役員の決算賞与は損金算入できる?支給するメリット・デメリットや注意点も解説!

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公開日:2025年1月

更新日:2025年1月30日

本記事では、決算賞与とは何かについて詳しく解説します。決算賞与の支給時期や平均相場・支給額、通常賞与(ボーナス)との違い、さらに企業が決算賞与を支給するメリットやデメリットについても紹介します。

また、役員に対する決算賞与の取り扱いについても解説し、役員賞与を損金算入するための要件や、事前確定届出給与の活用方法、決算賞与を適切に処理する際の重要なポイントを紹介します。

SoVa税理士お探しガイド編集部

決算賞与の支給を検討している企業や、役員賞与の節税対策を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

そもそも決算賞与とは?

決算賞与とは、企業が事業年度の業績に応じて支給する賞与のことです。夏季賞与や冬季賞与といった定期的な賞与とは異なり、業績に応じた臨時的な支給となります。決算賞与の支給により、従業員や役員のモチベーション向上が期待できるほか、損金算入によって法人税の節税効果を得ることも可能です。

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決算賞与の支給時期と税務上の扱い

決算賞与は、法人税法施行令72条の3第2号により、決算月から1ヵ月以内に支給する必要があります。たとえば、決算月が3月であれば、3月中に決算賞与の金額を決定し、従業員や役員に通知したうえで4月末までに支給します。

ただし、役員に対する決算賞与は、通常の従業員への支給と異なり、損金算入の要件が厳格です。事前確定届出給与の形で税務署に届け出た場合を除き、原則として損金として認められません。そのため、役員賞与を活用する際は、適切な計画と税務処理が重要です。

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決算賞与の支給額と相場

通常の賞与(ボーナス)は、企業ごとに基準があり、業界の平均額を参考にしながら支給されることが一般的です。一方、決算賞与はその年度の利益状況や手元資金の状況、支給対象の従業員や役員の選定によって、支給額が大きく変動します。

特に役員に対する決算賞与は、従業員への支給とは異なり、適切な税務処理を行わなければ法人税法上の損金として認められず、企業の負担が増す可能性があります。そのため、役員賞与を考慮する際には、事前に税理士などの専門家と相談し、適切な手続きを踏むことが重要です。

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決算賞与と通常賞与(ボーナス)の違い

決算賞与と通常賞与には、主に2つの違いがあります。

支給時期

  • 決算賞与: 企業の業績によって決算後に支給
  • 通常賞与: 夏季・冬季など、毎年決まった時期に支給

支給額の変動性

  • 決算賞与: 業績やその他の要因により支給額が変動
  • 通常賞与: 企業の算定方法に基づいて支給額が決定

両者に共通するのは、企業側に必ずしも支給義務がないという点です。特に役員賞与として決算賞与を支給する場合は、税務処理の違いを理解し、損金算入できる形で適切に設計することが求められます。

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役員の決算賞与は損金算入できる?

決算賞与の損金算入は基本的に従業員のみが対象であり、役員に対する決算賞与は原則として損金にできません。

SoVa税理士お探しガイド編集部

これは法人が決算期に利益調整を行い、課税逃れを防ぐための規制があるためです。

役員への決算賞与の損金算入は原則NG?

役員賞与を損金として認められるには、厳格なルールがあります。法人税法上、決算期に急遽役員賞与を支給し、それを損金計上することは基本的に認められていません。

役員賞与を損金に計上するための条件(事前確定届出給与)

  • 会計年度開始から4カ月以内に税務署へ支給額・支給日を届け出る
  • 届け出た金額を1円も違わず支給する(増減不可)
  • 決算期に合わせた駆け込み支給は不可

つまり、決算時に「利益が出たから役員賞与を支給しよう」としても、事前確定届出給与の手続きを行っていなければ損金算入はできません。

役員決算賞与を損金にする方法

決算期になってから役員賞与を損金に計上することはできませんが、事前確定届出給与を活用することで、事実上の決算対策が可能です。

STEP①:決算前に事前確定届出給与として届け出を行う

  • 支給予定日を決算月に設定
  • あらかじめ支給額を決定しておく

STEP②:決算期に実際の利益状況を確認し、以下のいずれかを選択

  • 利益が出た場合 → 役員決算賞与を予定通り支給し、損金算入
  • 利益が思ったほど出なかった場合 → 役員賞与の支給を取りやめる

これにより、事業年度の業績に応じた柔軟な決算対策が可能となります。

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役員に決算賞与を支給するメリット・デメリット

企業が決算賞与を支給することには、従業員だけでなく役員報酬の調整や節税の観点からもさまざまなメリットがあります。

企業が役員に決算賞与を支給するメリット

役員に決算賞与を支給するメリット①:従業員・役員のモチベーション向上

決算賞与の支給は、従業員だけでなく役員の業績評価にも影響を与えます。従業員にとっては、利益を還元することで企業への「帰属意識」が強まり、業務効率の向上が期待できます。

