国保と社保の違いとは?切り替え時の手続きや任意継続について解説!

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公開日:2024年9月

更新日:2024年11月6日

社保と国保は、いずれも日本の国民皆保険制度を支える重要な仕組みであり、家族の扶養に入っていない場合、どちらかに必ず加入する必要があります。

簡単に言えば、会社員が加入するのが社保、個人事業主などが加入するのが国保です。今回は、社保と国保の違いについて解説し、保険の切り替え手続きや任意継続制度についてもご紹介します。

国民皆健康保険とは

国民皆健康保険は、すべての日本国民が「社保」または「国保」に加入し、保険料を互いに負担し合うことで、個人の医療費負担を軽減することを目的としています。この制度は、国民全員が必要な医療サービスを受けられるように設計されており、転職や退職時に重要な問題となります。

具体的には、社保に加入している人は、雇用関係を通じて健康保険に入り、企業とともに保険料を支払います。一方で、国保は自営業者や無職の方が対象で、自治体を通じて保険料を納める違いがあります。扶養の有無や収入に応じて、保険料の計算方法が異なるため、国保と社保の違いを正しく把握することが大切です。

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なお、生活保護を受けている人や一定の条件を満たさない外国人は、この制度の適用外となります。これにより、全ての国民が適切な医療を受けられる体制が整えられています。

社保とは

社保は、企業に勤める正規社員や一定条件を満たした非正規社員に対して、加入が義務付けられている公的な強制保険制度です。この仕組みにより、日本国民は病気やケガといった予期しにくいリスクに備えることができます。
社保の一環である健康保険は、個人ではなく、勤めている会社を通じて加入するのが特徴です。また、配偶者や三親等以内の親族も扶養として一緒に加入できる点も国保との違いとして特筆されます。

社保の種類
社保には、健康保険、介護保険、厚生年金保険、労災保険、雇用保険の5つがあります。狭義には、健康保険、介護保険、厚生年金保険の3つをまとめて社保と呼びます。

国保とは

国保は、企業に勤めていないフリーランス、自営業、無職、年金受給者など、社保やその他の医療保険に加入していない人を対象とした保険制度です。この国保には、社保と違い扶養の概念がありません

そのため、扶養家族がいる場合には、家族全員がそれぞれ国保に加入し、それぞれの保険料を支払う必要がある点が社保との大きな違いになります。

社保と国保の違いは?

社保と国保、どちらも病院での自己負担割合は同じですが、補助の内容の違い保険料免除の制度など違いも多くあります。

社保と国保は、まず運営主体が違います。社保は「全国健康保険協会」や「健康保険組合」が運営し、国保は市区町村がその管理を担っている違いがあります。

また、加入条件の違いや、保険料の負担額の違い、扶養の有無の違いなど、いくつかの点でも違いが見られます。ここではそれぞれの違いについて、詳しく解説していきます。

社保と国保の違い①:社保と国保の加入条件の違い

まず、社保と国保の加入条件の違いについて説明します。

適用事業所に雇用されている正社員は、基本的に全員社保に加入します。短時間労働者が社保に加入するための条件は、以下の5点です(2024年1月現在)。

  • 被保険者が101人以上いる企業
  • 週の所定労働時間が20時間以上であること
  • 2ヶ月を超える雇用の見込みがあること
  • 賃金の月額が88,000円以上であること(残業代・賞与は除外)
  • 学生ではないこと

一方、日雇い労働者や適用除外の事業所で働いている場合、または自営業などで社保の加入条件を満たせない場合は、国保に加入することになります。

国保と社保の違いに関する注意点

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なお、生活保護を受けている場合は別の医療費補助制度が適用されるため、国保には加入しません

