合同会社の役員報酬は変更できる?役員報酬の決め方や変更する際の注意点を解説!

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公開日:2024年11月

更新日:2024年12月4日

合同会社において役員報酬を変更する場合、株式会社と比較すると、会社法上の制約は少ないと言えます。しかし、役員報酬の変更には税務上の厳格なルールが存在し、このルールを守らない場合、税務上不利な扱いを受けることがあります。したがって、合同会社における役員報酬の変更を行う際には、税務面での影響を避けるために注意が必要です。

本記事では、合同会社の役員報酬について、税務上不利な結果を避けるために、合同会社における役員報酬の位置づけを確認したうえで、役員報酬を決定・変更するための手続きを解説します。

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役員報酬を設定すると社会保険手続きを行う必要があり、社会保険の加入手続きの相場は1万円~2万円(1人)ほどかかります。社会保険に会社として初めて加入する場合は、10万円近くかかることもあります。

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役員報酬の変更手続きが適正に行われることで、税務上の問題を回避し、合同会社の経営を健全に保つことができます。

合同会社における役員報酬の変更方法に関するおすすめ記事:役員報酬の変更はどうすればいい?手続きの流れや金額の決め方を解説

合同会社とは

合同会社とは、2006年5月1日に改正会社法が施行され、新たに導入された会社形態です。現在設立可能な会社形態は株式会社、合同会社、合資会社、合名会社の4つですが、合同会社は会社法上、合資会社や合名会社と同じ「持分会社」に分類されます。

持分会社の出資者(社員)は、出資額(持分)に応じて重要事項の決定に参加することができます。しかし、「社員」とは会社の従業員ではなく、出資者を意味している点に注意が必要です。合同会社では、出資者がそのまま会社の経営者となるため、出資者であるすべての社員には会社の代表権と業務執行権が与えられます。

気をつけておきたい注意点

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しかし、全社員に代表権がある状態では経営に混乱を招く恐れがあるため、合同会社では社員の中から代表権を行使できる「代表社員」を選任することが認められています。この代表社員は、株式会社における「代表取締役」に相当する立場です。

合同会社の特徴として、公証人による定款の認証が不要で、株式会社に比べて設立費用が安く、決算公告が不要であり、役員の任期が設定されていないなど、多くのメリットがあります。また、合同会社の役員報酬やその変更に関しても、株式会社より柔軟に対応できる点が魅力の一つです。合同会社では、役員報酬の変更も比較的容易に行うことができ、税務上の注意点を守れば、スムーズに運営することができます。

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この記事では、合同会社の役員報酬の決め方について解説しています。合同会社の役員報酬を損金算入(経費)にするためには、様々な注意点があります。合同会社の役員報酬の設定の仕方について気になる方は是非ご覧ください。

合同会社における役員報酬とは

まずは合同会社における役員報酬の位置づけについて確認しておきましょう。合同会社には「役員」という概念はありませんが、代表社員や業務執行社員の報酬が役員報酬に相当します。株式会社では、取締役や監査役などが役員として経営に携わりますが、合同会社では出資者(社員)がそのまま経営者となります。したがって、合同会社における役員報酬は、代表社員や業務執行社員に支払われる報酬となります

合同会社における役員報酬は、株式会社の役員報酬と異なり、報酬決定や変更方法において柔軟性があります。しかし、税務上の取り扱いには注意が必要です。役員報酬と給与では、税制上の取り扱いや損金算入のルールが異なります。給与の場合は、業績に応じて賞与を増減させて節税を図ることができますが、役員報酬の場合、損金算入が認められる条件は厳格です。定期同額給与、事前確定届出給与、業績連動給与のいずれかの方法で支払う必要があり、これを遵守しないと損金算入ができません。

特に、合同会社で役員報酬を変更する場合、定期同額給与に基づいて報酬を変更するには、期中に変更することは制限されます。役員報酬を変更する場合には、期初3か月以内に変更しないと損金算入が認められません。また、減額の場合にも制限があり、減額分は損金算入できない場合があります。

