役員報酬の変更は税理士に相談すべき?役員報酬の基本から変更手続きについて解説

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公開日:2024年5月

更新日:2024年5月14日

役員報酬とは

役員報酬は、取締役や監査役、会計参与などの重要な役職に対して会社が支払う報酬のことを指します。この報酬は、一般の従業員に支払う給与とは異なり、株主総会で決定されます。そして、通常は月額が一定しているのが特徴です。

役員報酬の決定後、基本的にはその1年間は金額の変更ができません。これは、節税目的で不正な操作を行うことを防止するために設けられたルールです。このルール以外にも、役員報酬の決定にはいくつか厳しい規定が存在します。

役員として会社の業績が向上すれば、報酬を増額したくなるのは当然ですが、事業年度途中で報酬を変更することには厳しい制約があります。それは税法で「事業年度の途中で役員報酬を変更すること」に関して、厳しい要件が定められているためです。

知識がない状態で役員報酬を変更してしまうと、その役員報酬変更部分が損金(会社の経費)として認められなくなるリスクがあります。その結果、余分な税金が発生してしまう可能性があります。したがって、役員報酬の変更を検討する際は、慎重に進める必要があります。

こうした役員報酬に関する変更には、税理士の専門的なアドバイスが役立ちます。税理士は最新の税法や規定に精通しており、変更に伴うリスクや問題点を的確に把握しています。役員報酬に関するルールを正しく理解し、適切に対処するためにも、税理士のサポートを活用してみてはいかがでしょうか。

役員報酬の種類

役員報酬には、「定期同額給与」、「事前確定届出給与」、「利益連動給与」という3つの種類があります。それぞれに特徴があり、企業の事情やニーズに合わせて選択できます。

まず、「定期同額給与」は、最も一般的に利用されている役員報酬の形式です。これは毎月同じ金額を支払う形式で、シンプルでわかりやすい役員報酬形態です。安定した支払いが求められるため、企業にとっても役員にとっても使いやすい選択肢です。

次に、「事前確定届出給与」は、事前に支払い金額を届け出ておくことで、損金算入できる役員報酬です。このタイプの給与は、事前の計画に基づいて支払いが行われるため、予測可能性が高く、企業にとっては計画的な運営が可能です。

最後に、「利益連動給与」は、企業の業績や指標に基づいて報酬が変動する形式です。ただし、このタイプは中小企業ではあまり使用されません。損金算入を認められるためには、有価証券報告書などに指標や報酬の根拠を記載しておく必要があります。

いずれの役員報酬の形式でも、年度の途中で変更しないことが原則です。変更が必要な場合は、税法の定める条件に従わなければならず、違反すると損金算入ができなくなる可能性があります。しかし、特別な事情がある場合は、例外的に損金として認められることもあるため、注意が必要です。

役員報酬の種類やその変更に関する判断は複雑なため、税理士のアドバイスを求めることをおすすめします。税理士は役員報酬に関する最新の法律や規定に精通しているため、企業の状況に応じた最適な選択肢を提案してくれるでしょう。

役員報酬を変更する手続き


役員報酬を変更する際には、以下の3つのステップが必要です。

1.株主総会の開催・決議

役員報酬の変更を行う際は、まず株主総会の開催とその場での決議が必要です。株主総会での決議がないと変更は無効となるため、慎重に対応することが重要です。

株主総会での決議は、通常の議案と同様に行われます。議決権を持つ株主の過半数が出席し、そのうち過半数の賛成を得て決定するのが一般的です。また、実際に株主総会を開催するのが原則ですが、全ての株主が書面や電磁的記録で同意した場合、総会の開催を省略して決議があったものとみなされます。

2.議事録の作成

次に、株主総会での決議内容を記録した議事録を作成します。議事録には、変更内容やその理由、決議内容を正確に記載する必要があります。議事録に含めるべき項目は次の通りです。

変更前と変更後の報酬額
変更の理由
変更の時期
決議内容
株主総会の日時、場所、議長の氏名、議事録作成日

議事録は、株主総会の開催後すぐに作成し、内容が正確であることをしっかりと確認することが重要です。

3.税務署や年金事務所への届出

最後に、役員報酬の変更に関連する税務上の手続きや、年金事務所への届出を行います。

例えば、役員報酬に2等級以上の変動がある場合、年金事務所へ「被保険者報酬月額変更届」を提出しなければなりません。また、役員に賞与を支給する場合は、税務署に「事前確定届出給与に関する届出書」を株主総会から1ヶ月以内に提出する必要があります。