社保と国保の違い②:保険料および計算方法の違い

次に、保険料とその計算方法の違いについて説明します。

社保では、毎年4〜6月の月額報酬の平均をもとに、標準報酬月額が算出されます。この月額報酬には残業代や通勤手当も含まれるため、注意が必要です。

都道府県別の健康保険料額を確認できるページもあり、月額報酬の平均を算出すれば、標準報酬月額や保険料も容易に参照できます。

国保と社保の違いに関するポイント

税理士_依頼_おすすめのポイント

一方で、国保は世帯単位で計算される違いがあります。社保と違い、扶養という概念がないため、家族全員がそれぞれ被保険者として扱われ、保険料の計算には世帯内の人数・収入・年齢が反映される違いがあります。

また、国保の運営は各都道府県と市区町村が共同で行っており、保険料も居住地によって違います。国保の保険料を確認したい場合は、居住する地域の国保料を調べる必要があります。

社保と国保の違い③:扶養の有無の違い

社保では、配偶者や子どもを扶養に入れることができ、被扶養者の人数にかかわらず、保険料は変わらず、被保険者分のみの負担で済みます。この点が国保との大きな違いです。

ただし、扶養に入れるためには収入に関する条件があり、「130万円の壁」と呼ばれる収入上限が設けられています。パートやアルバイトで働いている扶養者は、この基準に注意が必要です。

一方、国保には扶養という概念がありません。社保の場合は一人分の保険料で複数人分の保険が適用されますが、国保では各個人が被保険者として扱われる違いがあります。

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そのため、家族全員分の保険料を世帯単位で支払う必要がある違いがあり、保険料の負担は増加します。

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【まとめ】社保と国保の違い

ここまでの社保と国保の違いについての説明を簡単にまとめると、以下の通りです。

社保(健康保険)国保
運営主体全国健康保険協会市区町村
被保険者適用事業所に雇用されている正社員、条件を満たす短時間労働者社保、船員保険、共済組合に加入していない人、生活保護を受けていない人
保険料負担会社と従業員で折半全額自己負担
扶養制度:

社保と国保の違いは、運営主体・被保険者・保険料負担・扶養制度のそれぞれに違いがあるので、切り替える際には注意が必要です。

国保から社保に切り替える際の手続き方法

ここでは、国保から社保に切り替える際の手続きについて、雇用主と従業員それぞれの視点から説明します。正社員として社保が適用される企業に入社する場合、国保から社保への切り替えが必要です。

また、アルバイトやパートでも、労働時間や日数などの条件を満たせば正社員と同様に社保への加入が義務付けられるため、国保と社保の違いをおさえ、雇用形態に関係なく手続きの流れを理解しておきましょう。

雇用主側の手続き

新たに従業員を雇用した場合、会社はその従業員の社保加入手続きを行います。申請の責任は事業主にあり、手続きは入社日から5日以内に行わなければなりません。

具体的には、「被保険者資格取得届」を管轄の年金事務所に提出します。また、従業員に扶養する家族がいる場合は、「健康保険被扶養者(異動)届」も併せて提出します。

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万が一書類に誤りがあった場合を考慮し、従業員には早めに書類を準備してもらい、余裕を持って手続きを進めることが推奨されます。

従業員側の手続き

従業員は、入社した企業に年金手帳(基礎年金番号通知書)やマイナンバーが記載された書類のコピーを提出する必要があります。雇用主側の手続きには厳しい期限が設けられているため、これらの書類はできるだけ早めに提出しましょう。

特に、マイナンバーが記載された書面については、役所での発行が必要な場合があるため、事前に確認しておくことが重要です。

国保と社保の違いに関するおすすめ記事:社会保険とは?加入条件や種類、国民健康保険との違いをわかりやすく

社保から国保に切り替える際の手続き方法

社保の適用事業所を退職したり、扶養から外れなければならないが、新たに社保に加入できない場合は、国保への加入が必要です。社保への切り替えと違い、加入手続きは従業員自身で行う必要がある点に注意しましょう。

雇用主側の手続き

従業員が退職した場合、雇用主は退職日の翌日から5日以内に「被保険者資格喪失届」を日本年金機構へ提出する義務があります。その際、従業員本人の健康保険証、そして扶養家族がいる場合は、その家族分の健康保険証も回収・返却しなければなりません。

