会社設立費用の勘定科目は?開業費と創立費と記帳のポイントについて詳細解説!
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公開日:2024年8月
更新日:2024年11月21日
会社を設立する際には様々な会社設立費用が存在します。しかし、「その会社設立費用はどの勘定科目で処理をすれば良いのか」という疑問が付きまといます。
今回は会社設立費用にはどのような取引が含まれるのか、また処理するときはどの勘定科目を使うのかなどを具体例を用いて解説していきます。
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目次
「開業費」と「創立費」とは?
会社設立費用の具体的な取引内容や、それに対応する勘定科目について解説する前に、そもそも「開業費」と「創立費」とは何でしょうか?
ここでは会社設立費用で使う「開業費」と「創立費」という勘定科目について詳しく見ていきます。
開業費とは?
「開業費」とは、会社設立後に営業を開始するまでに特別にかかる会社設立費用のことです。具体的には、次のような会社設立費用が含まれます。
- 会社のホームページ作成費用や看板などの広告費
- 事務所の敷金や礼金
- 事務用の椅子や机などの購入費用
・ エアコンや加湿器などの備品類
「会社設立費用の勘定科目」解説部
事務所の家賃や水道光熱費、社員の給料などの毎月発生する会社設立費用の勘定科目は「開業費」にはなりません。
会社設立費用の勘定科目に関連して気をつけておきたい注意点
10万円以上の備品は固定資産として扱われるため、開業費には含まれません。また、仕入代金は「売上原価」として計上されるため、開業費には含まれません。敷金や礼金も基本的には開業費として認められないことが多いことに注意してください。
勘定科目が「開業費」として認められるのは、会社の開業に関連する出費であれば、何年前のものであっても構いません。重要なのは、その出費が実際に会社の開業のために使われた会社設立費用であることです。
ただし、数年前の出費を会社設立費用(開業費)として扱うのは現実的ではないことが多いです。古い出費を開業費として計上する場合は、しっかりとした証拠を残しておくことが重要です。そのためにも、会社設立費用に該当する領収書などは残しておくようにしましょう。
合わせて読みたい「会社設立費用の勘定科目」に関するおすすめ記事
「会社の設立費用は経費にできるのか?会社設立をした際の仕訳も解説」
会社設立費用を経費にするときのポイントに詳しく解説しています。
会社設立費用を正しく処理し、節税に繋げましょう。
創立費とは?
「創立費」とは、会社設立前に発生する費用のことを指します。具体的には、以下のような支出が含まれます。
- 定款作成や認証のための手数料
- 印鑑証明書の発行手数料
- 設立登記時の印紙代
- 設立前の事務所の賃借費用
- 設立前の社員の給料
- 銀行口座開設手数料
- 名刺や印鑑、封筒などの事務用消耗品費
- 打合せや会議の費用、交通費など
「会社設立費用の勘定科目」解説部
これらの会社設立費用についても、領収書を必ず保管しておきましょう。税務調査などで証明が必要な場合に備えて、しっかりと記録を残すことが大切です。
会社設立費用の勘定科目に関連するおすすめ記事
創立費について、より詳しく知りたい場合か以下の記事がおすすめです。
「創立費は経費として認められる?計上するときのポイントを紹介」
会社設立費用の具体例とは?
会社設立費用は様々な種類のものがあります。
以下の項目に具体的な会社設立費用に該当する取引を記載し、それと対応する勘定科目(仕訳)の一覧を参考に正しく記帳しましょう。
項目 | 借方勘定科目 | 貸方勘定科目 | |
① | 資本金 | 現金 | 資本金 |
② | 定款の収入印紙代 | 創立費 | 現金 |
③ | 謄本手数料 | 創立費 | 現金 |
④ | 発起人報酬 | 創立費 | 現金 |
⑤ | 設立登記にかかった司法書士報酬 | 創立費 | 現金 |
⑥ | 定款の認証料 | 創立費 | 現金 |
⑦ | 登録免許税 | 創立費 | 現金 |
⑧ | 金融機関の手数料 | 創立費 | 現金 |
⑨ | 営業開始に関わる研修費 | 開業費 | 現金 |
⑩ | 接待交際費 | 開業費 | 現金 |
⑪ | 広告宣伝費 | 開業費 | 現金 |
⑫ | 市場調査費 | 開業費 | 現金 |
⑬ | 印鑑や名刺の作成費 | 開業費 | 現金 |
⑭ | その他開業準備のために特別支出する費用 | 開業費 | 現金 |
⑮ | オフィスの家賃 | 賃貸料 | 現金 |
⑯ | オフィスの水道光熱費 | 水道光熱費 | 現金 |
⑰ | インターネットなどの通信費 | 通信費 | 現金 |
会社設立費用の勘定科目に関連するおすすめ記事
会社設立費用の取引内容と勘定科目について迷った場合は以下の記事も参考にしてみましょう。
「法人設立の費用は経費になる?会計処理の方法が一目でわかる一覧つき」
ここまで、会社設立費用に該当する取引の具体例と、取引に対応する勘定科目をみていきました。以下では会社設立費用として疑問が生じやすいものに関して解説していきます。
①資本金
会社設立費用の具体例を列挙しましたが、その費用を支払うためには会社に資金を準備しておく必要があります。会社設立時には発起人が出資金を払い込み、会社に資金が入るための仕訳が必要です。出資に関しては「資本金」や「資本準備金」といった勘定科目が使われます。
【資本金】
勘定科目の資本金は、会社の所有者である株主(設立時は発起人)が出資金として会社に払い込んだ額を指します。事業を始めるためにはさまざまな設備投資や開業準備が必要となるため、発起人は事業の元手として資本金を払い込む必要があります。通常、会社設立時に払い込まれた額の全額が勘定科目は「資本金」となります。
【資本準備金】
勘定科目の資本準備金は、株主からの出資金のうち、資本金に組み入れなかった部分を指します。払込額の半分を超えない範囲で、勘定科目を資本準備金として計上することができます。
合わせて読みたい「会社の設立費用は経費にできるのか」に関するおすすめ記事
会社設立の費用は経費?経費の基礎から会社設立に税理士が必要な理由まで解説!
