、交通系ICカードのデータを自動で読み取れる経費精算システムや、クレジットカードの立替取引を自動取り込みできる会計ソフトの導入が効果的です。
さらに、従業員に法人カードを持たせて経費の支払いを一本化すれば、そもそも立替精算の必要がなくなり、業務効率の向上と経費管理の精度向上が同時に実現できます。
立替経費の効率的な運用は、従業員と経理担当者の双方の負担軽減につながるとともに、会社全体の経費管理体制の健全化にも寄与する取り組みといえるでしょう。
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まとめ

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経費の立替は、多くの業務現場で発生する日常的な処理ですが、適切な手順やルールに沿って行わなければ、従業員への負担や経理上のトラブルにつながるおそれがあります。

SoVa税理士ガイド編集部
経費を立替えた場合は、速やかに申請し、必要書類をそろえて精算することが重要です。また、経費立替の精算期限を意識し、正確な仕訳処理を行うことも欠かせません。
企業としては、立替経費に関するルールや精算フローを整備し、従業員への周知徹底を図ることで、経費管理の効率化と正確性を高めることができます。経費立替を正しく運用することで、組織全体の信頼性と業務のスムーズさを保ちましょう。
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