さらに、従業員の希望があれば、「社保喪失証明書」を作成し、従業員に渡すと良いでしょう。作成は必須ではありませんが、従業員が国保へスムーズに加入できるよう、用意することが望ましいです。

従業員側の手続き

従業員は、市区町村の窓口で国保の加入手続きを行います。国保の加入には、会社から発行される「社保喪失証明書」が必要です。国保の保険料は、退職日の翌日から発生するため、その月の分から支払う義務が生じます。退職日を証明する書類を持参することも大切です。

もし「社保喪失証明書」を発行してもらえなかった場合は、「離職票」や「退職証明書」を代わりに用意しましょう。また、健康保険証に全国健康保険協会の表記がある場合は、最寄りの年金事務所で「健康保険資格喪失証明書」を発行してもらえる可能性があります。

国保への切り替え手続きは、退職日の翌日から14日以内に行う必要があるため、迅速に対応することが重要です。

国保と社保の違いに関するおすすめ記事:社会保険(健康保険)と国民健康保険の違いとは?わかりやすく解説

従業員の退職時に選択できる社保の任意継続制度とは?

従業員が退職し、社保の資格を喪失した場合、国保への切り替えが必要になりますが、従業員の希望があれば条件付きで社保に継続加入することもできます。この退職後も社保に加入し続けられる制度を「任意継続制度」と呼びます。

社保の任意継続制度を利用するための条件

任意継続制度を利用するには、次の2つの条件を満たしている必要があります。

条件①:資格喪失日までに社保の被保険者期間が連続して2か月以上あること。

条件②:資格喪失日(退職日の翌日など)から20日以内に「任意継続被保険者資格取得申出書」を提出すること。(20日目が土日祝の場合、翌営業日に提出)

また、社保の任意継続制度は退職後、永久的に加入できるわけではなく、加入期間は最長2年間と決まっている点も押さえておきましょう。

社保の任意継続制度のメリット

勤務先の社保を任意継続するメリットは、以下の3つです。

  • 従来と同様の手当やサービスを受けられる
    任意継続すれば、勤務中と同様に健康診断や人間ドッグの受診、手当などが引き続き利用できるため、これらのサポートを継続できるのは大きなメリットです。
  • 無保険状態を防げる
    再就職までの一時的な無保険状態を防ぎ、医療費の全額自己負担を回避することができます。特に扶養家族がいる場合、任意継続制度を利用すれば家族分の医療費も守ることができ、安心です。
  • 国保より保険料を抑えられる可能性がある
    任意継続の保険料は、標準報酬月額に上限があるため、高所得者の場合、国保よりも社保の方が保険料が低く抑えられることがあります。

社保の任意継続制度のデメリット

社保の任意継続制度には、以下の2つのデメリットもあります。

  • 保険料が全額自己負担になる
    退職後は会社が負担していた保険料の半額分も自己負担になります。そのため、保険料が高く感じることがありますが、国保も同様に全額自己負担であるため、社保の方が安くなるケースもある点を考慮すると、必ずしも大きなデメリットとは言えません。
  • 任意継続を途中で辞められない
    任意継続は基本的に2年間継続しなければならず、自分の都合で途中解約することはできません。再就職して新しい社保に加入するか、2年間の任意継続期間が終了するまでは辞められないため、この点に注意が必要です。

国保と社保の違いに関するおすすめ記事:社会保険と国民健康保険どっちが安い?年収別に2つを比較

まとめ

社保と国保は、どちらも公的な医療保険ですが、加入できる人や加入する団体、また保険料の計算方法が違います。

会社員の場合は多くの人が社保に加入しますが、退職して個人事業主になった際には、社保を2年間継続できる任意継続という制度もあります。

社保と国保のどちらが有利かは、扶養家族がいるかどうかなどの状況によって違いがあるので、詳しくは市区町村の国保窓口で相談することをおすすめします。

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