SoVa税理士ガイド編集部

このため、合同会社でも役員報酬の変更には税務上のルールに従うことが求められます。

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合同会社における役員報酬の変更は、株式会社とは異なり、社員総会の決議で行われることが一般的です。合同会社には役員という法的概念が存在しないため、役員報酬の決定・変更方法は定款で定めることになります。通常、役員報酬の変更は社員総会や総社員の同意に基づいて行い、その際には社員総会決議の議事録や同意書を作成することが必要です。このように、合同会社では役員報酬の決定や変更が柔軟に行える反面、税務面での注意が求められます。

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合同会社の役員報酬の設定・変更方法

ここでは、合同会社における役員報酬を初めて設定する、あるいは役員報酬を変更する際の手続きの流れを確認しましょう。

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役員報酬の決め方について解説しています。また、役員報酬を経費にする方法も併せて解説しています。

ステップ①:役員報酬の金額を決める

最初に、役員報酬をいくらに設定するかを決定します。合同会社で役員報酬を決める際、特に重要となるのは以下の3つのポイントです。

  • 生活費としていくら必要か?
  • 合同会社の今後の業績見込みや予算を基に、いくら支給することが可能か?
  • 法人でかかる税金と、個人でかかる税金を比較し、最も税金を抑える金額はいくらか?

特に、税金に関連する計算は複雑になりがちなので、税理士に相談し、役員報酬のシミュレーションを行うことをおすすめします。

ステップ②:社員総会(または同意書・決定書)を開催し、議事録を作成する

役員報酬を決定・変更する際、合同会社では通常、社員総会を開催してその議事録を作成します。社員総会を設置していない合同会社の場合には、社員全員の同意を得て「同意書」や「決定書」を作成することが求められます。

合同会社では役員報酬の決定方法が柔軟に定められる一方で、税務調査の際に役員報酬の決定根拠資料を求められることがあります。そのため、社員総会の議事録や同意書を必ず作成し、保存しておくことが重要です。

ステップ③: 社会保険の手続き

役員報酬の変更により、社会保険の「標準報酬月額」が2等級以上増減する場合は、毎年7月の定時決定とは別に、社会保険の変更手続きが必要です。具体的には、「被保険者報酬月額変更届」を提出する必要があります。社会保険労務士や日本年金機構に確認し、必要な手続きを確実に行いましょう。

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合同会社における役員報酬の変更には、税務面や社会保険面での手続きが伴いますので、適切な流れに沿って対応することが重要です。

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合同会社の役員報酬を変更するケースとは?

役員報酬は合同会社においても、期首から3ヶ月以内に変更しないと、その変更後の金額が損金(経費)算入されない可能性があることについて、これまで触れてきました。しかし、期首から3か月を超過した後でも、以下のような事由が発生することがあります。

  • 代表社員が変更され、職務内容に応じて役員報酬の金額を変更する必要が生じた
  • 業績が大幅に下落し、資金繰りが困難になった
  • 業績不振により利害関係者の信用を損ね、その回復のために役員報酬を減額したい

このような場合、役員報酬の変更は税務上、意図的に税額をコントロールする目的ではないため、変更後の金額も損金(経費)として認められます。

SoVa税理士ガイド編集部

以下では、具体的な役員報酬の変更理由を見ていきましょう。

変更するケース(1) 臨時改定事由(役員個人の理由による変更)

役員報酬を変更するためには、役員の役職や職務内容に変動があった場合、その変更が認められることがあります。例えば、社長(代表社員)が急死し、臨時社員総会で別の取締役が代表社員に就任した場合など、通常の取締役と異なり代表社員(社長)に就任することで、役員報酬が増加するのは自然な流れです。

また、役職が変更されていなくても、急遽退任した取締役の担当業務を他の取締役が引き継ぎ、その結果職務内容が大幅に増加した場合も、増加した職務内容に応じて役員報酬を増額することが検討されます。このような変更は「臨時改定事由」として認められ、期首から3か月を過ぎても役員報酬の増減が可能です。

