有限会社とは?有限会社における登記手続きについて解説!
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公開日:2025年10月
更新日:2025年10月11日
有限会社とは、かつて中小企業の設立形態として多く利用されていた法人形態であり、現在は「特例有限会社」として登記を維持している会社のみが存続しています。有限会社の登記は、会社の存在を法的に証明する重要な手続きであり、所在地・役員・資本金などの基本情報を法務局に届け出て公示することで、社会的信用を確立する仕組みです。
また、有限会社では設立登記だけでなく、役員変更や本店移転、商号変更など、会社運営に伴ってさまざまな登記手続きが必要になります。有限会社の登記内容は法務局やオンラインでも確認でき、自分で登記変更を行うことも可能です。
この記事では、有限会社における登記の基本から、登記変更の種類、登記確認の方法、さらには株式会社へ移行する際の登記費用までを詳しく解説します。
有限会社における法人登記について

有限会社における登記は、会社の基本情報を法務局に届け出て公示する極めて重要な制度です。有限会社として登記することにより、取引先や債権者などの利害関係人が会社の基本情報を確認でき、信用の確保や取引の安全性にもつながります。
本章では、有限会社の登記にまつわる基本事項や注意点を詳しく解説します。
有限会社の法人登記とは
有限会社の法人登記とは、商号・所在地・役員・資本金などの会社情報を法務局に届け出て公示する制度です。有限会社として登記することにより、会社が社会的に認知され、各種契約や取引がスムーズになります。
有限会社の新規登記は不可
2006年5月1日の会社法施行に伴い、有限会社法が廃止され、有限会社の新規登記は一切認められなくなりました。これ以降、中小規模の会社を設立する場合は、株式会社や合同会社などの形態を選択する必要があります。

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ただし、会社法施行前に設立された有限会社は「特例有限会社」として存続が認められています。
特例有限会社でも登記事項変更は必須
特例有限会社として存続している会社でも、役員変更や本店移転など登記事項に変更が生じた場合は、変更登記の申請が必要です。有限会社の変更登記は、変更が生じてから原則として2週間以内に管轄法務局に申請しなければなりません。
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登記事項変更を怠った場合のリスク
有限会社が登記事項の変更を怠った場合、会社法第976条第1号により100万円以下の過料に処せられる可能性があります。また、登記を怠ったことにより第三者に損害を与えた場合、損害賠償責任を負う可能性も否定できません。そのため有限会社においては、登記事項に変更が生じた場合、速やかに変更登記を行うことが重要です。
有限会社の休眠扱いに注意
なお、12年以上登記の変更がない場合でも、特例有限会社は休眠会社としての解散みなしの対象にはなりません。この点は他の会社形態との大きな違いであり、有限会社特有の注意事項です。
有限会社における登記変更の種類

有限会社が事業を継続する中で、所在地や役員、商号などに変更が生じた場合には、法務局での変更登記が必要です。有限会社における変更登記にはいくつかの種類があり、それぞれ手続きの内容や必要書類が異なります。ここでは、有限会社における代表的な変更登記の種類を簡潔に解説します。
有限会社における変更登記の種類①:本店移転登記
有限会社の本店所在地は登記事項に含まれており、本店を移転した場合には必ず登記が必要です。代表者の住所を本店所在地としている有限会社では、代表者が引っ越した場合にも登記手続きが求められます。

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有限会社の変更登記に必要な手続きについて、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。
また、本店所在地が定款に記載されている有限会社の場合、定款変更のための社員総会決議や議事録の作成が必要になるケースがあります。本店移転登記の申請書は法務局のWebサイトからダウンロード可能です。
有限会社における変更登記の種類②:役員変更登記
有限会社の役員も登記事項に含まれるため、役員の就任・辞任などが発生した場合には登記申請が必要です。
株式会社では役員に任期がありますが、有限会社では定款に別段の定めがない限り任期が存在しません。そのため、有限会社では「新任登記」や「辞任登記」が中心となり、重任登記や退任登記は基本的に発生しません。役員変更登記の書式も法務局Webサイトから取得できます。
有限会社における変更登記の種類③:役員の住所・氏名変更登記
有限会社では役員の氏名・住所の両方が登記事項となっています。したがって、役員が結婚などで氏名を変更した場合や、引っ越しで住所が変わった場合には、速やかに住所・氏名変更登記を行う必要があります。申請書式は法務局のWebサイトからダウンロードして使用できます。
有限会社における変更登記の種類④:目的変更登記
有限会社が事業内容を変更した場合、会社の目的を変更する「目的変更登記」が必要です。目的は定款にも記載される事項のため、目的変更登記とあわせて定款変更手続きも行わなければなりません。目的変更登記に必要な書式は法務局Webサイトから入手可能です。
有限会社における変更登記の種類⑤:商号変更登記
有限会社の商号(会社名)を変更する際には、商号変更登記が必要です。商号は登記事項であり、定款にも記載されているため、商号変更登記の際には定款変更のための社員総会決議が求められます。
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商号変更登記の申請書も法務局Webサイトからダウンロードできます。
有限会社における変更登記の種類⑥:増資登記
有限会社が新たに出資を受けて資本金を増加させる場合には、資本金の額に関する変更登記を行います。発行可能株式総数を超える増資を行う場合には、定款変更の手続きも必要です。増資登記も法務局Webサイトで書式を確認できます。
有限会社の変更登記に必要な手続きに関するおすすめ記事:有限会社における法人登記とは?確認方法や変更に必要な手続きを解説
有限会社における変更登記の種類⑦:株券発行登記
有限会社が株券を発行する場合、株券発行会社となる旨を登記する必要があります。これまで株券を発行していなかった有限会社が新たに株券発行会社となる場合には、「株券発行登記」を行います。
有限会社における変更登記の種類⑧:株式会社への商号変更登記
有限会社は商号に「有限会社」という文字を必ず含める必要があります。