気をつけておきたい注意点

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一方で、役員に対する決算賞与は慎重な計画が求められるため、事前確定届出給与などの制度を活用することが重要です。

役員に決算賞与を支給するメリット②:損金算入による法人税の軽減

企業が決算賞与を損金算入できれば、法人税の納税額を抑えることができます。法人税の計算は「所得 = 益金 - 損金」のため、決算賞与を適切に計上することで、課税対象の所得が減り、節税につながります。

特に役員賞与は原則として損金算入不可ですが、事前確定届出給与として届け出を行い、適切なルールを守れば、役員報酬の一部として税務上認められるケースもあります。

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企業が役員に決算賞与を支給するデメリット

役員に決算賞与を支給するデメリット①:キャッシュフローの悪化

決算賞与の支給は法人税の節税にはなるものの、手元資金が減少するため、資金繰りの悪化を招く可能性があります。特に役員賞与を検討する場合、法人の利益状況を十分に考慮し、資金調達や返済計画と合わせた事前準備が不可欠です。

役員に決算賞与を支給するデメリット②:役員への決算賞与の計画が必要

役員に対する決算賞与は、事前確定届出給与の形で計画的に進める必要があります。

SoVa税理士お探しガイド編集部

決算対策として賞与を支給しようとしても、事前の届け出がない場合は損金算入が認められず、税負担が増加する可能性があります

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役員に決算賞与を支給する際の注意点

決算賞与を当期の損金として計上するためには、以下の3点に注意が必要です。

役員に決算賞与を支給する際の注意点①:支給通知は書面で行う

決算賞与を損金として処理するには、決算日までに各対象者に支給額を通知する必要があります。この際、書面で通知を行い、従業員や役員(事前確定届出給与として届け出た場合)から署名や確認印をもらうことが推奨されます。

税法上、口頭やメールによる通知も違法ではありませんが、通知の事実や支給額の確定を証明するのが困難になるため、書面での通知を徹底し、控えを保管することが重要です。特に、役員の決算賞与を損金計上する場合、税務調査時の証拠として適切な手続きを行うことが求められます。

役員に決算賞与を支給する際の注意点②:決算日の翌日から1カ月以内に支給する

決算賞与を損金に計上するためには、決算日の翌日から1カ月以内に支給する必要があります。

もし、支給日がこの期間を超えてしまうと、当期の損金として認められず、翌期の費用として処理されることになってしまいます。特に、役員への決算賞与は事前確定届出給与として届け出た金額を1円のズレもなく支給しなければならないため、事前の計画が重要です。

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また、決算賞与にかかる社会保険料の損金算入タイミングにも注意が必要です。社会保険料の損金計上時期は「計算対象月の末日が属する事業年度」によるため、決算日を過ぎてから決算賞与を支給すると、社会保険料の負担分は翌期の損金となる可能性があります。

役員に決算賞与を支給する際の注意点③:支給は銀行振り込みにする

決算賞与の支給方法は、支給日と支給額が明確に記録される銀行振り込みを推奨します。

特に、役員賞与を事前確定届出給与として損金処理する場合、税務調査において支給事実の証拠を求められるため、銀行振り込みで処理することが望ましいです。

もし現金で手渡しをする場合は、必ず全員から領収書を受け取り、支給額・支給日・受領者のサインが明記された書類を保管することが必要です。役員に対する決算賞与も同様に、振り込み記録を残すことで税務上のリスクを最小限に抑えられます。

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まとめ

決算賞与とは、企業の業績に応じて支給される賞与であり、役員賞与とは異なり、従業員に対して支給されることが一般的です。決算賞与の支給は企業の任意であり、業績や経営方針に応じて支給の有無や金額が決定されます。

決算賞与を支給することには、法人税の節税対策や従業員のモチベーション向上といったメリットがありますが、一方で、会社のキャッシュフローの悪化といったデメリットも考慮する必要があります。

SoVa税理士ガイド編集部

特に、役員に対する決算賞与は、原則として損金算入が認められず、事前確定届出給与として届け出を行う必要があるため、注意が必要です。

また、決算賞与を当期の損金として計上するためには、決算日前の事前通知や決算後1カ月以内の支給など、税務上の要件を満たす必要があります。特に役員賞与については、税務署へ事前確定届出を行い、1円のズレもなく支給することが求められるため、慎重に計画を立てることが重要です。

決算賞与や役員賞与の税務処理について不明点がある場合は、税理士に相談し、適切な手続きを進めることをおすすめします。

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