自己資金なしでも開業はできる?資金調達の方法やポイントを解説!
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公開日:2025年10月
更新日:2025年10月15日
「自己資金なしでも本当に開業できるの?」と悩む方は多いでしょう。
確かに、開業には店舗取得費や設備費、運転資金など、まとまった資金が必要になるケースが多く、自己資金がゼロの状態では不安を感じやすいものです。
しかし、近年は自己資金なしでも開業を実現できる方法が増えており、融資制度や補助金を上手に活用すれば、資金がなくても起業・独立をスタートすることが可能です。
この記事では、自己資金なしで開業を目指す人に向けて、融資制度の種類や審査を通過するポイント、注意点をわかりやすく解説します。
自己資金なしでも開業はできる?

自己資金なしで開業することは、理論上は十分に可能です。
たとえば、Webライターやエンジニアなど、仕入れや店舗を必要としない業種であれば、自己資金なしでも開業が可能です。こうした在宅でできる仕事であれば、開業時にパソコンやデスク、椅子などを新たに購入したとしても、10〜20万円程度の費用で済むケースが多く、預貯金でまかなえる範囲といえます。
自己資金なしで開業する方法に関するおすすめ記事
一方で、美容サロンや飲食店など、設備や物件契約が必要なビジネスでは、自己資金なしでの開業は難しくなります。どうしても初期費用が発生するため、融資を活用したり、家族から支援を受けたりといった資金調達が必要です。

SoVa税理士ガイド編集部
ただし、自己資金なしで開業・起業する場合は、病気や事故などの予期せぬトラブルに備える余裕資金がないため、リスクが高くなります。
自己資金をある程度確保して開業する場合に比べ、資金繰りの自由度が下がる点を理解しておきましょう。
そもそも自己資金とは?

自己資金なしで開業を検討している場合でも、まず理解しておきたいのが「自己資金」として認められるお金の定義です。自己資金とは、開業や事業運営のために使えるお金のうち、出所や流れが明確なお金を指します。
自己資金なしで開業する際はここがポイント!

開業時に融資を受ける際にも、自己資金なしでの申請は不利になりやすいため、どの資金が自己資金として扱われるかを正確に把握しておくことが重要です。
以下は、自己資金に含まれるお金と含まれないお金の違いです。
種類 | 内容 |
---|---|
預貯金 | 自分で長年貯めてきたお金。開業資金としてもっとも一般的な自己資金。 |
退職金 | 開業や独立を目的に退職した際に受け取ったお金。 |
相続で得た資金 | 遺産相続などで正式に取得したお金。 |
売却による資金 | 不動産・車・貴金属などを売却して得たお金。開業準備資金として利用可能。 |
生命保険解約による資金 | 生命保険を解約して得た返戻金。開業時の資金として扱われる。 |
みなし自己資金 | 開業のためにすでに支払った初期費用(備品購入費など)。 |
第三者割当増資 | 株式の有償取得によって得たお金(株式会社開業時のみ対象)。 |
一方で、以下のようなお金は「自己資金なし」とみなされ、開業資金として認められません。
- 通帳に記載のないタンス預金など、出所が不明なお金
- 一時的に第三者から借り入れたお金(融資審査のためだけに用意したもの)

SoVa税理士ガイド編集部
自己資金なしで開業する方法について、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。
このように、自己資金なしで開業する場合でも、どの資金が「自己資金」として認められるかを理解しておくことが、融資審査をスムーズに進めるうえで欠かせません。開業準備の初期段階で、自己資金の扱いを整理しておくようにしましょう。
自己資金なしでも開業時に申し込める融資制度

自己資金なしで開業を目指す場合でも、利用できる融資制度は複数あります。とくに日本政策金融公庫や自治体が提供する融資制度は、開業初期の資金不足を補う強い味方です。ここでは、自己資金なしでも申込める代表的な開業向け融資制度を紹介します。
自己資金なしでも開業時に申込める融資制度①:日本政策金融公庫「新規開業資金」
日本政策金融公庫の「新規開業資金」は、国が100%出資する政府系金融機関による代表的な開業支援制度です。
新たに事業を始める方や、事業開始からおおむね7年以内の方を対象としており、融資限度額は7,200万円(うち運転資金は4,800万円)です。