②定款の収入印紙代
会社設立には、設立登記にかかる費用の支払いも必要です。その一つが定款の認証です。紙の定款を認証する場合は、収入印紙4万円分を貼らなければなりません。
この収入印紙代は会社設立前に発生する会社設立費用なので勘定科目は「創立費」として計上します。ただし、電子定款を利用する場合は収入印紙代が不要です。
③謄本手数料
会社を登記するには、定款の謄本も必要です。通常、認証を受けた際に謄本を請求します。
この謄本を発行する手数料は、1枚あたり250円です。謄本発行にかかる手数料も勘定科目は「創立費」として計上してください。
会社設立費用の勘定科目に関連するおすすめ記事
会社設立費用の勘定科目に慣れていないと、開業費なのか創立費なのか混乱することも少なくないかもしれません。そんな時は以下の記事を参考にしてみましょう。
「会社設立の経費はどれが認められる?必要な会計処理まとめ」
⑤設立登記にかかった司法書士報酬
行政書士は定款の作成や認証を担当し、司法書士は会社設立の登記を代理で行います。会社設立の際にこれらの専門家に依頼することがよくあります。その場合、行政書士や司法書士への報酬も勘定科目を「創立費」として計上する必要があります。
⑥定款の認証料
株式会社を設立する際には、公証人役場で定款の認証を受ける必要があります。定款認証の手数料は、資本金の額によって異なります。資本金が100万円未満の場合は3万円、100万円以上300万円未満の場合は4万円、それ以上の場合は5万円です。この手数料は会社設立前の会社設立費用として勘定科目は「創立費」に含めて処理します。
⑦登録免許税
会社設立の際には、登録免許税を支払う必要があります。株式会社の場合、この税金は資本金の0.7%(ただし、資本金が15万円未満の場合は15万円)になります。この会社設立費用は会社設立に関連するもので、勘定科目は「創立費」として処理します。
会社設立費用の勘定科目に関連するおすすめ記事
会社設立費用の仕訳や勘定科目で疑問が生じた場合は以下のサイトがおすすめです。
「会社設立の費用を仕訳する方法とは?必要な会計処理を解説」
⑨営業開始に関わる研修費
開業に役立つ知識を得るために参加したセミナーや勉強会の参加などの会社設立費用は、勘定科目を「開業費」として処理します。これには、受講費のほか、会場までの往復交通費や宿泊費、セミナー後の交流会の参加などの会社設立費用も含まれます。オンライン参加の場合も、受講料の勘定科目は「開業費」として扱われます。
償却方法と節税メリット
創立費は、会計上では「繰延資産」として扱われ、税務上では「任意償却」とされています。これは、償却のタイミングや金額を自由に決められることを意味します。
任意償却の場合、償却額に制限はなく、会社の判断で好きなだけ償却することができます。たとえば、黒字の年に未償却残高全額を一度に償却することも可能です。また、償却の期限も設定されていません。
このような処理をする理由は、「開業前の準備費用が将来の事業に影響を与えるため、単なる開業年度だけの費用ではない」という考え方に基づいています。つまり、開業前に支払った費用は、今後の事業運営にも影響するため、会社設立費用として開業年度だけで経費として処理するのではなく、長期間にわたって扱う必要があるということです。
「会社設立費用の勘定科目」解説部
会社設立費用で開業費として処理する場合の詳細な解説は「開業費とは?開業費にできる範囲と節税方法について解説」が参考になるでしょう。
ただし、赤字の年には税金が発生しないため、赤字の年に創立費を償却しても税金を減らすことはできません。そのため、赤字の年に償却しても、実際には税金の節約にはつながりませんので償却するタイミングには注意しましょう。
会社設立費用の勘定科目に関連するポイント!
創立費の任意償却を利用する場合、赤字の年には償却を行わず、黒字の年に合わせて必要な金額を償却することができ、償却に期限がないため、会社の業績に応じて適切なタイミングで償却費を経費として計上することができます。
「創立費として経費計上できる範囲と繰延資産の償却方法とは」
繰延資産とは?
繰延資産とは、すでに支払った費用や、支払い義務が確定している費用で、将来にわたってその効果が続くものを指します。例えば、先に支払ったサービスや商品の費用がこれに該当します。繰延資産は貸借対照表の「資産の部」に記載されますが、実際には現金として取り扱うことはできません。
通常、費用はその年の経費として処理しますが、繰延資産として「資産」として計上することができます。このため、「わかりにくい」「処理が難しい」と感じるかもしれません。しかし、繰延資産を適切に管理することで、会社の経営に役立てることができます。
会社設立費用の勘定科目に関連するおすすめ記事
会社設立費用で繰延資産として処理するときや、勘定科目で疑問が生じた場合は以下の記事がおすすめです。
「繰延資産とは?具体例と償却方法、仕訳のやり方について解説」
まとめ
今回は会社設立費用の処理方法と、取引内容に応じて使用する勘定科目、特に「創立費」と「開業費」について解説しました。
主に「いつ行った取引なのか?」という視点で使用する勘定科目が変わってきます。
会社設立費用の処理(記帳)を行う際は正しい勘定科目を使用して、経費計上するようにしましょう。
また、会社設立費用を正しい勘定科目で処理したうえで任意の時期に償却を行い、節税メリットを最大化することが重要です。
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