年末調整をしない場合はどうなる?罰則や忘れた場合の対処法を解説!

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公開日:2024年10月

更新日:2024年10月30日

年末調整とは、年に一度所得税額を再計算し、過不足なく税金を納付するための重要な手続きです。基本的には全従業員への実施が義務づけられていますが、中にはしない場合でも罰則がない人もいます。

一方で、年末調整をする必要があるにも関わらず、年末調整をしない場合はどうなるのでしょうか?この記事では、年末調整をしないとどうなるのか、考えられるデメリットや罰則と、年末調整を忘れてしまった場合の対処法について解説します。

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年末調整をしない場合のデメリット

年末調整は、基本的に全従業員を対象に実施する義務があります。もし、年末調整をしない場合、以下の6つのデメリットや罰則が生じる可能性があります。

年末調整をしない場合のデメリット①:税金の過払いが発生する

年末調整は、毎月の源泉徴収税額を再計算し、過不足を精算するための仕組みです。年末調整をしないと、過払いとなっていた場合でも従業員は還付を受けられません。
源泉徴収税額が実際の税額より多くなることが一般的であり、還付をしないと従業員の負担が増え、モチベーション低下を招く恐れがあります。

年末調整をしない場合のデメリット②:控除の申告ができない

年末調整では、正確な所得税を計算するために所得に加え、各種控除の申告が行われます。主な控除には、基礎控除や配偶者控除、扶養控除などがあります。しかし、年末調整をしない場合、これらの控除を受けることができず、結果として従業員の税負担が増えます。

年末調整をしない場合のデメリット③:延滞税が発生する

不足分の所得税や源泉徴収税を年末調整で徴収しない場合、翌年1月10日が納付期限です。この期限を過ぎると罰則として延滞税が発生し、さらに2か月以上過ぎても年末調整書類を提出しない場合、罰則として税率が引き上げられます。延滞税の発生は企業に悪影響を及ぼすため、年末調整は期限内に必ず実施する必要があります。

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年末調整をしない場合のデメリット④:従業員が自分で確定申告をしなければならない

年末調整をしない場合、従業員は自ら税金の過不足を調整するために確定申告をしないといけません。この作業は従業員にとって大きな負担となり、通常業務にも影響を及ぼす可能性があります。確定申告をしないといけない状況が常態化すれば、従業員の不満が高まり、退職者の増加を招くことにもなりかねません。

年末調整をしない場合のデメリット⑤:資産差押えのリスク

年末調整で正しく税金の納税をしないと、最悪の場合、罰則として資産が差し押さえられることがあります。税務署からの催促に対応しない場合、罰則として強制的に資産差押えに至ることもあるため、税務署からの通知には速やかに対応しないといけません。

年末調整をしない場合のデメリット⑥:その他罰則が科せられる

年末調整は所得税法で義務付けられています。故意に年末調整をしない場合、罰則として懲役1年以下または50万円以下の罰金、さらに悪質と判断された場合は、罰則として懲役10年以下または200万円以下の罰金が課せられる可能性があります。また、こうした不正が発覚すれば、企業の社会的信用や従業員の信頼を失う恐れがあり、業績の悪化や最悪の場合、倒産に至るリスクもあります。

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年末調整の提出期限切れも罰則の対象に

年末調整を正しく行っていたとしても、書類の提出や所得税の納付が遅れた場合、罰則の対象となることがあります。ここでは、年末調整に関するスケジュールや各種期限、手続きが遅れた際に考えられる罰則について説明します。

年末調整に関する納付期限と書類提出期限

年末調整の手続きには、以下の2つの重要な期限があります。これらは期限までに確実に提出しないといけません。期限を過ぎても納税せず、税務署からの指示にも対応しない場合、罰則が生じることがあります。

  • 源泉所得税の納付期限(年末調整後、翌年1月10日
  • 法定調書・住民税関連の書類提出期限(年末調整後、翌年1月31日

年末調整で確定した所得税の納付期限は翌年1月10日です。納付の際には「所得税徴収高計算書」に年末調整で確定した税額の過不足を記入します。

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また、年末調整に関連する書類の提出期限は翌年1月31日です。提出する書類には、「法定調書合計票」「支払調書」「源泉徴収票」が税務署に、「給与支払報告書」が各従業員の住んでいる自治体に送られます。

年末調整のスケジュール概要

一般的な年末調整のスケジュールは次の通りです。企業や従業員はこれらのスケジュールに従って必要な書類を記入、準備して提出しないといけません。

  • 11月下旬
    • 従業員の年間所得の確定
    • 年末調整に必要な書類の記入依頼
    • 各種証明書の回収
  • 12月
    • 年末調整の計算
    • 税額の精算(還付・追加徴収)
  • 翌年1月
    • 源泉所得税の納付(1月10日まで)
    • 書類の提出(1月31日まで)

従業員が書類を遅れて提出しても法的罰則はなし

年末調整に必要な書類(扶養控除申告書・基礎控除申告書・保険料控除申告書)や証明書は、11月下旬から12月上旬を目安に従業員から回収します。

この提出期限は会社が定めるものであり、従業員が期日を過ぎても、1月31日までに会社が手続きを完了すれば法的な罰則は生じません。ただし、社内の処理が遅れる可能性があるため、余裕を持ったスケジュール設定が重要です。

