開業費の仕訳を徹底解説!開業費の仕訳を行う際の勘定科目や注意点も紹介

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公開日:2024年8月

更新日:2024年8月22日

今回は開業費の仕訳を中心に、開業費の概要と併せて解説していきます。

開業費は繰延資産という少し特殊な勘定科目を用いて仕訳を行うので、本記事を通じて理解を深めていきましょう。

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開業費とは

開業費の仕訳について紹介する前に、そもそも開業費とはなんでしょうか?

開業費は、会社を設立した後、実際に事業を始めるまでにかかった準備費用をまとめて仕訳するための勘定科目です。具体的には、営業開始までにかかった賃借料や広告費、通信費、交通費などが含まれますが、個人事業主と法人では、「開業費」として仕訳できる内容が異なります。

【個人事業主の場合】
事業を始めるまでにかかった費用は、「開業費」として記録します。ただし、一般的に次の3つの費用は「開業費」に含めません。個人事業主が開業費に含める費用については、いつからの出費を含めるかという法律上の決まりはありません。開業までに数年かかった場合でも、その期間中にかかった費用をすべて開業費として計上することが可能です。

  • 後で返金される敷金
  • 10万円以上の固定資産
  • 商品の仕入代金

【法人の場合】  
法人を設立してから、実際に事業を開始するまでに特別にかかった準備費用を「開業費」として仕訳します。一般的に、次のような費用がこれに該当します。

  • 広告宣伝費
  • 事業開始に関わる研修費用
  • 市場調査費用
  • 印鑑や名刺の作成費用
  • その他、開業のために特別にかかった費用

一方で、次のような費用は「開業費」として扱いません。

  • 事務所の家賃や水道光熱費など、定期的に発生する費用
  • 後で返金される敷金
  • 10万円以上の固定資産
  • 商品の仕入代金

開業費の仕訳に関連するおすすめ記事

開業費の仕訳に関連するポイント!

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「開業費」として認められる出費は、会社を開業するために実際に使われた費用であれば、数年前のものでも問題ありません。重要なのは、その費用が確実に会社の設立に関連していることです。
ただし、数年前の費用を開業費として扱うのは現実的には難しいことが多いです。古い費用を開業費に計上する場合は、その費用が会社設立のために使われたことを証明できる記録をしっかりと残しておく必要があります。ですので、開業費に関連する領収書などは必ず保管しておきましょう。
会社設立費用の勘定科目は?開業費と創立費と記帳のポイントについて詳細解説!

開業費と似ている創立費とは?

「創立費」とは、会社設立前に発生する費用のことを指します。具体的には、以下のような支出が含まれます。また、創立費においても開業費と同様に税務調査時に支出の事実を証明する必要があるため、領収書は保管しておきましょう。

1.定款作成や認証のための手数料
2.印鑑証明書の発行手数料
3.設立登記時の印紙代
4.設立前の事務所の賃借費用
5.設立前の社員の給料
6.銀行口座開設手数料
7.名刺や印鑑、封筒などの事務用消耗品費
8.打合せや会議の費用、交通費など

開業費の仕訳に関連するおすすめ記事

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創立費に関しては以下の記事がおすすめです。
創立費は経費として認められる?計上するときのポイントを紹介

事務所の家賃や水道光熱費、社員の給料などの毎月発生する会社設立費用の勘定科目は「開業費」にはなりません。

合わせて読みたい!「会社設立時の費用」に関するおすすめ記事

会社設立時に税理士に依頼した時にかかる費用とメリットを解説

この記事では、税理士を雇う利点やデメリット、費用の相場について解説します。読み終わる頃には、自社にとって税理士を顧問とするメリットが見えてくるでしょう。

開業費の仕訳方法

開業費の仕訳を行う方法は、開業費として仕訳を行って良いのか?に始まり、償却する際の仕訳方法まで様々な論点が存在します。
ここでは、開業費の仕訳を行ううえでの注意点や、具体的な開業費の仕訳方法まで詳しくみていきます。

開業費の仕訳方法 【具体的な開業費の仕訳方法】

ここからは、よくある具体的な状況を列挙しながら、仕訳例を紹介していきます。
実際に開業前の支出で、開業費として仕訳をきって良いのか不安な場合は是非参考にしてみてください。

具体的な開業費の仕訳方法① 営業開始に関わる研修費

【仕訳方法】

借方勘定科目貸方勘定科目
開業費現金


開業に役立つセミナーや勉強会への参加費用は、すべて「開業費」として仕訳します。これには、受講料だけでなく、会場までの交通費や宿泊費、セミナー後の交流会の参加費なども含まれます。オンラインでの参加費用も、受講料は「開業費」として扱います。

具体的な開業費の仕訳方法② 接待交際費

【仕訳方法】

借方勘定科目貸方勘定科目
開業費現金

開業準備中にデザイナーや業者、取引先となりそうな相手と食事をすることがあるかもしれません。その際の「接待・交際費」も開業費として仕訳できますので、領収書を忘れずに受け取りましょう。

開業費にできるもので、意外と見落としがちなのが「交通費」です。開業のための打ち合わせやセミナー参加にかかった交通費も、開業費として計上できます。また、オフィスを探すために不動産を見て回った際の交通費も該当します。少額でも積み重ねると節税につながるので、忘れずに記録しておきましょう。

さらに、相手先を訪問して打ち合わせを行う際には、あいさつのための手土産を用意することもありますが、その費用も開業費に含めることができます。その他にも、開業に関連する書籍や資料、文房具、ソフトウェアの購入費も開業費として仕訳処理できます。

開業費の仕訳に関するポイント!