役員報酬の変更に関しては、細かい手続きや税務関連の届出が求められますので税理士のサポートは欠かせません。手続きに不備があると、納税や年金受給に影響を及ぼす可能性がありますので、税理士に確認し、慎重に進めることが大切です。専門的な知識を要する部分が多いため、事前に税理士に相談し、適切なアドバイスを受けることをおすすめします。

参考おすすめ記事:役員報酬は変えられる?変更時期や3つの手続きについて徹底解説

役員報酬を変更するタイミング

役員報酬を変更できるタイミングは、基本的には事業年度の開始(期首)から3か月以内です。企業の設立1年目の場合は、会社設立日から3か月以内に役員報酬の変更を行う必要があります。この期間内に役員報酬を変更することで、損金として計上できるようになります。損金とは、会社の利益から差し引ける経費のようなもので、損金として計上できる金額が大きいほど、法人税を削減することができます。

事業開始後3か月を超えて役員報酬の変更を行う場合は、臨時改定事由に該当する場合のみ認められます。臨時改定事由には、例えば緊急事態宣言や震災などの大規模な災害が発生した場合があります。このような状況では、やむを得ない理由として役員報酬の変更が税務上の経費として認められる可能性があります。

また、役員の退職や職制上の地位の変更があった場合も臨時改定事由に該当する場合があります。人事異動で役員に昇格した場合の報酬増額や、退職による減額などがその一例です。また、経営難に陥った場合の報酬減額や支給停止も含まれます。

臨時改定事由による役員報酬の変更には、いくつかの注意点があります。会社法に基づき、臨時改定事由に基づいて役員報酬を変更する場合でも、株主総会での決議が必要であり、議事録を作成しなければなりません。また、法人税法では、同じ事業年度内に再度報酬を変更すると定期同額給与の扱いが適用されない可能性があります。

役員報酬を変更する際の手続きやタイミングについては、税理士の助言を受けることをおすすめします。税理士は税法や会社法に精通しているため、適切なタイミングや手続きを税理士が指導してくれます。税理士から正確なアドバイスを受けることで、役員報酬の変更をスムーズに進め、税務上のトラブルを回避することが可能となります。

役員報酬を変更する際の注意点

役員報酬の変更を行う際には、いくつかの注意点があります。変更の手続きをスムーズに進め、税務上のリスクを回避するためにも以下の点に留意してください。

事業年度開始から3か月以内の変更

前項でもお伝えしましたが、役員報酬を変更できるタイミングは、原則として事業年度開始から3か月以内です。この期間を過ぎると、変更した報酬を損金として計上できない可能性がありますので最大限注意してください。役員報酬の変更を検討している場合は、事業年度開始1か月以内に臨時株主総会を開催し、変更決議と議事録の作成を行うことが重要です。

役員に賞与を支給する場合

役員に支払う報酬には、月々の給与として支払う役員報酬と、臨時的な支給である役員賞与の2種類があります。役員賞与を損金として認められるようにするためには、事前に税務署へ「事前確定届出給与」を届け出る必要があります。さらに、株主総会で決議された議事録と一定事項を記載した届出書を期限内に提出する必要があります。届出に記載された時期と金額が一致し、役員に支払われた場合のみ損金として認められます。

参考おすすめ記事:役員報酬の変更方法は?改定のタイミングや時期を解説

年度途中での報酬変更を避ける

年度途中での役員報酬の変更は、原則として損金不算入扱いとなる場合が多いため、注意が必要です。年度途中での増額は、利益操作による節税の可能性を疑われ、課税対象となるリスクがあります。また、個人の収入にかかる所得税と法人税の二重課税が発生する場合もあります。

変更の際には、税理士の助言を受けることをおすすめします。税理士は税法や会社法に精通しているため、税理士から正確で適切なアドバイスを提供してくれます。税理士など専門家のサポートを受けることで、適切な役員報酬の変更を行い、税務上の問題を回避できます。

以上の点に注意して、役員報酬の変更を行うことで、会社の財務状況を健全に維持し、将来の成長に向けて最適な経営判断ができるようにしましょう。

参考おすすめ記事:役員報酬の変更方法は?タイミングや手続きを解説

役員報酬の変更は税理士に相談すべき?