変更するケース(2) 業績悪化改定事由による減額(会社の理由による変更)

合同会社の業績が著しく悪化し、倒産の危機に直面するなど、経営状況に大きな影響を与えた場合には、期首から3か月を過ぎても役員報酬の減額が認められます。例えば以下のような場合が該当します。

  • 株主との関係上、業績や財務状況が悪化し、経営責任として役員報酬を減額せざるを得なくなった場合
  • 銀行との間で借入金返済のリスケジュール協議が行われ、役員報酬を減額する必要が生じた場合
  • 取引先との信用維持のため、業績や資金繰りの悪化により役員報酬を減額することが経営改善計画に盛り込まれた場合

業績悪化改定事由による減額は認められますが、「増額」は認められない点に注意が必要です。業績不振や一時的な資金繰りの問題を理由に利益調整を目的とした減額は認められませんが、経営改善や信用回復を目的とした正当な理由に基づく減額は認められます。

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合同会社の役員報酬を変更する際の注意点

役員報酬を変更する際の注意点を確認していきましょう。特に合同会社における役員報酬の増額や減額に関しては、変更のタイミングや理由によって税務上の扱いが異なります。

変更する際の注意点①:役員報酬の増額について

役員報酬を増額する場合、合同会社では事業年度開始日から3ヶ月以内に変更を行う原則を守っていれば、問題なく増額することができます。しかし、この3ヶ月を過ぎてしまうと、増額した分の役員報酬は基本的に損金(経費)として算入することができません。これは、利益に応じて不正に税額を調整できてしまうリスクがあるためです。

ただし、税務上、損金算入をしないのであれば、3ヶ月を過ぎても役員報酬の増額は可能です。例えば、事業年度開始日が4月1日で決算が3月末の合同会社が、10月1日から毎月50万円だった役員報酬を80万円に増額した場合、増額分の30万円は損金として認められませんが、役員報酬自体の増額は実行できます。

変更する際の注意点②:役員報酬の減額について

役員報酬を減額する場合も、原則として事業年度開始日から3ヶ月以内の変更が求められますが、経営状況の悪化や第三者との関係性により、例外的に減額が認められる場合があります。このような場合、「業績悪化改定事由」として、国税庁の規定に基づき、役員報酬の減額が認められます。

業績悪化改定事由には、以下の要件があります:

  • 経営状況の悪化があり、その影響で株主や債権者、取引先などの第三者との関係上、役員報酬を減額せざるを得ない場合
  • 取引先などの利害関係者からの信用を維持するために、経営改善計画の一環として役員報酬を減額する必要がある場合

この場合、減額が認められるのは「経営状況の悪化」と「第三者との関係性」が要件として満たされる場合に限られます。経営が悪化しても、第三者との関係に問題がなければ、役員報酬の減額は認められません。

SoVa税理士ガイド編集部

例えば、業績不振や財務状況の悪化が理由で、株主や取引銀行との関係から役員報酬を減額せざるを得ない場合や、資金繰りのために取引先の信用維持のために減額を行う場合が該当します。

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合同会社の一人社長の場合、自由に報酬を設定しがちですが、これらの要件を満たさないと経費として認められない可能性があります。

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まとめ

合同会社で役員報酬を変更する際のポイントは、まず変更のタイミングと理由です。役員報酬を増額する場合、事業年度開始から3ヶ月以内に変更を行えば、問題なく損金として算入できます。

しかし、3ヶ月を過ぎると損金算入が認められないため、税務上の節税効果は得られません。一方、減額の場合は、経営状況の悪化や第三者との関係性が要件となります。特に、業績悪化や資金繰りが厳しくなり、取引先や株主との信用維持が必要な場合に限り、減額が認められます。

いずれの場合も、定款に基づき社員総会や同意書で決議し、税務調査に備えて変更理由を明確に記録することが重要です。

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