税理士_依頼_おすすめのポイント

営業開始後の取引に関連する交際費や会議費、接待費などは特有の支出として税務上の開業費に計上できますが、社内での懇親会費用は該当しません。この懇親会費を「開業費」として計上したい場合は、会計上の開業費として計上する必要があります。

SoVa税理士お探しガイド編集部

開業費として仕訳を行えるか否かの判断のカギは「その費用が開業のために使われたかどうか」という点です。もちろん、その証拠が必要ですが、開業費は意外と幅広い範囲で認められます。
こんなものも「開業費」に計上できます

具体的な開業費の仕訳方法③ 広告宣伝費

【仕訳方法】

借方勘定科目貸方勘定科目
開業費現金

チラシなどの広告費は、開業費に含めることができます。ただし、これは会社設立後で、営業開始前の費用に限ります。

営業が始まると、チラシやポスター、パンフレット、場合によってはサンプルなど、広告に使う費用が増えてきます。この場合、勘定科目は「広告宣伝費」となります。しかし、開業前に特別に支出した広告費は、開業のためにかかった費用として認められ、税務上、開業費として計上することが可能です。

開業費の仕訳に関連するおすすめ記事

税理士_依頼_おすすめの記事

開業費の仕訳及び節税ポイントは以下の記事がおすすめです。
起業を考えているなら!知っておきたい開業費の節税ポイント10選

具体的な開業費の仕訳方法④ 市場調査費

【仕訳方法】

借方勘定科目貸方勘定科目
開業費現金

開業時に行った市場調査の費用も、開業費として計上できます。

調査費には、事前調査にかかるさまざまな費用が含まれます。たとえば、商品の販売状況や消費動向を調べるために業者に依頼した調査費や、市場調査のために購入した書籍や業界紙なども、調査費として計上可能です。

開業費の仕訳に関連するおすすめ記事

税理士_依頼_おすすめの記事

開業費が経費になるタイミングに関しては、こちらの記事を参考にしてみましょう。
開業前・設立前に使用した経費について |起業前に経費になるものやタイミング

具体的な開業費の仕訳方法⑤ 印鑑や名刺の作成費

【仕訳方法】

借方勘定科目貸方勘定科目
開業費現金

新しい名刺の作成費用も開業費に含まれます。印刷代はもちろん、デザイン会社に依頼した場合のデザイン料も開業費として扱えます。最初の名刺作成は、会社設立後から営業開始までの特有の支出であり、その費用は開業費として税務上計上することが可能です。

合わせて読みたい!「会社設立サポート」の税理士依頼に関するおすすめ記事

会社設立時に税理士は必要?依頼するメリットとおすすめのタイミングとは

会社設立時に税理士に依頼することは、多くの創業者にとっておすすめな選択肢です。税理士などの専門家の支援を受けることで、税務申告や資金調達、経理管理などの面でスムーズな事業運営を実現できます。この記事では、税理士に会社設立を依頼するメリットとデメリット、会社設立を依頼するおすすめのタイミング、会社設立を依頼するときの税理士の選び方について詳しく解説しています。

具体的な開業費の仕訳方法⑥ その他開業準備のために特別支出する費用

【仕訳方法】

借方勘定科目貸方勘定科目
開業費現金

具体的な開業費の仕訳方法①~⑤で紹介したもの以外に、開業準備のために支出する費用も開業費勘定を用いて仕訳を行うことができます。

「開業費の仕訳」解説部

先ほども述べましたが、開業費として計上できるかどうかのポイントは、「その費用が開業のために使われたかどうか」です。もちろん、それを証明する証拠が必要ですが、開業費は思ったより広範囲にわたって認められることがあります。

開業費の仕訳方法 【償却方法】

開業費や創立費は、繰延資産として仕訳されますが、その償却方法には「5年間(60か月)の均等償却」と「任意償却」の2つの選択肢があります。

任意償却を選ぶと、支出した年度に全額を一括で償却することも可能ですし、逆に全く償却しないこともできます。ただし、開業初年度に一括償却すると赤字になる可能性があるため、年度末に利益が確定してから償却額を決めるのが一般的です。

さらに、均等償却の5年間が経過した後でも、未償却残高が残っている場合には、その金額を必要に応じていつでも経費として計上できるという点も覚えておくとよいでしょう。

開業費の仕訳に関連するおすすめ記事

税理士_依頼_おすすめの記事

開業費の仕訳方法は、以下の記事も参考になるでしょう。
開業費とは?償却・仕訳や個人事業主・法人の違いと開業準備のコツ

「開業費の仕訳」解説部

会計の面からは、一括償却を行う仕訳方法が原則で、均等償却を行う仕訳方法が容認処理と言われています。しかし、容認処理の均等償却を積極的に採用しても問題はないので安心してください。

均等償却とは?