役員報酬の変更については、税理士に相談することを強くおすすめします。役員報酬の見直しは、会社の成長や財務状況に直接関わる重要な経営判断です。誤った判断をすると、会社のキャッシュフローや資金繰りに悪影響を及ぼす可能性がありますので事前に税理士に相談しましょう。

例えば、適切な手続きを行わなかったことで、損金算入が認められなかったケースがあります。また、期首に高額な役員報酬を設定した結果、年度途中で資金繰りが困難になった例も報告されています。他にも、予想以上に会社の利益が増えた際、法人税の負担が大きくなり、経営に打撃を与えることもあります。

そのため、役員報酬の変更については、税理士としっかり打ち合わせを行い、多角的な視点から最適な役員報酬の設定を税理士と探ることが重要です。税理士は最新の税制や関連法規に精通しており、具体的なアドバイスを税理士が提供してくれます。

また、税理士と密に連携することで、役員報酬の変更に伴う税務上のリスクや経営上の影響を最小限に抑えること可能となります。場合によっては、セカンドオピニオンを受け入れている税理士事務所に相談し、担当税理士とは別の税理士の角度からの意見やアドバイスを得ることも時には大切です。

  • SoVa税理士お探しガイド編集部

    税理士との協力によって、役員報酬の変更に関する最適な判断ができ、会社の安定した経営と成長につながるでしょう。ぜひ、税理士の知識と経験を活用して、役員報酬の適正な変更を行ってください。

参考おすすめ記事:役員報酬の変更はどうすればいい?手続きの流れや金額の決め方を解説

役員報酬の変更を税理士に相談するメリット

役員報酬の変更に関しては、税理士に相談することで多くのメリットを享受することができます。以下にその具体的な内容を詳しく説明します。

まず、税理士に相談することで、さまざまな観点から適切な役員報酬に関するアドバイスを受けることができます。損金算入ができる役員報酬の金額は、法人の業種や規模によって異なります。また、みなし役員や経済的な利益の供与といった要素を見落とした場合、追加の税金を納付しなければならない可能性があります。一人社長の場合には、個人の確定申告についても税理士からアドバイスを受けることができ、経営に関する全般的な支援を受けることができるでしょう。

次に、役員報酬の変更に関する実務的な支援も税理士から受けられます。役員報酬は合理的な方法で計算する必要があり、変更を行う際には税務調査で否認されないような手続きや方法が求められます。そのため、税理士からの助言やサポートは不可欠です。

税理士は、役員報酬の変更手続きに関する正確な知識や経験を持っているため、変更の際の書類作成や届出、決議の手続きなどをスムーズに進めることができます。これにより、税務上のリスクや法的な問題を最小限に抑えることが可能です。

また、税理士は最新の税法や関連法規についても精通しているため、役員報酬の変更に関して最適なアドバイスを提供してくれます。これにより、企業は安定した経営と成長を維持することができるでしょう。

総じて、役員報酬の変更を税理士に相談することは、専門的な知識とサポートを受けることでリスクを軽減し、企業の成長と安定に寄与します。役員報酬の変更を検討している際は、税理士のアドバイスを積極的に取り入れることをおすすめします。

参考おすすめ記事:役員報酬の適切な決め方とは?税務調査に備えて知りたい4つのこと

まとめ

今回は、役員報酬の基本から、役員報酬の変更手続き、注意点などについて詳しく紹介させていただきました。

役員報酬の変更は、企業の経営に大きな影響を及ぼします。業績や法人税に加え、株主や取引先、金融機関などの関係者に対しても適切な説明を行わなければ、経営が不安定になる可能性があります。

業績が良い場合も悪い場合も、自己判断で役員報酬を変更するのではなく、まずは税理士に相談することが重要です。税理士は役員報酬に関する法的な知識や最新の税法の情報を持ち、変更の際に必要な手続きや注意点を指導してくれます。また、税理士のサポートを受けることで、税務上のリスクやトラブルを最小限に抑え、適切な役員報酬の設定や変更を行うことができます。

また、役員報酬の変更を成功させるためには、計画的かつ慎重なアプローチが求められます。株主総会での決議や議事録の作成、税務署や年金事務所への届け出など、多くの手続きが必要な点、変更のタイミング、損金算入の要件も重要なポイントです。

役員報酬の適切な設定や変更は、会社の成長と安定につながります。企業の責任者として、税理士との連携を大切にし、役員報酬の見直しや変更に関して税理士のアドバイスを受けることが望ましいです。これにより、経営状況を的確に把握し、将来の発展に向けて最善の判断を下すことができるでしょう。

参考おすすめ記事:役員報酬の変更できるタイミングはいつ?手続きの流れや注意点を解説

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