個人事業主と法人化はどっちが得?それぞれの違いやメリット・デメリットを解説!

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公開日:2024年12月

更新日:2025年1月18日

起業しようと考えている方の中には、個人事業主として開業するのと法人化するのとでは、どっちが得かお悩みの方も多いでしょう。そこで、本記事では個人事業主と法人の違いとそれぞれのメリット・デメリット、どっちが得かを判断するためのポイントについて詳しく解説します。

それぞれのメリット・デメリットをよく理解していないと、ご自身のビジネスの場合どっちが得かの判断を見誤ってしまうケースもあります。法人化のタイミングにお悩みの方も、ぜひ最後までお読みください。

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個人事業主と法人化はどっちが得?

具体的に個人事業主と法人化、どっちが得かを判断する前に、それぞれの特徴をしっかり把握しておく必要があります。以下で個人事業主と法人化の概要を説明します。

個人事業主とは?

個人事業主とは、法人化せずに個人で事業を営む人のことです。税務署に「開業届」を提出するだけで、誰でも個人事業主として事業を始められます。手続きは税務署窓口、郵送、またはe-Taxで行え、費用もかかりません。

個人事業主は手続きが簡単で初期費用が抑えられるため、気軽に事業をスタートできます。

SoVa税理士お探しガイド編集部

しかし、利益が大きくなると税負担が増えるため、法人化と比べてどっちが得か検討する必要があります。

法人化とは?

法人化とは、個人事業主が法人を設立し、事業を法人として運営することです。これを「法人成り」とも呼びます。法人化すると「法人格」という個人とは別の人格が与えられ、事業の責任が法人に移ります。

法人化には、株式会社や合同会社といったさまざまな形態があります。法人化すると、法人税が適用され、節税効果が得られる場合もありますが、設立費用や手続きが複雑になります。どっちが得かを判断するには、事業規模や利益に応じた税金や維持費用を比較することが重要です。

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個人事業主と法人の違い

個人事業主と法人化、どっちが得かを判断するために、それぞれの違いを理解しましょう。ここでは手続き・費用、税金、経費について、個人事業主と法人化の相違点を詳しく解説します。

どっちが得?手続き・費用の違い

個人事業主として開業する場合、手続きは簡単です。税務署へ「開業届」を提出するだけで、費用もかかりません。

一方で、法人化すると「商業登記」が必要になります。株式会社なら約24万円、合同会社なら約10万円の費用がかかり、定款認証や法務局での登記手続きが必要です。手続きが複雑で時間もかかるため、手軽さでは個人事業主が得ですが、事業規模が大きくなるなら法人化を検討する価値があります。

どっちが得?税金(所得税・法人税)の違い

個人事業主は、所得に対して累進課税の所得税が課せられます。所得が増えると税率も上がり、最高で45%になります。

課税所得金額 税率 控除額
~1,949,000円 5% 0円
1,950,000円~ 10% 97,500円
3,300,000円~ 20% 427,500円
6,950,000円~ 23% 636,000円
9,000,000円~ 33% 1,536,000円
18,000,000円~ 40% 2,796,000円
40,000,000円以上 45% 4,796,000円

一方、法人化すると、所得に対して法人税が適用されます。法人税は所得に応じて税率がほぼ一定で、最高でも23.2%です。

課税所得金額 法人税率
800万円以下 15%
800万円超 23.2%

所得が高くなれば、法人化した方が税率が低くなるため、法人化が得です。利益が大きくなると税負担が軽減されるため、どっちが得かは事業の利益規模次第です。

どっちが得?経費の違い

個人事業主と法人化では経費の取り扱いも異なります。個人事業主は事業とプライベートの区分が曖昧になりがちで、経費計上が複雑になることがあります。例えば、自宅の一部を事業所として使う場合、電気料金などは「事業用」と「プライベート用」を按分する必要があります。これを「自己否認」と呼びます。

法人化すると、法人の支出とプライベートが明確に分かれるため、経費計上がしやすくなります。経費が増えると税負担が減るため、経費が多い場合にどっちが得かという観点でいうと、法人化の方が得になることがあります

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結局、個人事業主と法人化はどっちが得?