均等償却とは、繰延資産の金額を決められた期間にわたって均等に償却する方法です。設定された償却期間にわたり、費用を毎期同じ額ずつ配分する仕訳方法を行います。

開業費の仕訳で気をつけておきたい注意点

税理士
        _依頼_おすすめの注意点

償却方法は定額法のみが認められています。

【仕訳例】
開業費1,000,000の場合
繰延資産に計上し、5年間で均等償却する場合

借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
開業費(繰延資産)1,000,000現金1,000,000
開業費償却(営業外費用)200,000(※)開業費(繰延資産)200,000

(※)1,000,000÷5年=1会計年度償却額200,000

任意償却とは?

任意償却(一時償却)では、償却期間内であればいつでも、また繰延資産の範囲内で自由に償却する仕訳を行うことができます。償却する金額の下限は設定されていないため、支出のあった年に全額を一括で償却仕訳することも、全く償却しないことも可能です。創立費や開業費などの繰延資産は、均等償却と任意償却のいずれかを選んで償却できます。任意償却を選んだ場合、未償却残高があればいつでも償却費として必要経費に仕訳できます。

【仕訳例】
開業費1,000,000の場合

繰延資産として計上せず、一括償却する場合

借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
開業費(営業外費用)1,000,000現金1,000,000

開業費の仕訳に関連するおすすめ記事

税理士_依頼_おすすめの記事

開業費に関連して、繰延資産の仕訳方法に関しては以下の記事がおすすめです。
繰延資産とは 償却方法や仕訳例、活用事例をわかりやすく解説

開業準備活動は、通常の営業活動ではないため、原則「営業外費用」として処理されます。しかし、開業費は営業活動と密接な関係にあることから、実務上の便宜を考慮し「販売費及び一般管理費」として仕訳及び処理することも可能です。

開業費の仕訳に関連するおすすめ記事

税理士_依頼_おすすめの記事

会社設立費用の取引内容と勘定科目について迷った場合は以下の記事も参考にしてみましょう。
法人設立の費用は経費になる?会計処理の方法が一目でわかる一覧つき

繰延資産とは?

本来は費用として仕訳されるべき支出の中で、1年以上にわたって企業に利益をもたらすと見込まれるものを、一時的に資産として計上することができる項目です。具体的には、会社の創立費、開業費、開発費、株式交付費、社債発行費の5項目が該当し、これらは次期以降の決算で数年間にわたって償却する必要があります。

繰延資産と流動・固定資産は、どちらも資産の部に計上されますが、その実態には大きな違いがあります。流動資産や固定資産は「財産価値を持つ資産」であるのに対し、繰延資産は「複数年度にわたって費用として計上する支出」であり、直接的な財産価値はありません。

開業費の仕訳に関する気をつけておきたい注意点

税理士
        _依頼_おすすめの注意点

「資産」というカテゴリーに含まれていますが、性質が異なるため、混同しないように注意することが重要です。「繰延資産(くりのべしさん)

開業費の仕訳を行う際のポイントと注意点

ここでは、開業費の仕訳のポイントや注意点について解説しています。
特に10万円以上の開業費の仕訳や処理方法については特に注意が必要です。

開業費の仕訳がもたらす節税効果

開業前の期間は帳簿がまだつけられていないものの、その期間に発生した出費も開業日として償却できます。前述のように、開業前に開業のために使った費用は、基本的には何年前のものであっても開業費として取り扱うことができます。

ただし、通常は半年前から1年前の出費までが対象となることが一般的です。あまりにも古い費用を開業費として扱うと、税務署に疑念を持たれる可能性があります。そのため、開業費として計上する出費については、すべて説明できるように証拠をしっかりと残しておくことが重要です。

開業費の仕訳に関連するおすすめ記事

開業費の領収書は必ず保管

前述の通り、税務調査の際に開業費に関する領収書の提出を求められる可能性があるため、必ず保管しておきましょう。

仕訳帳と減価償却資産台帳に正確な記帳を行う

10万円以上の備品は固定資産として扱われるため、開業費には含まれません。また、仕入代金は「売上原価」として計上されるため、開業費には含まれません。敷金や礼金も基本的には開業費として認められないことが多いことに注意してください。

まとめ

今回は、開業費の概要と、開業費の仕訳方法について解説しました。開業費は繰延資産に該当するため、一見仕訳のやり方などが複雑そうに見えますが、しっかりと理解したうえ仕訳を行うと節税のメリットもあるため、是非本記事を参考にしてください。

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