SoVa税理士ガイド編集部
自己資金なしで開業する方法について、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。
この制度は自己資金の要件がなく、自己資金なしでも開業時に申込可能です。店舗を構えたい人や、設備投資が必要な人にもおすすめの融資制度です。
自己資金なしでも開業時に申込める融資制度②:日本政策金融公庫「中小企業経営力強化資金」
「中小企業経営力強化資金」は、経営革新や新分野への挑戦を支援するための制度で、融資限度額は7億2,000万円と高額です。この制度も自己資金なしで開業を目指す人が利用できる融資で、自己資金要件は定められていません。
ただし、利用には「中小企業経営強化法」に基づく認定経営革新等支援機関による指導・助言を受け、事業計画書を策定していることが条件です。新しい事業分野を切り開く開業者には特に適した制度といえます。
自己資金なしで開業する方法に関するおすすめ記事:自己資金なしでも創業融資を受けられる?融資制度や注意点も解説
自己資金なしでも開業時に申込める融資制度③:日本政策金融公庫「挑戦支援資本強化特別貸付」
「挑戦支援資本強化特別貸付」は、スタートアップや新規開業を支援するための特別融資制度です。融資限度額は7,200万円で、こちらも自己資金なしで開業を検討している人に利用可能な制度です。
自己資金なしで開業する際はここがポイント!

対象となるのは、地域経済活性化に資する事業を行う方で、税務申告を1期以上行っている場合は原則として所得税等を完納していることが求められます。
自己資金なしでも開業時に申込める融資制度④:都道府県や市区町村の「制度融資」
都道府県や市区町村が行う「制度融資」は、信用保証協会が保証人となり、金融機関からの融資を受けやすくする仕組みです。
この制度も、自己資金なしで開業する人にとって利用しやすい公的支援といえます。
制度融資の要件や融資限度額は自治体によって異なりますが、たとえば東京都の制度融資では自己資金の要件が設定されていないため、自己資金なしでの開業を考える人にも門戸が開かれています。
開業時に自己資金なしで融資を受ける際のポイント

自己資金なしで開業する場合、融資審査のハードルは確かに高くなります。しかし、事業の将来性や返済計画を具体的に示すことで、自己資金なしでも融資を受けて開業を実現することは十分可能です。ここでは、自己資金なしでも融資審査を通過しやすくするためのポイントを詳しく解説します。
自己資金なしでも開業時に融資を受けるためのポイント①:詳細で実現可能な事業計画書を作成する
自己資金なしで開業する場合、事業計画書の完成度が融資審査の鍵となります。自己資金がなくても、緻密で根拠のある計画を立てることで、金融機関から「返済能力がある」と評価される可能性が高まります。
市場調査や競合分析などのデータをもとに、販売戦略・収支計画・リスク対策を明確に記載しましょう。また、資金の使途や返済計画を具体的な数字で示すことが重要です。特に、開業から黒字化までの資金繰りを現実的に説明できるかが大きな判断ポイントになります。
自己資金なしでも開業時に融資を受けるためのポイント②:専門家のサポートを受ける
自己資金なしでの開業を成功させるためには、専門家の力を借りるのも効果的です。
たとえば、認定経営革新等支援機関や税理士に相談し、融資申請を進めることで、日本政策金融公庫の審査を通過しやすくなるケースがあります。
自己資金なしで開業する方法に関するおすすめ記事
専門家は事業計画書の作成を支援してくれるだけでなく、これまで数多くの開業・起業を支援してきた経験をもとに、より説得力のある書類づくりをサポートしてくれます。自己資金なしで開業を進める際には、こうした外部の力を積極的に活用しましょう。
自己資金なしでも開業時に融資を受けるためのポイント③:契約・売上見込みを証明する
融資申込時点で既に決まっている契約や受注予定がある場合は、それを提示することで審査が有利になります。
たとえ自己資金なしでの開業であっても、確実な売上見込みがあることを示せれば、金融機関は返済能力があると判断しやすくなります。