手続きの簡単さや初期費用でどっちが得かでいうと、個人事業主の方が得です。しかし、利益が増えてきたら、節税や経費管理、信用力向上などで法人化が得になることがあります。

SoVa税理士お探しガイド編集部

どっちが得かは、事業の成長度合いや将来の計画によって判断しましょう。

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個人事業主のメリット・デメリット

個人事業主と法人化のどっちが得かを判断する上で、それぞれのメリット・デメリットを知っておくことは非常に重要です。ここでは、個人事業主のメリット・デメリットについて紹介します。これを元に、ご自身の事業の場合どっちが得か検討してみるといいでしょう。

個人事業主として事業をおこなうメリット

個人事業主のメリット①:開業手続きが簡単でコストがかからない

個人事業主は、税務署に「開業届」を提出するだけで事業を始められます。手続きはシンプルで、費用も無料です。法人化の場合は、登記費用がかかり、株式会社なら約15万円、合同会社なら約6万円が必要です。どっちが得かを手軽さで考えると、個人事業主の方が得です。

個人事業主のメリット②: 経理・税務処理が簡単

個人事業主は会計ソフトを使えば、経理や税務処理が比較的簡単に行えます。青色申告を活用することで節税効果も期待できます。一方で法人化すると税務処理が複雑になり、税理士に依頼するケースが多く、その分費用がかかります。

SoVa税理士お探しガイド編集部

したがって、経費・税務処理の観点でどっちが得かを考えると、個人事業主の方が得だと言えるでしょう。

個人事業主のメリット③: 青色申告特別控除が利用可能

個人事業主は青色申告を利用すると、最大65万円の控除が受けられます。節税を考えるなら、青色申告を活用することで税負担を軽減できます。どっちが得かは、事業規模や所得の大きさによって変わります。

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個人事業主として事業をおこなうデメリット

個人事業主のデメリット①:社会的信用度が低い

個人事業主は法人に比べて信用度が低く、取引先の開拓や融資審査で不利になることがあります。法人化すると登記が必要なため、社会的信頼度が向上し、ビジネスチャンスが広がります。社会的信頼度の点でどっちが得かを考えると、法人化の方が得だと言えるでしょう。

個人事業主のデメリット②:所得が増えると税負担が増加

個人事業主の所得税は累進課税で、所得が多くなるほど税率が高くなります。一方、法人化すると法人税は所得に応じた一律の税率(最大23.2%)なので、一定以上の利益がある場合は法人化の方が税負担を抑えられます。事業が拡大し利益が増えた場合にどっちが得かで言うと、法人化した方が得と言えるでしょう。

課税所得額 個人事業主(所得税率) 法人化(法人税率)
~1,949,000円 5% 15%
1,950,000円~ 10% 15%
3,300,000円~ 20% 15%
9,000,000円~ 33% 23.2%

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法人化のメリット・デメリット

個人事業主のメリットがに理解した上で、個人事業主と法人化のどっちが得かを判断するには、法人化のメリット・デメリットについて知っておくことも重要です。これを元に、ご自身の事業の場合どっちが得か検討してみるといいでしょう。

法人化して事業をおこなうメリット

法人化して事業をおこなうメリット①: 節税対策がしやすい

法人化すると、役員報酬や退職金を経費として計上でき、個人事業主よりも節税しやすくなります。節税効果を最大化したいなら、法人化が得です。

法人化して事業をおこなうメリット②: 消費税納付が免除される

法人化すると、最大2年間、消費税の納付が免除されます。個人事業主から法人化する際、このメリットは大きいです。

法人化して事業をおこなうメリット③: 無限責任から有限責任に

個人事業主は事業上の責任をすべて個人が負う「無限責任」です。法人化すれば、社長個人の財産は守られ、リスク管理面で法人化が得です。

法人化して事業をおこなうデメリット

法人化して事業をおこなうデメリット①:設立費用と手続きが複雑

法人化には設立費用がかかり、手続きも煩雑です。手軽さでは個人事業主が得です。

法人化して事業をおこなうデメリット②:社会保険加入が必須

法人化すると社会保険の加入義務があり、保険料負担が増えます。どっちが得かは、社会保険料を考慮する必要があります。

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法人化して事業をおこなうデメリット③:赤字でも税金が発生

