サラリーマンが会社設立で節税できるケースとは?仕組みや注意点も解説!
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公開日:2024年9月
更新日:2024年11月21日
「サラリーマンが会社設立すると節税できる」と聞いたことがある方もいるかもしれません。実際、サラリーマンが会社設立すると、法人税率が適用され、一定額を超える所得の場合、個人事業主の税率よりも低くなることから、節税も可能です。
ただし、会社設立するには初期費用や維持費、解散時の費用なども必要で、事務手続きも個人事業主より複雑になります。そのため、誰にとっても必ず節税効果があるわけではありません。
そこで今回は、サラリーマンが会社設立するタイミングや節税効果の理由、注意点について解説します。この記事で説明する会社設立のメリットや注意点について確認した上で、自分にとって本当に節税対策になるか検討してみてください。
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目次
サラリーマンは節税目的で会社設立できる?
副業をしているサラリーマンが、節税を目的として会社設立することは可能です。特に、ある程度の利益を見込める場合、個人事業主よりも会社設立をした方が節税面で有利になることがあります。
SoVa税理士お探しガイド編集部
節税できる理由は、所得にかかる税率や経費として認められる範囲が会社設立した場合と個人事業主で異なるからです。法人の場合、初期費用や維持費はかかりますが、税率の上限が個人事業主よりも低く抑えられています。
個人事業主の所得税率
所得範囲 | 税率 | 控除額 |
1,000円 〜 1,949,000円 | 5% | 0円 |
1,950,000円 〜 3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 〜 6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 〜 8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 〜 17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 〜 39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
法人税率
所得範囲 | 税率 |
800万円以下 | 15% |
800万円超 | 23.2% |
サラリーマンが副業を個人事業主としてやる場合、所得が330万円を超えると税率は20%ですが、会社設立すると所得が800万円以下なら税率は15%に抑えられます。また、法人は経費として計上できる範囲が広いため、課税対象となる所得を減らせるという点でも節税メリットがあります。
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サラリーマンが会社設立を検討すべきタイミング
サラリーマンが副業で会社設立する適切なタイミングは、副業収入が増えて会社設立による節税が期待できるとき、または社会的信用が必要となったときです。
副業は限られた時間で行うため、スモールスタートが推奨されます。初めから会社設立をして大規模に事業を展開するのではなく、まずは個人事業主としてスタートし、事業が成長して会社設立するメリットが大きくなってきたタイミングで法人化するのが現実的です。
サラリーマンが会社設立を検討すべき具体的なタイミング
- 副業による課税所得が500万円以上になったとき
- 前々年の売上が1,000万円を超えたとき
- 社会的信用が必要になったとき
たとえば、サラリーマンが副業で500万円以上の課税所得を得るようになった場合、会社設立を検討する価値があります。法人化すれば、役員報酬を損金扱いにすることで法人税の負担を軽減することも可能です。
また、売上が1,000万円を超えた場合、消費税の納税義務が生じますが、会社設立によって一時的に免税期間を延ばすことができる場合もあります。このような場合も、サラリーマンが会社設立するタイミングとして検討するといいでしょう。
副業の取引先から会社との取引を求められるケースもあり、社会的信用が必要になった場合も会社設立を考える時期です。
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サラリーマンが会社設立で節税できるケースとは?