なお、1月31日までに必要書類が提出しない場合、該当の従業員は年末調整ができず、個別に確定申告をしないといけません。

税務署や自治体への書類提出が遅れた場合、罰則の可能性も

必要書類の提出が遅れても、すぐに罰則を受けるわけではありません。事前に税務署や自治体に連絡し、提出が遅れる旨を伝えておけば、罰則は免れるケースが多いです。

しかし、提出が大幅に遅れたり、連絡をしない場合は問題となり、確定申告を怠ったとみなされ、最悪の場合、10年以下の懲役または200万円以下の罰金が科される可能性があります。また、従業員も個別に確定申告をしないといけなくなるため、書類は期限内に提出することが原則です。

気をつけておきたい注意点

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        _依頼_おすすめの注意点

遅れる場合でも、罰則を免れるためにも、事前に連絡をいれるなどの対応することが重要です。

納税期限を守らなかった場合の罰則

所得税の納付期限を過ぎても支払いをしない場合、最悪のケースでは罰則として資産差押えの可能性もあります

資産の差押えに至らなかったとしても、罰則として延滞税が発生し、毎日金額が増加します。このような滞納は会社の信用に大きな影響を及ぼすため、期日内に確実に納税を完了することが非常に重要です。

年末調整をしない場合の罰則に関するおすすめ記事:年末調整しないと罰則を受ける?遅れた場合の対応方法も紹介

年末調整が遅れたときの対処方法

従業員が支払うべき税金は、年末調整の後、翌月の10日までに国に納付しなければなりません。また、年末調整で使用した法定調書は、原則として支払いが確定した年の翌年1月31日までに提出しないといけません。

年末調整に遅延が生じ、これらの期限に間に合わなかった場合、過少申告加算税や延滞税などの罰則が発生する可能性があります。

さらに、遅れたことへの対応をしないと罰則として、故意に税金を支払わなかったと見なされ、より厳しい罰則として懲役刑や罰金刑が科されるリスクがあります。

ここがポイント!

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理由にかかわらず、期限を過ぎると罰則の対象となるため、年末調整を忘れたり、手続きが間に合わなかった場合は、放置しないで以下のいずれかの方法で速やかに対応する必要があります。

年末調整をしない場合の罰則に関するおすすめ記事:年末調整をしないとどうなる?5つのリスクと間に合わなかった時の対処法を解説

遅れた場合の対処方法①:1月末までに年末調整を再計算する

年末調整に関する法定調書の提出期限は1月31日までなので、その期間内であれば再計算を行うことで遅れに対処できます。通常の年末調整は12月末までに行いますが、遅れが生じた場合は1月末までのデータで再計算するようにしましょう。

遅れた場合の対処方法②:2月から3月にかけて確定申告を行う

年末調整が遅れた場合、従業員自身に確定申告を行ってもらう手段もあります。確定申告の期限は例年2月16日から3月15日までなので、年内の年末調整に間に合わなかった場合でも申告が可能です。ただし、確定申告は従業員が自分で行う必要があり、年末調整が遅れた原因が会社にある場合、反感を買う可能性があります。

どちらの場合も、通常の年末調整より手間がかかるため、年末調整を忘れずに適切に行うことが大切です。

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年末調整をしなくても罰則がないケースとは?

以下のケースは、元々年末調整を行う必要がないため、年末調整の手続きをしない場合でも罰則の対象とはなりません。

  • 罰則の対象とならないケース①:一年間の給与収入が2,000万円を超える人
  • 罰則の対象とならないケース②:災害減免法に基づき、その年の給与に対する所得税や復興特別所得税の源泉徴収について、徴収猶予や還付を受けた人
  • 罰則の対象とならないケース③:2つ以上の勤務先から給与を受け取り、他の勤務先に扶養控除等(異動)申告書を提出している人
  • 罰則の対象とならないケース④:扶養控除等(異動)申告書を提出していない人
  • 罰則の対象とならないケース⑤:年の途中で退職し、年末調整の対象となる条件に該当しない人
  • 罰則の対象とならないケース⑥:非居住者(国内に住んでいない人)
  • 罰則の対象とならないケース⑦:特定の条件を満たす日雇い労働者

なお、5番目については以下のいずれにも該当しない場合に罰則の対象外となります。

  • 海外支店等に転勤したために非居住者となった人
  • 死亡により退職した人
  • 著しい心身の障害のために退職した人
  • 12月に支給される給与を受け取った後に退職した人
  • パートタイマーなどとして働き、当年中に受け取る給与の総額が103万円以下の人

ただし、年末調整をしないでもよいケースは例外に過ぎず、従業員の年末調整は雇用主の義務です。正しく年末調整をしないと罰則が科されるだけでなく、従業員に不利益を与える可能性があるため、必ず年末調整を実施するようにしましょう。

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まとめ

年末調整は、過剰に支払った所得税を還付し、不足分を納付するための重要な手続きです。

この年末調整は所得税法によって雇用主に義務付けられており、もし年末調整を実施しない場合や、うっかり忘れてしまった場合には、罰則を受けるリスクがあります。また罰則だけでなく、従業員に多大な迷惑や不利益をかける可能性もあるため、忘れずに年末調整を行うことが重要です。

万が一、年末調整が期限内に完了しない場合y、忘れてしまった場合には、従業員に早めに確定申告を促す必要があります。ただし、年末調整をしないでもいい従業員もいるため、年末調整の対象となる条件を理解し、確実に手続きを実施することが大切です。

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