法人は赤字でも「法人住民税の均等割」を支払わなければなりません。個人事業主なら赤字で税負担はゼロですが、法人化すると固定費が発生する点はデメリットです。

SoVa税理士お探しガイド編集部

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第10回 個人事業主と法人化、どっちがお得?

どっちが得かを判断するポイント

前項で述べたように、法人化にはさまざまなメリットがありますが、必ずしもすべての個人事業主にとって法人化が得策というわけではありません。場合によっては、個人事業主のまま事業を続けたほうが得をすることもあります。そのため、自分の状況に合わせて「法人化」「個人事業主」どっちが得か、しっかり見極めることが重要です。

以下に、ポイント個人事業主と法人化のどっちが得かを判断する上で重要な5つのポイントを紹介します。ご自身のケースと照らし合わせて「個人事業主」と「法人化」、どっちが得か考えてみてください。

どっちが得かを判断するポイント①:法人向けビジネスを行いたいなら法人化が得

法人向けのビジネス(BtoBやBtoBtoC)を展開したい場合、法人化が得です。個人事業主でも法人向けの取引は可能ですが、取引先によっては「個人事業主とは契約しない」とするケースもあります。ビジネスチャンスを逃さないためにも、法人化するほうが有利です。

どっちが得かを判断するポイント②:資金調達で個人事業主より法人化が有利な場合

資金調達に関して、個人事業主では「融資」「補助金」「クラウドファンディング」に限られ、規模も数百万円程度です。一方、法人化すれば、株式発行や社債発行といった大規模な資金調達が可能です。多額の資金調達を見込む場合は、法人化したほうが得でしょう。

どっちが得かを判断するポイント③:事業拡大には法人化が得

従業員を雇って事業を拡大したいなら、個人事業主より法人化が有利です。個人事業主は社会的信用度が低く、採用活動が難航することがあります。法人化すれば信用度が向上し、優秀な人材を確保しやすくなるため、結果的に法人化が得となります。

どっちが得かを判断するポイント④:課税売上高1,000万円超なら法人化で節税が得

個人事業主として課税売上高が1,000万円を超える場合、消費税の納税義務が発生しますが、法人化することで2年間は消費税の納税が免除されます。法人化のタイミングを見計らえば、個人事業主より節税効果が高くなり、法人化が得になるケースです。

ただし、インボイス制度に登録する場合は、法人化しても消費税の免除は受けられないため、注意が必要です。

どっちが得かを判断するポイント⑤:年間利益800万円超えなら法人化が得

個人事業主の所得税は累進課税で、課税所得が900万円を超えると税率が33%に跳ね上がります。一方、法人税は最大でも23.2%です。年間利益が800万円を超えそうな場合、法人化することで税負担を軽減でき、法人化が得です。

結論として、個人事業主と法人化のどっちが得かを判断する上で考えるべき点は、法人化には節税や信用度向上といったメリットがありますが、個人事業主のままで得をするケースも存在するという点です。事業内容や利益額、将来の計画を踏まえて、「個人事業主」と「法人化」、どっちが得か慎重に判断しましょう。

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まとめ

個人事業主と法人化は、どちらにもメリット・デメリットがあります。それぞれの違いを把握したうえで、個人事業主と法人化のどっちが得かを選ぶようにするといいでしょう。

個人事業主としてある程度の利益を出せるようになると、「そろそろ法人化しようかな」と考え出すときも出てきます。そのような場合には、本記事で紹介したどっちが得かを判断するポイントを参考にして、自身の状況の場合個人事業主と法人化のどっちが得になるのかをできるだけ客観的に判断し、適切な事業形態を選んでみてください。

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