サラリーマンが会社設立することで節税が可能なケースは存在しますが、「誰でも会社を作れば節税できる」というわけではありません。
以下に、サラリーマンが会社設立で節税できる4つのパターンをご紹介します。
サラリーマンが会社設立で節税できるケース①:副業で「事業所得」がある場合
サラリーマンが副業を行っており、その副業で「事業所得」が発生しているケースが最も一般的です。この場合、副業の利益が増加してきたタイミングで会社設立することで節税効果が期待できます。
ただし、副業の利益が少ない場合には、会社設立しても節税効果が小さいことがあります。課税所得が500万円から600万円の範囲が、副業しているサラリーマンが会社設立で節税メリットが見込まれる損益分岐点となります。
サラリーマンが会社設立で節税できるケース②:不動産投資で「不動産所得」がある場合
サラリーマンが不動産投資を行い、「不動産所得」が発生しているケースでも、会社設立による節税が有効です。不動産投資の規模が大きく、課税所得が900万円を超えた場合が会社設立を検討する一つの目安です。
気をつけておきたい注意点
ただし、不動産所得は給与所得と合算できるため、個人事業主として確定申告を行うだけでも、ある程度の節税効果を得られることがあります。
サラリーマンが会社設立で節税できるケース③:資産運用で「所得」がある場合
サラリーマンが株式、FX、仮想通貨などの資産運用を行い、雑所得や譲渡所得が発生している場合も、会社設立することで節税につながることがあります。具体的には、課税所得が900万円を超えたタイミングで税理士に相談し、会社設立による節税対策が有効かをシミュレーションしてもらうのが良いでしょう。
なお、まず個人事業主として事業化し、「事業所得」として申告するだけでも、節税効果が得られる場合があります。
会社設立で節税できるケース④:相続税・贈与税対策として会社を設立する場合
多額の資産を所有している場合、相続税や贈与税対策として会社設立を検討することがあります。個人の資産を法人に移すことで、その資産が相続税の対象外となります。また、資産から得られる収益に対する税金も、所得税から法人税に変更されるため、一定の課税所得を超えた場合には法人税の方が低くなります。さらに、役員報酬を利用して所得分散ができる点もメリットです。
ただし、明確に「相続税や贈与税対策」を目的として会社設立した場合は、税務署から否認されるリスクがあるため、事前に税理士に相談することを強くおすすめします。
サラリーマンの方でも上記ケースに当てはまる場合は、会社設立を検討してみるのもいいでしょう。
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サラリーマンが会社設立で節税できる8つのポイント
サラリーマンが個人事業主としてやっている副業で会社設立をすると、個人事業主に比べて税制上の優遇措置が多くあります。特に、経費として計上できる範囲が広がるため、課税対象となる所得を圧縮できるのが大きなメリットです。また、法人税の最高税率が個人の所得税よりも低い点も、会社設立による節税メリットを考える上での魅力の一つです。
ここでは、サラリーマンが会社設立で節税できる8つのポイントをご紹介します。
サラリーマンが会社設立で節税できるポイント①:役員報酬を経費に計上できる
会社設立後は、役員に支払われる報酬は全額を経費として損金に計上できます。これにより、会社の課税所得が抑えられます。サラリーマンが副業で個人事業主をしている場合、収入から経費を差し引いた部分がそのまま個人の所得とみなされて課税されますが、会社設立することで、役員報酬として会社から所得を受け取る形にでき、税負担を軽減できます。役員報酬は給与所得として課税されますが、各種控除が適用されるため、結果的に法人全体の税負担が軽減される可能性があります。
ただし、事業の規模や利益が少ない場合には、個人事業主のままの方が節税面で有利なこともあるので、注意が必要です。
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サラリーマンが会社設立で節税できるポイント②:家族に報酬を分散して節税
家族を会社の役員や従業員にすることで、所得を分散し節税することが可能です。所得税は累進課税方式を取っているため、所得が高いほど税率が上がります。同じ総額でも複数人で分けた方が結果的に支払う税金が少なくなります。
SoVa税理士ガイド編集部
たとえば、1,000万円を1人で受け取る場合は税率が高くなりますが、夫婦で500万円ずつ受け取ると税率が下がり、節税効果が見込めます。ただし、家族への報酬や控除額を考慮した試算が必要です。
サラリーマンが会社設立で節税できるポイント③:退職金の支給で節税
副業していたサラリーマンが会社設立をすると、役員や従業員に退職金を支給することで節税が可能です。退職金は通常の給与所得よりも税制上の優遇があり、「退職所得」として課税されるため、一般的な給与所得よりも低い税率が適用されます。ただし、勤続年数が短い場合には控除額が減少するため、計画的な支給が求められます。