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したがって、有限会社から株式会社に移行する際には、商号を「有限会社」から「株式会社」に変更し、商号変更登記を行う必要があります。
この場合も定款変更の手続きが必要であり、登記申請書は法務局Webサイトから取得可能です。
有限会社の法人登記を確認する方法

有限会社の登記内容を確認したい場合、法務局やオンラインサービスを通じて誰でも登記情報を取得できます。有限会社の登記情報を確認することで、会社の所在地・役員構成・資本金などの基本事項を正確に把握でき、取引や契約の際にも信頼性を確認する手段となります。ここでは、有限会社の登記内容を確認する代表的な3つの方法を紹介します。
有限会社の登記内容を確認する方法①:法務局に出向いて登記情報を取得
有限会社の登記情報を確認する最も基本的な方法は、管轄の法務局に直接出向いて登記事項証明書を取得する方法です。法務局の窓口で申請書に必要事項を記入し、手数料(1通600円)を支払うことで、その場で有限会社の登記内容が記載された証明書を受け取ることができます。
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即日で登記事項証明書を入手できる点が大きな利点ですが、法務局の営業時間内に訪問する必要があるため、時間に余裕をもって手続きしましょう。
有限会社の登記内容を確認する方法②:郵送で登記事項証明書を請求
有限会社の登記内容は、郵送でも確認できます。法務局の公式サイトから「登記事項証明書交付申請書」をダウンロードし、必要事項を記入のうえ、手数料分の収入印紙と返信用封筒を同封して法務局に送付します。
この方法では法務局へ出向く必要がなく便利ですが、有限会社の登記事項証明書が届くまでには数日から1週間程度かかる点に注意が必要です。
有限会社の登記内容を確認する方法③:オンラインで登記情報を閲覧
有限会社の登記内容は、法務省が提供する「登記・供託オンライン申請システム」を利用することで、インターネット上から登記事項証明書を請求できます。また、「登記情報提供サービス」を利用すれば、有限会社の登記情報をオンラインで閲覧することも可能です。
有限会社の登記に関する気をつけておきたい注意点

ただし、この閲覧サービスでは証明文や公印が付与されないため、法的な証明力はありません。契約や金融機関提出など、正式な証明が必要な場合は登記事項証明書を取得しましょう。
有限会社の登記における住所非表示制度の変更(2024年10月〜)
2024年10月1日以降、有限会社の代表取締役などの住所を登記事項証明書に表示しないことが可能になりました。これは個人情報保護の観点から導入された制度で、申出を行うことで住所を非公開にできます。
ただし、有限会社に関して正当な利害関係を持つ者は、裁判所の許可を得た上で住所情報を取得することが認められています。登記情報の取り扱いが厳格化されている点を理解しておくと良いでしょう。
有限会社の登記変更を自分でやるメリット・デメリット

有限会社の登記変更は、原則として経営者自身で行うことが可能です。有限会社における登記手続きは法務局での申請を基本とし、必要書類をそろえれば自分で手続きを完了させることもできます。
有限会社の登記変更に関する気をつけておきたい注意点

ただし、有限会社の登記変更には一定の専門知識や正確性が求められるため、状況によっては専門家への依頼も検討すべきです。
有限会社の登記変更を自分で行うメリット
有限会社の登記変更を自分で行う最大のメリットは、費用を抑えられることです。司法書士などの専門家に依頼する場合と比べ、手数料や報酬が不要なためコスト負担が軽くなります。
また、登記を自分で行う過程で有限会社の登記事項(本店所在地・役員・目的など)を正確に把握できるようになるため、今後の経営判断や手続きにも役立ちます。さらに、インターネット登記申請などを活用すれば、有限会社の登記変更を迅速に進めることも可能です。
有限会社の登記変更を自分で行うデメリット
一方で、有限会社の登記変更を自分で行う場合にはいくつかのデメリットもあります。まず、登記手続きは専門的で複雑な部分が多く、記載内容や添付書類に誤りがあると登記申請が却下される可能性があります。再申請には時間と手間がかかるため、結果的に業務に支障をきたすこともあります。

SoVa税理士お探しガイド編集部
有限会社の変更登記に必要な手続きについて、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。
また、有限会社の登記変更を通常業務と並行して行う場合、時間的な負担が大きくなる点にも注意が必要です。法改正や登記制度の変更に対応するためには、常に最新情報を把握しておく必要があり、慣れていない人にとっては負担となることがあります。
まとめ

有限会社の登記は、会社の法的地位を守り、社会的信用を維持するうえで欠かせない手続きです。有限会社の登記変更には、本店移転・役員変更・商号変更などさまざまな種類があり、それぞれに異なる申請書類や期限が定められています。登記は自分で行うことも可能ですが、複雑な手続きを伴う場合は司法書士など専門家に依頼することで、スムーズかつ正確に進められます。
また、有限会社から株式会社へ移行する場合には、定款変更や登記申請を経て正式に移行登記を行う必要があります。有限会社を運営するうえでは、登記事項を正確に把握し、変更が生じた際には速やかに登記申請を行うことが、法的リスクの回避と信頼維持のために重要です。
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