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たとえば、継続的な取引が見込める企業との契約書や発注書を提出することで、安定した収益基盤があることを証明できます。これは、自己資金がなくても信頼を得るための大きな材料となります。
自己資金なしでも開業時に融資を受けるためのポイント④:同業種での経験を活かして開業する
自己資金なしでも、現在の勤務先と同業種で独立・開業する場合は、実務経験が強い信用材料になります。特に同じ業界で6年以上の経験がある場合、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」では自己資金要件が免除される可能性があります。
また、勤務時代の実績や顧客ネットワークを示すことで、開業後の売上見込みや事業の安定性を具体的に説明できます。こうした「経験に基づく実績」は、自己資金なしの開業でも融資を受けやすくする重要な要素です。
開業時に自己資金なしで融資を受ける際の注意点

自己資金なしで開業し、融資を受けて事業を始める場合には、いくつかの重要な注意点があります。自己資金がある場合と比べて融資条件が厳しくなったり、事業運営に制約が生じたりすることもあるため、事前にリスクを理解しておくことが大切です。以下では、自己資金なしで開業時に融資を受ける際の注意点を詳しく解説します。
自己資金なしでも開業時に融資を受ける際の注意点①:融資額が少なくなる可能性がある
自己資金なしで開業を行う場合、希望する融資額が満額認められないケースが多く見られます。

SoVa税理士ガイド編集部
一般的に、金融機関は「自己資金の3〜4倍」を融資額の目安としているため、自己資金がゼロだと希望金額に届かないことがほとんどです。
日本政策金融公庫総合研究所の調査では、創業資金全体に占める自己資金の割合は平均24%とされています。そのため、自己資金なしでの開業では、必要な資金をすべて借入でまかなうことになり、資金繰りが厳しくなる可能性があります。開業初期は投資を最小限に抑え、融資額に合わせた現実的な事業計画を立てることが重要です。
自己資金なしでも開業時に融資を受ける際の注意点②:金利が高くなるリスクがある
自己資金なしで開業する場合、金融機関からの信用リスクが高いと判断されやすく、通常よりも金利が上がる傾向にあります。
自己資金なしで開業する際に気をつけておきたい注意点

とくに信用保証協会の保証付き融資を利用する場合、自己資金がないと1〜2%程度の金利上乗せが発生するケースもあります。
少しでも返済負担を減らすためには、日本政策金融公庫の「新規開業資金」など、公的な低金利融資制度を積極的に活用するのがおすすめです。自己資金なしでも利用しやすく、条件が比較的緩やかに設定されています。
自己資金なしでも開業時に融資を受ける際の注意点③:「見せ金」は絶対に使わない
融資審査のために第三者から一時的に資金を借りて「自己資金があるように見せる」行為は、いわゆる見せ金と呼ばれます。しかしこれは金融機関を欺く行為とみなされ、発覚すれば詐欺罪に問われる可能性もある非常に危険な行為です。
自己資金なしで開業する方法に関するおすすめ記事
見せ金が発覚した場合、今後の融資が一切受けられなくなったり、すでに借りた融資の返還を求められたりするリスクもあります。自己資金なしで開業を進める場合は、正直に資金状況を説明したうえで、事業の将来性や返済能力を丁寧にアピールすることが何より重要です。
自己資金なしでも開業時に融資を受ける際の注意点④:返済計画を慎重に立てる
自己資金なしで開業する場合、開業費用や運転資金のすべてを借入でまかなうことになります。そのため、売上が安定するまでの期間を見越した返済計画を立てないと、資金ショートの危険があります。
毎月の経費や税金の支払いを考慮したうえで、収入と支出のシミュレーションを具体的に行うことが大切です。 また、日本政策金融公庫の融資制度の中には、元本返済を据え置いて利息のみを支払う「据置期間」を設定できる制度もあります。自己資金なしで開業する場合は、こうした制度をうまく活用し、無理のない返済スケジュールを組み立てましょう。
まとめ

自己資金なしでも、工夫次第で開業を成功させることは十分に可能です。公的な融資制度を活用し、信頼性の高い事業計画書を作成することで、金融機関からの融資を受けやすくなります。
ただし、自己資金なしで開業する場合は、借入額や返済条件が厳しくなるリスクもあるため、返済計画や資金繰りを慎重に立てることが重要です。
「自己資金がないから開業できない」とあきらめるのではなく、制度やサポートを上手に利用して、リスクを抑えながら理想の事業をスタートさせましょう。
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