サラリーマンが会社設立で節税できるポイント④:減価償却費の計上タイミングを調整
会社設立をすると、減価償却費の計上タイミングを自由に決められます。たとえば、赤字の年には償却費を抑え、黒字の年に多く計上することで、効果的な節税が可能です。サラリーマンが個人事業主として事業をしている場合は、取得したタイミングから計上しなければならないことが多いのに対し、法人では計上時期の調整が可能です。
サラリーマンが会社設立で節税できるポイント⑤:法人税の方が税率が低い
法人にかかる税率は、個人の所得税の最高税率よりも低く設定されています。法人税率は一律23.2%で、資本金1億円以下の中小企業にはさらに優遇税率が適用されます。個人事業主の所得税は累進課税制度で最高税率40%に達するため、一定の利益を超える場合には会社設立した方が節税面で有利です。
サラリーマンが会社設立で節税できるポイント⑥:赤字の繰越期間が長い
会社設立後は、赤字が発生した場合、その損失を最大10年間繰り越して翌期以降の黒字と相殺できます。個人事業主としてサラリーマンが副業している場合では、赤字の繰越期間が3年に制限されていますが、会社設立すればより長期間にわたって節税メリットを受けることが可能です。
サラリーマンが会社設立で節税できるポイント⑦:保険料の控除範囲が広い
会社設立すると、支払った保険料のほとんどを損金に計上できます。個人事業主の場合、控除できる保険料の上限が設けられていますが、法人では条件次第で全額を経費として計上できることが多いため、保険にかかるコストを抑えることが可能です。
サラリーマンが会社設立で節税できるポイント⑧:役員の自宅を法人で借りられる
会社設立後は、役員の住居を法人名義で借りることができ、家賃を経費として計上できます。個人事業主の場合、自宅の一部を事業用に使用している場合のみ、その分だけを経費にできますが、法人ではより多くの割合を経費計上できるメリットがあります。ただし、全額会社負担にすると給与とみなされるため、税負担が発生しないように適切に分配する必要があります。
サラリーマンが節税目的で会社設立をする場合に関するおすすめ記事:会社設立で節税できる理由!副業でサラリーマンが起業する際の注意点も含めて詳しく解説
サラリーマンが節税目的で会社設立する際の注意点
会社設立には多くのメリットがありますが、サラリーマンが会社設立する際には注意すべき点もあります。事前に把握しておくことで、リスクを避けることが可能です。
サラリーマンが会社設立する際の注意点①: 副業禁止の確認
サラリーマンが会社設立する際には、勤務先の副業規定を確認することが重要です。副業が禁止されているにもかかわらず会社設立すると、罰則や解雇のリスクがあります。たとえ住民税の支払方法を工夫しても、事業としての会社設立は目立ちやすく、後で発覚した際のリスクが大きいです。
サラリーマンが会社設立する際の注意点②: 所得が少ない場合のメリットは少ない
会社設立する事業の所得が一定水準以下の場合、法人税の方が高くなることがあります。所得が低い場合、個人事業主のままの方が税負担が軽くなる場合もあるため、会社設立前にしっかりとシミュレーションすることが大切です。
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サラリーマンが会社設立する際の注意点③: 事務手続きの負担
会社設立には定款の作成や法務局への届け出など、さまざまな事務手続きが伴います。また、会社設立後の経理管理も厳格になるため、会計ソフトや税理士の導入が必要となり、コストも発生します。
ここがポイント!
コストや手続きの負担に見合った節税効果が得られるのかについても、よく検討した上で会社設立をすることが重要です。
サラリーマンが節税目的で会社設立をする場合に関するおすすめ記事:サラリーマンが節税するなら会社設立すべき?メリットや得になる場合
まとめ
サラリーマンが副業でやっていた事業を会社設立する目的のひとつに、節税が挙げられます。会社設立することで、最高税率が低くなるだけでなく、役員報酬や家賃などを経費として計上できる範囲が広がるという節税メリットがあります。ただし、会社設立による税制上のメリットは条件に左右されるため、事前にしっかり確認することが重要です。
さらに、会社設立して自分が受け取る収入を給与として設定すると、その給与に対して所得税が課されます。その結果、会社としては法人税、個人としては所得税をそれぞれ負担することになるため、節税を目的に会社設立する場合は、正確な試算が不可欠です。
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事業の規模や必要となる経費などを総合的に考慮し、税理士などにも相談をしながら適切なタイミングで会社設立を検討してみるのもおすすめです。
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